笹沢左保のレビュー一覧

  • 有栖川有栖選 必読! Selection5 他殺岬

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     ルポライターの天知昌二郎の息子、春彦が誘拐される。誘拐したのは、天知の記事がきっかけで自殺をした環ユキヨの夫、環日出夫。ユキヨの自殺の原因が、天知の記事だとして、その復讐のために誘拐をしたという。そのため、通常の誘拐と異なり、身代金等要求しない。120時間=5日間、天知を苦しめ、その後に殺害することが目的である。
     環ユキヨが、天知の記事が原因で自殺したのではなく、誰かに殺されたのであれば、日出夫には復讐の動機がなくなる。そもそも、天知は、ユキヨが自殺したことに違和感があった。かくして、120時間で、環ユキヨが他殺されたこと、その真犯人を探すための捜査を始める。
     天知は、①自殺として処理さ

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    2022年12月24日
  • 有栖川有栖選 必読! Selection4真夜中の詩人

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    ● 感想
     誘拐がテーマの作品だが、2つの誘拐が描かれる。1つは老舗百貨店、江戸幸のオーナー三津田家の長男、和彦の誘拐事件。もう一つは、ごく一般的な家庭である浜尾家の長男、純一の誘拐事件。この作品のプロットは、江戸幸デパートの和彦の誘拐事件が狂言というもの。和彦は、その父が酔った状態で抱き、取り落としたため死亡。孫である和彦を溺愛していた江戸幸デパートの社長、三津田良吉は激怒するが、江戸幸デパートの時期社長が子どもを死なせたという事実を隠すため、孫を取り戻すため、自分が過去に妊娠をさせ、他の男と結婚させた澄江という女性の子ども、浜尾真紀の息子を奪うための計画を立てた。
     三津田良吉の計画は、自

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    2022年12月24日
  • 有栖川有栖選 必読! Selection1 招かれざる客

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    笹沢佐保さんの長編

    容疑者の事故死で完結している事件に、納得のいかない倉田警部補が事件を追う(休暇中)
    前半は事件に関する報告記録、後半は警部補の報告録形式
    「男女の感覚」に時代を感じるものの、トリック、アリバイ、動機など複数の難題に向かっていく面白さがあり、題名の意味に震えた…タイトルがずしんと来る…

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    2022年11月30日
  • アリバイ奪取 笹沢左保ミステリ短篇選

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    時効を扱った「15年は長すぎる」
    誰からも憎まれようのない平凡な男が殺された謎「第三の被害者」
    途中まで話の方向が見えなかった「お嫁にゆけない」「不安な証言」

    どれも一捻りあり話の展開の違いに飽きず、読むほど先読みしづらくなり、それがまた良い。

    中でも「殺してやりたい」が良い。
    もう少し詳しく書くと松本清張さんの短編集を読んだ後なので、タイトルと冒頭から「激情にかられた女性がフラれた恋人を殺す話」という頭で読んだ。…とまでしか言えないけど熱い展開から、読後の余韻まで良かった。

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    2022年10月20日
  • 有栖川有栖選 必読! Selection1 招かれざる客

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    1960年代のミステリー。有栖川有栖の帯文の通り、アリバイ有り、暗号有り、密室有りでてんこ盛り。探偵役の刑事の地道な捜査で一つ一つ、事件の紐を掴んで行く感じが良い。刑事の奥さんからしたら溜まったもんではないのだけども…。

    そしてタイトルの回収が切ない。犯人の動機というか、生きる目的というか…。刑事のところにもうすぐ望まれて産まれてくる命があるのもまた対比させるよね。
    犯人は身勝手なんだけど、それでも生きていく力を持った強かさは凄い。

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    2022年09月13日
  • 有栖川有栖選 必読! Selection3突然の明日

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    人間消失から始まり、探索していく先に見えるグロテスクな光景。なかなか面白かったし、ロマンを感じました。笹沢佐保という作家の真骨頂ですね。

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    2022年07月26日
  • 有栖川有栖選 必読! Selection2 空白の起点

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    走行中の電車から、崖から落ちる人物を目撃。
    探偵役の新田が言うところの、四つの条件が交錯した、まさしく〈世にも奇なる犯罪の風景〉。

    ほぼ倒叙と言っても良い作品だが、とにかくトリックが大胆。いわゆるプロバビリティの犯罪ということになるが、柵がどれほど脆いのかによっては不可能ではないだろう。
    序盤で明かされる、「小梶さんが気にしていたこと」が三点全て事件に関係しているところや、水泳が上手い、赤と白のハンカチといった伏線も面白い。
    初めての笹沢作品だったが、哀愁漂う雰囲気も好きだな。

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    2022年05月22日
  • 沈黙の追跡者〈新装版〉

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    面白かったです。
    笹沢佐保さんのエロティックさがクセになるので
    他の作品も幾つか読ませていただきました。
    ハズレがなく、安定の面白さ。
    展開が気になり最後までサクッと読めてしまいます。

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    2021年04月28日
  • その朝お前は何を見たか<新装版>

