あらすじ
なぜ映画や映像を早送り再生しながら観る人がいるのか――。なんのために? それで作品を味わったといえるのか? 著者の大きな違和感と疑問から始まった取材は、やがてそうせざるを得ない切実さがこの社会を覆っているという事実に突き当たる。一体何がそうした視聴スタイルを生んだのか? いま映像や出版コンテンツはどのように受容されているのか? あまりに巨大すぎる消費社会の実態をあぶり出す意欲作。
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Posted by ブクログ
「今どきの若者は……」と言われる行動も、当の若者にとっては、環境に応じて合理的に判断した結果である、というのが私の持論ではあるのだが、映画を早送りで観る人にはどのような(その人なりの)合理的理由があるのを知りたくて読んでみた。
結果的には、著者と同様に「映画を早送り視聴する習慣を理解はできるか共感はできない」ということに。
テクノロジーによって可能になったことを人はやってしまうということと、ある種の同調圧力が主要な理由なのかなと思う。
なお、本書に書いてあるわけではないが、今後は早送り視聴どころではなく、映画もAIを見させて要約と名場面集を吐き出させる、という見方(といえるのか?)をする人も出てくるのではないだろうか。いや、それって正にファスト映画がやっていることか。
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かつで、映画は「鑑賞」するものだった。
しかしそれが今、早送りして映画を見る人達の間では「消費」するものとなっている。
忙しすぎる彼らは、何にでもタイパを求めるようになった。
ストレスが多すぎる彼らは、娯楽に豊かさを求めるのではなく、快楽を求めるようになった。
だから、セリフのないシーンに込められた状況から読み取る意味や、
あえて作られている余韻、間、なんてものはいらない。
すべて早送りか10秒飛ばし。
そんな視聴者に合わせて世の中には、まるで漫画のように登場人物が心情をご丁寧にいちいちセリフで説明する作品が増えた。
「わかりやすい」が正義で「わかりにくい」が悪。
わかりやすく、簡潔に、タイパよく。
時代が進化して、それを良しとする世の中になったことは必然だったのだと思う。
個人的にはニュースは学習などの情報処理に倍速資料は良い(理解て着るのであれば)と思う。
けれど、映画に関して言えば「消費」ではなく「鑑賞」できる人でいたい。
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2022年初版ではあるが、最近わたしが読んだ新書の中で最も好きだった。
隙自語りだが、わたしは学生時代より媒体やジャンルを変えながら所謂オタクと呼ばれる層で30年以上生活をしており、インターネットや映像作品と共に歩んできた。仕事と推し活とで本文の通り、時間がない。練習まで行い、本の速読と共に動画視聴は最大3.5倍速で聞き取れるまでとなった。なお、他の本で得た、倍速再生は脳の疲労感やキャッシュが溜まりやすい知識は一旦触れないでおく。
その弊害やデメリットを理解したくて手にとった。筆者の視点はどちらかと言うと否定派ではありながら、事象への理解を目的としながら紐解いているため多角的に納得できた。
ところで、最近わたしが3倍速で見た、かぐや姫を題材としたアニメ映画作品が巷でヒットしている。ストーリーが浅く、わたしは非常につまらないと感じた。要所で好きなポイントはあるのに、自分でもつまらないと感じる理由がわからず、皆がハマる理由も不明なのだ。しかし本書を読んで、非常に腹落ちした。とても話が明快で、わかりやすすぎるのだ。行動理由や思考全てを言葉で発言している。だからこそ、わかりやすい=おもしろい、になるのかと。好きなものを否定されたくない気持ちは誰よりもわかるし、気付けばわたしもネガティブな感情を覚えたとき、発言をしないことの方が増えた。言語化された行動生態がわかりやすく、エンタメの取捨選択について深く考えるきっかけとなった。まずは今日、等倍でフランス映画を見てみることにした。
Posted by ブクログ
おおむね筆者の論と同意見。
