稲田豊史のレビュー一覧
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ほんと、読みながら首もげるかと思うほどうなづきながら読んだ。
最近感じている、読書界隈の哀しみや寂しさ、違和感、ちょっとした絶望感を的確に言語化されていた。
一番初めに面白いと思ったのは「ふしぎなたけのこ」という絵本だった。そして「エルマーのぼうけん」を読み耽っていて母に「ごはんだよ」と呼ばれた。本や読書とのつきあいは50年を超える。
自分にとって「読書」「活字」は日常だったが、それがどうやら特別なものになる未来がもうきているのか。
Xの読書垢界隈の分析も的確すぎて面白かった。今まで思っていた「本を読む」という普通のことが「選民」とつながるとは・・。
あとがきも秀逸。というか、切実で、読ま -
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①PVを稼ぐためにメディアも解りやすさを重視する+見る側も疲れやコスパタイパを求める→反知性主義、お客様重視、自分視点
②本は「情報を伝える」媒体でしかない→情報が欲しいけど本を無理矢理読んでいた層が、オーディブルや動画に移った
③話す力はあっても聴く力がない→興味ない話題はシャットダウン+話したがりで他の人の話のターンに被せてくる
読書は聴く力が高まるとXで最近見かけるが、それは著者の話を文章を通して「能動的に聴く」ターン=読むがあるからだと思う。
④無料抜粋記事で満足→本を買わない
ゲームの配信や映画の切り抜き、ショート動画で満足するのと同じ。
⑤書店の本だらけの知的な圧が強い+出 -
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現代の若い人の大半は本どころかテキストを読まない。本から情報を得るのは効率が悪いので動画などその他の手段で知識を得る。そして本を読まないからといって知的でないわけではない。学力が高い学生であっても長文が読めないケースは多々ある。知識を得る手段が本から別のメディアへと変化しつつあるのだ。
今の若い人はニュースを積極的には見ない。SNSなどで見出しを知ってもリンク先のポータルサイトやソース元の新聞社のサイトへはいかない。これはアルゴリズムによってユーザーのおすすめがプラットフォームから自動で表示されるのに最適化した結果でもある。
もともと長文を積極的に読む人自体が多くなかった。が、昔は情報を得 -
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タイトルに惹かれて読んだけど、今年一番くらったかもしれません。
タイトルにもある「映画を早送りで観る」だけではなく、様々な形でコンテンツの「消費」が加速していることとその要因について色々な角度から触れられています。
特に若い人達が取り沙汰されますが、そこに対して相容れないなりに理解しようとするリサーチの仕方、そしてそこから社会学のようなアプローチで要因を紐解いていくので、誰かに対して否定的な内容でもなく、とても読みやすいです。
かくいう私も「ああ、自分もコンテンツを消費しているのか」と事例に当てはまり、その要因を紐解かれて、「確かにそうかも」と納得してしまいました。
「効率性を求める資本主義 -
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大山 顕 佐藤 大 速水 健朗 稲田 豊史 山内 マリコ 妹尾 朝子
何だか怪しいタイトルで期待してなかったんだけど、
面白かった。深かった。
日本の経済成長の歴史の縮図に、団地がある。
都市に人口が集中し、住まいが不足し、山を切り開き、
団地ができる。
そこに住むのは若い夫婦と子供が二人。
いまだにこの4人家族を標準家族と思っている人がいるのはこのせいか。
夫は仕事に出、妻は家を守る。団地を守る。
もて余す時間が「団地妻 昼下がりの情事」へと発展する。
女を縛る団地。
団地住まいの子はやばい、という言説も生まれる。
そして団地ができて50年、今や団地は独居老人の終の棲家、、、
大雑 -
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ネタバレ
この本を読んで、なぜ映画を早送りで見てしまうのかをZ世代の自分なりに、この本に書いてあったことも含めてまとめてみた。
著者は最終的に「映画を早送りするのも当たり前の時代が来るかもね」と肯定的な捉え方をしていた。
しかし、『働いているとなぜ本を読めなくなるのか?(三宅香帆)』を読んだ自分の感想としては、
面白くない映画に3時間費やするリスクを許容する余裕と、見てしまった後悔を許容できる余裕がある世の中の方が健全だと思う。
1.後悔したくない
口コミサイトを見て買えば失敗が避けられる時代、Googleの星を確認しておけばマズイ店に入らないでいい時代。
たくさんの選択肢があり、かつ失敗 -
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私自身は早送りする/しないを作品により使い分けする派です。するのは主に民放のドラマ(の軽めに見てるやつ)。映画も含めて観たいものが多すぎます!
