藤田孝典のレビュー一覧
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高齢者の仕事の実態を皮切りに年金生活者の実例を挙げてその実態を明らかにする。国民年金は元々定年の無い自営業者や農業従事者向けで子供と同居するのが前提なので核家族化した現代ではそれだけで老後が賄えるかというとかなり厳しい。また、正社員で企業に勤めて厚生年金で比較的潤沢であっても、自分や家族の病気などがあるとたちまち困窮してしまう状況も描かれている。せっかく就職できた子供がパワハラあってうつになって離職という実例はやや極端な例とも言えなくもないが無いとも言い切れないだろう。
また非正規雇用が多い氷河期世代の今だけじゃなく老後に厳しさが増すことも指摘している。このように非正規雇用が増えて日本の労働者 -
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ネタバレ・「普通」から「下流」に陥るパターン
①病気や事故による高額な医療費の支払い
②高齢者の介護施設に入居できない
③子どもがワーキングプア(年収200万円以下)や引きこもりで親に寄りかかる
④増加する熟年離婚
⑤認知症でも周りに頼れる家族がいない
認知症+一人暮らし+悪徳業者→下流老人
・「責任」と「権利」=社会保障の意義全体
→「責任」たくさん働いてお金持ちになるか、ほどほどの生活で良いかは、個人の責任に応じた自由
→「権利」健康で文化的な最低限度の生活を営むこと、個人の生命が守られることは、すべての人に与えられた権利。
それを守るために税金の存在意義があるので、税金をたくさん使う者は「悪」 -
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この日本の100万人以上いるのではないのかというひきこもり問題、中高年ひきこもり問題を本にされて世の中に出版されたことはとてもいいことだと思います。
多くの複雑な問題がたくさんあると思います。
親も家族も学校も医者も支援機関も役所も手助けにはならない。誰に、どこに相談していけばいいのかもわからない。
自分も、家族、親もどんどん高齢化していく。インターネットを使える家やひきこもりはまだいい方でインターネットを使えない家族やひきこもりも存在がする。
根本的に人間関係があることは明らかなことです。
それは家族、学校、社会、職場とかでの人間関係が苦手で大きな負担の人たちが引きこもりになっていくのだ -
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8050問題より中高年の引きこもりが社会問題となっている。そのことを現存の資料だけでなく当事者からの聞き取りからまとめた著作であり、引きこもりの中高年問題にターゲットを当てた著作としては初めてではないか。私自身の経験では若い時からの引きこもりをしている人が中年にまで至っている人が多いという印象だったが、一旦社会に出て働いていて仕事や労働問題などでドロップアウトをして引きこもりになっているケースも多いということが本書では分かった。著者が労働問題に関与が強いこともあり、その部分での考察も多かったが、本書の優れている部分は当事者からの語りから現実に迫ろうとする部分であり、彼らのつながりを緩やかに支援
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2015年の新書だが、まだまだ新鮮に読める。
一部の貧困層だけではなく、今は大丈夫と思っている大多数の日本国民が老後に破産し、健康で文化的な最低限の生活さえも送れなくなる可能性があることに警笛を鳴らした本。
資本社会である限り、貧困は個人のせいではなく、社会のせいである。というのが著者の一貫した主張。そのため、年金で足りない分は、生活保護をもらうことをためらってはダメ。高齢者になるまで、税金を払ってきているので、生活保護を受ける権利はある。
日本人で問題なのは、社会から施しを受けるのは嫌、親族に迷惑をかけるのは嫌という理由で生活保護以下の生活をし、孤独死をしてしまう老人が多いということ。自己責 -
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2017年1月
前作「下流老人」がベストセラーになり、多くのメディアで下流老人という言葉が聞かれるようになった。しかし、どうも多くの人は下流に陥る原因を、「自己責任」にしたがる傾向にあるようだ。
この本は、単に「自分が下流に陥らないにはどうすべきか」という問いに答える本ではない。恥ずかしながら、私も自分の老後について不安があったのでこの本を手に取ろうと思っていた。
では、著者はどのような事を訴えたかったのだろか。
それは日本の社会保障システムの脆弱さではないだろうか。
下流に陥る原因は様々ではあるが、少なくとも国が助ける事は出来る。しかし現実には、社会保障に充てられる予算は決して多くない