自分も倍速で映画をみるのは不思議というか、そんな発想すらなかったから受け入れられるかというと疑問。けれど、時間もお金もなくて忙しい日本人、特に大学生くらいの方たちは色々と時代も環境も違うなかで生きているから、そうなってくるのも必然かも。理解は一応できたし、そういう人もいる、と知れたのは大きい。
Posted by ブクログ
最初から最後まで全て面白かった。
特に1章の実際に早送り、先に結末を知ってから見る人たちの感覚、思考を知れるのは興味が尽きなかった。
「予告を見れば二人が別れるなんて分かる。結果はどうでもよく、恋愛映画は過程が大事」
「怖くて見られないホラー作品を、ダイジェストなら見られる」
「受け手には"作品を誤読する自由"がある」
というフレーズも印象に残った。
この本を読んで思ったのは、著者は早送りで見る人たちを批判しているわけではない。
この実態を調査し、原因を突き止め、理解しようとしているということ。
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて読んだけど、今年一番くらったかもしれません。
タイトルにもある「映画を早送りで観る」だけではなく、様々な形でコンテンツの「消費」が加速していることとその要因について色々な角度から触れられています。
特に若い人達が取り沙汰されますが、そこに対して相容れないなりに理解しようとするリサーチの仕方、そしてそこから社会学のようなアプローチで要因を紐解いていくので、誰かに対して否定的な内容でもなく、とても読みやすいです。
かくいう私も「ああ、自分もコンテンツを消費しているのか」と事例に当てはまり、その要因を紐解かれて、「確かにそうかも」と納得してしまいました。
「効率性を求める資本主義」というのが一因として語られており、そこから「正解を先に求める(ほうが効率が良い)」というトレンドが取り上げられていますが、この本で問題提起された内容に対する正解はなく(少なくとも明記されていない)、「このままでいいとは思えないけど、どうしたらいいんだろう」と改めて自分に問い直しながら読むことでまたグッと味わい深くなる一冊です。
仕事においてもすごく大事な(かつかなりの人が見落としていそうな)示唆も多く、是非色々な人たちにオススメしたいと思いました。
Posted by ブクログ
「いい作品だと知ってはいるんだけどね、時間がなくて」「気になってはいるけど中々見る機会がない」と自分が何気なく口にしてきた言葉の背景を考察できる本。自分の変化だけでなく、世間の変化。
見慣れてしまった「授業動画の倍速視聴」「YouTubeの切り抜き」「サビから始まる曲」も、まだ抵抗のある「話ごとスキップ」「先にネタバレを見る」も、同じ理論に基づいて語れるものであった。
「オタク」のパブリックイメージの変化についても触れられていて、私の抱いている現在の「推し活」市場への違和感へのヒントにもなろう。
私は"良識的な旧式派"でありたいと思いつつも同時にZ世代として時代の波に乗っていたのだった。過渡期の人間であるということだろうか。
拡大して考えたいこと:長時間映画『国宝』のヒット、ゲーム実況の学術的考察、Abema恋愛リアリティショーで課金促進のため一般会員は公開後時間が経つと途中の話から見られなくなっていく仕組み
Posted by ブクログ
単に批判だけでなく、現在の社会的背景と絡めて説明されていて、納得しながら読み進めた。
鑑賞でなく消費。消費というより、情報収集か。
確かに、ニュースやドキュメンタリーは自分も倍速で見る事もあるから、一概に早送りが悪いことでもない。
映画を見る時も、事前に評価の良し悪しを調べて作品を選ぶ事も多いので、失敗をしたくないというのは若者特有のことではないだろう。
この本を読んで、映画を観るときに間やちょっとした仕草なども意識するようになったので、自分は早送りで観ることは無さそうだ。
Posted by ブクログ
最近、映像の倍速視聴をよく耳にする。
私自身倍速視聴や飛ばし視聴はした事がないけれど、「あらゆるメディアやサービスがユーザーの可処分時間を奪い合っている」昨今、SNSを始めとして、私達は常に情報の洪水の中にいる。そして、それを取捨選択できる環境にある。
より多くの情報を短時間で得る事になれると、こうした視聴方法にためらいが無くなるのは必然な気もする。
