【感想・ネタバレ】小やぎのかんむりのレビュー

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Posted by ブクログ

 家庭内で父親のモラハラに悩む中3の夏芽は、耐えられず、夏休みを利用して寺のサマーステイに行く。そこでの体験を通して、生きていくうえで大切なことを学ぶ。

 読みながらメモを取らなかったので、色々と取りこぼしている気がしますが、メモを取ることで途中で意識を途切れさせたくないほどに、本の世界に引き込まれました。親子関係、摂食障害、親からの虐待、子供を亡くすこと…など、様々な深刻な問題が出てきますが、それぞれの事象のことだけを書いているのではなく、あらゆる問題の根底に必要な力、理解、想いなどを教えてくれています。大人が読んでも考えさせられたり救われたりしますし、子供も、早い段階で知っておくと助けになることを、ヤギと人との触れ合いの楽しい描写が大半の中、所々に、優しく教わることができます。

人に大切なことを教えることができる人。ここでは寺の和尚のタケじい。とても厳しいんだけれど、相手を想ってくれているが故の厳しさで、自分を大切にしなさい、一人一人が宝なのだよと教えてくれる。良くない所もしっかりといさめてくれる。未熟者であっても、相手や自分と真摯に向き合っている人であれば、チャンスを与え、その人の成長を見守りながら育ててくれる姿に心を打たれた。

その我慢は、自分を生かす我慢か。それとも殺す我慢か? ( 和尚のタケじいの言葉)

うたをうたうといいよ。
かなしいときはね、
すきなうたをうたうと、
じかんがたつよ。(5歳の子供の言葉)

別に何かを学ぼうと思わずとも純粋に物語を楽しめるし、しかも、押し付けがましくなく心に響く事が書かれている、この上ない良書でした。人も世の中も、転がり落ちるように歪んで崩れていっているここ最近。このような本が必要だと思います。

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「そうだな、あんた一人じゃ無理だろうよ。未熟者だからな。おおかた自分の人生に引きずられるし、縛りもするだろう。だが、他の人間も手伝えば、そうひどいことにはならんだろう。」

「親子は、縁だ。あんたとこの世を結んだ、ただのつながりだ。それ以上でもそれ以下でもない。愛とか絆とか、そこに意味を持たせようとするから、なんだかおかしなことになる。そんなもの、運がよければ後から出てくるもんだ。ないものあると仮定するから、ゆがむ。苦しむ。はじめからありはしないのに」

「愛情を育めた親子は幸いだ。ただ、それがうまくいかなかったとしても、それはあんたのせいじゃない」

「子は親の、そのまた親の、ねじるれに振り回されただけだ。因果だよ。当然の結果だ。あんたは何も、悪くないよ。あと、くれぐれも言っとくが、許してやれとか言う連中には関わるな。あれはただの無責任な外野に過ぎん」

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2023年10月26日

Posted by ブクログ

泣ける!これ児童書なの?めっちゃいいじゃん!虐待する父親から必死にお寺に逃げた夏芽はそこで生きることを学びなおしていく。ヤギたちと触れ合い、雷太を守り導いていく。一夏を通して夏芽自身もすごく成長したし、そもそも夏芽がいい子すぎて泣ける。「優良図書」に選ばれるだけはある。中学、高校生だけでなく、大人にも読んでほしい。
ウチの近所のお寺もヤギを飼ってるけど、小さいうちは可愛くて毎日見に行きました。今はデカすぎてちょっと怖いけど、またヤギ見に行こう(笑)

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2022年07月28日

Posted by ブクログ

もう50歳手前のいい大人ですが、ずっと私も母を心から愛せないことに罪悪感を感じていた。宗教が、親を敬えとあまりに言うので、本当に辛かった。

でも、こんな風にいい子でいられる場所は、きっと誰にもどこかにあるはずだから、諦めないで生きて少年少女!

