あらすじ
時は明治、横浜。定職にもつかず夢を追う役者の寅太郎、画家の谷、浪漫研究家の有坂ら「堕落者(=フリーター)」たちは、街で女学生を助けたのをきっかけに女学校の観菊会を手伝うはめに。学内ではかつて女学生が消え去った「開かずの間」の呪いの噂が囁かれていたが、観菊会当日、呪いをなぞるように一人の女学生が失踪し…!? 大好評、明治怪奇事件帳第2弾!!
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Posted by ブクログ
今回はシリアスなお話でした。
裕福な子女が通う女学校が舞台。
明治らしく華族や旧家だけでなく一代で財を成した子も通っていました。
でも旧家じゃないからと差別されていて今でもこういうことはありそうだな、と思いました。
しかも家のためと好きでも望んでもいない相手に嫁がなきゃいけない。
自分にやりたいことや夢があっても「女には学問も夢もいらない。家に尽くし子を産み守ればいい」と押し付けられる。
そこから始まる悲劇。
悲しいと同時に「人形」を辞める決意をした人間は強いなぁ。
その1人の愛さんの過去が判明。
まさかでした。
おそらくフランス語も話せなかっただろうに。
Posted by ブクログ
明治横浜れとろ奇譚シリーズ第2弾。
今回は菓子店ルゥ・ド・アムルの女主人の愛の過去に関わる話。
今回は水谷巡査はあまり出てこなかった。残念。
まぁ舞台が女学校じゃ仕方ないか。
人身売買でかどわかされる少女達が、SNSで犯罪に巻き込まれる子供達に重なる。
ほんの好奇心と、息苦しい環境から自由になるという思いで行動したのに、こんなことになるなんて…。
花田先生は、最初はこういう被害や不幸な結婚から守ってあげたいという気持ちから、私の言うとおりにしなさいという意識に変わっていったのだろうか。
しきたりや昔の慣習、子女たるもの、を押し付けて、成り上がりの美都を嘲る女学校の人間たちに息苦しさと不快さを感じる寅太郎達。
なのに、彼らと対等に渡り合うためには、嫌っていたお家の力を使わなくては話も聞いてもらえない。
自分の力で役者として身を立てたい寅には結構悔しい出来事だろうな。
前回は自分は大好きな芝居がやりたいだけ!皆邪魔ばかりして!と他責ばかりだったけど、少しずつ変わってきたような。
自分の芝居で心を動かされたという久の言葉が、初めて彼は役者になって何を成せるのか、何をしたいか、ということを考えるようになった気がする。
そして、今も昔も、自分の幸せを子供に叶えてもらおうと、コントロールしようとする大人のエゴはあるんだなぁ。
海外との貿易も盛んになり、成功した成り上がりと、昔の栄光にすがって困窮していく華族達。
いまだに華族の影響が強いとはいえ、良いところ(実家を援助できるお金があって、旧家で立派な男性)へ嫁ぐのが最大の幸せ、という(昔の)価値観を娘に押し付けているようにしか見えない。
現代では、いい学校へ入学して大企業へ就職または公務員になればあなたは(食いっぱぐれないし、周りに自慢できるし、脛を齧られる心配もないし)幸せになれるのよ。という価値観を植え付けている人もいるような。
どれだけの大人が、夢を諦めずに頑張りなさいと、本気で応援して道を指し示して上げられるのだろう。
作中最後はエゴ丸出しだった花田先生みたいに、子供を自分の満足や成功の為の作品扱いするんじゃなくて、ちゃんと人の話を聞ける人間でありたいな。と思う。