【感想・ネタバレ】映画を早送りで観る人たち~ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形~のレビュー

あらすじ

なぜ映画や映像を早送り再生しながら観る人がいるのか――。なんのために? それで作品を味わったといえるのか? 著者の大きな違和感と疑問から始まった取材は、やがてそうせざるを得ない切実さがこの社会を覆っているという事実に突き当たる。一体何がそうした視聴スタイルを生んだのか? いま映像や出版コンテンツはどのように受容されているのか? あまりに巨大すぎる消費社会の実態をあぶり出す意欲作。

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Posted by ブクログ

タイトルに惹かれて読んだけど、今年一番くらったかもしれません。
タイトルにもある「映画を早送りで観る」だけではなく、様々な形でコンテンツの「消費」が加速していることとその要因について色々な角度から触れられています。
特に若い人達が取り沙汰されますが、そこに対して相容れないなりに理解しようとするリサーチの仕方、そしてそこから社会学のようなアプローチで要因を紐解いていくので、誰かに対して否定的な内容でもなく、とても読みやすいです。
かくいう私も「ああ、自分もコンテンツを消費しているのか」と事例に当てはまり、その要因を紐解かれて、「確かにそうかも」と納得してしまいました。

「効率性を求める資本主義」というのが一因として語られており、そこから「正解を先に求める(ほうが効率が良い)」というトレンドが取り上げられていますが、この本で問題提起された内容に対する正解はなく(少なくとも明記されていない)、「このままでいいとは思えないけど、どうしたらいいんだろう」と改めて自分に問い直しながら読むことでまたグッと味わい深くなる一冊です。

仕事においてもすごく大事な(かつかなりの人が見落としていそうな)示唆も多く、是非色々な人たちにオススメしたいと思いました。

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ


 この本を読んで、なぜ映画を早送りで見てしまうのかをZ世代の自分なりに、この本に書いてあったことも含めてまとめてみた。

 著者は最終的に「映画を早送りするのも当たり前の時代が来るかもね」と肯定的な捉え方をしていた。
 しかし、『働いているとなぜ本を読めなくなるのか?(三宅香帆)』を読んだ自分の感想としては、
面白くない映画に3時間費やするリスクを許容する余裕と、見てしまった後悔を許容できる余裕がある世の中の方が健全だと思う。


1.後悔したくない
口コミサイトを見て買えば失敗が避けられる時代、Googleの星を確認しておけばマズイ店に入らないでいい時代。
たくさんの選択肢があり、かつ失敗を防ぐ策がある中でわざわざ選んで失敗する。すると((もっと調べておけば良かった))と後悔が大きい。


2.なぜそんなにも後悔したくないか?「意味ある体験」への執着心((充実しなければ!))という焦り

①SNSで人の生活が常にチェックできるようになった
→周りが充実した時間を過ごしている中で自分は面白くない映画に3時間費やしたと思うと、なんだかものすごく損をした気分になる。
②コントロールできるもの(お金・時間)が少ない時代
不況不況。少子高齢化で自分の年金はもらえるか分からない。税金はバカほど高い上に奨学金の返済。残業は多い。せめて休みくらいは自分の好きなように充実した時間にしたい
③それって意味あるの?への回答を常に求められる
会社は今の時代、限られた人件費の中で欲しい人材を選別する。そこで就職活動では学生時代に力を入れてきた活動"ガクチカ"をPRすることが求められる。ガクチカでは、自分がどれだけの貢献をしたか、を客観的に"数字で"説明することが求められる。
私たちを選別する団塊世代の人間が、バブルの時代に"数字や貢献度"をもって会社に合格したとは思えない。しかしそんなことを言っても雇い先は見つからないので、"意味"を必死に求めなければいけない。
そうすると、その行動にどんな価値があるのか?を無意識のうちに考えてしまう癖がつく。(評論本が書籍の売り上げに貢献するのか?はたまた評論本を読むと人生にどんなプラス効果があるのか?あったとしてそのインパクトはどれほどのものか?
評論本に限らず、効果が不明なものはなんとなく"損"な気がして、リスキーだし、切り捨ててしまうも知れない。


