相川真のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
明治横浜れとろ奇譚シリーズ第2弾。
今回は菓子店ルゥ・ド・アムルの女主人の愛の過去に関わる話。
今回は水谷巡査はあまり出てこなかった。残念。
まぁ舞台が女学校じゃ仕方ないか。
人身売買でかどわかされる少女達が、SNSで犯罪に巻き込まれる子供達に重なる。
ほんの好奇心と、息苦しい環境から自由になるという思いで行動したのに、こんなことになるなんて…。
花田先生は、最初はこういう被害や不幸な結婚から守ってあげたいという気持ちから、私の言うとおりにしなさいという意識に変わっていったのだろうか。
しきたりや昔の慣習、子女たるもの、を押し付けて、成り上がりの美都を嘲る女学校の人間たちに息苦しさと不快さを感じる寅太郎達。
なのに、彼らと対等に渡り合うためには、嫌っていたお家の力を使わなくては話も聞いてもらえない。
自分の力で役者として身を立てたい寅には結構悔しい出来事だろうな。
前回は自分は大好きな芝居がやりたいだけ!皆邪魔ばかりして!と他責ばかりだったけど、少しずつ変わってきたような。
自分の芝居で心を動かされたという久の言葉が、初めて彼は役者になって何を成せるのか、何をしたいか、ということを考えるようになった気がする。
そして、今も昔も、自分の幸せを子供に叶えてもらおうと、コントロールしようとする大人のエゴはあるんだなぁ。
海外との貿易も盛んになり、成功した成り上がりと、昔の栄光にすがって困窮していく華族達。
いまだに華族の影響が強いとはいえ、良いところ(実家を援助できるお金があって、旧家で立派な男性)へ嫁ぐのが最大の幸せ、という(昔の)価値観を娘に押し付けているようにしか見えない。
現代では、いい学校へ入学して大企業へ就職または公務員になればあなたは(食いっぱぐれないし、周りに自慢できるし、脛を齧られる心配もないし)幸せになれるのよ。という価値観を植え付けている人もいるような。
どれだけの大人が、夢を諦めずに頑張りなさいと、本気で応援して道を指し示して上げられるのだろう。
作中最後はエゴ丸出しだった花田先生みたいに、子供を自分の満足や成功の為の作品扱いするんじゃなくて、ちゃんと人の話を聞ける人間でありたいな。と思う。 -
Posted by ブクログ
役者、絵師、学者と非常にその時代における華やかな(?)職業のようで、けれどただの無職とは惹きつける要素がてんこ盛りで面白かったです。
疾走感があって読んでいて飽きさせなかったですね。大正の頃の横浜は知らないけれど非常に詳しく魅力的に書いているのがよいと思いました。
ミステリとしてはやはり、ですよねーという展開でしたが主人公の家族構成があれなので他の二人も予想だにしない何かを秘めているのかなという楽しみがあって次巻が気になります。
個人的なポイントとしては、上がり症な主人公が、舞台以外ではガラスの仮面ばりに役に入り込むところがギャップがあって最高でした。