あらすじ
『下級老人』が流行語大賞の候補としてノミネートされたのが2015年。
下流老人とは「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」と定義され、高齢者の貧困問題に警鐘を鳴らした。
しかし、当時の高齢者が抱える問題より、はるかに深刻なのが、中高年化した氷河期世代が老後を迎えるときである。
氷河期世代は雇用政策において翻弄されただけでなく、自己責任という言葉のもとに、あらゆる社会政策から放置されて今に至る。
まさに政府に犠牲にされた『棄民世代』といってもよい。
彼らが高齢者でなったときには、下級老人の比ではない貧困問題を抱えた棄民老人が誕生する。
それは当事者である彼らだけの問題だけでなく、日本全体を揺るがす衝撃の未来が待ち受ける。
誰にとっても他人事ではないこの事態にいかに対処するか。
社会福祉の現場から来るべき危機に警鐘を鳴らす。
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Posted by ブクログ
就職氷河期世代は、就職時期だけでなく、その後も困難を抱え続け、引きこもりなどの社会問題を引き起こしている。8050問題も、この世代に対する政策を考えないと、解決には至らない。政府も様々な政策を打ち出してはいるが、「やっている感」を演出するだけで効果は少ない。この世代を「棄民世代」と揶揄する表題で書かれた物。著者もこの世代であり、同世代として問題提起をしている。政策に効果がない分、どこに希望を見いだすか。労働組合が協同組合(労働者協同組合)にどのように進んでいけるかが希望の道と説く。今後、働き方もまちづくりも、協同組合の発展なしに進めないのは私自身も感じていることで、大事な提言と思う。
Posted by ブクログ
棄民と言う造語であるが、ストレートな表現であり、深刻さが伝わる。
世間の人間付き合いの仕方が変わっているため、自分が興味のあるコミュニティでまずは生きていくことが解決する方法の一つではないだろうか。
Posted by ブクログ
ソーシャルワーカーならば、第6章の提言を軸に据えるべきではないか?第1章から第5章は普通のジャーナリストでも書けるのに、そこに本書の9割を割いている。提言にこそソーシャルワーカーとしての見地を発揮出来るはずなのに、そこには1割しか割いていない。
自分も棄民世代=氷河期世代の一員として関心を持って読み始めたが、何とも消化不良。
喜久屋書店阿倍野店にて購入。