 この本を手に取った時に持っていた疑問が、この本を読んですっきりした。つぎは、どうしたら意味を求めないようにできるか?を掘り下げた本を探してみたい。


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2025年10月13日

Posted by ブクログ

私自身は早送りする/しないを作品により使い分けする派です。するのは主に民放のドラマ(の軽めに見てるやつ)。映画も含めて観たいものが多すぎます!

本書は、決して早送りに対しての非難を主張しているわけではなく(もちろん問題意識はありつつ)、その背景や実情を丁寧に調べたり聞き取ったりして考察し、さまざまに論点を可視化してくれているメディア論、文化論です。

「倍速視聴が現代社会の何を表していて、創作行為のどんな本質を浮き彫りにするのかを、突き詰めて考えることにした」(p.296)。

結果、私も時代の必然なのね、、と理解に近づきました。インターネットの功罪により表出した現象の一つなのでしょうね。
世の中が忙しくなるに伴って、共感強制、わかりやすさ、コスパ・タイパ、など、エネルギーの振り分け方がずいぶんと変わってきた気がします。
ジャンルを深掘りし、体系的に知ることは元来、根気のいることで、私には到底できるものではないけれど、本当に好きな観たいものを絞ってじっくり観ようかなという気持ちになりました。
リミットのあるものを先に観て、本当に観たい映画や、読みたい本はどんどん後回しにするクセがあるので。。

『さらばのこの本ダレが書いとんねん!』で著者が喋っててめっちゃ面白かったのも追記しておきます。YouTubeで番組?の公式配信もあると思います〜。

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2025年09月02日

Posted by ブクログ

映画を倍速で見るなんて信じらない、、と批判的な考えをもって読み始めた本書。

ところが批判的な考えと対立する現代の若者(主にz世代)の意見から考察されるそのようにせざるを得ない理由が、なんとも考えさせられる内容だった。

周囲の環境や時代背景(主にSNSの普及)が昔とは大きく異なること。若者には、彼らの教育背景に根差したオンリーワン(個性的)になりたい欲求があること。あるいはファスト映画に類似するような現象は実は昔からあったが、最近になって表面化しているだけではないかということなど。

新しいものに対しては必ず批判的な声はあがるが、一度立ち止まってその背景や根拠を考察するのは非常に意義のあることであると実感した。

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2025年06月29日

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現代はコンテンツの量が膨大なため、映画などの娯楽は本来楽しむもののはずなのに
なるべく時間をかけずに消費されてしまう傾向にある。話題についていくためや、自分が”様々な作品を知っている”というステータスさえ手に入れば良いという、目的が手段化してしまっている風潮に本書は警鐘を鳴らしています。 情報自体が目的のコンテンツなどは早送りしてもいいが、映画などの作品は早送りすることによって本来の作品としての良さを著しく損なってしまう。それでは本当に楽しんだとは言えない。楽しいものならできるだけ時間をかけてじっくり楽しみたいはずだし役に立つことだけが大事なことじゃない。無駄と言えるものにこそ価値があってそこから情緒が生まれる。感動が生まれると思います。

自分もソーシャルネイティブなので、現代人がコスパ タイパ重視してしまう気持ちはすごく理解できますが、それでも作品を早送りしてしまうことには反対の立場を取りたいです。(近い未来そういう考えは老害として笑われるかもしれないケド、、)
効率ばかりを重視してしまいそうになったらこの本を思い出して、時にはゆっくり時間をかけながら純粋にものごと(作品)を楽しむのもいいかと思います。

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2025年05月30日

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映画好きな方には是非読んでもらいたい!多角的な考察から、様々な事象が絡み合って映画を早送りで観る人たちが増えたんだと理解することが出来る。自分も映画を早送りで観ることには否定的。これを読んで、より映画館で映画を観ることの大切さを実感した!映画をより好きになった