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    初めての笹沢作品。

    なんとなく途中で展開が読めてしまったけど‥
    ラストが清々しくて良かったかな

    あの後、三井田さん親子がどうなるのか
    淳子さんとの関係も気になる◡̈

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    2020年07月09日
  • 悪魔の部屋

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    ホテルの一室で強姦された女性のハナシ。
    セックスの回数を重ねるごとに愛が芽生えてしまう…
    結末は悲しいです。

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    2020年06月12日
  • 流れ舟は帰らず 木枯し紋次郎ミステリ傑作選

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    「木枯らし紋次郎ミステリー傑作選」と題してあるが、ミステリー色は薄め、サスペンスやハードボイルドの要素の方が濃いが、個人的に好みの作品ばかりで楽しめた。

    紋次郎は貧しい農家に生まれ、生まれてすぐに間引きで殺されそうになったところを姉に救われるという過去を持つ。
    つまり紋次郎は『生まれて来なくてもいい人間だったのだ』。今の時代なら生まれて来なくてもいい人間などいない、と言いたいところだが、彼は堅気の人間としての暮らしを許されず、渡世人として生きてきた。

    紋次郎の決まり文句『あっしには関わりのないことでござんす』とは何も無責任に突き放しての意味ではない。
    関わりを持つということは相手のことにも

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    2019年11月20日
  • 流れ舟は帰らず 木枯し紋次郎ミステリ傑作選

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    木枯し紋次郎シリーズの中でもミステリ度の高い作品を集めた傑作選。
    時代小説としても素晴らしいし、紋次郎の意外な名探偵ぶりも楽しめた。
    私は子供のころから時代劇好きだったが、中村敦夫主演の紋次郎は他の勧善懲悪な明るい時代劇に比べてあまりにも暗く、救いがない話が多かったのでほとんど見なかった。
    しかし今になってみると深い。
    どれもミステリ的に面白かったが、逃避行の中で一人ずつ死んでゆく「笛が流れた雁坂峠」と、珍しく紋次郎が弱気になった末の結末が切ない「旅立ちは三日後に」が印象に残った。

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    2019年08月20日
  • セブン殺人事件

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    刑事の宮本と佐々木のコンビが事件を解決していく短編集。
    対象的な2人がユーモラスでいい。
    書かれた時代がそうなので、ばりばり昭和の匂いがするのはご愛敬。それも含めて楽しめた。

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    2016年07月18日
  • P+D BOOKS 剣士燃え尽きて死す

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    新選組、剣豪沖田総司の生き様を描く。無邪気な総司が労咳に苦しみながら、土方、近藤の新選組を第一の考えで異分子の考えを持つ仲間を排除する姿勢に少しずつ心が離れて行きながらも生きる姿を描く。25歳の若さで病で亡くなるもある意味投降して斬首となる近藤勇、函館まで意を通し戦い夢半ばで死する土方歳三よりも結果的に良かったのかも。。

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    2016年03月20日
  • 真田十勇士 巻の一

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    猿飛佐助が一騎当千の仲間を集めるために旅に出るところからスタート。
    いろんなことに頭をつっこみながら仲間を集めていく様が王道RPGみたいで読みやすいし面白い。
    虚実がいい感じに混ぜてある。

    1巻ではまだ完全な仲間にはなっていないものの、後十勇士になるメンバーが佐助以外に四人登場。

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    2016年02月29日
  • どんでん返し

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    「思いきって、やったらどうなの」「何をだ」「わたしを殺すのよ」―社の常務の姪と不倫した挙げ句、妊娠させ、結婚を迫られてしまった夫。“玉の輿”を目論む夫に、妻は離婚を絶対拒否することで対抗する。はたして、夫婦の運命は…(「霧」)、ほか、全編会話だけで構成された異色の短編を6篇収録。

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    2014年07月18日
  • 女人切腹

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    紋次郎の底辺に流れる、虚無感が女人を通じて立ち上る、「女人は二度死ぬ」が白眉。世の中ってのはそういうモンでございやしょう、としか言えない、底の空いたかのようなうつろさがたまらない。

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    2014年01月30日
  • 軍師 竹中半兵衛 下 新装版

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    ネタバレ

    半兵衛の後半生。
    歴史小説らしく、作家の所感が入ります。

    市と半兵衛の間に関係を持たせる点が新しい展開かな。

    終盤の秀吉と信長が少し馬鹿すぎる気がする。
    最後の方で光秀が半兵衛を訪れるシーンの意義が見いだせなかった。

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    2013年10月21日
  • 軍師 竹中半兵衛 上 新装版

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    竹中半兵衛前半記。

    半兵衛が市に想いを寄せたり、
    赤丸の存在が少し斬新。

    あとは下巻が楽しみ。

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    2013年10月10日
  • 逃 亡 岬

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    東西薬品の九門愛一郎はTVニュースを見て愕然とした。早暁、喧嘩別れしたばかりの愛人・高見沢ミサが刺殺され、自分が手配されているのだ。無実を晴らせるのは、事件直前に遇った女性と一枚の写真だけである。九門は一億数千万人のなかの“たった一人”の証人を追い求めるのだが…。迫真のサスペンス・ミステリー。

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    2011年01月28日