泉谷閑示のレビュー一覧
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日本人と欧米人の違いを、言葉の使い方から知ることができる本。個人と社会というのは、日本古来の言葉でなく、翻訳された言葉というのが驚きだったが、なるほどと思えた。
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以下注目点
・もともと乳児の時から母親とは別室に寝かされ、親子といえども別の人間であるということを痛いほどすり込まれて育ってくるヨーロッパ人 P.5
・印欧語(インド・ヨーロッパ語族)も7世紀頃までは、今の日本語や東アジアの言語と同じように「主語」というものはなかった。P. 13
・現代の欧米の言語が依って立つ世界観が、「神の視点」であるのに対し、日本語の世界観は「虫の視点」である。P.16
・当時の教会では快楽は罪とされており、特に信者の性生活について微に入り細にわたり神父に告解することが義務付けられていました。これが逆に、人々の性への意識を強め、欲望を増大させ、個人意識やプライバシーの概念をも生み出したのだというのです。P.25
・明治十年(1877)頃にsocietyの訳語として社会という言葉がつくられた。そして同十七年頃にindividualの訳語として個人という言葉が定着した。P.27
・ヨーロッパの個人は十二世紀に生まれた p.29
・乳児と乳母の関係→「察する文化」 P.35
・「世間」内では、個人が責任を負うことが可能な限り回避される傾向がある。p.43
・「世間」の価値観は、刹那的で感情的な色彩が強く、一貫性に乏しい浮動的なもの p.44
・情報化の進展により、一昔前まで「常識」と呼んでいたような大きな共通理解や価値観の画一性は、もはや成り立ち得ません。「世間」というものは、もはや、あるバランスをもった行動規範を提供するようなものではなくなり、今日では、ひたるすら悪癖を露呈する壊れた装置になり下がってしまったのです。P.53
・真に「聴く」ためにはその人間が一人称的存在でなければならないということです。P.64
・「孤独」を避けた人間同士に生ずる親密な関係は「依存」なのであって、「愛」とは別物です。P.93
・「主語」を立て、論知的に自己主張する。p.115
1. 「人の話を良く聴きましょう」
2. 「察しの悪い大人(親)になりましょう」
3. 「一人称主語を入れましょう」
4. 「『みんな』に埋もれず『私』を持ちましょう。
5. 子どもの『どうして?』『なぜ?』を屁理屈と片付けずに、きちんと答えましょう」
6. 「『それでどうだった?』『〜はどうする?』といいった曖昧な質問はやめましょう」
7. 「答えを『〜とか』のようにボカすのはやめましょう」
8. 「きちんとかみあった問答をしましょう」
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Posted by ブクログ
精神科医の著者の元に来るクライアントの苦しみは、何がしかの資質においてそれがマイノリティであるために起こっていると考えられる。
しかしそれは、マジョリティの人間が気づかずにやり過ごしている問題を敏感に感じ取っているから。
「普通」は、多数派と密接に結びつき、更に社会適応しているという価値観を含む。
この本は、「普通」に合わせようとして苦しくなっている人に対して、自分の心の声を大切にして生きることの意味を教えてくれる。
頭由来の考え方は、心由来の感情をコントロールしている。
抑圧されたものを葛藤レベルまで持ち上げること、あるべき悩みを悩むようになること、それが「治る」ということ。
人間の中心は、本来は心(=体)であって、頭は思い上がり。
心は自然の原理で動いているので正しいことを選択する。
病気や苦しみの中には大切なメッセージがある。
受け取らない限り何度でも届く。
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仕事の中に、本当の自分は探せない。