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2025年05月20日

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僕はめちゃくちゃ倍速でネトフリを見てるのでタイトルに惹かれて読みました。
なぜそうなっちゃってるのかをいろんな角度から紐解いていて面白かった。消費者目線、クリエイター目線での考え等も書かれていて納得感のある内容。
感想としては、倍速視聴をする人でも自分とは違う理由や考えの人がいて、今の世の中を憂いたくもなったけれど、それでも今の楽で便利な世の中に生まれて良かったと思った。
決して倍速で見る人を非難するような内容だけでなく、終盤ではそれらの人に寄り添ったり、そんな今だからこその提案もあったりして、読んでいて不快になることは全く無かった。

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2025年05月06日

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私はZ世代の若者ですが、映画を早送りして観たことはありませんし、長い映画が好きです。この本を手に取り初めて、映画を早送りする人がいることを知りました。
友人に聞いたら、著書で書かれているように、映画やアニメで「退屈なシーン」は飛ばして観ると言っていました。著書では、そのような人の考えがわかりやすく書かれています。他にも、社会的背景や視聴者の変化により映像産業がどのように変化してきたかが解説されています。
作品を味わうのではなく、情報として処理する人が増えてきたということがよくわかりました。また、作品に感情移入したくないから飛ばす。という点は、感情移入しながら観る私にとっては驚くべき意見でした。

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2025年04月25日

Posted by ブクログ

国宝を見た時に、この話をしっかりと理解して評価できる人が日本にそんなにはいないと感じ、なぜここまで流行っているか分からない。
と言った感想を持った自分の感覚は、正しかったのかもしれない。ほとんどの人は話題についていくために、情報として処理しているのだと思う。
国宝に散りばめられた心情を理解しているわけではなく、立場が入れ替わりや、横浜流星と錦戸亮がかっこいいと言ったところに惹かれてだけの人も多いのだ。
3時間という時間はオープンワールドとしての映画を作るのに必要だったのかもしれない。

自分も監督に目を向けて体系的に映画を見てみようと想った。

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2025年12月02日

Posted by ブクログ

「手っ取り早くオタクになりたい」若者たち
↑身に覚えがありすぎて攻撃力が高い

ベースは理路整然、そこに時々ユーモアも挟まれていて、とても読みやすく興味深かった。ことあるごとに鬼滅の刃(特にアニメ)が槍玉に上がっていてさすがに笑ったけど。
個人的に、YouTubeを倍速で見ることはあっても映画やドラマは作者(原作や監督や演者)に敬意をこめて集中した状態で観ようと思うことが多いから、倍速当たり前側の意見には度肝を抜かれた。が、新しい作品に触れるのは疲れる、お気に入りの作品をつけ流す、といった意見には心当たりがあって、ひやっとした。この時代を生きている誰もが、無自覚のうちに鑑賞者ではなく消費者になり得る可能性を秘めている……

倍速視聴の背景には、①映像作品の供給過多、②多忙によるタイパ・コスパ至上主義、③わかりやすい作品の増加が根底にある。そして、これらの原因をたどると、同世代の言動がSNS上で相互に監視される状況の中で増大し続ける「個性的であれ」という強迫観念や、ファンではない「消費者」の声が届きやすくなったことによる視聴者のわがまま化と作品の説明過多などが浮き上がってくる。結局、インターネットの功罪と、かつてのようにお金や時間に余裕がある若者が減った(経済的な問題も踏まえて)という現状に収束してしまうのが少し惜しい。まあ解決策を提示できたら問題にすらなっていないだろうけど。

今もオタク(知識人)に憧れているし、触れる作品の数を増やせば知識の引き出しが増えてもっと自信を持って好きな作品や自分の抱える問題意識について語れると思っている。ただ、私ってちゃんと作品を愛せていたんだ!とも思えた。鑑賞の効率の悪さを負い目に感じていたけど、コンテンツ消費ではなく1作品ずつ向き合えていたと気づけたことは逆に自信につながったと思う。その意味で読んでよかった。

