市川朔久子のレビュー一覧

  • 小やぎのかんむり

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    「日常の裂け目は、すぐ手の届くところに口を開けている」
    日常の怖さの中に、勇気と希望を感じる事が出来ました。
    普段子どもと接している人、かつて子どもだった人にすすめたい良書です。

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    2025年08月18日
  • おしごとのおはなし 美容師 かのこと小鳥の美容院

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     本書は、シリーズ『おしごとのおはなし』ということで、物語は二の次なんでしょと思っている、そこのあなた、物語だけでも充分に読む価値のある、美容師の仕事の素晴らしさを知りながらも、女の子の成長を描いた作品なのです(小学校中級から)。

     しかも本書の場合、『しずかな魔女』や『小やぎのかんむり』といった素敵な物語を書かれてきた市川朔久子さんと、私の好きな種村有希子さんの色鉛筆の素朴な愛らしさが光る絵による、最高のコラボレーションである点も見逃せないけれど、物語の始まりは決して明るいものではありません。


     いつも大切にしている長い髪を、お母さんに結んだり編んだりしてもらっていた、女の子「かのこ」

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    2024年10月26日
  • 小やぎのかんむり

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    以前、ブク友の111108さんが読まれていたのを思い出し、久々の市川朔久子さんだったが、まさか、こんなにシリアスな内容だとは思わなかった。

    夏休みにおける、自然がいっぱいのお寺生活と、山羊や新しい仲間達とのふれ合いにより、日々の生活って、こんなに楽しいものだったんだと、改めて実感する様子も清々しく、読み所なのだが、私は別の視点で書いてみようと思います。


    それにしても、本書の主人公「夏芽」や「雷太」の父親は(山羊の匂いに不快感を顕わにしていた母親も)、極端過ぎる例として書いているのかもしれないが、実際に、こういう親いるんだろうな。

    私の今の職場では、よく親子連れを見るが、時折、子供にとっ

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    2022年08月28日
  • よるの美容院

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    誰にも言えないこと。親からのプレッシャー。ズレている周囲の気遣い。子どもにとって、自分ではどうしようもできないことが、主人公を追い詰めていったんだなぁと思い、苦しくなった。一番言いたかったことはなかなか言えない。苦しいよね。うん。苦しかったと思う。
    誰だって子ども時代、理不尽だなぁと思うことがあったはず。そんな、言葉にできないモヤモヤ、心の変化を丁寧に書き出していて、最後の希望が見える終わりかたもよかった。

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    2021年08月14日
  • 紙コップのオリオン

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    序盤は、あまり物語に入り込めず、読むペースが遅かったのが、途中から面白くなってきて、最後には良い話だなあ、と思えました。

    その理由を考えていると、私が主人公の「橘論里(ろんり)」の視点で読んでいたことに気付きました。

    確かに、序盤の論里は、母のことや、父と妹の世話をしなければという生真面目なところもあって、何となく投げやり気味な雰囲気を、読んでいる私も感じ取り、やり切れない気分でいたのだと思う。

    しかし、学校の創立二十周年記念行事イベントの実行委員の一人に選ばれた後に、何気に言った自らの考えを、本当に実現させたくて率先して動いている姿を見ていると、楽しそうな様子が文章から感じられて、それ

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    2020年12月29日
  • よるの美容院

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    タイトルは「よるの美容院」。
    お店の名前は「ひるま美容院」。

    ネーミングの妙の面白さもあるが、タイトルは、主人公の「まゆ子」にとって、とても大切な意味合いを持つ。

    まゆ子の身に起きた異変は、シリアスに重くなりがちなテーマであるが、それを、のんびりと温かく描いているところに、この作品の良さがあると思いました。

    そこには、周りの温かい人達に囲まれながらの暮らしもあるし、「ナオコ先生」のまゆ子との距離感も良い。役割をきちんと与え、見守りつつ、そっと助言をしてくれる。「しずかな魔女」もそうだったが、「気づき」を促すことが、本人にとって重要なのだと思いました。それがどんなに辛いことでも、共に寄り添

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    2020年12月04日
  • 小やぎのかんむり

