稲田豊史のレビュー一覧
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2022年の「映画を早送りで観る人たち」で衝撃の出会いをして2023年「ポテトチップスと日本人」でさらに驚かされた著者についてのさかのぼり読書です。今度は2020年の「『こち亀』社会論」。今度は両さんか!とその振り幅に戸惑いますが、ある特定のジャンルの歴史から社会の変化をつけ出す、という手法は一貫しています。まさに「社会論」。特に「ポテチ」と「こち亀」については自らの世代である「団塊JR」についての分析として素晴らしいものがあると思いました。学問の世界では、例えば考古学で南極の氷や太平洋の底の堆積物を深く深くボーリングしてその長いサンプルから地球の環境変化を発見する手法があります。それと同じこ
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日本におけるポテトチップスが、どのような歴史を辿り日本人にどんな影響を与えたのか論じた画期的な一冊。
この表紙を見て完全に衝動買いをしてしまいましたが、子どもの頃から今に至るまでポテトチップスを好んで食べている私にとって、衝撃の内容でした。ほぼ同年代である著者の思い出は自分と重なることも多く、我が事のように読み進めました。
著者は、ポテトチップスが「日本社会に必要不可欠な食べ物」であるとし、「国民食」の定義「国民の食生活に必要不可欠である」と照らし合わせ、現代日本の国民食であると結論づけています。
また、なぜ日本人がこんなにもポテトチップスが好きになったのかという点について、本書では「欲望の充 -
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日本人によるポテトチップスの受容史・需要史はそのまま、日本社会が豊かになり、日本人が食に対してささやかなる欲望をむき出しにしていった過程の映し鏡でもある。
私はポテチをたくさん食べる方でも無いが、
全く嫌いではなく、ちょっとヘルシー気味に過ごしたい気持ちがあるからなんとなく避けているだけで。
この本読みながら何回のり塩を食べたかわからない。
(九州しょうゆ一択で過ごしてきた自分を殴りたい)
ポテチは欲望の充足装置であり、流通と安定供給をかなえるカルビーと戦う湖池屋の高級化戦略というブランディング対決の場であり、SNS時代の自己表現ツールである。とても面白かった! -
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1976年から2016年まで約40年間、少年
ジャンプで連載された「こち亀」。
ギャク漫画というジャンルでくくられてし
まいますが、内容はその時代時代の世相が
反映されていて、当時の流行や生活スタイ
ルを知ることができる一種の学術的な要素
も併せ持っています。
この本では、そんな要素を浮世絵と同格に
とらえています。
現代の日本は浮世絵を通して江戸時代の生
活用式を知ることができます。それと同じ
です。
今では「サブカルチャー」でとして地位が
確立されたアニメなどが、この40年間で
どのように扱われていったのか、スマホと
いう小型のコンピューターがどういう歴史
を経て我々の必需品となっ -
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離婚経験者へ離婚へ至った顛末をルポルタージュしたもの。類書に例を見ないのが、対象者が全員男性で、夫側の言い分しか載せていないことである。
離婚といえば、一般的には女性側が被害者というステレオタイプな見方が支配的だと思うが、普通に考えてみれば、男性側が被害者である場合も多々あるはずである。男尊女卑な社会であるこの国では、男性が弱音を吐くことに社会的な抑止力がはたらくせいなのか、なかなかメディアに取り上げられること自体が少ない。
本書には13例が取り上げられているが、衝撃的だったのはCase#08の、東大卒ITベンチャー企業のCEOの事例である。トライアスロン選手としても優秀な方なので、文武両 -
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この本を読んで色々と考える読者は、やはり読書というものが比較的、日常にある生活を送ってきた人が、この現状にモヤモヤを抱いているのだろうか。
本を読む、数万字の塊から要旨を自力で整理するということが、本を読めるという意味であれば、これは希少な能力になってきたようだ。
良い悪いではなく、変化であると受け入れるとしても、紙の本や書店が減るのも変化だと受け入れるべきか。
動画視聴のようにタイパもコスパも良くないかもしれない、また読み終えたすべての本が、ここでいう☆5ではないことは事実ではあるが、それを無駄だったとは思わない。(この感想自体が日常的に本に接している者の感想なのだろう)
確かに、読書の習慣 -
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・現代人が「本を読めなくなった」と感じる背景には、能力低下ではなく、メディア環境の変化があると指摘する
・スマホやSNSの普及により、短時間で効率よく情報を得る「コスパ志向」が強まり、長文読書が割に合わないと感じられるようになった
・動画・音声・要約コンテンツの台頭により、「読まずに理解する」選択肢が増え、読書の必然性が低下している
・現代人は情報量過多の中で、取捨選択のコストを嫌い、「結論だけ」「要点だけ」を求める傾向が強い
・その結果、プロセスや文脈を楽しむ読書体験が軽視され、「読む体力」が徐々に衰えていく
・SNSやニュースアプリは、感情的で即時的な反応を促す設計であり、深い思 -
Posted by ブクログ
本好きには辛い内容。
『映画を早送りで観る人たち』の続編。
タイパ志向の果てに、もともと本を読めていたのに読めなくなった人たちについて、3つの視点から読みなくなった理由を述べている。
統計データではなく、筆者の身の回りの人たちからのインタビューで成り立っているルポルタージュなので、本を読めなくなった、もともと本を読まない、本を読む、などのそれぞれの立場の生の声が記載されているのが特徴です。
この形式は前作でもそうだったんだけど、個人的にはこの生の声が結構イラッとしてしまう。
たとえば本屋が好きというと人に対して余裕があるんですね(笑)とちょっと小馬鹿にされる感じは、なかなかこたえる。偶発的な