以下、興味深かった箇所
・「おもしろい」と声をあげるには勇気が必要。あらゆる人が傑作と認める勝ち馬にしかおもしろいと言えない空気がある p98
・オタクへの憧れと萎縮による「推し」という言い回しの誕生 p149
・未体験に価値を求めるミレニアル世代と、追体験に価値を求めるZ世代(=想定外はストレス) p166
・ストレスを感じるシーンがあるライトノベルは離脱される p187
・ラノベには「現在」しかない p219
・登場人物に共感できるか否かで作品を評価する傾向は、自分と異なる視点や背景を持つ人物への理解を妨げるのではないか? p206-
・評論とは書き手が自らの思想や視点(の独自性や新規性)を披露する表現行為 p226

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2025年11月20日

Posted by ブクログ

Youtubeを見すぎてしまう、気づいたら時間が溶けているといった経験がある現代人には気づきを得られる本です。
こういった経験がある人はまずいと思いつつそこまで深堀したことがないのではと思いますが、そこをじっくり深堀できます。中でも、映画が鑑賞物→コンテンツとなってきており、自身にとって今はそのどちらかを意図して”選択”する世の中になっているのがしっくり来ました。気づけば時間を溶かしているコンテンツとして消費する行為は私たちは本当に意図して選択した行為か。私はそこに気づきを得ました。

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2025年11月13日

Posted by ブクログ

極論もところどころに含まれていたが、興味深く最後まで読む事ができた。私はTVドラマを見るのが好きだっが、この本を読んでから心理描写をセリフで説明していること、間が意味するものなどを考えるようになった。

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2025年10月26日

Posted by ブクログ

著者は「早送りで観る人たち」のことを理解できない立場であるが、しかし理解しようと努めている足跡を示したものでよかった。さらに直近ではどう感じるんだろうか。

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2025年09月23日

Posted by ブクログ

とても興味深く読めました。面白かった。

まず映画やドラマ、アニメなどの映像を倍速視聴する人達が一定数いる事に驚いた。今の世の中そんな状況になっていたのか。知らなかった。
私は映像観るのが苦手。情報が多すぎるから。すぐ疲れちゃう。なので倍速視聴に対応できる人凄いなって思いました。

わかりやすいものが喜ばれるっていうのは、確かにそうかも。鬼滅の刃の第一話とか具体例出してくれているので分かりやすい。確かにって思えました。
教祖ビジネスって言葉は初めて聞いたけど、確かにこういう人いるなw

快適主義の所は自分も当てはまる部分あります。スマホゲームのストーリーをスキップしちゃってる!いつ頃からスキップし始めたろ?コロナ禍の頃にはもうスキップしていたかも。

読み終えて正直昭和生まれでよかったと、心の底から思いました。今若かったら自分絶対適応できない。LINEやSNSで常時接続状態っていうのがキツいなあ。人付き合いが苦手だから疲れちゃう…。

本はいい。情報が文字だけだし。のんびり大好きな本読んでいるのが、自分には合っている事を再確認しました。

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2025年09月22日

Posted by ブクログ

倍速視聴や過度な説明セリフが広がっている要因はいくつかあって、一つ目は視聴者の変なプライドが邪魔をしており、作品を理解できていない自分というのを認めたくないから、過度な説明を求める。そしてコンテンツが溢れかえった今日、話についていくために試聴したという実績が必要であるという観念に囚われている状況。
日本全体で湧き上がる作品が今後生まれる可能性は限りなく低いのかな。あるとしたら、深くまで味わなくても楽しめる、かつテーマや演技を重くして、どちらの層にも刺さるような作品でないといけないのか。なんとも難易度が高そうな、、
時代のせいにはしたくないけど、明らかにこれらの現象の一因にはなっているのは間違いない。もっと豊かな時代にさまざまな作品に触れてみたかったな。

