市川朔久子のレビュー一覧
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橘論理(ろんり・中2男子)は実母と継父と妹の有里と暮らしている。ある日、学校から帰宅すると母親は置き手紙を残していなくなっていた。
``「いつか」は、いつ来るのか。
必ずくることは、信じていました。
でもそれがいつかはわかりません。
といって、ただ待つだけでも、つまりません。
そしたら、いいことを思いつきました。
こちらから迎えに行けばいいのです。
「今」を「いつか」に変えればいい。
というわけで、今日がその「いつか」です。
みんな、元気でなかよくね。
では、行ってきます!``
そして、母からかかってきた電話では
「詳しくはWebで!」って。
母不在でも、父は「あんな性格だから」と受け入 -
Posted by ブクログ
うーん、よくできてる。新しい梨木香歩かも。
『西の魔女が死んだ』を初めて読んだ時も、(もうひねくれた大人だったせいか)「うまいな」と思ったが、あのときは梨木香歩が今ほどの優れた作家になるとは思わなかった。
この作品も、現実の生活と折り合えなくなった少女が、第三者的な年配の女性と日常の仕事をこなし、本当の意味で手をかけてもらううち、自分を取り戻すという物語が『西の魔女』そっくり。
金井美恵子の『小春日和』もそうだけど、母親と上手くいかなくなった時、娘が本音を吐ける年上女性として「おばさん」は最適なのかもね。
この作者が梨木香歩みたいに大化けするかはまだわからないけど、ちょっと注目しておきたいな、 -
Posted by ブクログ
家族や友達との関わりを通して成長していく少年の物語。
読み始めは期待はずれかな?とも思ったけど、いやはやなんとも爽やかな話だった。
キャンドルナイトのイベントとかも参加したくなったかも。
物語の中で目を引くのは、主人公の小学生である妹。
その邪気のなさに脱力するというか、笑ってしまうというか。彼女にかかると、尖った兄のクラスメイトも形無し。
虫やツツジの蜜(私もよく吸った)、そしてチョコパイをこよなく愛する彼女のその朗らかさには、読んでいるこっちの気持ちまで明るくなる。まあ家の中に、なんでもかんでも虫を持ち込むのは勘弁して欲しいけど。
まだ著者二作目だけど、私この人の作品良いと思うなぁ。