父親を死ねばいいのにと思ってしまった事に罪悪感を感じながら、家に居たくなくて、サマーキャンプを探すなつめ。交通事故で入院していた父が間もなく退院だと聞いただけで、友人と楽しく食べたたい焼きが、せり上がってくる…吐かないと。。

なつめが選んだのは、田舎の、お寺でのサマープログラム。料金が安く、家から遠かった。。

サマープログラムの参加者はなつめ一人きりだった。でも、その後お母さんに置いていかれた4歳の男の子、雷太も一緒に過ごす事になり、この雷太と、お寺の大人たちと、寺の芝刈りのためなやってきたヤギたち、ヤギの面倒をみている葉介もサマーステイにくわわり、雷太を父親から守る事で、なつめも少しずつ自分を取り戻していく…

お寺の大人たちの事情、住職の人間臭さ。なつめ達のお世話をしてくれる美鈴、お坊さんらしき人、穂村さん。彼らの暖かさが本当に素敵。子どもは親を選んで生まれてこれない…そう認めてくれることに救われる。そこはなつめの居場所だった…

ヤギたちは、自然の象徴だったのか、ストーリーテラーだったのか。
子どもたちに胸を張って勧めたい、心に届く物語だった。

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2018年04月01日

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ネタバレ

お嬢様学校白桐に通っている夏芽は、父親の横暴から逃れるためお寺で行われているサマースティに申し込んだ。行ってみるとなんと参加者は夏芽一人だった。
そこへ母親に置き去りにされた5才の雷太と、お寺の草刈りの助っ人、3匹の山羊をつれた高校生の葉介が加わる。
お寺の手伝いをしながら規則正しい生活をし、幼い子の相手をすることによって夏芽は自分の問題を整理し、初めて他人に相談することができるようになる。
山羊が帰り、夏休みが終わり、力強い味方を得て夏芽は自分の生活に戻ってゆく。

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2017年10月28日

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ネタバレ

同業者が何人か「良かった」と言っていて読み始めた。

表紙のイラストの可愛さに反して、テーマは重たい。
夏芽は言葉で父に支配され、そのことに反感を持ち、そんな自分が汚らわしいと自分を責める。
雷太は父に暴力を振るわれ、バカと言われ、自分はダメな子と思っている。

そんな二人がお寺で出会う。
夏芽は親から逃げるように参加したサマーキャンプ。
雷太は母親から突然預けられ。

しかし、傷ついた二人に対し、お寺の人たちは穏やかで優しかった。
ひょんなことから飼うことになった3匹のヤギとその世話役の葉介も加わったお寺の夏。
夏芽はだんだん摂食障害の症状も収まり、雷太は子どもらしく伸び伸び過ごすように。
しかし、そう簡単には二人の傷は治らない。

仕事を弟子に任せて遊び歩いている一見どうしようもない住職が、夏芽に言う言葉
「親子は、ただの縁。それ以上でも、それ以下でもない」
親子関係がうまくいかない人達には、この言葉に救われるだろうなと思った。

夏芽には友達がいる、逃げられる場所がある、待っていてくれる人がいる。
それだけで、自立するまで力強く生きていけるのではないだろうか。

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2017年06月26日

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拍子の羊毛フェルト(?)の小やぎちゃんがかわいいのでほんわか系かと思いきや、重たかった。
でもよかった。

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2017年06月10日

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中三の夏休み、『夏芽』は父から離れたい一心で、お寺のサマースティを申し込んだ。
着いて見れば、とんでもなく田舎の山寺で、参加者は夏芽一人きり。だが、そこへ母親に置いていかれた小さな男の子『雷太』が加わり、草刈りに駆り出されたやぎの『後藤さん』と世話係の高校生『葉助』と…。
悩める子どもたちに送る心暖まる物語。


虐待、摂食障害など、心身ともに傷つけられた子どもたち。中学生の女の子の目線で書かれているので軽いタッチではありますが、とても辛い話です。それでも情景描写はとても美しく、出てくる食べ物もとても美味しそう。読んでいるだけで、こちらも元気がもらえそうです。
きっと世の中には親との関係に苦しんでいる子どもたちが沢山いると思います。
もしあなたが、親に傷つけられているのだとしたら…
大人が間違っているときだってあるんです。あなたは何も悪くない。たとえ親を嫌おうとも、それはあなたのせいじゃない。
この話の彼らだって、問題が解決した訳じゃない。でも、確実に彼らの中には何かが芽生えたのだと思う。彼らとあなたの未来を信じたい。

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2017年01月03日

Posted by ブクログ

以前、ブク友の111108さんが読まれていたのを思い出し、久々の市川朔久子さんだったが、まさか、こんなにシリアスな内容だとは思わなかった。

夏休みにおける、自然がいっぱいのお寺生活と、山羊や新しい仲間達とのふれ合いにより、日々の生活って、こんなに楽しいものだったんだと、改めて実感する様子も清々しく、読み所なのだが、私は別の視点で書いてみようと思います。


それにしても、本書の主人公「夏芽」や「雷太」の父親は(山羊の匂いに不快感を顕わにしていた母親も)、極端過ぎる例として書いているのかもしれないが、実際に、こういう親いるんだろうな。