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2025年08月30日

Posted by ブクログ

タイパという言葉が流行っているように、内容を楽しみたいのではなく結果を知りたいから映画を見るように変化しているとのこと、時代が。

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2025年08月16日

Posted by ブクログ

私すでに「早送りで観る人」だわ…スローライフを発信するYouTubeチャンネルを2倍速にしたり、ホラー映画の一番恐いシーンを何十秒分もスキップしたりと、めちゃ矛盾した使い方をしている…。

本書で取材を受けた若者たちも、当たり前のように倍速視聴していた。(中には60代の方も…!) 私も倍速ユーザー(?)だから、利用率の高さについては別に驚かなかった。
時間もお金もない。その割に、見たい動画(あるいは周囲からゴリ押しされた見ておくべき動画)が山のように溜まっているし、これからも溜まっていく…。
何だか頷ける状況だし、もはや「良い」「悪い」を飛び越えて、開き直りそうである。

1974年生まれの著者は、「倍速懐疑派」だ。
かつてDVD業界誌の編集部にいらっしゃった頃、大量のVHSサンプルを視聴しなければならなかったという。その際著者自身も、会話のないシーンや風景描写を中心にスキップしていた。だがそれはあくまで、仕事で、必要に迫られてのこと。
取材が進むにつれ、若者たちの言葉に著者は、何度も耳を疑うことになる…。

「『こんなに時間をかけて視聴しちゃった』と後悔する方が嫌だ」「面白くない部分は動画編集における”カット”の感覚で飛ばしている」「作品選びで失敗したくないから、各話のストーリーを読んだり、まとめサイトを参考にする」
ここまで倍速視聴の意義を突き詰められると、さすがの私も後ずさりしてしまう。最後のやつとか、「ネタバレは悪」という概念が崩されていないか?

「彼らにとっての個性は、特徴というよりマストスキルであり前提条件。なければお話にならない基本能力のようなもの」(P 134)

コスパ・タイパだけでなく、「オタクに近づきたい願望」も起因している…という見解が、今回一番新鮮だったかもしれない。
ここでいう「オタク」とは主に漫画やアニメオタクのことを指すが、2000年代(ズバリ私の青春時代)のオタクなんて、まだまだ陰キャの部類だった。それがいつから多くの若者に信奉されるようになり、オタクに少しでも近づけるよう倍速再生の道へと駆り立てていったのか…。
その変遷が興味深かったのと、オタクを貴重な個性の一つとみなしている点に、時代というものを突きつけられた気がした。

「彼らは不気味な宇宙人ではなかった。単に、筆者と生まれた時代が違っただけだ」(P 178)

「早送りで観る人たち」はストレスフリーでいるために、他にも注文をよこしている。
波乱万丈抜きの明快な脚本。失敗をしない主人公。(ここまで来ると「勧善懲悪が常のインド映画か!?」と思わずツッコミたくなる)
若年層向けの音楽なんて、(飽きさせないために)いきなりサビから入る構成の曲が増えたというじゃないか。

「今の若者と生まれた時代が違う」というのは一理ある。
ただ、自ら分かろうとする訓練や、分からないものに一回齧り付いてみる経験って、人間ある程度必要ではないだろうか。どれだけ頭をひねっても分からなければ、一旦そこを離れて別の作品で研鑽を積んでいけば良いわけだし。
「時間もお金もない」と、そんな軽い寄り道も許されないのか?

