あらすじ
なぜ映画や映像を早送り再生しながら観る人がいるのか――。なんのために? それで作品を味わったといえるのか? 著者の大きな違和感と疑問から始まった取材は、やがてそうせざるを得ない切実さがこの社会を覆っているという事実に突き当たる。一体何がそうした視聴スタイルを生んだのか? いま映像や出版コンテンツはどのように受容されているのか? あまりに巨大すぎる消費社会の実態をあぶり出す意欲作。
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Posted by ブクログ
最初から最後まで全て面白かった。
特に1章の実際に早送り、先に結末を知ってから見る人たちの感覚、思考を知れるのは興味が尽きなかった。
「予告を見れば二人が別れるなんて分かる。結果はどうでもよく、恋愛映画は過程が大事」
「怖くて見られないホラー作品を、ダイジェストなら見られる」
「受け手には"作品を誤読する自由"がある」
というフレーズも印象に残った。
この本を読んで思ったのは、著者は早送りで見る人たちを批判しているわけではない。
この実態を調査し、原因を突き止め、理解しようとしているということ。
Posted by ブクログ
確かにみたいコンテンツがたくさんありすぎて時間が足りないのはめっちゃわかる。ただ、周りと話を合わせるためだけに倍速で動画を摂取することを求められてしまう最近の若者は大変だなあと思った。これらの人達をただ批判するのではなく、なぜこういう行動をとるのかをインタビューもしながら考察していく流れは面白かった。若者がオタクに憧れている、「ナンバーワンよりオンリーワン」による弊害など映画だけに関わらず現代の若者が直面している問題にも言及されていて全体的に興味深かった。
Posted by ブクログ
私自身はファスト映画や倍速視聴、話飛ばしなどはしない(というかできない)けど、完璧に見たいと思うあまり、積み録画がヤバいことになっていて、倍速で見れるなら見たい気持ちもある。
個人的に、動画というのは活字に比べて非常にタイパの悪いコンテンツだと思っていて、自分の場合は同じ情報量だと活字の方が圧倒的に早いので、例えばドラマ化で存在を知った作品でも、ドラマを見ずに原作を読んだりする。
一方で、「感情を動かされたくない」というのも非常に共感できる思考で、本書に出てくる若者ほどではないけど、感情の浮き沈みは疲れるので、躊躇してしまうことも増えた。
それは私が年を取って、それに耐える体力・精神力がなくなったからだと思っていたが、総じて20年前と比べて現代人が疲れているからだったのか。
確かに、日々摂取する情報量は圧倒的に増えた。
けど、感情を動かされないコンテンツ、スマホで手軽に読める無料のスカット系の漫画などを読んでも、全然心に残らないと実感しているので、ちゃんとしたエンタメに触れないとだめだなー、とは日々感じている。
Posted by ブクログ
初めてのオーディブルでこの作品を聞き終えました。
移動中や聞きながらできる作業中に聴いていたのでこの本に出てくる若者やん・・・もちくちく刺さりながら聞いてました。
オーディブルは本に付箋とか貼れないし自分のペースで見れないので内容は本を読むよりはそこまで頭に入らなかったなと感じた。流し聞きとしてはとても良かった。
最後らへんの話が印象に残っていて
昔も蓄音機で音楽を聴くのは音楽鑑賞じゃない
テレビで映画を観るのは映画鑑賞じゃない
そして今
映画を倍速で見るのは映画鑑賞じゃない
どの時代でも新しい文化には抵抗を示すというのが繰り返されている。
私は今回、どちらかというと映画を倍速で見る派の人達に共感できる側だけど将来新しい文化に対抗を覚えるのだろうなと思った。
どの時代でも新しい文化には抵抗を示す というメタ認知で新しい事を受け入れていく姿勢は大事かもしれない。
それを想像した時に次に流行るのは中国で今流行っている内容のない快楽だけが分泌される縦型ショートドラマをみんな見るようになるのかなと思った。
それを考えると正直、抵抗があった。これ以上ドパガキになりたくない!という気持ち。
私はぎりぎりショート動画がない時代に生まれてきたからショート動画やそういうドラマにハマるデメリットをすごい感じてる。
けど次の世代のショート動画が生まれた頃から当たり前になる世代にとっては抵抗を感じないんだろうなと・・・。
本書では私は若者の価値観寄りだったが未来を考えると抵抗がある側になれた。
さっきまで時代は繰り返されているというメタ認知で新しい文化を受け入れていくことは大事かもしれないとか語ってたけど
結構受け入れたくないものだな・・・
Posted by ブクログ
これこれこれ、私はこういうのが読みたかったんだよ!三宅香帆にこういうのを求めていたんだよ!映画を早送りで観る人たち、一応、私はそこに含まれてはいない。けど、YouTubeはときどき早送りにしていた。まだるっこしいから。自らネタバレを踏む人たちの感情が揺さぶられるのが嫌だからという理由が、私には本質理解できない。興味のない作品なら、ネタバレを見ちゃうけど、興味のある作品は踏む前に読むから。あれ、これがもしかして回答かも。みんな、その作品にそれほど興味がないんじゃない?会話に入れないから、観る。うらやましい。
私には会話に入れないから観るという関係性すらない。でも、扉は開いていたのかも。私が「私は興味ないから」の一言で閉じていたのかも。『鬼滅の刃』が説明的だとはまったく思ってなくて、むしろ、それが味だと思ってた。ぜんぶ言う、それって悪いことなのかしら。それでも想像、考察の余地はあるのに、あたかもぜんぶ説明しているという解釈には「?」と思った。制作者側としては早送りも字幕すらも作品ではないのかー。お作法にがんじがらめになっていて、その世代であることをおもしろく受け止めたい。
Posted by ブクログ
第1章 早送りする人たち- 鑑賞から消費へ
第2章 セリフで全部説明してほしい人たち
第3章 失敗したくない人たち
第4章 好きなものを貶されたくない人たち-快適主義という怪物
第5章 無関心なお客様たち
最初は、「けしからん!映画を1.5倍速で観る若者が(少なからず)いるなんて!監督に失礼だろ!」と怪現象のごとく驚いていた著者が、突っ込んで調査しているうちに、
z世代を把握したくなったんだな、きっと。
主な特徴を列挙してあって(第3章)
1 SNSを使いこなす
2 お金を贅沢に使うことには消極的
3 モノ消費よりコト消費
4 学校や会社との関係より、友人など個人間のつながりを大切にする
5 企業が仕込んだトレンドやブランドより、自分が好きだから/ 仲間が支持しているから を優先する
6 安定志向、現状維持志向で、出世欲や上昇志向があまりない
7 社会貢献志向がある
8 多様性を認め、個性を尊重しあう
と並べています。
自分、不器用なGG世代なんですが(笑)、
上記z世代の特徴は半分自分にも当てはまっています。
z世代は間違いなく突然変異で彗星のごとく一夜で大量発生したわけではなくて、自分たちGG世代(今日思いついた造語です)から地続きなんだよな、と思って興味深く読みました。