小川さやかのレビュー一覧

  • 「その日暮らし」の人類学~もう一つの資本主義経済~

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    貯金とか退職金とか社会保障とか、本邦の現代人なら将来を見越した生き方をしないと漫然と不安で、未来なんか無いみたいに短期的視野で暮らす生き方なんて想像つかないし、安定してなくてなんかかわいそう。
    と、見下している読者に新たな世界を教えてくれる面白い本でした。

    作者は想定してないと思いますが、その日暮らしの類型によく似た存在を最近読んだ本で見ていました。
    安定した職がない、行き当たりばったりで仕事する、貯金もしない、それなのに客人にパッと気前よく振る舞ってしまい知り合いにたかりに行く、人間関係で金を回してしのぐ。
    それはヤクザと言います。
    (ただし、ヤクザは作中の類型と大きく異なる部分、道義的な

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    2024年08月24日
  • 「その日暮らし」の人類学~もう一つの資本主義経済~

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    新たな世界観を拓いてくれた書。

    インドを旅行した時に、同じような店がずらりと並ぶ。差別化特になし。
    なぜなんだろうなーとずっと思っていた。


    あとで記載する

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    2023年12月28日
  • 都市を生きぬくための狡知――タンザニアの零細商人マチンガの民族誌

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    著者が実際にタンザニアで古着を売る商人と一緒になって古着を売りながら調べたものである。マチンガについて知るために飲み会の費用を全額持ったが結局わからなかったという事例も書かれている。それぞれの商人からの聞き書きの部分はポイントを小さくしているが、字下げで引用してくれた方がよかったと思う。写真や表や図がある。
     様々な本で一部が紹介されていて、博士論文の一部も入っている個人露店商売の集大成の本である。
     タンザニアだけでなく、ほかの国の露天商を研究する上でも役立つと思われる。

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    2023年04月11日
  • 自由に生きるための知性とはなにか

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    自由に生きるための知性
     これはいってしまえば=教養なのかなと思った

    第一部が特に心に残った
    教養を学ぶ意義
    教養と社会の関係について整理できた

     いま、教養が大事だと改めていわれている理由
     →教養から専門知に傾いて
      専門家と一般人のコミュニケーション
      が上手くいかず、さらには
      非対称な垂直な関係になり
      専門家と一般人の間の信頼が崩れた
     →終身雇用制度が崩壊しており
      学び続ける力が必要になってきている
       =エンプロイアビリティ

     一方で、教養・リベラルアーツとは、
     それがある人とない人を隔てる垣根であり
     いま社会から求められている教養との間に
     ジレンマが

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    2023年03月26日
  • 「その日暮らし」の人類学~もう一つの資本主義経済~

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    下からのグローバル化=効率化のために労働者を切り捨てず無数の雇用を生み出す、知識や技能を独占せずに共有する、経済が水平なネットワークで動く

    常に計画を立てて将来のために今を消費するような生き方は、日本のように整えられた社会だからこそできることで、でも確かにやりたいことをやりたい時にやる、という気持ちを制限している部分があるから、この生き方に縛られなくてもいいのかなと思った。Living for Todayの考え方はアナキズムとも繋がるかもと思った。

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    2021年12月03日
  • 「その日暮らし」の人類学~もう一つの資本主義経済~

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    ネタバレ

    タンザニアの零細商人を中心に、情報・構成が整理されていて読みやすかった。Living for Today(その日その日を生きていくこと)を基盤に、絶えず試しにやってみて、稼げるようなら突き進み、稼げないようなら撤退する。仕事は仕事。どれかは/誰かは成功することで、その分だけ誰かの余地が生まれる。対面交渉による「信頼」がすべて。失敗しても誰かの稼ぎで食いつなぐ。インフォーマル経済の違法性は「法的な違法性」と「道義的な違法性/合法性」で区別され、人々の受け止め方も違う。後者のほうがNG行為なよう。

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    2021年07月17日
  • 「その日暮らし」の人類学~もう一つの資本主義経済~

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    価値観の引き出しがボカンと増える感覚。
    鬼のフィールドワークで世界を覗き見る著書。逞しさと賢さに惚れ惚れする。めちゃくちゃ面白かった。

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    2020年12月27日
  • 都市を生きぬくための狡知――タンザニアの零細商人マチンガの民族誌

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    ネタバレ

    どうやって参与観察を研究にするのかのものすごくいい例。それは別にして面白い。最後の電話で借金の話とか。

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    2019年05月16日
  • 「その日暮らし」の人類学~もう一つの資本主義経済~

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    なんと甘美なタイトルか。ひさしぶりにレビューに★つけちゃっった。

    その日暮らしは甘美であるが、Living for Todayになると高尚さすら感じる。

    で、そのLiving for Todayを実践している人々と社会を教えてくれる本。



    いきなり最初に青野春秋の『俺はまだ本気出してないだけ』が紹介される。まあ、あれは漫画だ。かなり痛々しくて、正視できないような焦燥感のある漫画だ。ああなってはならない、ああではない自分の生き方は正しい、というカタルシスを得る漫画だ。



    でも、本当にそうか? その日暮らしをベースにした経済は、実はちゃんと成立しているようにも見える。コピー商品とか、ま

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    2022年06月01日
  • 都市を生きぬくための狡知――タンザニアの零細商人マチンガの民族誌

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    著者自らが古着販売を実践しての、フィールドワークの論文。全く予備知識のない内容で、しかも論文!ですが、マチンガたちの暮らしぶりがありありと伝わってくる筆致で、感動的に読みやすい学術書でした。読むのに体力のいる大作だけど、説明がわかりやすくて、解説もふんだんで、典拠もきっちり明示されていて、読み進めるのに全くストレスがない!学問的ワクワク感を追体験できてほんとに楽しい1冊。
    社会主義体制から経済が自由化されグローバル資本主義に飲み込まれていく課程で、人びとがどんな風に生き抜こうとするのか。そのあたりを興味深く読みました。「アフリカの底辺に暮らす人々」というと、ともすると同情的に思ってしまいがちだ

