市川朔久子のレビュー一覧
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ネタバレ声が出なくなってしまう少女といえば「ハッピーバースデー」が思い浮かぶけど、それよりも柔らかくて良い意味で軽い印象。
小学生の男の子と女の子のやり取りって、なんでこんなに可愛いんだろう。
些細な事でムキになって言い合いになる、颯太とまゆ子を見ていると思わず微笑んでしまう。
ナオコ先生の温かな眼差しと、力強い言葉。
そして何よりもその優しい指先で、まゆ子の心をほぐしていく。
ナオコ先生自身も、彼女の営む美容院も、彼女の生活スタイルも、素敵だなと思う。
ただ、出戻った背景や、彼女の子供のものと思われる着物についてもうちょっと触れて欲しかった。そこがどうしても、投げっぱなし感が否めない。 -
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あぁ、またしても丑三つ時〜
『よるの美容院』
市川朔久子(作)
講談社
★★★★☆
口を閉ざししゃべらない(しゃべれない)緘黙(かんもく)の小6の少女が、ゆっくりと「話す」を取り戻していくお話です。
読むにつれ明らかにされる事情と心情が感動的に運ばれます。
この少女の気持ちを主体に著されてあり、自分を取り戻していくその様子が丁寧に描かれています。
「できることはできる。できないことはできない。」「なにがだいじか、そうでないか、自分で考えて決めること」「それが、うまく人生の舵を取るコツよ」とアドバイスもあります。
特に思春期初めの頃の子どもは、大人の本音を知っているけど自分の本音を通せない、その狭間で多いに悩みます。
この作品には その繊細さを周囲の人のあたたかさでうまく救い上げてくれています。そこがまた切なくていい作品です。
あぁ、うちの娘に 読ませたい!
(感動〜)
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ネタバレ中学の放送部を舞台にした、これはもうド直球の青春成長物語。
最初から最後まで、どろどろはなくて等身大の、どこにでもいる女の子の物語。そこが良いのだと思う。ドラマティックすぎず、明るさは失わず、悩みつつも仲間とともに答えを見つける。
わたしはもうひねくれた大人なので、ここまでストレートなものを見せられると、ううむ…国語の教科書か、国語のテストの例文のようだ…などと思ったりしてしまうのです。
だけど、これがとても丁寧に書かれた物語であることもわかるんですよ。このへん、うまく言えないけど、そう、見たことのあるキャラが多いのが安心感でもあり物足らなくもあるの…。バスケ部のいじめっこタイプの派手な女の子、とか生徒指導の嫌な先生とか、まあ敵キャラです。このへんがなー、もう少し理解できそうな良いところを見たかったというか。ああでも現実はむしろ、嫌なやつは嫌なやつなので、リアルではあるのか…。
美少女転校生の口の悪さとか、野球部の三田村くんの変わり者ぶりとか、そういうちょっとヒネってある設定は好き。奥行きというか。弟くんが出てくるあたりも良い。
で、最後の詩が、これも直球なんだけど、おお、ってなるくらいまぶしくて、なるほどここへすべてのメッセージが込められてるんだなあ、と思った。ここは本当にクライマックスで、さすがのひねくれた大人の心にもぐっと来た。
とにかく、ザ・王道青春ストーリーなので、たしかに既視感はあり、そうだなあ、題材が違えど他に同じ起承転結の物語は存在していると思われるんですけども。
でもなんか、すごくそれをきっちりとブレずに書き上げている。文章はシンプルだけど、ほんと読みやすくて上手い、お手本のようです。
言ってしまえばやっぱり感想文コンクールの課題図書らしさはすごくある。ほんとに優等生なの。シンボルとしてのメタセコイアの配置とかも。まとまりすぎてるくらいに。
でも意外にね、こういう安心して子どもに読ませられる作品って少ない。健全、っていうと薄っぺらくなるんだけど、よい意味で。
ちゃんと最後まで楽しく読めるし、良かった。
世界にむかって歩き出す、というテーマはね、ほんときらきらしてまぶしいなあ。
(個人的にはわたしも放送部だったので、みんなでやるものづくりの楽しさ、みたいな要素ももう少し欲しかったのかもしれん。映像研とか桐島部活とかの。どっちかというとオタク寄りの。そういう物語のほうが、わたしにはぶっ刺さる。けどまあそれは好みの問題です…) -
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ネタバレ本庄みさと。曙第二中学校の放送部。三年アナウンス担当の副部長。
古馬和人は同じく三年、機材担当の部長。先輩たちが卒業して、放送部はたった2人の弱小部となってしまった。みさとは本当はアナウンスは苦手だけど、古馬が機材と原稿作りを担当するので仕方がない。放送委員会が活動を始めるまでの間、お昼の放送をすることになって緊張するみさと。
そんな時、みさとと同じクラスに真野葉月(まのはづき)が転入してきた。誰もが振り向くほどの美人な葉月だが、クラスで誰とも仲良くなろうとせず、孤高の存在となった。
そして古馬が言うには、葉月は放送部経験者だと言う。それも、大会のアナウンス部門で賞を取るほどの実力者だと。
みさとのクラスの女子で亜美とその仲間は、かつてバスケ部で一緒に汗を流していたのだが、ある事がきっかけでみさとはバスケ部をやめた。そして、笑顔で、いじめにならないギリギリの所で毒を投げてくる亜美の事が苦手だ。
葉月も、亜美たちのことが嫌いだ。
席の近いみさとと少し話をするようになり、防音室で、葉月が思いっきり心の中に溜め込んだ言葉を吐き出せるようにしてあげたりした。
そして、みさとは葉月を放送部に誘った。
放送部の顧問の須貝先生は、放送の知識はないけど明るく、軽く、放送部の活動を応援してくれる。生徒指導の古権沢(こごさわ)先生は部員数の少ない放送部を目の敵のようにし、いろんな事を言ってくる。
みさと・古馬・葉月に加えて、身体を壊して野球部を休部している新納と一年生の珠子が加わった。そしてはじめて、大会に出る事になり、5人はその準備をはじめる。
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市川朔久子、四作目。
二作目、三作目はいまいちだったけど、これは一作目の次くらい良かった。
読みやすさは相変わらずで、すらすら読めて、虐待や摂食障害という重いモチーフも、読者の心を抉り過ぎないように書かれている。後味爽やか。
まあ、ちょっといい話にまとめ過ぎという気もするけど、小学高学年から中学生が対象だろうから、これでいいのかも。
実際には、主人公はまだ中学三年生なんだから、親元を離れるまで時間があるし、こういう父親だと、母親が娘に依存してさらに状況悪化となりそうだけど。
そこまでリアルにはしない。
物語の運び方、表現は上手く、日本のYA作家としては、かなりいいと認めざるを得ない。個人的には好きではないが、親も教師も安心して薦められる作家だと思う。 -
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ネタバレ廃部寸前の放送部。運動部をやめ、放送部に転部したものの、やる気になれずにやめそびれていたみさとだが、顧問になった新任教師の情熱に引きずられ、本腰を入れるようになる。一方、周囲に壁を作り孤立している転校生の本音に触れ、関わりを持つようになる。やがて放送部はある目標に向かって進むようになるが、学校一厳しい古顔の教師から横やりが入る。
大人の権威を振りかざし服従を要求する教師に対し、波風たてないやり方を知りつつも自分たちの信念を貫きたい中学生たちにエールを送る。飄々とした新任教師の存在は貴重。むしろ、子どもたちよりも彼が折れずに前進することを願う。