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Posted by ブクログ
奇妙な置き手紙を残して出て行った母親、血のつながらない父親、その気はなかったのに選ばれた記念行事実行委員、学校に来ない幼なじみ。中学生の論理の日々は当たり前だけど当たり前には過ぎていかない。
物語は論理の目を通して書かれます。一人称の物語は語り手が知らないことは書けない。語り手が他者に踏み込まなければ、他者の心の中はわからない。(中には超能力者か!? と思うような察知力を発するものもありますが)
そこがこの物語では丁度いい距離感となっています。
何故母親が家を出て行ったのか。父親は自分のことをどう思っているのか。よく知っていると思っていた友達の全く知らない顔。家族のことも友達のこともわからないことばかり。
語り手(論理)がわからないことは読者にも開示されない。でも読者は論理とは違うのだから、論理とは別の思考や経験から読み取ることもあるでしょう。そして論理が気付いたことも、全ては開示しない。その作品と読者との距離感も丁度いい。そのことを示唆するエピソードもさり気なく素敵なのです。
それぞれの登場人物が、その背景に大きな物語を背負っていることが垣間見られます。それこそそれぞれが主人公として物語を背負えるほどに。そのことが物語の骨格となり支えているから、淡々と進む物語に心を委ねて読むことができるのでしょう。星が繋がり星座となるように、人が繋がり物語をつむぎ出します。実に心地好い読後感でした。
Posted by ブクログ
序盤は、あまり物語に入り込めず、読むペースが遅かったのが、途中から面白くなってきて、最後には良い話だなあ、と思えました。
その理由を考えていると、私が主人公の「橘論里(ろんり)」の視点で読んでいたことに気付きました。
確かに、序盤の論里は、母のことや、父と妹の世話をしなければという生真面目なところもあって、何となく投げやり気味な雰囲気を、読んでいる私も感じ取り、やり切れない気分でいたのだと思う。
しかし、学校の創立二十周年記念行事イベントの実行委員の一人に選ばれた後に、何気に言った自らの考えを、本当に実現させたくて率先して動いている姿を見ていると、楽しそうな様子が文章から感じられて、それに周りも影響されて、最終的には素敵な思い出になっていく過程に、すごく納得させられました。青春っていいなあ、と。
最初は、あまりやる気のなかった委員の面々も、何をやればいいのかを明確にさせることで、効率的に行事の準備が進行するところには、意外にも、大人が読んで、ハッとさせられる点があるし、論里が三歳の頃に、母が結婚したお父さんと、その後に生まれた妹の「有里(あり)」との微妙な関係も丁寧に描いてあって、家族の在り方を考えさせられました。もちろん、母の真相についても。
また、他の登場人物については、論里の友達の名前のとおりの「元気」に、ぶっきらぼうだけど、良いところもある「大和」に、「進藤先輩」、「谷先生」と、個性的な面々で面白かったです。それから、「水原白(ましろ)」と論里の、静謐な心のやり取りにも注目ですよ。
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小説・文芸
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