泉谷閑示のレビュー一覧
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現代人は生きるために日々「仕事」をする。しかし、仕事や労働で忙しいあまり、多くの人々が疲弊しているのではないか。本書は、そんな疑問を持つ読者に向けて、精神科医の著者が答える。
まず、著者は、現代人の消費活動は受動的であることを指摘する。言い換えると、多くの人々は、自分の内面に向き合わず、周囲の情報に翻弄されて、生活を満たすために、何か代わりとなるものに依存し、満足してる。これと関連して、現代思想(ポストモダン)の問題点を簡潔にまとめている。科学技術の発展、また、人間の理性を過剰に信頼した時代、目新しいものやよくわからない物事を良しとする風潮があった。とにかく差異性を求めたが、結局は何かを解 -
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「うつ」の本質・根本と向き合う本。感覚的であったり、なかなか表現し難い部分を、非常にわかりやすい例えで表現しており、樺沢紫苑先生等、他の精神科医の先生が仰るような主張とも方向性は同じなのも安心した。
【以下、重要部分のメモ】
・「頭」が「心=身体」に強権的に命令するような、意志力があり、我慢強い人間がうつになるリスクが高い。「頭」の支配からの脱却が重要。
・「病は、何らかのメッセージを自分自身に伝えるべく内側から沸き起こってくる」、「病は、その中核的な症状によって、自分自身をより自然で望ましい状態に導こうとしている。」という見方。
・「うつ」からの脱出は、repair(修理)ではなく、reb -
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こんなに不適応の人がいるんだから、周りと社会が変わっていくことも必要だよね
*「頭」は「心」の出した結論を「気まぐれで当て
にならないもの」と決めつけ、却下してしまう傾向があります。
*感情の井戸
上から、怒・哀・喜・楽の順で溜まっている
上から出て行くからイライラする
つまり、イライラすることは病状の悪化ではない
「心の吐き出しノート」がおすすめ
*子どもにつけさせてもいいただ一つの習慣は、どんな習慣にもなじまないということだ(エミール)
*努力をやめても熱中が待っている
*病は、自分自身を、これまでの好ましくない状態から救い出そうとしている。
*その人の人間的な感情や知覚が自然に -
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ネタバレ従来の西洋医学的アプローチでは、「うつ」の症状をいわば「悪」とみて、それを抑え込み駆逐することを治療としていたが、このアプローチだけではうまく「うつ病」を治癒することはできないと筆者はいう。西洋医学的アプローチでは切り捨てられてきた「病が示すメッセージを読み解き、対応する」という視点からうつ病に取り組んでいくことが必要と説く。 すなわち、うつ病とは「脳内セロトニンのアンバランス」が原因とされるのを、それは中間要因として捉え、そもそもその「アンバランス」が何故生じたのかという主因をうつ病から読み解き、対応していくことが必要としている。
本書ではうつ病の主因を、一般的に使われる「頭」「心」「 -
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ネタバレ『普通がいいという病』が良かったので、次に手に取った泉谷閑示さんの著書。
「対話の最も重要な部分は、話すことよりも、むしろ聴くところにあります。話し手が語る場を提供し、聴いた話を処理しようと急ぐのではなく、まずはそれを共有することに意味があるのです。」
養老孟司さんの『考えるヒト』に「われわれの意識は主観である」と書いてありましたが、対話を成立させるためには、われわれが各々違う主観に基づいて世界を認識していることを意識し、先ず相手が認識している世界を知った上で対話することが大切なのだということだと思います。
>「理解する」というのは「同意する」ということではない…という話は、多くの人 -
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日本人と欧米人の違いを、言葉の使い方から知ることができる本。個人と社会というのは、日本古来の言葉でなく、翻訳された言葉というのが驚きだったが、なるほどと思えた。
[private]
以下注目点
・もともと乳児の時から母親とは別室に寝かされ、親子といえども別の人間であるということを痛いほどすり込まれて育ってくるヨーロッパ人 P.5
・印欧語(インド・ヨーロッパ語族)も7世紀頃までは、今の日本語や東アジアの言語と同じように「主語」というものはなかった。P. 13
・現代の欧米の言語が依って立つ世界観が、「神の視点」であるのに対し、日本語の世界観は「虫の視点」である。P.16
・当時の教会で -
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そんなに期待して読んだわけではなかったのですが、良い本でした。タイトルと内容の乖離がすごい本でした。聞くことが大切ですみたいなHow to本でなんだろうな〜と思っていたのですが、読んでみると、対話って何なんだろうという問いを通して、コミュニケーションについて考えさせられる本でした。
・対話は会話の中に内包されるもの
・対話と討論は異なる
・討論は相手に勝つことが目的になるが、対話は意見はぶつけ合うが、勝ち負けではなく、ぶつけ合うこと
など、分かったような分からないような内容でしたが、対話について考えること自体に意義を感じました。私たちはただの会話(書籍の中ではモノローグと表現?)や討論にな