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    2017年11月18日
  • 都市を生きぬくための狡知――タンザニアの零細商人マチンガの民族誌

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    ウジャンジャ!!このうさん臭い言葉が、この本を読み終わる頃には魔法を懸けられて、何かしら素敵な言葉に見えてくる。
    タンザニアの1地方の喧噪が肌で感じられるような、貧しくて、生命力にあふれたしたたかな生活。これからマチンガがどこへ向かうかも興味あるところである。

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    2012年03月08日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

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    コロナ禍とウクライナ戦争で、世界の経済のグローバル化は減速した。だが、世界の経済のグローバル化はこれからも持続していくだろうという。SNSが普及して、これからに必要なのはリテラシー教育らしい。「未来の自分に利他的になろう」というメッセージには共感した。急速に物事が変化していく時代に、生涯学び続ける姿勢を持ちたいと思った。

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    2024年09月18日
  • 「その日暮らし」の人類学~もう一つの資本主義経済~

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    朝日新聞出版の「一冊の本」に連載されていた「無条件の条件」で著者の視点がユニークだったので、本書を紐解いてみたが、大いに楽しめた. タンザニアのインフォーマルな交易に携わる人たちの独特の生き方が紹介されているが、この国ではそのような人が6割以上存在している由.試しにやってみる行動形態、変わり身の早い態度 など先進国の経済状態からすると理解できないものだが、彼らは生きている.中国への買い付けも行っており、タンザニアにも中国からの商人が増えてきている.下からのグローバル化という表現が何度も出てくるが、新自由主義の新しい形態になるのかもしれない.コピー/ゲリラ商品を主体とする山賽の紹介もあったが、中

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    2023年10月05日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

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    世界の頭のいい人たちからコンパクトに要点教えてもらおう!という、ある意味とても今っぽい本。中公新書で出た企画が成功したので、後追いという印象もある。
    後追いとはいえ、世界は変わっており、最新の状態を前提にスピーディに新書化してるので、つまらないということはない。
    今回はコロナとウクライナを前提に話している。
    複数の人が話し、それをまた複数の人が感想を言う二重構造で議論が深まっていて良い。
    学ぶとは考える体験であり、時間がかかるためデジタル化やコスパとは相容れないないという言葉は印象的。
    多元的に考えるという言葉一つでも、人によって表現が違い、印象も変わる。
    読後は「もっと本を読もう、ネットは減

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    2023年06月17日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

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    『エマニュエル・トッド』
    (2022年現在、今後の世界情勢について)私は歴史家が本職。でも歴史の話はまったく役立たず。なぜなら、私たちが経験しているのは、まったく新しい何かだから。
    歴史と違う点
    ・20世紀初めは各国人口増加したが、今は中国も含め減少する見通し
    ・冷戦時は、ロシアとNATOが直接対決したことはないが、ウクライナ戦争は、核使用が現実味を帯びるロシア対NATOの本物の戦争
    ・プーチンは独裁者だと言うが、ヒトラーや、ムッソリーニ、スターリンと違いイデオロギーが無い折衷的で多様な独裁者
    ・各国国民は超個人主義になった。それはロシア国民も同じ。だから国家間の経済紛争や戦争が行っているのに

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    2023年06月04日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

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    いずれの登壇者も中国を(アメリカも)過大評価せず、いずれたち行かなくなると考えている。また今後注目すべきインドについての見解が興味深かった。
    アタリ氏の「未来の自分に優しく」は、まさにその通りである。

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    2023年04月26日
  • 「その日暮らし」の人類学~もう一つの資本主義経済~

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    職業の選びかたも仕事の仕方も、ニセモノの位置付けも、私たち日本人が常識と信じている価値観を覆され、その社会の中で生き抜くための知恵としなやかさを持つことの大切さを改めて感じさせられる。
    既存の価値観にとらわれない先生のフィールドワークは、普通の人にはなかなかできるものではないですが、素晴らしいです!

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    2023年04月11日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

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    ネタバレ

    4名の著名な知識人へのインタビューと、それを踏まえた日本の知識人による論評という構成。日本の知識人の方々は、確り自身の意見を述べていて好感が持てた。


    また4名のインタビューの中では、ミラノビッチ氏の話が面白かった。

    曰く、エレファントカーブを見ると、程度の差こそあれ、あらゆる人々がグローバリゼーションを通じて所得が増加していることがわかる。また、グローバリゼーションに反発するのは、相対的に恩恵の少ない先進国の中産階級だけで、国内政策での対応が可能である。
    そう考えると、保護貿易的な政策で中産階級を保護するより、再配分や成長産業への労働力移動を通じた、グローバリゼーションに抗わない政策の方

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    2023年03月28日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

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    考え方、捉え方の好き嫌いはあると思うが、ガブリエル、トッド好きはすんなり読める。対談内容を日本人がさらに評論するという形式は面白い。本人がいないので忖度もなく好き勝手(良い意味で)言える。
    4人の主要な意見はもちろん勉強になるが、それでもその道を本業とする人たち固有の考え方の特長があるように感じる(翻訳も影響すると思うが)。広い知識を持ってしても、どこかに嗜好、好みが出てきて面白い。

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    2023年03月07日
  • 自由に生きるための知性とはなにか

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    感想
    自由を獲得するための努力。自由とは上から与えられるものではなく、自ら勝ち取るもの。現代社会では知性を磨くことが自由を勝ち取るための戦い。

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    2022年11月24日