しかし情報をゆっくり時間をかけて得る事や、作り手の間や行間を読む事こそ、知識を得る事の醍醐味のような気もしてならない。
評論家が支持されなくなり、共感が世の利権を得るのが現代。しかしこの流れが強くなり、いつしか倍速、飛ばしが当たり前となっていく世の中は、少し物悲しいような気もする。
Posted by ブクログ
私自身はファスト映画や倍速視聴、話飛ばしなどはしない(というかできない)けど、完璧に見たいと思うあまり、積み録画がヤバいことになっていて、倍速で見れるなら見たい気持ちもある。
個人的に、動画というのは活字に比べて非常にタイパの悪いコンテンツだと思っていて、自分の場合は同じ情報量だと活字の方が圧倒的に早いので、例えばドラマ化で存在を知った作品でも、ドラマを見ずに原作を読んだりする。
一方で、「感情を動かされたくない」というのも非常に共感できる思考で、本書に出てくる若者ほどではないけど、感情の浮き沈みは疲れるので、躊躇してしまうことも増えた。
それは私が年を取って、それに耐える体力・精神力がなくなったからだと思っていたが、総じて20年前と比べて現代人が疲れているからだったのか。
確かに、日々摂取する情報量は圧倒的に増えた。
けど、感情を動かされないコンテンツ、スマホで手軽に読める無料のスカット系の漫画などを読んでも、全然心に残らないと実感しているので、ちゃんとしたエンタメに触れないとだめだなー、とは日々感じている。
Posted by ブクログ
手っ取り早く、何かものにしたい、エキスパートになりたい若者が増えている。
その理由として、とにかく時間と金銭と精神的に余裕がないことが挙げられる。
映画を早送りで観る人たち。
ハズレをつかみたくない、タイパ重視の若者が増えたことによる。
一つの映画に2時間もかけてしまった、という発言が印象的である。
そもそも若者は忙しすぎる。学校、バイト、SNSでの交流。動画コンテンツも増加するなかで、無駄なことをしている余裕がない若者が増えている。観るべきリストをください、という意見もある。
なぜ、映画を早送りで観るのかという、時代の背景を教えてくれる本。
Posted by ブクログ
現代社会のパンドラの箱を開ける!
なぜ映画や映像を早送り再生しながら観る人がいるのか――。なんのために? それで作品を味わったといえるのか? 著者の大きな違和感と疑問から始まった取材は、やがてそうせざるを 得ない切実さがこの社会を覆っているという事実に突き当たる。一体何がそうした視聴スタイルを生んだのか? いま映像や出版コンテンツはどのように受容されているのか? あまりに巨 大すぎる消費社会の実態をあぶり出す意欲作。
「光文社」内容紹介より
なるほどなー納得できる内容.
自分は映画は早送りでは見ないけど、一部の動画は早送りすることがある.またはざっと文字で読んで、目的のところまで飛ばすこともある..
「情報をとりに行く」という意識の時にやっている.
若者へのインタビューで映画を早送りする理由を語っていたけれど、そういう理由なのか、大変だな、というのが感想.
自分の場合にはまぁない理由なので、理解した、という感じ.
ただ、こういう人が増えることで、制作側が影響を受けるということも事実なので、残念なことだなと思う.
Posted by ブクログ
同著者の「本を読めなくなった人たち」を読むにあたって既読の本であるが再読。
①映像作品の供給過多。(映画、ドラマ、アニメ、動画コンテンツなど)
②SNSでの常時接続。
③映像で読ませる作品でなく、セリフで説明する作品が増えたこと。
により倍速やスキップ機能を用いて、映像作品を鑑賞する習慣が昨今根付いている。これは若者世代が顕著であるが、全世代に見られる習慣である。
背景として、
①作品の供給過多に対し、サブスクが普及したことで作品のコストが極めて安くなり、気に入らない作品の損切りが容易となったこと。
②常にSNSで友人らと繋がっていることで、膨大な話題作をこなしていかないと話題についていけない事。
③作品の説明過多に加え、無料で読めるネタバレ・感想が増え、倍速で見ても内容が理解しやすくなった。
ことが挙げられる。
これまでの時代の流れとして、
舞台が映画、映画がテレビ、テレビがスマホ(サブスク)となり、視聴方法は簡略され続けてきた。昨今「映画館の大画面・音響で映画を見ないとその映画を真に見たことにならない」という意見は説得力はあるものの多数派の同意は得られないだろう。