天職は用意されているものではない。
心のままに、「遊ぶ」ことを楽しむ。
自分の行動を振り返って、作者の言う「頭」が優位になっている場面が多々思い浮かんだ。
仕事を生きがいにする生活に疑問を持ち始めていた、かつ、料理の味や美味しさを感じるようになってきたと感じていたところだったので、本書に書かれていたことと自身の体験と照らし合わせながら読み進められた。
作者の意図することと異なるかもしれない、あくまで読んだ上での個人的な感想として、自分の好きなことを仕事に…と結びつけ、そこに生きる意味を見出そうとしがちだが、無理に仕事の型に落とし込む必要はなく、「人間らしい生」「遊び」の部分を充実させるための糧としての仕事という捉え方もアリなんだな、と感じた。自分も心の声に耳を傾け、今を生きていきたい。 -
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そんなに期待して読んだわけではなかったのですが、良い本でした。タイトルと内容の乖離がすごい本でした。聞くことが大切ですみたいなHow to本でなんだろうな〜と思っていたのですが、読んでみると、対話って何なんだろうという問いを通して、コミュニケーションについて考えさせられる本でした。
・対話は会話の中に内包されるもの
・対話と討論は異なる
・討論は相手に勝つことが目的になるが、対話は意見はぶつけ合うが、勝ち負けではなく、ぶつけ合うこと
など、分かったような分からないような内容でしたが、対話について考えること自体に意義を感じました。私たちはただの会話(書籍の中ではモノローグと表現?)や討論になってしまいがちで、対話ってしてないんだなーということを知った一冊でした。
また会議は文化の影響を受けていて、日本はムラ社会の影響が強いため、全会一致にこだわりやすいが、欧米では異なる意見を異なるまま受け入れることができるなど、対話が苦手な日本の文化の影響なども興味深かったです。
とても面白い本と言うわけではないですが、ちょっと違う目線から深く学べる一冊でした。著者は精神科医ですが、どちらかと言うと哲学的な本だと思いました。薄くてすぐに読み終えましたが、分かりやすい本では無いのでゆっくりと、考えながら読んだほうが良いと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分を大切にする、自分のわがまま(?)欲求を押し通す、自分をいたわる…こういう周りの人たちを見ていて、「そんなに自分が可愛いか?浅ましいな」と感じている自分にハッとする時がある。それって本当に悪いことなの?自分ができないことを妬んでいるだけではないの?、と。
私は自分を含め、人間全般が嫌いだ。それが健全とは思っていないし、何より自分が苦しい。自分のことを積極的に嫌いというよりは大切にできないという方がしっくり来る。
こんな私にとって、本を読むたびに大きな気づきをくれる泉谷先生の本は、今回も自分の悩みにマッチした題材で、待ち望んでいた。しかし残念ながら今回は読み足りないせいもあるが、道が開けた感じはしなかった。まだ何度か読み直して整理する必要がある。
途中までは、書かれていることが、実体験としてわかり、この道をたどってきたなと納得できたが、その先の打開策がよく理解できなかった。著者のいう仮死状態であるため、何の欲求もわかず、自明性が失われている状態だからなのだろうとは感じた。
第1章なぜ人は自分を嫌いになってしまうのか
第2章自分を愛せなくなった人の生きづらさ
第3章自分嫌いからの脱出
〜大地を覆っている「雲」を取り除く
〜インナーチャイルドのイメージを活用してみる
第4章親への恨みや怒りをどう扱うか
〜恨み切るということ
第5章ロゴスなき親の及ぼす影響
〜自明性の喪失=魂の仮死状態について
第6章うるわしき家族幻想から脱却する
第7章自分を生きるために
第8章この不条理な世界を生きていく
〜「愛される」を待つ人から「愛する」人へ
〜行き過ぎた効率主義は何を及ぼすのか?
