藤田孝典のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
社会的弱者層の貧困問題の研究者であり、かつNPOの代表として彼らへの支援を行っている著者による、「貧困世代」の若者たちの実態と対策を述べた本。
2013年刊行。
「貧困世代」(Poor Generation)は、著者の創作語であり、1973年以降に生まれた日本の若者たちを指す。
現在の52歳以下で、約3600万人存在している。
貧困世代は、教育や国主導の福祉から排除され、奨学金返済や年金保険料支払いの重苦を背負っている。劣化した雇用・労働環境におかれ、家族機能の縮小、住宅政策の不備によって追い詰められている世代だ。
この現実を反映するように、若年層(15〜34歳)の自殺率は10万人あたり -
Posted by ブクログ
少し前の本だが「下流老人」の後が気になっていたので読んだ。前作に続き、「死ぬまで働く」未来が現実になることを強調しており、暗い気分になる。特に第2章の事例紹介は残念であり、不安を煽られる。
下流老人に陥ることを個人レベルで対処する策は無い。予防措置として、社会の構造と実情を理解し、声を上げ、連帯するしか無い。これではあまりにも寂しい結論だろうし、当時はこの本を読んでガッカリした方も多かったのだろう。確かにこの本だけを読むと、働く気力、介護や子育ての気力、選挙投票に行く気力を削がれるもの。ズルして儲けるか、ゴマすりしてまで出世するしかないのか。若かった自分は、きっと腹を立てたことだろう。
た -
Posted by ブクログ
要はある程度稼いで納税し、ある程度蓄財していたとて、いろんな要因で老後資金不足に陥り困窮することは他人ごとではないということを、事実や事例をもとにこんこんと説明されている。非常に丁寧で納得できた。
生活保護レベルでの生活を余儀なくする「下流老人」は増える一方であると筆者は語る。
一番感じたのは、「下流」が「不幸」には紐づいてはいないということ。
医療を受けれない、まともな食事を食べれない、満足した住居に住めない。
そこに文句を言う生き方自体に違和感は感じた。
日本のインフラや社会保障制度自体、他国と比べて水準が高いものであることは間違いない。
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」とはよく言 -
Posted by ブクログ
ネタバレ著者による下流老人の定義は「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」のことである。下流老人は①収入が著しく少ない②十分な貯蓄がない③頼れる人間がいない、という3つの特徴がある。
この下流老人は、元々生活力がない人はもちろん、現役時代は大手企業で勤めており、それなりに収入があった人でもなり得るというのが驚き。たしかに章をすすめていくと、離婚や病気・怪我など、予測できない出来事によって誰でも下流老人になってしまうリスクはあると思った。
最近連絡が取れるようになった姉がこれを読んで結婚出産に踏み切ったというので読んでみたけど、『家族や周囲の人との関係を作り助けてもらえた方が良い』