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    まず表紙がとても可愛い。そしていわゆるYA(ヤングアダルト)の本なのでとても読みやすいです。すんなり読めるので軽い読み物と思いがちですが、こういう児童文学寄りの本には傑作が多数含まれています。むしろ名作の宝庫と言っても過言ではありません。
    で、この本は父親からモラハラを受けている女子中学生が、山寺のサマースクールでひと夏を過ごす話です。
    一見爽やかで優しさに溢れている気分のいい本なのですが、ちりばめられたモラハラ、DV、ネグレクトがちくりちくりと胸を刺します。当然YAなので直接的な描写は無いです。基本希望にあふれているのですが一緒に夏を過ごす5歳の放置子の存在も切なく、夏が終わった時に皆離れて

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    2019年08月15日
  • 紙コップのオリオン

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    児童文学というのは大人が見てこりゃあいい本だと思ったものが出てくる感じがするので、全体的に外れは無いような気がするし、シンプルで奥深いものが多いような感覚が有ります。
    本作は親も一人の人間で夢も希望も有るという事と、自分の力は何かに取り組む事で初めて引き出されるという事がよく描かれています。それが説教臭くなく物語に昇華されている辺りとてもいい本だなあと思いました。
    文体的には子供っぽいという事は特になく、普通の青春成長小説として評価出来ます。
    変なお涙頂戴が少ないのも児童文学の好きな理由かもしれません。

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    2019年08月06日
  • 小やぎのかんむり

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    予想外に良かった。
    毒親という存在は想像するしかないのだけど、その子どもが抱える苦しみは、本当に並大抵ではないのだと辛かった。
    夏芽の問題が、周りの人との関係の中で、少しずつ明かされていく展開が、上手い。特に、少年二人と老僧が導き手になるというのは、なんとも私のツボだった。
    そして、大人だって問題を抱えているという説得力。
    最後には、問題が明白になり、希望がもたらされる。心打たれるしかない。

    小学校で飼っていた山羊のメーちゃんを懐かしく想った。

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    2019年05月19日
  • ABC! 曙第二中学校放送部

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    2017年度読書感想文中学校の部の課題図書

    中学校で放送部というのはとても珍しいのではないだろうか。
    廃部寸前の弱小部で、コンクール目指して奮闘する部員たち。でもそこに至るまでは紆余曲折。
    中学時代って、ホントに色々めんどくさいんだよなぁ…とあの時代にトリップして読んだ。
    それくらい、作家の目線がリアルだった。

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    2019年05月05日
  • 小やぎのかんむり

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    地元では人気の中高一貫の女子校の中3の万木夏芽(まきなつめ)は、夏休みを由緒ある静かなお山寺でサマースティに参加することに。しかし、行ってみたら参加者はたったの一人。お寺には住職と見習いの穂村さん、住職の孫の美鈴さんがいた。そこに、DVの父親から逃れてきた母親が、勝手に置いて(預けて)いった5歳の雷太も加わって過ごすことに。
    やがて寺の草刈りのヤギ3匹と夏休み中ヤギの管理をすることになっている高校生の葉介も加わった。
    夏芽の生活に不穏な空気を抱きながら読み進めていくと、夏芽がサマースティに参加したわけが、どんどん明かされ納得と同時に辛くなる。そして、夏芽が暖かい人たちに囲まれて、辛い思いをして

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    2018年12月06日
  • 小やぎのかんむり

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    家庭が安住の場所ではない、または学校も同じく、というような設定の話ばかりの昨今である。
    この話も私立の女子校に通う一見恵まれた環境にいるように見える主人公が、実は苦しい心を抱えて生活している、という設定だ。
    そんな状況から抜け出したくてお寺のサマーキャンプに参加。参加者は自分だけだが、お寺を取り巻く人々と生活にやっと普通に息をする感覚を取り戻す…。
    主人公と同年代の子ども達にとって、この手の本はどうなのだろうか?といつも思ってしまう。主人公の成長を描いていて、心を打たれるのだが、当事者世代には見たくない現実を再び見せられる感じがしないだろうか?だから思い切りフィクションのラノベに流れてしまうの

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    2018年06月03日
  • よりみち3人修学旅行

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    卒業式も終わった春休み、特に仲良しでもなかった柊と風知に誘われて、風知の父親のところまで旅行に行くことになった天馬。実は3人とも修学旅行に行けなかったから、その代わりだという。しかも父親から難しいミッションを与えられている風知は、どうしても二人に一緒に来てほしいのだ。子どもが親に会いに行くのになぜそんなミッションが必要なんだ? それぞれが抱える思いや辛さも、3人でいろんなことを乗り越えるうちに…。
    個性的な3人の、ハラハラするエピソード満載の修学旅行。

