稲田豊史のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
『映画を早送りで観る人たち』の著者とは知らずに手に取ったのだが、前作に続いてこちらも素晴らしい内容だった。「ニュースを無料で読む人たち」「本を読まない人たち」「本と出合えない人たち」「本屋に行かない人たち」「紙の本に集う人たち」と、各章が多様な切り口から多角的に分析されていて興味深い。現代の社会構造や人々の行動様式への分析が手厚く、個人的には『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』以上に響くものがあった(あちらはあちらで面白かったけれど)。特にあとがきで明かされるタイトルへのこだわり(『読めない』『読まない』ではなく、あえて『読めなくなった』としている点)は、現代人が置かれた状況の本質を突いて
-
Posted by ブクログ
浜松駅のリアル書店にて。
本書では、テキストを無料でいくらでも読める、という価値観が社会に蔓延してしまっていることを過大視し、執筆・出版・書店業界の観点から考察している。
さらに、長い文章を読むこと自体は特殊能力になりつつあり、書店で本を選ぶことは時間的経済的余裕のある一部の人にのみ許された特権階級の趣味という考え方が紹介されていた。
実際、私個人の感覚としても、英語などの言語学習やプログラミング同様、情報を収集する目的においてはもっと効率的な方法が多数あるなかで、読書(本)にこだわるのは違和感があるし、本が読める時期・書店巡りできる時期は間違いなく余裕がある時期だ。
その意味で、市場規模とし -
Posted by ブクログ
これは衝撃的な内容だったし、興味深くて久しぶりに紙の本を最後まで読むことができた。稲田豊志さんの調査方法や着眼点はすごく興味深い。久しぶりに紙の本を読んだ本が稲田豊史さんの『本を読めなくなった人たち』だったのも何とも皮肉。
以下、いくつか気になった内容をあげた。
・「非読社会」・・・文章を読むことが合理的でないとされる社会
・ウェブの記事は、一般的なニュース意外は「他人の不幸」「エロ」「マンガ」「クイズ」しかPV(ページビュー)を取れない
・面倒な思考を経ることなく、わかりやすく単純化された一意的な正解を知りたい、ということだ。(p122)
多くの人がyoutubeなどの動画メディアに移っ -
Posted by ブクログ
2026/07/05
タイトル買いしました。自分が買った時は特装版みたいな表紙になってたけど、もうタイトルから面白そうで、読んでみたらやっぱり面白かったです。
あくまでもポテトチップスと日本人というタイトルの通り、じゃがいものことに踏み込みすぎず、あくまでもポテトチップスという観点からなぜポテチが今人々の間で楽しまれるお菓子になっているのかについて分かりやすく解説してくれています。
この本一冊でポテトチップスについてのある程度のことは網羅できるのではないかと思います。
この本の分厚さもさることながら決して感想に終始することなくちゃんとデータや歴史をもとに考察されているところから著者のポテトチッ -
Posted by ブクログ
「今どきの若者は……」と言われる行動も、当の若者にとっては、環境に応じて合理的に判断した結果である、というのが私の持論ではあるのだが、映画を早送りで観る人にはどのような(その人なりの)合理的理由があるのを知りたくて読んでみた。
結果的には、著者と同様に「映画を早送り視聴する習慣を理解はできるか共感はできない」ということに。
テクノロジーによって可能になったことを人はやってしまうということと、ある種の同調圧力が主要な理由なのかなと思う。
なお、本書に書いてあるわけではないが、今後は早送り視聴どころではなく、映画もAIを見させて要約と名場面集を吐き出させる、という見方(といえるのか?)をする人も出 -
Posted by ブクログ
かつで、映画は「鑑賞」するものだった。
しかしそれが今、早送りして映画を見る人達の間では「消費」するものとなっている。
忙しすぎる彼らは、何にでもタイパを求めるようになった。
ストレスが多すぎる彼らは、娯楽に豊かさを求めるのではなく、快楽を求めるようになった。
だから、セリフのないシーンに込められた状況から読み取る意味や、
あえて作られている余韻、間、なんてものはいらない。
すべて早送りか10秒飛ばし。
そんな視聴者に合わせて世の中には、まるで漫画のように登場人物が心情をご丁寧にいちいちセリフで説明する作品が増えた。
「わかりやすい」が正義で「わかりにくい」が悪。
わかりやすく、簡潔に -
Posted by ブクログ
2022年初版ではあるが、最近わたしが読んだ新書の中で最も好きだった。
隙自語りだが、わたしは学生時代より媒体やジャンルを変えながら所謂オタクと呼ばれる層で30年以上生活をしており、インターネットや映像作品と共に歩んできた。仕事と推し活とで本文の通り、時間がない。練習まで行い、本の速読と共に動画視聴は最大3.5倍速で聞き取れるまでとなった。なお、他の本で得た、倍速再生は脳の疲労感やキャッシュが溜まりやすい知識は一旦触れないでおく。
その弊害やデメリットを理解したくて手にとった。筆者の視点はどちらかと言うと否定派ではありながら、事象への理解を目的としながら紐解いているため多角的に納得できた。
と