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2025年07月29日

Posted by ブクログ

映画を早送りで見ること自体は、自分にはない感覚だし、共感と言うよりは、そうかー、と思う程度。それよりも、それに至る今の環境の分析の方が腹落ち感が強かった。映画のみならず、今の全てのマーケティングにおける前提になるなと、痛感。

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2025年07月15日

Posted by ブクログ

ファスト映画する価値観はたぶん一生わからないけど、なんでするのかはちょっとわかった気がする。
教室という閉鎖的空間にスマホがあるって本当にしんどいとおもう。
話題についていけないと仲間の輪からもおいていかれる、無情。
でも大人になると好きなものを好きなだけ楽しめるから気にしないでほしいとも思ってしまう。

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2025年07月14日

Posted by ブクログ

時代に飲み込まれるアナログ文化。現代人、令和キッズの生態について書かれている。次の時代に適応するために、覇権を取るために文化学習は必要だ。

評論家が息しずらい世の中について語っていた。本当にいい評論をいいエンタメ性で届ければ確実に有名になるだろうに、批評ばかりで己の能力不足については記述が無かった。自分を変えない者に時代は任せられない。

おわりに当たりに本書のまとめが書かれていた。
「昔は、倍速視聴にいちいち目くじらを立てる人がいたんだって」
百科騒乱の地雷を踏み抜くパンドラの箱を開いてしまった、それに憧れはする。

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2025年06月27日

Posted by ブクログ

「シャレード」
-間接表現
-見てわかることならわざわざセリフにしなくていいというシナリオ法
TVをおいてある空間とキッチンダイニングルームが一体化している、雑音混ざる
-TV番組でテロップが多いわけ
-説明の多さに慣れてしまった一因
「個性的じゃなきゃダメだ」という呪縛
普遍的な好みがないので(みんなが好きな芸能人やドラマなど)自分の個性を探さないとと焦燥に駆られる
趣味がある状態が目的。中身以前に
オタクにはなれないので推しという言葉が生まれる、萎縮した気分に当てはまる言葉
p151自分の上位互換を目視できてしまう地獄
p193「エンタメに心の豊かさでなくストレス解消を求める」
体系的に作品鑑賞をしない
-アート作品は画家で見るが、映画はそうでない
→かかる時間の違いだろう
リキッド消費
-短命
-アクセスベース
→ものではなく、ものを使う権利を買う
-脱物質的
作り手ではなく生産されるシステムが好き

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2025年06月21日

Posted by ブクログ

我が子含む今の若い世代の考え方が垣間見えた。

特に息子は自分が認めるものだけに囲まれて生きていきたい、否定されたら過剰に反応する。
いつの間にそんな世界観になっちゃったんだろうって思っていたのでこの本を読んでストンと腑に落ちました。

実際子育てしてる時は、間違えない様に親は少し先回りしてしまった
みんな違ってみんないいとか、
コスパもタイパも考えられる様になると良いな
と漠然に考えていたのですが、
過剰に進みすぎた結果の様に思えます。

最近は5年も経てば価値観はすっかり変わってしまいますね。
これからも変わっていくのでしょうね。

歴史や文化を学び視野も広げ焦りも減らしていきたいですね。

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2025年06月18日

Posted by ブクログ

【なぜ】タイトルに似たことをしているなと思い(映画は等倍で見るけど)

【ここだけ】情報過多な世界が作り出す人間の特性

【感想】SNS、サブスク-ネイティブの常識、世界の見え方にハッとさせられた。読書の価値(真価)を感じた。

・サブスクにより配信1本に対する価値が減っている
・自分の上位互換にすぐ出会ってしまう…SNS時代の弊害。浅く知っておくことが大事であって、深く知るのは専門家に任せる。どうせオタクには勝てないので…
・z世代は失敗したくない。予想外の感情の起伏に出会いたくない。

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2025年06月03日

Posted by ブクログ

映画を早送りで見る現代人の慣習に対して、肯定的・否定的の両面から批評されている。幾つか原因は考察されているが、押さえておかねばならないのは筆者も最後に述べている通り、技術の進歩によって人は快適さを求めるし、そこで旧派との衝突はいつでも起こりうるということ。この新たな慣習を前提にした作品の創り方やビジネスの在り方が問われてくる。