倍速視聴はそれに繋がる流れであり、当然起こるであろう変化に過ぎないというもの。
納得はできないが理解はできる。しかし私自身も(この本の論点と違うものの)最近つまらないJホラーを見る時はスキップをしてしまう。ファンとして義務で見ているが、つまらないものは本当につまらないのだ。もしかすると今回は大丈夫かもしれないという淡い期待を胸についつい見てしまうのだ。
これは情報の摂取だな。。
Posted by ブクログ
読みやすい文章で明快な論旨が語られる。「倍速視聴」する人へネガティブな意見をぶつけて転向させるためではなく、「いまなぜ倍速視聴が広く行われているのか」を丁寧に解説している。
確かに、「つまらない」「わからない」とゼロコストで批判する声も大きいが、わたしはどちらかというと、誰かが良いと感じているものに対して「つまらなかった」「わたしには合わなかった」「ここが気に入らない」とネガティブ評価をすることへの抵抗感の方を日々強く感じている。そこまでではなくても、「面白かった」「良かった」と言う方が楽、というマインドもあるなとは思った。
Posted by ブクログ
正直これが主流とは思わない、思いたくないけど(アンケートやインタビューの相手もそちら側にフォーカスしてる気はするし、著者が反対の立場に立っているのも明らかなのでいずれにせよ偏りのある文章ではある)、でも筋の通った意見なのかもしれない、とおもった
自分の想定外のことが起きてほしくない、娯楽のために見てるから疲れたり辛い思いになりたくない、こんなにもたくさんの映画やら”コンテンツ”があるなかで間違いたくない、正解を選びたい、とか…
新卒とかこれまで学生だった、みたいな人と関わる機会が多く、間違えたくない!の気持ちはたしかに強そうだなあと思うことがある、でもそれはエンタメにも通じる気持ちなのかしら…
最後まで見ないと面白さとかわからなくない??と思うタイプだから映画もドラマも飛ばさないし早送りにもしないのでえーーー!て思うインタビューも多々
でも、ポッドキャストとかYouTubeのvlogとかは早送りでみたりきいたりするので、私にもその節はある、が情報収集と思ってるから自分的には筋を通しているつもり…
と、自分のエンタメ体験も顧みることができて面白かった、近しい価値観の人と喋ることが多いので、より世間を知れた気がします、きっと
Posted by ブクログ
つまらない映画を見てがっかりしたくないのはすごく分かるが、早送りするよりは20分くらいを限度に諦める。
面白いものがあったらなるべく長く味わいたいので倍速はもったいないと思ってしまう。
SNSとサブスクを掛け算したらこういう結果になるのはある種当然だとは思う。
Posted by ブクログ
現代の若者を象徴した行動を多方面で分析している本
過去と現在のカルチャーの違いや飽和状態になっている娯楽、エンタメのアクセス容易性から早送りで見る人が必然的に発生していることがわかって面白かった。
Z世代は〜とか言ってるおっさんがいかに的外れなことを言っているのかわかる本だった。
Posted by ブクログ
内容に関しては表題どおりだ。
溢れるくらいのコンテンツをいつでも、どこでも安価で見れるようになった世の中。
でも、見れる時間は限られている。
人間関係を円滑にするためにある程度の話題についていかないといけないけど、分からないものや残酷なシーンは見たくない。
加えて過程より結果を求められる。
そんな流れに生きている若者達には早送りや飛ばし見は必然になってしまうのは自然の流れではないだろうか。
鑑賞というより消費、まさにその通りなのかもしれない。
しかし、結果が分からないと見たくない人が増えてるいう意見にはちょっと疑問だ。
長期間見られているコンテンツ、例えばアニメならあんぱんまんとかサザエさんとかドラえもんなどや
時代劇なんかもそうだ。
水戸黄門、暴れ坊将軍、銭形平次などや大河ドラマなんかもある程度パターン化されてたり、結末が分かっている。
これらを見る多くは視聴率が稼げる女性だったり、子ども向けに作られてるコンテンツであり、今だからそうなってるって訳じゃなく昔からじゃないだろうか。
人は安定を求める生き物だから、冒険より人気があって安心してみれるのを求めてしまうのでは?
