藤田孝典のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2017年1月
前作「下流老人」がベストセラーになり、多くのメディアで下流老人という言葉が聞かれるようになった。しかし、どうも多くの人は下流に陥る原因を、「自己責任」にしたがる傾向にあるようだ。
この本は、単に「自分が下流に陥らないにはどうすべきか」という問いに答える本ではない。恥ずかしながら、私も自分の老後について不安があったのでこの本を手に取ろうと思っていた。
では、著者はどのような事を訴えたかったのだろか。
それは日本の社会保障システムの脆弱さではないだろうか。
下流に陥る原因は様々ではあるが、少なくとも国が助ける事は出来る。しかし現実には、社会保障に充てられる予算は決して多くない -
Posted by ブクログ
現代の若者がいかに厳しい社会状況に置かれているかについて書かれた本。
近年、若者の貧困が提言されるようになり、興味があったので本書を読んでみたのだが、その実態の深刻さに驚かされた。何より驚いたのは、私自身の状況も、周りの環境によっては貧困に陥る危険性があるということに気づかされたことだ。
私は現在社会人1年目であり、実家に住みながら毎日片道1時間半ほどかけて通勤している。
なぜ独り暮らしをしていないかというと、私の会社は関東圏出身者には住宅補助が出ず、今の給料では東京での独り暮らしは厳しいと考えたからだ。
それでも、私は幸運なことに家族との仲が良く、また通勤時間も読書等に当てることができるの -
Posted by ブクログ
「下流老人」で高齢者の貧困と格差の問題をあぶりだした著者が若者の貧困について「貧困世代」という衝撃的なネーミングで暴き出した。若者の貧困は、バブル景気の崩壊以降、人件費を削減するため、若者を犠牲にしながら、企業の成長や経済成長、あるいはシステムの延命や存続を進めるようになった。そのために1990年代後半以降に増えている非正規雇用は意図的に作られており、若者の貧困も同時に拡大を続けている。この構造的な変化に社会自身も若者自身も気づいてない中で声をあげれないでいる実情がある。また世界で最も高等教育に自己負担が多い日本では、親世代の収入減でバイトに頼らざるを得ず、また、そのバイトもブラック化が進んで
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Posted by ブクログ
20160518
下流老人に続き、日本が抱える社会福祉の問題点を具体的に明らかにした一冊。
現代の若者たちが感じる生きづらさ。日本に蔓延る閉塞感の根本が、若者たちが当たり前に生きることすら難しいという状況にあるのだろうと思える。
例えば、日本が進める住宅政策。持ち家が当たり前にあり、誰もが目指すべきというような考え方事態がおかしいのだろう。それでも、住宅ローンの金利が低いと言って、35年ローンを組ませ、新築で住居を買うことを進め、そこへの控除を行う政策。また、持ち家を持つことが人生の目標とも言えるような世論。
こういった認識を変えることが、まず一歩であると著者は言う。
自分自身、教育 -
Posted by ブクログ
薄いブックレット
社会福祉士の雇用形態の8割強が正規職員であることに驚く。
2015年の本
ソーシャルワーカーが行う
ミクロレベルとマクロレベルの話
実務の大変さを薄いブックレットで著しきるのはとても無理だろうけれど、まず知らない人が知るには薄くて読みやすい本。
ミクロレベルは
個々人の話に耳を傾け、相談者が何に困っていて、どのような福祉制度やサービスを利用していけば問題が解決するのか、一生懸命考え取り組んでいく仕事。必要な支援施策を検討し、生活改善に結びつけていく活動。
マクロレベルは
社会に働きかける者としてのソーシャルアクションの話。
なぜ、相談者が目の前に現れるのか、どうして福祉 -
Posted by ブクログ
ネタバレ世代や性別ごとに「貧困」を捉え、解決法などを提言してあって良書だと思った。
著者が指摘する「やりがい搾取」や「努力しても報われない社会」は若者に限らず、中高年世代にも言えることではないかと感じた。(各企業の定める基準を満たさない限り、ほとんどの中高年がそうなる、それを目の当たりにした若者が希望を持てなくなるという負のループともいえるのではないだろうか)コロナ禍の中、エッセンシャルワーカーの待遇に比して、賃金が伴っていないことが露呈してなお、仕事の社会評価は変わらず、妙なお客様第一主義を振り回す企業に都合よく消費されているのではないだろうか。
「自助」「自己責任」「(顧客に)期待を超える満足を」 -
Posted by ブクログ
少し前に、老後の生活の為に必要な金額が示されていましたよね。
その金額があったとしても、不慮な病気、事故、予期せぬ扶養家族増加(子どもが孫を連れて転がり込んでくる、親を引き取ることになる等)によって、年金をそれなりに受け取っていようと、2000万円持っていようと下流老人になる可能性は誰にでもあるのだ、ということに衝撃を受けました。
以前、消費税をアップさせる際、「社会福祉」に利用する、というのを私自身も聞いていましたが、ふたを開けてみると、実際に福祉に利用されたのは、そのうちのほんの僅かな割合だったとか。
今回の増税はどうなんでしょう。
全体が底上げしてもえらえるのであれば、増税は我慢する -
Posted by ブクログ
将来ほとんどの人が下流老人となるという言葉にはインパクトを覚えた。
生活保護制度があるにも関わらず、日本は生活保護を受ける人に冷たい視線を与える。
それによってなかなか申請することが難しいというのもよく分かった。
ぎりぎりまで我慢をし、どうにもならなくなった時には死の直前ということもあるという。
しかも、下流老人になるのは貯蓄がなかったから、怠惰な生活を送っていたからではないということもこの本を読んでよく分かった。
さぁ、ここから自分はどうするか。
自分の老後のためにいかに蓄えておくか。
歳を取ると、病気などによって莫大なお金が急に必要になることもある。
一生安心して暮らしていけるようにす -