市川朔久子のレビュー一覧
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廃部寸前の放送部。そこに誰もが振り返るほどの美人の転校生葉月が入部してくる。
そして熱心な顧問の須貝先生。
活動らしいこともしていなかった古場とみさとも、発声練習から始まり、やっと週一でお昼の放送を始めるところから部活らしい動きが始まる。
新入部員珠子も加わり、アイデアを出し合い、だんだん充実した放送になっていく。
ある日、須貝先生から放送コンクールに出てみないかと勧められる。しり込みをする未経験者の中にあって、アドバイザーとして力を発揮するのが葉月である。彼女は前の学校で放送コンクールの出場経験があったのである。彼女の指導は的確であるけれど、彼女は決してアナウンスはしない。
これには、転校の理由でもあるけれど、彼女の苦い思い出がかかわっている。
途中から入部することになる新納。彼はみさとの密かな憧れである。
淡い恋もあり、一つの目標に向かって皆で頑張る姿もあり、それぞれにちょっと苦い思い出なんかもある学園ものである。
個人的に言えば、誰もが認める美人でカリスマ性もあるけれど、ちょっと協調性に欠けた葉月がどうも好きになれない。 だけれども、読んでるうちに、放送コンクールの結果よりもなにより、葉月のアナウンスが聞きたいと思うようになるのです。
きみが歩きだすとき
生まれたての風が吹くだろう。
一歩を踏みだせたら
今 きみが 風の先頭になる
美しい声で読み上げる葉月の姿が目に見えるようです。私は、思わず声を出して読んでしまった。
いい詩なのです。
この物語ははじめにこの歌詞があって、作られたのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
読みながら微笑んで、そして涙する。
心がまあるくなっていく、やわらかな物語。
豊かな自然、ヤギ、トウモロコシ、いなくなる子供、それを探す大人…ちょいちょい「となりのトトロ」を連想させる箇所もありつつ、そんなところも好ましい。
三匹それぞれのヤギを「がらがらどん」になぞらえたのも良かったなぁ。
ついでに妙に人間臭い、後藤さんというネーミングセンスも私的にツボ。
ちなみに雷太が相手に気付かれないようにする為に、ヤギの鳴き真似で知らせた場面には笑った。
葉介じゃないけど、お前天才だな。
新鮮な野菜いっぱいのバーベキューと、一面に広がる天の川。三人で手を繋いで歩く道。
きらめくような夏と子供達の笑い声。
そして淡い淡い恋。
もう大人になってしまった私には、その全てがまぶしく思えた。
それだけに虐げられてきた彼らが、これからも笑顔でいられる事を願わずにはいられない。
特に夏芽が横暴な父親と、どうやって向き合っていくのかが気懸かり。
この夏たくさんの事を学び得た彼女が、しっかりと自分を持ちながら前に進んでいけたらいいな。 -
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久しぶりに、児童書コーナーへ。
講談社児童文学新人賞受賞作ということで、読んでみました。
主人公、まゆ子、12歳。
友達のタケルの”事故”を目撃してしまったことや、
母の愛情と期待に応えることが苦しくなって、
言葉を口にすることができなくなってしまった。
親元を離れ預けられた親戚の家は、昭和の香りがぷんぷんする「ひるま美容院」
そこの女主人の「ナオコ先生」
大きなふさふさの毛をした赤茶色の猫「ジンジャー」
見習いのサワちゃん、タケルそっくりの颯太、
古本屋のダジャレおじさん、コロッケ屋のおばちゃん。
彼らの温かなまなざしに包まれて、まゆ子の凝り固まってしまった心が、ゆっくりほぐれていく様子がとても良かったです。
ナオコ先生の”天使の手”のシャンプー、どんなに気持ちいいんだろう…。
あと、猫のジンジャーの無愛想感(笑)がいい味です。
もっと登場してほしかったなぁ。
またサワちゃんとダジャレおじさんの不仲の理由が可笑しくて~。
”児童文学新人賞作品”…
児童と呼ばれた日は遥か昔でも、これだけ感動できたことに、
まだまだ純粋無垢な心を持っていると、ひとりほくそ笑む私です(笑)
やさしくて、温かい一冊でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレまゆ子は 親戚のおばさんのナオコ先生のいる`ひるま美容院`に住まわせてもらっている。美容院はすずらん商店街にあり、常連さんのおばあちゃんたちがやってくる、昭和ににおいが残る小さなお店。まゆ子は学校に行かずに、ナオコ先生の手伝いをする。
幼なじみの事故を目撃して、声が出なくなったまゆ子。言葉は重く、のどにからみつく・・・。
ひるま美容院には、ナオコ先生と、時々バイトとしてやってくる、若くてきれいなサワちゃんがいる。看板ネコのジンジャー。商店街の古本屋のダジャレおじさん。コロッケをおまけしてくれる肉屋のおばちゃん。常連さんたち。
そして、サワちゃんの弟で、ちょっと口は悪いけど、気はいい颯太。
みんなに囲まれて、まゆ子は言葉を取り戻してゆく。
読み進むうちに、秘密があかされる。事故をみつめなおしてゆく話し運びがいい。
講談社児童文学新人賞受賞作。
帯より、「シャンプーのやわらかな指先に、心を閉ざしたまゆ子の心がふっくらとやさしくほどかれていく」