私の今の職場では、よく親子連れを見るが、時折、子供にとっての支えは、親しかいないんだと実感させられる出来事もあり・・・その一つが、なんでもない平らに見えそうな床で、躓いて転んだ子供に対して、横にいた母親のかけた言葉が、

「普通、こんなところで躓かないでしょ」だった。

その時に私は、「子供の普通とあなたの普通は違うと思いますよ」と、つい思ってしまうのだが、実際に子育てしている方も大変なんだろうなと思うとね。

ただ、その時の母親の言った言葉一つ、ただそれだけが、子供にとっての正解みたいになってしまうことが、私にはとても怖く感じてしまって、それが積み重なって成長した子供が、果たしてどんな思いを心の内に抱えることになるのか・・・児童書を大人が読むことの意義というのは、当然あると私は思うのだが、本書の場合、子供のこうした体験や思いから、結果、思いもよらない方向へ進んでしまう可能性もあることを知ってほしいから、是非、大人に読んで欲しい。

もちろん、夏芽くらいの高校生、そして中学生も、親に対する他人に言えないような悩み、苦しみ、モヤモヤ感があるのなら、一度読んでおくことをおすすめします。

なぜなら、児童書として発売されることのもう一つの意義は、若い内に知っておいた方が良いことがあることを教えてくれることだと思いますし、これって、学校で教えてくれるのかな? 
少なくとも、私の頃は教えてくれなかったな。


『その我慢は、自分を生かす我慢か。それとも殺す我慢か?』

『家族が好きになれないって、けっこうツライのよね。──自分がすごくひどい人間みたいで』

『子どもはみーんな、のうのうと生きてればいい』


正直なところ、親と子の関係性について、一部、断定的な書き方が、気にならなくはなかったが、それでも読んでみて、こういう考え方もあるんだといった、今後の人生における、新たな視点のひとつにはなるのではないかと思っております。


それから、最後にもう一つ、大切なことを。

物語で、夏芽が落ちかけたような負の感情を人間は持っているということと、タケじいが厳しい声で言っていた『同じ場所に落ちるんじゃない』。

この二つは同義であって、私も痛いほど、そうしたい気持ちは本当に本当に分かるんだけど、それでもやっぱり、これはしちゃダメだよと。

おそらく、私が若い頃は、絶対に聞かなかったと思うので、説得力は弱いんだけど・・・今の年になって、やっと分かってきました。

だから、これを若い内に、心の片隅に覚えておいてくれれば、きっと人生が、もっと楽しくなる気もするんだよね。

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2022年08月28日

Posted by ブクログ

まず表紙がとても可愛い。そしていわゆるYA(ヤングアダルト)の本なのでとても読みやすいです。すんなり読めるので軽い読み物と思いがちですが、こういう児童文学寄りの本には傑作が多数含まれています。むしろ名作の宝庫と言っても過言ではありません。
で、この本は父親からモラハラを受けている女子中学生が、山寺のサマースクールでひと夏を過ごす話です。
一見爽やかで優しさに溢れている気分のいい本なのですが、ちりばめられたモラハラ、DV、ネグレクトがちくりちくりと胸を刺します。当然YAなので直接的な描写は無いです。基本希望にあふれているのですが一緒に夏を過ごす5歳の放置子の存在も切なく、夏が終わった時に皆離れてしまう寂しさに、子供の頃の夏休みの切なさを重ね合わせてしまいます。
この方、直接的な下品な泣かせをしないで涙腺を刺激するの上手いです。紙コップのオリオンも淡々としながらちょっとうるりとさせられましたから。
この方、青少年枠から飛び出した、森絵都さんや、あさのあつこさんのようになれる可能性が有るような気がします。

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2019年08月15日

Posted by ブクログ

予想外に良かった。
毒親という存在は想像するしかないのだけど、その子どもが抱える苦しみは、本当に並大抵ではないのだと辛かった。
夏芽の問題が、周りの人との関係の中で、少しずつ明かされていく展開が、上手い。特に、少年二人と老僧が導き手になるというのは、なんとも私のツボだった。
そして、大人だって問題を抱えているという説得力。
最後には、問題が明白になり、希望がもたらされる。心打たれるしかない。

