真梨幸子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
★3.4
救いのない結末が見たけりゃ、とりあえず真梨先生を選んでおけば間違いない。
しかも今回はサドの『美徳の不幸』オマージュときた。
さて、ジュスティーヌなのかジュリエットなのか。
まあ真梨先生だから、どちらに転ぶかは見えてはいるが。
『聖女か悪女』は、SNSで絶大な影響力を持つ“聖女”のカリスマブロガーが、結婚パーティーの最中に倒れるところから始まる。
その昏睡をめぐる謎を追う心理カウンセラー紀和(こちらも聖女?)の視線を通して、17年前に起きた「モンキャット事件」、さらに四谷での大量殺人事件という二重三重の闇が浮かび上がっていく。
児童監禁や性加害、富裕層の退廃的な遊び。
プ◯エンジェル事件なのかエプスタインなのか、あるいはディディなのかは知らないが、それを思わせる構造で社会の陰湿さをぶち込んでくる。
しかも、マルキ・ド・サド『美徳の不幸』を重ね、美徳そのものがいかに無力で、むしろ利用され、裏切られ、最後には踏みにじられていく様を執拗に描いている。
ただ、物語としてカタルシスは正直そこまで濃くはない。
グロさも大味で、むしろディテールが省かれている分ある意味ポップさすらあった。
事件の繋がりにやや強引さも感じたが、それは「悪意が悪意を呼ぶ」という構造を示すための装置と考えれば、納得できる。
サドのジュスティーヌを“美徳”の象徴として借りつつ、物語の筋ではジュリエット的な悪徳のサバイバル戦略まで織り込んだ。
結局栄えるのは悪徳なのだと突きつけるように物語が進むが、
「でもやっぱりジュスティーヌのように清く正しく生きよう」、というビバ勧善懲悪なラスト。
…そんなお気楽には当然終わらない。 -
Posted by ブクログ
バブル世代と氷河期世代。
生きる時代によって、人生は狂わされるのだろうか?
私はゆとり世代に生まれたが、時代によって「これだから」と決めつけられることはよくある。
そういった決めつけは、誰しも経験があるのだろう。
場面によって主人公が代わり、女性ホームレス殺人事件への関心が変わる。
皆何かの縁によって、被害者と被疑者に人生が吸い寄せられていく。
同じ時代に生きたからといって、自分の人生もこうだったかもしれないと深掘りしてしまうのはどうも恐ろしく感じた。
バブル世代を羨ましく思い過ぎている点も。
事件の人物の人生を深掘りして、真相を暴いていく様はとても面白かったが、ラストはなんだかもやっとしてしまった。
オカルトなのか?深すぎる縁なのか?
せめて、タイトルに関連付けたラストにして欲しかった。 -
Posted by ブクログ
「新しい法律ができた。」という一文から始まる短編小説が25編載っています。
25人の書き手が、もしこんな新しい法律ができたら、という視点でお話を綴ります。
「新しい法律」ができた理由がそれぞれ興味深いです。
例えば、
・金子玲介さん「ルパちゃん」では、「少子化対策」のために「子どもがわりに人口知能を搭載したぬいぐるみを所持することを禁止する法律」ができます。
・日野瑛太郎さん「推し活制限法」では、「推し活にハマり過ぎて身を持ち崩す人が出た」ために「推し活への課金上限を制定する法律」ができます。
(わたしが、ぜひ読んでみたいと思っていた、くどうれいんさんの場合は、)
・くどうれいんさん「ショートケーキの夜」では、「フードロスと人口減少を同時に解決する」ために「ショートケーキはふたりで食べなければならない法律」ができました。
それぞれ興味深いです。
では、「新しい法律ができた。」から「どうなのか」というと、
・「だから、もう〇〇ができない。」というもの、
・「そのせいで、社会が〇〇になった。」というもの、
・「新しく〇〇をしなくちゃいけない。」というものに、分かれているような気がします。
そして、登場人物たちは、「新しい法律」がどこかで、知らないうちに「できて」、しぶしぶそれに従わざるを得ないという感覚で生活が変えられていっている作品が多いように見えます。表現の効果上、まあそうなりますよね。
(さてここからは私見です。)
世の中にはいろいろと従わなくてはいけないルールが存在しますが、「法律」とは国会で制定されるルールです。おおまかに言うと、国会は国会議員が審議する場です。国会議員は公職選挙によって選ばれます。選挙で投票できるのは18歳以上の国民です。
つまり、我々が選んだ国会議員が「法律」を国会で作るのだから、本来「新しい法律ができた」といった時事的、他人事的な表現ではなく、(意識としては)「新しい法律を(我々が国会議員をして)作らせた。」「新しい法律を作った。」と当事者意識で言うのが理想と言えるのかもしれません。
小説集の話に政治の話を持ち込むのは文字通りご法度なのかもしれませんが、「できた」という表現に自分の生活とは縁が薄いという意識が隠れていないか気になるところです。面倒くさいヤツですみません。
この小説集に書かれているような理不尽な「新しい法律」が制定されて社会がディストピアと化さないように、しっかり政治を監視しなくちゃな、と思ったしだいです。放言をお許しください。
それはさておき、いろいろな視点で語られるお話はそれぞれ読み物として面白いですので、オススメいたします♡
著者一覧(掲載順)
金子玲介
日野瑛太郎
朱野帰子
阿部智里
真下みこと
須藤古都離
嶋戸悠祐
多崎 礼
風森章羽
名倉編
真梨幸子
東川篤哉
霜月流
矢樹純
高田崇史
潮谷 験
献鹿狸太朗
高田大介
大沼紀子
矢部嵩
柾木政宗
くどうれいん
白井智之
赤川次郎
五十嵐律人 -
Posted by ブクログ
前作「殺人鬼フジコの衝動」が個人的に微妙だったせいか続編の方が面白かった。
作者ははじめからシリーズ物のつもりで構成を練ったのだろうが、前作からよくここまで話を膨らませたなぁと感心した。大抵薄っぺらくなってつまらなくなるのに、前作よりさらに狂気を孕んでいた気がする。
前作、茂子がやたら口にしていた「あなたのお母さんみたいにはなってはダメ」と、フジコの「私はお母さんみたいにならない!」というあの印象的なセリフも実は…
下田健太の学生時代のエピソードは嘘みたいだが、似たような話を聞いたことがあるので、人はきっかけと役割があれば割と簡単に化ける事ができるのかもしれない。
前作から間が空いてしまったので文庫本を引っ張り出して復習する必要があった。登場人物が多すぎる…
登場人物全員嫌な奴感が半端ないが、その中でも吉永サツキの鼻持ちならない感じはなんなのか。笑