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    2018年04月23日
  • 小やぎのかんむり

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    中学3年生の夏芽は、ケガの療養のために自宅にいる高圧的な父から逃げるために、山寺のサマーステイに参加することにした。そこには、ちょっと変わった(不真面目な?)住職と、その孫娘、修行中の若い僧侶がいたが、参加者は彼女一人だけだった。最初の晩、彼女は自分の布団の中に眠る子どもを発見する。それは、母親からここに隠れているように言われた5歳の男の子だった。彼らの奇妙な同居生活(サマーステイ?)が始まる。

    話が進むにつれ、かわいいタイトルと表紙の写真からは想像もできない重い話が広がる。その重さが、田舎の美しい光景と人々のやさしさに晒され、癒されていく。

    ユーモアを挿み込みながら心の痛みと向き合うとこ

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    2017年12月03日
  • 小やぎのかんむり

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    表紙に一目惚れ。中学生の夏芽は、家から逃れたくて田舎のお寺にサマーステイする。そこで出会った人々の優しさ、温かさ。草刈りの秘密兵器は、やぎの後藤さんとビンゴとクララ。メェェェェ!と鳴いてやぎを呼び寄せる雷太が可愛い。住職は普段ちゃらんぽらんなのに言うことは深い。読んで良かった。

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    2016年10月28日
  • ABC! 曙第二中学校放送部

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    いや、これは名作なんじゃないかな。

    あまりに予定調和的なラストとか、あまりに一面的な敵役とか、ひょっとしたらそういう不満を持つ人がいるかもしれないけど、いいのである。中学生向けの本なんだから。

    で、エンタテイメントとして秀逸。
    特にキャラが立っているし、そういったキャラの特徴を物語の最前半でちゃんと提示するのがすごい。
    ストーリーも奇をてらわないけどありきたりでもなく、一切のたるみを見せずに最後まで続く。

    うん、やっぱ名作だ。

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    2016年10月21日
  • 小やぎのかんむり

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    表紙にだまされた~(笑)
    家族から逃れて、寺にサマーステイする中3女子の夏休み。
    家族への黒い感情って、自分で自己嫌悪しちゃうのよね。心にたまった澱に押し潰されそう。
    親子の縁ってなかなか切れないし、大人は狡いし。
    本の中で問題がすべて解決するわけではなく、種は蒔かれた!というところか?
    親に見切りをつけることでも大人になっていくのね…。

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    2016年10月18日
  • 小やぎのかんむり

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    表紙もかわいいし、全体のトーンも暗くはないけれど、登場人物たちの抱えている事情がそれぞれ重い。

    モラハラ、DV、痴漢やらなにやら…

    鬱展開になる訳ではないし、むしろ父親から逃げるようにやってきた山寺で主人公が癒され、成長していく様は爽やかで良い小説だったんだけど、デリケートな問題が多く出てくるので、もし読むなら自分の気持ちが元気な時の方が良いなと思った。

    よーすけちょっとイケメンじゃんね。

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    2016年10月15日
  • 小やぎのかんむり

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    夏休みのお寺のショートステイ。

    自宅にいたくない中学生女子、
    親に半ば置いてけぼりにされたような5歳の男児。

    住職らしくない住職のもと、
    お寺過ごす日々。

    シンプルな生活中で自分を取り戻す彼ら。
    とてもよかった。
    お寺の大人たちがみんな、
    きちんと生きようとしている人たちで、
    そして子どもに温かい。

    みんな宝。
    子どもはもちろん大人も。

    ヒーローはいないけど勇気のでる作品でした。

    後藤さんがよかった、いい味出してた。

    むしろ後藤さんが一番よかった。ヤギだけど。

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    2016年09月18日
  • 小やぎのかんむり

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    父親とできるだけ離れていたくて、中三の夏芽は「お寺でサマースティ」というものに申し込んだ。着いたところは山の中。参加者は一人だけだという。不安にかられる夏芽だが、飛び入りでやってきた事情がありそうな5歳の男の子雷太、近所の農家で夏休みを過ごしている高一の葉介やヤギの後藤さんも加わって、にぎやかな夏になってきた…。

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    2016年08月23日