市川朔久子のレビュー一覧
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廃部寸前の放送部。そこに誰もが振り返るほどの美人の転校生葉月が入部してくる。
そして熱心な顧問の須貝先生。
活動らしいこともしていなかった古場とみさとも、発声練習から始まり、やっと週一でお昼の放送を始めるところから部活らしい動きが始まる。
新入部員珠子も加わり、アイデアを出し合い、だんだん充実した放送になっていく。
ある日、須貝先生から放送コンクールに出てみないかと勧められる。しり込みをする未経験者の中にあって、アドバイザーとして力を発揮するのが葉月である。彼女は前の学校で放送コンクールの出場経験があったのである。彼女の指導は的確であるけれど、彼女は決してアナウンスはしない。
これには、転校 -
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読みながら微笑んで、そして涙する。
心がまあるくなっていく、やわらかな物語。
豊かな自然、ヤギ、トウモロコシ、いなくなる子供、それを探す大人…ちょいちょい「となりのトトロ」を連想させる箇所もありつつ、そんなところも好ましい。
三匹それぞれのヤギを「がらがらどん」になぞらえたのも良かったなぁ。
ついでに妙に人間臭い、後藤さんというネーミングセンスも私的にツボ。
ちなみに雷太が相手に気付かれないようにする為に、ヤギの鳴き真似で知らせた場面には笑った。
葉介じゃないけど、お前天才だな。
新鮮な野菜いっぱいのバーベキューと、一面に広がる天の川。三人で手を繋いで歩く道。
きらめくような夏と子供達の -
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久しぶりに、児童書コーナーへ。
講談社児童文学新人賞受賞作ということで、読んでみました。
主人公、まゆ子、12歳。
友達のタケルの”事故”を目撃してしまったことや、
母の愛情と期待に応えることが苦しくなって、
言葉を口にすることができなくなってしまった。
親元を離れ預けられた親戚の家は、昭和の香りがぷんぷんする「ひるま美容院」
そこの女主人の「ナオコ先生」
大きなふさふさの毛をした赤茶色の猫「ジンジャー」
見習いのサワちゃん、タケルそっくりの颯太、
古本屋のダジャレおじさん、コロッケ屋のおばちゃん。
彼らの温かなまなざしに包まれて、まゆ子の凝り固まってしまった心が、ゆっくりほぐれていく様 -
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ネタバレまゆ子は 親戚のおばさんのナオコ先生のいる`ひるま美容院`に住まわせてもらっている。美容院はすずらん商店街にあり、常連さんのおばあちゃんたちがやってくる、昭和ににおいが残る小さなお店。まゆ子は学校に行かずに、ナオコ先生の手伝いをする。
幼なじみの事故を目撃して、声が出なくなったまゆ子。言葉は重く、のどにからみつく・・・。
ひるま美容院には、ナオコ先生と、時々バイトとしてやってくる、若くてきれいなサワちゃんがいる。看板ネコのジンジャー。商店街の古本屋のダジャレおじさん。コロッケをおまけしてくれる肉屋のおばちゃん。常連さんたち。
そして、サワちゃんの弟で、ちょっと口は悪いけど、気はいい颯太。 -
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ネタバレ声が出なくなってしまう少女といえば「ハッピーバースデー」が思い浮かぶけど、それよりも柔らかくて良い意味で軽い印象。
小学生の男の子と女の子のやり取りって、なんでこんなに可愛いんだろう。
些細な事でムキになって言い合いになる、颯太とまゆ子を見ていると思わず微笑んでしまう。
ナオコ先生の温かな眼差しと、力強い言葉。
そして何よりもその優しい指先で、まゆ子の心をほぐしていく。
ナオコ先生自身も、彼女の営む美容院も、彼女の生活スタイルも、素敵だなと思う。
ただ、出戻った背景や、彼女の子供のものと思われる着物についてもうちょっと触れて欲しかった。そこがどうしても、投げっぱなし感が否めない。 -
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あぁ、またしても丑三つ時〜
『よるの美容院』
市川朔久子(作)
講談社
★★★★☆
口を閉ざししゃべらない(しゃべれない)緘黙(かんもく)の小6の少女が、ゆっくりと「話す」を取り戻していくお話です。
読むにつれ明らかにされる事情と心情が感動的に運ばれます。
この少女の気持ちを主体に著されてあり、自分を取り戻していくその様子が丁寧に描かれています。
「できることはできる。できないことはできない。」「なにがだいじか、そうでないか、自分で考えて決めること」「それが、うまく人生の舵を取るコツよ」とアドバイスもあります。
特に思春期初めの頃の子どもは、大人の本音を知っているけど自分の本