稲田豊史のレビュー一覧
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「今どきの若者は……」と言われる行動も、当の若者にとっては、環境に応じて合理的に判断した結果である、というのが私の持論ではあるのだが、映画を早送りで観る人にはどのような(その人なりの)合理的理由があるのを知りたくて読んでみた。
結果的には、著者と同様に「映画を早送り視聴する習慣を理解はできるか共感はできない」ということに。
テクノロジーによって可能になったことを人はやってしまうということと、ある種の同調圧力が主要な理由なのかなと思う。
なお、本書に書いてあるわけではないが、今後は早送り視聴どころではなく、映画もAIを見させて要約と名場面集を吐き出させる、という見方(といえるのか?)をする人も出 -
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ネタバレこの本の主張を、自分なりに咀嚼して整理すると、単なる「最近の若者は本を読まない」という話ではなく、
「情報環境の変化によって、人間の思考様式そのものが変わりつつある」
という本だったように見える。
自分用まとめ
① 現代は「読む力」より「消費する力」が求められる社会になった
* 文章の経済価値は急速に低下している
* AIによって「とりあえず説明文を書く」は無料化された
* 動画や音声が主流になり、長文は非効率だと考えられるようになった
* ニュースもSNSも「最後まで読む必要がない設計」になっている
結果として、
深く理解するために読む文化
↓
短時間で消費する文化
へ移行して -
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かつで、映画は「鑑賞」するものだった。
しかしそれが今、早送りして映画を見る人達の間では「消費」するものとなっている。
忙しすぎる彼らは、何にでもタイパを求めるようになった。
ストレスが多すぎる彼らは、娯楽に豊かさを求めるのではなく、快楽を求めるようになった。
だから、セリフのないシーンに込められた状況から読み取る意味や、
あえて作られている余韻、間、なんてものはいらない。
すべて早送りか10秒飛ばし。
そんな視聴者に合わせて世の中には、まるで漫画のように登場人物が心情をご丁寧にいちいちセリフで説明する作品が増えた。
「わかりやすい」が正義で「わかりにくい」が悪。
わかりやすく、簡潔に -
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話題の新書。
タイパやコスパから若い人たちの本離れが進み、出版物の減少や書店の減少など本を取り巻く環境が厳しいのは知ってはいたが、ここに書かれている内容は想像以上だった。
本屋に行って買って読む。こういう当たり前だと思っていたことが当たり前じゃなくなる。
将来、本を読むこと自体が特殊な能力となり、一部の階級層しか本を読まなくなる。
暴論にも聞こえるが、本書を最後まで読むとこれが暴論ではないことがよく理解できる。
読めなくなった人々のインタビューにはハッと気付かされる話もあり、当たり前と思っていた読書習慣が一方ではこうも見方が違うのか、と驚かされる。面白かったです。
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Posted by ブクログ
「読めなくなった人」であって、「読まなくなった人」
ではありません。どう言うことでしょうか。
「読み、書き、そろばん」という人として身につける
べき最低限のスキルを並べた言葉があります。
日本の義務教育を受けた人であれば、誰もが身に
つけているスキルです。
しかし、大人になるにつれてこのスキルが怪しく
なります。
まずは、そろばん。つまり計算は電卓に取って
代わり、書き=漢字変換は「読めるけど書けない」
状態になります。
そして「読み」です。
これも危険水域に入っているのが多いというのが
本書の主題です。
「え、でも現代ほどネットで記事を読んだり、
メールなどの文章に触れる機会が多 -
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2022年初版ではあるが、最近わたしが読んだ新書の中で最も好きだった。
隙自語りだが、わたしは学生時代より媒体やジャンルを変えながら所謂オタクと呼ばれる層で30年以上生活をしており、インターネットや映像作品と共に歩んできた。仕事と推し活とで本文の通り、時間がない。練習まで行い、本の速読と共に動画視聴は最大3.5倍速で聞き取れるまでとなった。なお、他の本で得た、倍速再生は脳の疲労感やキャッシュが溜まりやすい知識は一旦触れないでおく。
その弊害やデメリットを理解したくて手にとった。筆者の視点はどちらかと言うと否定派ではありながら、事象への理解を目的としながら紐解いているため多角的に納得できた。
と -
Posted by ブクログ
本編を読んでいる間は星4くらいの気持ちでしたが、あとがきを読んで筆者の気持ちに感動したので星5にしました。
『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形』の時から、理性的だなと思っていた。
この本でも、書くことを生業にしてる筆者からしたらインタビューしててイラッとこないのかな?とか思ったり個人的にXをブロックしてる業界で名の知れた人2名が引用されてたり、冷静ですごいな、と思っていたのがあとがきで筆者の感情に触れられて心動かされた。
p284から引用
不愉快なのだ。人が、人の頭で捻り出し綴った文章に、敬意とお金が払われないという状況が。
一言一句同意の気持ち -
Posted by ブクログ
私がSNSで文章と動画、どちらも発信する仕事をしているから、すごく刺さる内容だった。
特にテキストメディアの衰退についてが面白かった。
今ネットで読まれる記事。
それは、資金や時間をかけた質の良い記事ではなく、
シンプルで短く、目を引く記事。
特に、他人の不幸、エロ、マンガ、クイズ。
記事の優劣よりも、関心、注目に経済的な価値が置かれるアテンションエコノミーの時代。
大衆は掘っておけば、わかりやすく刺激的なものしか読まない、受け付けない。
そんな時代において、
本を読むことがどんどん日常から遠ざかっていくのは、もはや避けられない。
特に若い世代では、短く、すでに要約されたショート動画 -
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Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて読んだけど、今年一番くらったかもしれません。
タイトルにもある「映画を早送りで観る」だけではなく、様々な形でコンテンツの「消費」が加速していることとその要因について色々な角度から触れられています。
特に若い人達が取り沙汰されますが、そこに対して相容れないなりに理解しようとするリサーチの仕方、そしてそこから社会学のようなアプローチで要因を紐解いていくので、誰かに対して否定的な内容でもなく、とても読みやすいです。
かくいう私も「ああ、自分もコンテンツを消費しているのか」と事例に当てはまり、その要因を紐解かれて、「確かにそうかも」と納得してしまいました。
「効率性を求める資本主義