【感想・ネタバレ】映画を早送りで観る人たち~ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形~のレビュー

あらすじ

なぜ映画や映像を早送り再生しながら観る人がいるのか――。なんのために? それで作品を味わったといえるのか? 著者の大きな違和感と疑問から始まった取材は、やがてそうせざるを得ない切実さがこの社会を覆っているという事実に突き当たる。一体何がそうした視聴スタイルを生んだのか? いま映像や出版コンテンツはどのように受容されているのか? あまりに巨大すぎる消費社会の実態をあぶり出す意欲作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ


 この本を読んで、なぜ映画を早送りで見てしまうのかをZ世代の自分なりに、この本に書いてあったことも含めてまとめてみた。

 著者は最終的に「映画を早送りするのも当たり前の時代が来るかもね」と肯定的な捉え方をしていた。
 しかし、『働いているとなぜ本を読めなくなるのか?(三宅香帆)』を読んだ自分の感想としては、
面白くない映画に3時間費やするリスクを許容する余裕と、見てしまった後悔を許容できる余裕がある世の中の方が健全だと思う。


1.後悔したくない
口コミサイトを見て買えば失敗が避けられる時代、Googleの星を確認しておけばマズイ店に入らないでいい時代。
たくさんの選択肢があり、かつ失敗を防ぐ策がある中でわざわざ選んで失敗する。すると((もっと調べておけば良かった))と後悔が大きい。


2.なぜそんなにも後悔したくないか?「意味ある体験」への執着心((充実しなければ!))という焦り

①SNSで人の生活が常にチェックできるようになった
→周りが充実した時間を過ごしている中で自分は面白くない映画に3時間費やしたと思うと、なんだかものすごく損をした気分になる。
②コントロールできるもの(お金・時間)が少ない時代
不況不況。少子高齢化で自分の年金はもらえるか分からない。税金はバカほど高い上に奨学金の返済。残業は多い。せめて休みくらいは自分の好きなように充実した時間にしたい
③それって意味あるの?への回答を常に求められる
会社は今の時代、限られた人件費の中で欲しい人材を選別する。そこで就職活動では学生時代に力を入れてきた活動"ガクチカ"をPRすることが求められる。ガクチカでは、自分がどれだけの貢献をしたか、を客観的に"数字で"説明することが求められる。
私たちを選別する団塊世代の人間が、バブルの時代に"数字や貢献度"をもって会社に合格したとは思えない。しかしそんなことを言っても雇い先は見つからないので、"意味"を必死に求めなければいけない。
そうすると、その行動にどんな価値があるのか?を無意識のうちに考えてしまう癖がつく。(評論本が書籍の売り上げに貢献するのか?はたまた評論本を読むと人生にどんなプラス効果があるのか?あったとしてそのインパクトはどれほどのものか?
評論本に限らず、効果が不明なものはなんとなく"損"な気がして、リスキーだし、切り捨ててしまうも知れない。


 この本を手に取った時に持っていた疑問が、この本を読んですっきりした。つぎは、どうしたら意味を求めないようにできるか?を掘り下げた本を探してみたい。


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2025年10月13日

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