泉谷閑示のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ一見、題名にインパクトを与えただけの、世渡りのためのハウツー本と思いつつ読み始めたが、一読して著者の見識の深さがわかる読み応えのある本であり、読後に世界が変わって見えるほどの、人の生き方を変える力のある本であった。
仕事なんか生きがいにするなとは、「真の自己」が自分の外に想定され、仕事さがし=社会に用意されている仕事とのマッチング によって自己実現するはずだという終わりなき自分探しがいかに誤った考えかということであり、本当の生きる意味とは何かを考える本である。
今まで私にとっての芸術は、美しいもの、真理を表現したもの、しかし実際はよくわからないものであった。
しかし著者によると我々が人として成 -
Posted by ブクログ
すごくいい本だった。付箋だらけになった。
電子書籍じゃなくて手元に置いておきたい。
泉谷先生は、 “普通”とは社会が作った平均値であって、 個人の欲求や本質とはほとんど関係がない、と明確に語る。
でもその“普通”に合わせようとするほど、 本来の欲求や感情が押しつぶされ、 生きづらさが強くなる。
この本のすごいところは、 “普通を手放しなさい”と単に言うのではなく、 普通に寄せてしまう心の動き (自己否定、不安、他者基準、恐れ) そのメカニズムを丁寧に説明してくれるところ。
仏教では、人間の苦しみの原因を 無明(本質を見誤ること) 執着(こうあるべきというこだわり) 渇愛(不足感を埋めよう -
Posted by ブクログ
これもまた名著。
活動よりも観照(内観)の大切さを教えてくれる一冊。
世の中では「行動こそすべて」という教えが広がっており、それの言わんとすることも分かるものの、どこかでその教えに辟易としている自分がいた。
私自身、その教えを鵜呑みにし、手帳に予定をぎゅうぎゅうに詰め込んだこともある。けれどもそうするほどに、目前の出来事に集中できず、心に余裕がなくなり、焦燥感に急き立てられることが増えていった。
「行動こそすべて」にはきっと「人は価値を生まなければならない」「人の役にたたなければならない」など、効果や成果、成長を至上とする思想が根っこにある気がする。
けれども人の幸せは、必ずしもその成 -
Posted by ブクログ
精神科医である著者が、現代の人間が抱える「生きる意味とは何か」という問いに対して、真正面から考える一冊。
個人的に好きな内容のため、星5つ。
本要約動画で紹介されていたので気になり購読。
だが、「結論→理由」でわかりやすくまとめられた動画を見た時と、現代人が如何にして生きる意味を失ったかを論じる内容を実際に読んだ時とでは、印象が全く異なっていた。
あるプロゲーマーが子供の頃になりたかった職業について話していた時、
「今思えば、子供の頃に言っていたなりたい職業って、全部『お金になる仕事の中では』っていう前提があった」と言った。
だから昔の子供の夢に「ゲーマー」なんて選択肢はないのだ、と。
そ -
Posted by ブクログ
ネタバレ現代に倒錯している価値観に囚われず、意義に囚われず意味を見出すこと、そのために遊びが大事である。
「愛とは、相手が相手らしく幸せになることを喜ぶ気持ちである。欲望とは、相手がこちらの思い通りになることを強要する気持ちである。」
「道徳とは、われわれが個人的に嫌いな者に対してとる態度にすぎない」
「他人にそれがどう思われるかに関係なく、本人さえそこに【意味】を感じられたのなら【意味がある】ということになる。」
「もし大部分の人を惹きつける子どもの魅力がなんであるか問うならば、私はまさにこの自発性にちがいないと思う。この自発性は、それを感知する力を失うほどには死んでいない人々に深く訴えていく」
「 -
Posted by ブクログ
ネタバレ普通の人(健常者)と狂人(基地外)というのは世間的には真っ二つに分かれがちだが、実際は誰にでも明日には狂人になる可能性を秘めているわけで。そして治療に関しても、狂人性が表に出なくなればまぁ良しとなるが、それは真の完治ではないし、そもそも真の完治などは本人の自分自身に対する根本的な見直しが成功しなければ滅多にならず。そしてほぼ完治したとはいえ、当然なら今回の体験は一経験として残っているわけで、良くも悪くも今後も引きずっていく。
夢野久作「ドグラ・マグラ」で謳っている、この世は基地外地獄であるという考え方が好きなのだが、この本でもパスカルが似たようなことを言っていると引用しており、好きになった。
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購入済み
働くことについて、生きることについて、じっくり考えさせられる1冊。
様々な偉人、作家、芸術家、作品の言葉などを引用していて、読んでいくうちに教養が身に着く感じもある。
でもそれよりも、読み終えると「明日はもう少し1日を大事に、日常を自分の手で楽しくしてみようかな」と思える。
自分自身仕事でちょっと疲れたときに買った本で、読み終えた今結構頭がすっきりしているので、働く人たち(もちろん学生も)にとってもおすすめです。 -
購入済み
じっくりゆっくり、自分の心に沁み込ませるように、また何度でも読みたくなる本。 分かりやすい例や、少し難解な外国文献または書籍の引用に対しても分かりやすく説明がされていてとても分かりやすかった。 最初は精神科医として働いていた作者だったが後にパリへ音楽留学し、「一度立ち止まって人生を考える」という大胆かつ魅力的、人間的な生き方に感銘を受けた。