本書は、決して早送りに対しての非難を主張しているわけではなく(もちろん問題意識はありつつ)、その背景や実情を丁寧に調べたり聞き取ったりして考察し、さまざまに論点を可視化してくれているメディア論、文化論です。
「倍速視聴が現代社会の何を表していて、創作行為のどんな本質を浮き彫りにするのかを、突き詰めて考えることにした」(p.296)。
結果、私も時代の必然なのね、、と理解に近づきました。インターネットの功罪により表出した現象の一つなのでしょうね。
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「いい作品だと知ってはいるんだけどね、時間がなくて」「気になってはいるけど中々見る機会がない」と自分が何気なく口にしてきた言葉の背景を考察できる本。自分の変化だけでなく、世間の変化。
見慣れてしまった「授業動画の倍速視聴」「YouTubeの切り抜き」「サビから始まる曲」も、まだ抵抗のある「話ごとスキップ」「先にネタバレを見る」も、同じ理論に基づいて語れるものであった。
「オタク」のパブリックイメージの変化についても触れられていて、私の抱いている現在の「推し活」市場への違和感へのヒントにもなろう。
私は"良識的な旧式派"でありたいと思いつつも同時にZ世代として時代の波に乗って -
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映画を倍速で見るなんて信じらない、、と批判的な考えをもって読み始めた本書。
ところが批判的な考えと対立する現代の若者(主にz世代)の意見から考察されるそのようにせざるを得ない理由が、なんとも考えさせられる内容だった。
周囲の環境や時代背景(主にSNSの普及)が昔とは大きく異なること。若者には、彼らの教育背景に根差したオンリーワン(個性的)になりたい欲求があること。あるいはファスト映画に類似するような現象は実は昔からあったが、最近になって表面化しているだけではないかということなど。
新しいものに対しては必ず批判的な声はあがるが、一度立ち止まってその背景や根拠を考察するのは非常に意義のあるこ -
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現代はコンテンツの量が膨大なため、映画などの娯楽は本来楽しむもののはずなのに
なるべく時間をかけずに消費されてしまう傾向にある。話題についていくためや、自分が”様々な作品を知っている”というステータスさえ手に入れば良いという、目的が手段化してしまっている風潮に本書は警鐘を鳴らしています。 情報自体が目的のコンテンツなどは早送りしてもいいが、映画などの作品は早送りすることによって本来の作品としての良さを著しく損なってしまう。それでは本当に楽しんだとは言えない。楽しいものならできるだけ時間をかけてじっくり楽しみたいはずだし役に立つことだけが大事なことじゃない。無駄と言えるものにこそ価値があってそこ -
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反語的な題名から、事実(ファクト)を伝える手法、ドキュメンタリーのあり方について解説する。流行語大賞「ふてほど」が不適切報道と揶揄されるように、ファクトを伝えるメソッドについて考えさせられる一冊。
カメラマン監督等の作者の視点が入った時点で純粋なノンフィクション作品はあり得ない。ドキュメンタリー作品も然り。
それをあくまで事実と勘違いする人の多いことか。
本書はドキュメンタリー映画についてが中心だが、新聞、テレビの報道も同様に撮影した素材を取捨選択した作為が含まれている。果たしてどれだけの人たちがそのことに気づいているのだろうか。兵庫県知事のリコール再選からマスコミとSNSの公平性か論点と -
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2022年の「映画を早送りで観る人たち」で衝撃の出会いをして2023年「ポテトチップスと日本人」でさらに驚かされた著者についてのさかのぼり読書です。今度は2020年の「『こち亀』社会論」。今度は両さんか!とその振り幅に戸惑いますが、ある特定のジャンルの歴史から社会の変化をつけ出す、という手法は一貫しています。まさに「社会論」。特に「ポテチ」と「こち亀」については自らの世代である「団塊JR」についての分析として素晴らしいものがあると思いました。学問の世界では、例えば考古学で南極の氷や太平洋の底の堆積物を深く深くボーリングしてその長いサンプルから地球の環境変化を発見する手法があります。それと同じこ
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日本におけるポテトチップスが、どのような歴史を辿り日本人にどんな影響を与えたのか論じた画期的な一冊。
この表紙を見て完全に衝動買いをしてしまいましたが、子どもの頃から今に至るまでポテトチップスを好んで食べている私にとって、衝撃の内容でした。ほぼ同年代である著者の思い出は自分と重なることも多く、我が事のように読み進めました。
著者は、ポテトチップスが「日本社会に必要不可欠な食べ物」であるとし、「国民食」の定義「国民の食生活に必要不可欠である」と照らし合わせ、現代日本の国民食であると結論づけています。
また、なぜ日本人がこんなにもポテトチップスが好きになったのかという点について、本書では「欲望の充