小学校で飼っていた山羊のメーちゃんを懐かしく想った。

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2019年05月19日

Posted by ブクログ

地元では人気の中高一貫の女子校の中3の万木夏芽(まきなつめ)は、夏休みを由緒ある静かなお山寺でサマースティに参加することに。しかし、行ってみたら参加者はたったの一人。お寺には住職と見習いの穂村さん、住職の孫の美鈴さんがいた。そこに、DVの父親から逃れてきた母親が、勝手に置いて(預けて)いった5歳の雷太も加わって過ごすことに。
やがて寺の草刈りのヤギ3匹と夏休み中ヤギの管理をすることになっている高校生の葉介も加わった。
夏芽の生活に不穏な空気を抱きながら読み進めていくと、夏芽がサマースティに参加したわけが、どんどん明かされ納得と同時に辛くなる。そして、夏芽が暖かい人たちに囲まれて、辛い思いをしてきた雷太を愛おしむことで、自分を肯定していく。

ヒドイ親を否定する自分を良くないと思う子どもがいる。いじめられても自分が悪いからだと考えてしまう人がいる。
悪い人に関わると自分が分からなくなってしまう事がある。生きていくには、自分を信じて生きて行くことが必要だ。

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2018年12月06日

Posted by ブクログ

家庭が安住の場所ではない、または学校も同じく、というような設定の話ばかりの昨今である。
この話も私立の女子校に通う一見恵まれた環境にいるように見える主人公が、実は苦しい心を抱えて生活している、という設定だ。
そんな状況から抜け出したくてお寺のサマーキャンプに参加。参加者は自分だけだが、お寺を取り巻く人々と生活にやっと普通に息をする感覚を取り戻す…。
主人公と同年代の子ども達にとって、この手の本はどうなのだろうか?といつも思ってしまう。主人公の成長を描いていて、心を打たれるのだが、当事者世代には見たくない現実を再び見せられる感じがしないだろうか?だから思い切りフィクションのラノベに流れてしまうのだろうか?とかついつい考えてしまう、感想からは逸脱しているが…。

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2018年06月03日

Posted by ブクログ

中学3年生の夏芽は、ケガの療養のために自宅にいる高圧的な父から逃げるために、山寺のサマーステイに参加することにした。そこには、ちょっと変わった(不真面目な?)住職と、その孫娘、修行中の若い僧侶がいたが、参加者は彼女一人だけだった。最初の晩、彼女は自分の布団の中に眠る子どもを発見する。それは、母親からここに隠れているように言われた5歳の男の子だった。彼らの奇妙な同居生活(サマーステイ?)が始まる。

話が進むにつれ、かわいいタイトルと表紙の写真からは想像もできない重い話が広がる。その重さが、田舎の美しい光景と人々のやさしさに晒され、癒されていく。

ユーモアを挿み込みながら心の痛みと向き合うところが市川朔久子らしい。

虐待されていた子どもが新しい環境にすぐに馴染んでしまったり、思春期の少女が、ただただ真面目に自分の罪と向き合ったり、……う~ん、ちょっとそれはあまり現実的じゃないでしょうと思われる点も散見しましたが、それでも、前を向いていきたい若者たちのエネルギーで読ませてしまいます。

難易度は高学年ですが、内容を考えると中学生で良いと思います。

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2017年12月03日

Posted by ブクログ

表紙に一目惚れ。中学生の夏芽は、家から逃れたくて田舎のお寺にサマーステイする。そこで出会った人々の優しさ、温かさ。草刈りの秘密兵器は、やぎの後藤さんとビンゴとクララ。メェェェェ!と鳴いてやぎを呼び寄せる雷太が可愛い。住職は普段ちゃらんぽらんなのに言うことは深い。読んで良かった。

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2016年10月28日

Posted by ブクログ

表紙にだまされた~(笑)
家族から逃れて、寺にサマーステイする中3女子の夏休み。
家族への黒い感情って、自分で自己嫌悪しちゃうのよね。心にたまった澱に押し潰されそう。
親子の縁ってなかなか切れないし、大人は狡いし。
本の中で問題がすべて解決するわけではなく、種は蒔かれた!というところか?
親に見切りをつけることでも大人になっていくのね…。

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2016年10月18日

Posted by ブクログ

表紙もかわいいし、全体のトーンも暗くはないけれど、登場人物たちの抱えている事情がそれぞれ重い。

モラハラ、DV、痴漢やらなにやら…

鬱展開になる訳ではないし、むしろ父親から逃げるようにやってきた山寺で主人公が癒され、成長していく様は爽やかで良い小説だったんだけど、デリケートな問題が多く出てくるので、もし読むなら自分の気持ちが元気な時の方が良いなと思った。