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2025年05月10日

Posted by ブクログ

私も倍速視聴したことがあるので、タイパ重視で観る気持ちは分かる。でも、倍速で観ると味わえないんだよなー。本書はタイパ理由だけでなく、情報を仕入れたい切実な若者や、失敗したくない気持ちなど、もっと奥深い理由があることを教えてくれた。現代を生きるのは色々大変だな〜。好きなものを好きなように観れますように

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2025年05月09日

Posted by ブクログ

「映画を早送りで観る人たち」の出現が示す恐ろしい未来、、、という論説文が大きな反響を呼んだことから端を発して書かれた書籍ということだ。若者ではない私も早送りでドラマを見ることが多いので、どんな恐ろしい未来図が提示されるのかと、興味深く読んだ。実際、著者が予測する(というより分析している今という)時代の到来は、本当に恐ろしいものだった。見たいものだけ見たい、心を揺さぶられるのはストレス、自分と異なる他者への興味·想像力の欠如など、現在より頻繁に目にするようになった嘆かわしい現象の根本原因がこういうところにあったのかと思い至り、彼の分析の的確さに感銘を受けた。技術の進歩によってもたらされたこの傾向は不可逆的なものなのだろう。第5章の内容では、この「恐ろしい未来」について十分言及されていないことが不満だが、概して鋭い洞察力と示唆に富む文化論だった。

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2025年04月19日

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タイトルの文化に対する筆者の否定的なスタンスが印象的で、若干そこに辟易はするが、勉強になったり、自分もそういうところあるかもと思わされる内容も多かった。

三宅香帆さん「働いているとなぜ本が読めなくなるのか」と同じタイミングで読んでいたことも良かった。
生意気だが、現代の浅はかな文化に飲み込まれることなく本を読もうと思った。

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2025年11月11日

Posted by ブクログ

ネットなどで配信される動画は作品ではなくコンテンツと言うと…作品を観て自分の教養を得ていくことではなく、情報を処理して周りの人たちと話を合わせていくことを楽しんでいるということなのかなと理解しました。
以前読んだ別の本にも読書は教養・ネットは情報という話があってそれに通ずるものを感じました。

必要とされる情報量が多く、それを無駄なく処理するため倍速再生やネタバレ考察が必要ということは理解できました。

言われてみると…倍速再生するときって話題についていくことが目的になっている気がします。

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2025年08月31日

Posted by ブクログ

私も本・漫画はちぎっては投げ式であまり褒められた感じでない読み方で消費してるため、どういう論になるもんかなと思いつつ読みました。違法なファスト映画動画の利用はさておきデバイスの進化や社会の変化に伴う変遷として見るべき、という論かな。おおむね同意します。

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2025年06月24日

Posted by ブクログ

私はもともと作品を早送りで観ることが好きではなく、そのような視聴をする友人にはつい説得してしまうタイプだ。だからこそ、本書『映画を早送りで観る人たち』を読み始めた当初、作品を“コンテンツ”として消費する視聴態度に対して疑問を投げかける著者の主張には強く共感した。作品を作った側の思いを想像すれば、倍速で流し見されることを望んではいないだろうし、それは本来の楽しみ方とは言えないと感じていたからだ。

しかし、読み進めるうちに著者が示す「そうせざるを得ない若者たちの環境」や、「視聴スタイルの変化は技術進化による自然な流れなのではないか」という視点には、悔しいながらも頷ける部分があった。情報が溢れ、時間が常に足りない現代において、倍速視聴もまた一つの選択肢であり、それ自体を否定することは時代に逆らうことかもしれないとも感じた。

それでも私は、著者と同じように、そうした視聴スタイルを否定はしないが、自分自身はできる限り作品と真剣に向き合い、作り手の意図や作品の空気感を丁寧に味わっていきたいと思う。効率よりも体験を大切にする鑑賞の仕方をこれからも心がけていきたいと、あらためて思わせてくれる一冊だった。

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2025年05月02日

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