▷ここでいうロゴスとは。
私たちが暗黙の了解で「人間ならばこう考えるだろう」「人間ならば、こう思うだろう」と前提にしているものを指す。つまり、ロゴスとは、人間が人間たる前提として共有しているもののこと
◯インナーチャイルドに対して自分が最良の親になって育て直しを行う。いつしか現在の自分と一致することができる。
▷ロゴスが機能していない親の特徴
1.時間に対して連続性を認識できず、一貫性のある思想を持てない
2.相手の立場に立って自分を眺めたり、自身を客観視したりするような視点の移動ができない。=(自閉的状態:自分しかいない世界を生きているような幼稚な状態)
そして、自閉的な人は身近な人のことを「自分の一部のように」思いがち
▷ロゴスが機能していない人たちの特徴。
→量的側面だけで認識できる「意義」の世界を生きている。役に立つのか儲かるのか得になるのか、出世につながるか、権力や名声を得られるかといったもので、実利性やメリット、学歴や社会的地位にこだわる傾向 118
◯ロゴスが機能してない親に育てられた子は、自分が愛されていない、自分の存在が認識されないと感じ、精神的には一種の仮死状態にまで追い込まれる。124
ヴォルフガング・ブランケンブルク「自明性の喪失 分裂病の現象学」「自分には何かが欠けている」自然な自明性を失った
自明性の喪失=魂の仮死状態125
◯自分の親にはロゴスがなかった。=自分の親には人を愛する能力がなかったと認識することの大切さ146
◯人は、回り道を経たことによって、人間の愚かさや弱さ、そして残酷さや冷淡さなどに対する深い理解を得ることができる。162
◯どんな親の下に生まれ、どんな環境で育たなければならないかは、自分で選ぶことができない。しかし、その宿命を自分がどのように生き抜き、生き延びたのかという事は、後の深い経験の基盤となる貴重な歴史です。そして、その果てに、「本当の自分」に抜け出ることができたとすれば、これをしのぐほどの劇的な経験は、そうない。163
◇著者は、最近、政治家や自治体の長にロゴスなき人物がなっていることが多いと憂慮する。ロゴスある人間と、ロゴスなき人間を見分け、信じるに至る相手なのか、あるいは何については信じられるが、何については信じられないリスクがあるのかといったことを、いちいち判別していかなければならない。その見極め方の1つとしては、言葉にきちんと人間的に意味が充填されているかどうか。
◯「愛する」とは、「対象が対象らしくあることを喜ぶ」こと。181
自分にとって読書をするという行為は、ある種混乱させられたロゴスの修復を行っていることなのかもしれないと思い至った。
引用本
ウィリアム・ブレイク『ブレイク詩集』
エーリッヒ・フロム『反抗と自由』『愛するということ』
クロード・レヴィ=ストロース『神話と意味』
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Posted by ブクログ
すごく勉強になりました。
今更こんなものを読んでも付け焼き刃のコミュ力しかつかないのかなと思っていましたが、対話について考える前提を良い意味で覆してくれた気がする。
相手と対話をするということは自分の知らないことを経験すること。経験は体験とは違い、自分がそれまでの自分と何かが変わったということ。対話はそれを目的にしている。大事なのは、たかをくくらないこと。わかったふりをしないこと。それを借り物の考えにしないために自己対話を通してじっくり考えること。自分の考えにしておくことの重要性はノートに書いてみた!
この本で自分が新鮮に感じた考え方は、無知の知ということの有用性と、常識を常識と考えてしまうことの危うさ!どちらもノートに自分の考えも含めて書きました!
少し自分のコミュニケーションに対する態度や考え方が変わった気がする。 -
Posted by ブクログ
評価を見て規定していただけに、
期待ほどの目新しさはなく、
私が以前知り得たことの復習だったり、
改めて自分の意識・意思の確認をしているみたいだった。
とはいえ、結構極論~!っておもうこともあったりして、
面白くはあった。
「師から必要なところだけを盗んで、不要なところには染まらないように」「懐疑的精神で」選ぶというようなことが書いてあって、(あ、自分の中にもちゃんと育ってたんだな、その芽が)って思ったり。
そしてそれこそこの本からだって、
取捨選択する気持ちが大事なんじゃないかなと思った。
星は3をつけたけど、面白くなかったという意味ではなく、
一度読めば十分かな、と思ったので。
あと、モンテッソーリ教育に通ずるものがあるな、
ともおもったり。
彼女も精神科のお医者さんだったな、そういえば。