よーすけちょっとイケメンじゃんね。

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2016年10月15日

Posted by ブクログ

夏休みのお寺のショートステイ。

自宅にいたくない中学生女子、
親に半ば置いてけぼりにされたような5歳の男児。

住職らしくない住職のもと、
お寺過ごす日々。

シンプルな生活中で自分を取り戻す彼ら。
とてもよかった。
お寺の大人たちがみんな、
きちんと生きようとしている人たちで、
そして子どもに温かい。

みんな宝。
子どもはもちろん大人も。

ヒーローはいないけど勇気のでる作品でした。

後藤さんがよかった、いい味出してた。

むしろ後藤さんが一番よかった。ヤギだけど。

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2016年09月18日

Posted by ブクログ

父親とできるだけ離れていたくて、中三の夏芽は「お寺でサマースティ」というものに申し込んだ。着いたところは山の中。参加者は一人だけだという。不安にかられる夏芽だが、飛び入りでやってきた事情がありそうな5歳の男の子雷太、近所の農家で夏休みを過ごしている高一の葉介やヤギの後藤さんも加わって、にぎやかな夏になってきた…。

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2016年08月23日

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中学生の少女が山寺で過ごす夏休み。
少女とそこで出会った5歳の男の子は親の虐待を受け共に心が傷ついているが、山寺の人達の温かい心に触れ癒されていく。
夏の終わり、幼い子は守られ、少女は立ち向かっていく。
どの子も “宝” の言葉に救われる思いがする。

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2016年05月30日

Posted by ブクログ

読みながら微笑んで、そして涙する。
心がまあるくなっていく、やわらかな物語。

豊かな自然、ヤギ、トウモロコシ、いなくなる子供、それを探す大人…ちょいちょい「となりのトトロ」を連想させる箇所もありつつ、そんなところも好ましい。

三匹それぞれのヤギを「がらがらどん」になぞらえたのも良かったなぁ。
いでに妙に人間臭い、後藤さんというネーミングセンスも私的にツボ。
ちなみに雷太が相手に気付かれないようにする為に、ヤギの鳴き真似で知らせた場面には笑った。
葉介じゃないけど、お前天才だな。

新鮮な野菜いっぱいのバーベキューと、一面に広がる天の川。三人で手を繋いで歩く道。
きらめくような夏と子供達の笑い声。
そして淡い淡い恋。

もう大人になってしまった私には、その全てがまぶしく思えた。
それだけに虐げられてきた彼らが、これからも笑顔でいられる事を願わずにはいられない。
特に夏芽が横暴な父親と、どうやって向き合っていくのかが気懸かり。
この夏たくさんの事を学び得た彼女が、しっかりと自分を持ちながら前に進んでいけたらいいな。

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2016年05月26日

Posted by ブクログ

サマーキャンプでお寺へ出かけた夏芽だが、なんと参加者は1人!?名門女子校のお嬢さんではあるものの、深い悩みを抱えている。

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2016年05月26日

Posted by ブクログ

この頃しんどい本を選んでる私を気にしてくれたのかな?MZTさんがこの本を持って来てくれた
季節は夏 田舎のお寺 なーんかいい感じです
ほんのりリラックスして読み始めました

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2020年11月10日

Posted by ブクログ

市川朔久子、四作目。
二作目、三作目はいまいちだったけど、これは一作目の次くらい良かった。
読みやすさは相変わらずで、すらすら読めて、虐待や摂食障害という重いモチーフも、読者の心を抉り過ぎないように書かれている。後味爽やか。
まあ、ちょっといい話にまとめ過ぎという気もするけど、小学高学年から中学生が対象だろうから、これでいいのかも。
実際には、主人公はまだ中学三年生なんだから、親元を離れるまで時間があるし、こういう父親だと、母親が娘に依存してさらに状況悪化となりそうだけど。
そこまでリアルにはしない。
物語の運び方、表現は上手く、日本のYA作家としては、かなりいいと認めざるを得ない。個人的には好きではないが、親も教師も安心して薦められる作家だと思う。

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2017年03月13日

Posted by ブクログ

子供は親を選べない.親から逃れたい一心で参加した辺鄙なお寺でのサマーステイ.それぞれ心の傷を抱えた人々の中で,癒されていく夏芽.草刈りの新兵器,ヤギの後藤さんをはじめヤギ達のぬくもり,置き去りにされた子供雷太や生物部の葉介の友情で,生きる力を取り戻す.カラオケ大好きな一見チャランポんな住職の存在が光る.

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2016年06月18日

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