また、幼稚化しているといわれてるが、その背景は男性の女性化やAIの発達によって自身で考えるたり、やることをやめたことも影響しているように思う。
ある意味究極のタイパでたぶん、人っての元来、面倒臭がりな気がする(笑)
筆者はこの状況を疑問視しながら書いてるが、この分かりやすいタイトルを選んでる時点で既にタイパの思考に取り込まれてるかもしれない。
Posted by ブクログ
国宝を見た時に、この話をしっかりと理解して評価できる人が日本にそんなにはいないと感じ、なぜここまで流行っているか分からない。
と言った感想を持った自分の感覚は、正しかったのかもしれない。ほとんどの人は話題についていくために、情報として処理しているのだと思う。
国宝に散りばめられた心情を理解しているわけではなく、立場が入れ替わりや、横浜流星と錦戸亮がかっこいいと言ったところに惹かれてだけの人も多いのだ。
3時間という時間はオープンワールドとしての映画を作るのに必要だったのかもしれない。
自分も監督に目を向けて体系的に映画を見てみようと想った。
Posted by ブクログ
「手っ取り早くオタクになりたい」若者たち
↑身に覚えがありすぎて攻撃力が高い
ベースは理路整然、そこに時々ユーモアも挟まれていて、とても読みやすく興味深かった。ことあるごとに鬼滅の刃(特にアニメ)が槍玉に上がっていてさすがに笑ったけど。
個人的に、YouTubeを倍速で見ることはあっても映画やドラマは作者(原作や監督や演者)に敬意をこめて集中した状態で観ようと思うことが多いから、倍速当たり前側の意見には度肝を抜かれた。が、新しい作品に触れるのは疲れる、お気に入りの作品をつけ流す、といった意見には心当たりがあって、ひやっとした。この時代を生きている誰もが、無自覚のうちに鑑賞者ではなく消費者になり得る可能性を秘めている……
倍速視聴の背景には、①映像作品の供給過多、②多忙によるタイパ・コスパ至上主義、③わかりやすい作品の増加が根底にある。そして、これらの原因をたどると、同世代の言動がSNS上で相互に監視される状況の中で増大し続ける「個性的であれ」という強迫観念や、ファンではない「消費者」の声が届きやすくなったことによる視聴者のわがまま化と作品の説明過多などが浮き上がってくる。結局、インターネットの功罪と、かつてのようにお金や時間に余裕がある若者が減った(経済的な問題も踏まえて)という現状に収束してしまうのが少し惜しい。まあ解決策を提示できたら問題にすらなっていないだろうけど。
今もオタク(知識人)に憧れているし、触れる作品の数を増やせば知識の引き出しが増えてもっと自信を持って好きな作品や自分の抱える問題意識について語れると思っている。ただ、私ってちゃんと作品を愛せていたんだ!とも思えた。鑑賞の効率の悪さを負い目に感じていたけど、コンテンツ消費ではなく1作品ずつ向き合えていたと気づけたことは逆に自信につながったと思う。その意味で読んでよかった。
以下、興味深かった箇所
・「おもしろい」と声をあげるには勇気が必要。あらゆる人が傑作と認める勝ち馬にしかおもしろいと言えない空気がある p98
・オタクへの憧れと萎縮による「推し」という言い回しの誕生 p149
・未体験に価値を求めるミレニアル世代と、追体験に価値を求めるZ世代(=想定外はストレス) p166
・ストレスを感じるシーンがあるライトノベルは離脱される p187
・ラノベには「現在」しかない p219
・登場人物に共感できるか否かで作品を評価する傾向は、自分と異なる視点や背景を持つ人物への理解を妨げるのではないか? p206-
・評論とは書き手が自らの思想や視点(の独自性や新規性)を披露する表現行為 p226
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Youtubeを見すぎてしまう、気づいたら時間が溶けているといった経験がある現代人には気づきを得られる本です。
こういった経験がある人はまずいと思いつつそこまで深堀したことがないのではと思いますが、そこをじっくり深堀できます。中でも、映画が鑑賞物→コンテンツとなってきており、自身にとって今はそのどちらかを意図して”選択”する世の中になっているのがしっくり来ました。気づけば時間を溶かしているコンテンツとして消費する行為は私たちは本当に意図して選択した行為か。私はそこに気づきを得ました。
Posted by ブクログ
第1章 早送りする人たち- 鑑賞から消費へ
第2章 セリフで全部説明してほしい人たち
第3章 失敗したくない人たち
第4章 好きなものを貶されたくない人たち-快適主義という怪物
第5章 無関心なお客様たち
最初は、「けしからん!映画を1.5倍速で観る若者が(少なからず)いるなんて!監督に失礼だろ!」と怪現象のごとく驚いていた著者が、突っ込んで調査しているうちに、
z世代を把握したくなったんだな、きっと。
