笹沢左保のレビュー一覧
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ネタバレルポライターの天知昌二郎の息子、春彦が誘拐される。誘拐したのは、天知の記事がきっかけで自殺をした環ユキヨの夫、環日出夫。ユキヨの自殺の原因が、天知の記事だとして、その復讐のために誘拐をしたという。そのため、通常の誘拐と異なり、身代金等要求しない。120時間=5日間、天知を苦しめ、その後に殺害することが目的である。
環ユキヨが、天知の記事が原因で自殺したのではなく、誰かに殺されたのであれば、日出夫には復讐の動機がなくなる。そもそも、天知は、ユキヨが自殺したことに違和感があった。かくして、120時間で、環ユキヨが他殺されたこと、その真犯人を探すための捜査を始める。
天知は、①自殺として処理さ -
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ネタバレ● 感想
誘拐がテーマの作品だが、2つの誘拐が描かれる。1つは老舗百貨店、江戸幸のオーナー三津田家の長男、和彦の誘拐事件。もう一つは、ごく一般的な家庭である浜尾家の長男、純一の誘拐事件。この作品のプロットは、江戸幸デパートの和彦の誘拐事件が狂言というもの。和彦は、その父が酔った状態で抱き、取り落としたため死亡。孫である和彦を溺愛していた江戸幸デパートの社長、三津田良吉は激怒するが、江戸幸デパートの時期社長が子どもを死なせたという事実を隠すため、孫を取り戻すため、自分が過去に妊娠をさせ、他の男と結婚させた澄江という女性の子ども、浜尾真紀の息子を奪うための計画を立てた。
三津田良吉の計画は、自 -
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「木枯らし紋次郎ミステリー傑作選」と題してあるが、ミステリー色は薄め、サスペンスやハードボイルドの要素の方が濃いが、個人的に好みの作品ばかりで楽しめた。
紋次郎は貧しい農家に生まれ、生まれてすぐに間引きで殺されそうになったところを姉に救われるという過去を持つ。
つまり紋次郎は『生まれて来なくてもいい人間だったのだ』。今の時代なら生まれて来なくてもいい人間などいない、と言いたいところだが、彼は堅気の人間としての暮らしを許されず、渡世人として生きてきた。
紋次郎の決まり文句『あっしには関わりのないことでござんす』とは何も無責任に突き放しての意味ではない。
関わりを持つということは相手のことにも