主な特徴を列挙してあって(第3章)
1 SNSを使いこなす
2 お金を贅沢に使うことには消極的
3 モノ消費よりコト消費
4 学校や会社との関係より、友人など個人間のつながりを大切にする
5 企業が仕込んだトレンドやブランドより、自分が好きだから/ 仲間が支持しているから を優先する
6 安定志向、現状維持志向で、出世欲や上昇志向があまりない
7 社会貢献志向がある
8 多様性を認め、個性を尊重しあう
と並べています。
自分、不器用なGG世代なんですが(笑)、
上記z世代の特徴は半分自分にも当てはまっています。
z世代は間違いなく突然変異で彗星のごとく一夜で大量発生したわけではなくて、自分たちGG世代(今日思いついた造語です)から地続きなんだよな、と思って興味深く読みました。
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映画を、作品として鑑賞するか、コンテンツとして消費するか。映画にもよるし、観る人にもよるし。どっちもありとは思うけど、良質な作品が今後も作られるといいな。
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膨大に提供される映像作品は鑑賞するものから消費されるコンテンツへと変化し、タイパ重視の文化の中で効率的に消費されていく。その結果、風景描写や「間」は飛ばされ、説明的なセリフと分かりやすさへの要求が増していく。SNSに常時接続している現代人は同調圧力からコンテンツを消費する必要に迫られ、失敗回避のためにネタバレ消費も既に一般化している。
すごい時代だと驚きながら、自分もAudibleの倍速再生で聴いている(苦笑。
Posted by ブクログ
クロス・マーケティング「動画の倍速市長に関する調査」(2021年)では、
倍速で動画を見る人の年代別(20代>)・性別(男性>女性)の割合や、倍速で見たいと思うコンテンツ(1位ドラマ、2位ニュース、…)などの結果がある。全体として倍速視聴傾向が強い、という感じではない(よく倍速で視聴13%)ものの、
若者に絞るとまあまあ多めということで、主に若者がどのように動画を視聴しているかを探り、論じられています。
すでにこの調査からも5年たち、倍速やスキップ視聴はもっと普通になっているかと思い、時代はどんどん進んでいるのだなーと思いながら読みました。
Posted by ブクログ
自分も早送りするなぁ、ということで。
早送り派は作品を鑑賞するのではなく消費するだけ。ただ、昨今は早送り派が増えており、サブスクの定額見放題においてはそれが主流。それを制作側も意識するようにもなってきた。
技術の進化が映像の視聴について、時間的制約の解放としてDVDなどが出現したのに続き、早送りが新たに出現した。
Posted by ブクログ
タイパを求める若者を嘲り貶めることでオジサンたちが気持ちよくなる、というモノではなく、現在のコンテンツ消費の実像を見つめるという本だと思いました。が、快適主義と他者性の欠如の章では、物申したさが抑えられてない感じも。
早送りしてまで得ようとしているモノが何なのか、
そうせざるを得なくしている世相と、そのムードを生み出している背景的理由(経済的理由、テクノロジー、教育など)について論じています。
平易な文体という事もあり、あるあるトークで終始するのかと思いましたが、色々な視点・観点を取り上げて整理してくれていると感じました。
一方で、同じ人の弁が多く取り上げられていたり、こう言ってる人がいるという程度の根拠の弱い推論もあるため、その見方を全体に敷衍して良いのかな? 主語が大きすぎないかな? ほんとにそれが主因かな? と思われる部分も(割と多分に)あります。
とはいえ、概ね「そんな感じはするよね、妥当っぽいよね」と感じました。その辺は学者さんじゃないので致し方なしでしょうか。
Posted by ブクログ
三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』やレジー『ファスト教養』の源流とも言える、現代コンテンツ消費論の先駆的一冊。2022年の刊行ながら、現在蔓延する「タイパ至上主義」の構造をいち早く言語化した功績。
特筆すべきは、学生や社会人への綿密なインタビューを通じ、実態を「足で稼いだ」フィールドワークの姿勢。倍速視聴の根底にあるのは、単なる忙しさや効率化の追求だけではない。サブスク普及に伴う「見なきゃもったいない」という貧乏性と、「共通の話題に乗り遅れたくない」という同調圧力。この生の声が持つ圧倒的な説得力。
膨大な作品群を前に、私たちはいつの間にかコンテンツを「味わう」のではなく「処理」するようになっている。鑑賞が情報収集へと変容した現代のいびつな構造への鋭い指摘。
私たちは何を焦り、何に追われているのか。自らの文化との向き合い方を根本から問い直す、必読のルポタージュ。