石川九楊のレビュー一覧

  • ひらがなの世界 文字が生む美意識

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    文字とは何か、アートとは何か、書とは何か、今までなんとなく持っていた先入観をひっくり返してくれた素晴らしい本。
    すみれを菫でなく万葉仮名で表したのは、東アジアという壮大なスケールに拡散させず日本列島に咲くあのすみれという風情を伝えたかったから。
    万葉集の舒明天皇の国見の歌がカモメに加萬目を当てて意味が含まれていたように、万葉仮名が漢字をつかっているが故に表音文字になりきらなかった、つまり漢字の意味が浸透して字自体が意味を持ってしまう。そこで女手が生まれた。
    寸松庵色紙、秋萩帖、高野切などを題材に、誤字や脱字とされているものが言葉の本質に根ざして生まれたもので、現代の我々こそ言葉の表現がいかなる

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    2024年09月02日
  • ひらがなの世界 文字が生む美意識

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    これはすごい新書です。びっくりしました。恐る恐るでしたが読んでよかったです。ひらがなってずっと文字のひとつだと思っていましたが文字と絵画のあわいにある表現手法であることを知りました。日本人のメンタリティを象徴する芸術だと思いました。書にも和歌にも距離感のあった自分がなぜこの岩波新書を手にしたか?実は上野の森美術館でやっていた展覧会「石川九楊大全【状況篇】」の最終日に駆け込んで来ました。「言葉は雨のように降り注いだ」というサブタイトルになんか感じるものがあったのです。墨地で叫んでいるような初期の作品や河東碧梧桐らの俳句を文字で墨絵のように描いている作品や9•11や3•11から生まれた作品にも心動

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    2024年08月17日
  • 日本語とはどういう言語か

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    ネタバレ

    日本語の起源、言葉のなりたち、他の諸言語との違い、すべて明瞭になる。
    タイトルに偽りなし、完全に予想外のアタリ本。

    350頁程度の文庫本の姿からは想像もできないような、内容の広さと深さ。
    他者の先行研究成果を、自分のことばに言い換えただけのつまらない本とは全く違う。

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    2017年12月14日
  • 日本語とはどういう言語か

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    日本語の成り立ちや,構造などについて興味があったので読みました。日本語って,いろいろな言語とは違い,文章から様々な意味が引き出せることに気付くことができました。

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    2015年01月21日
  • 縦に書け! 横書きが日本人を壊す

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    書道家の本ということで、余り期待しないで読んだんですが(失礼)うれしい誤算でした。

    日本語はかな、カタカナ、漢字(音読み、訓読みがある)を使い分ける、世界に類を見ない精密な言語である。

    文字は、「手」が書く。

    今の日本人の感受性、表現能力が落ちてきているのはパソコンによる文字入力のため。例えば、「あき」と入力する時、秋なのか飽きなのか空きなのか、スペースキーを押しながら選ぶことが書くこと、となってしまっている。

    これが、「秋」と手で書こうとすると間違って「空き」と書いてしまうということはあり得ない。

    日本語においては、上が天、下が地、という位置づけになっている。上から下へ、は自然な流

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    2013年04月16日
  • ひらがなの世界 文字が生む美意識

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    共通認識がある中でこそ、表音文字と思われるものが多層的な表現を行えることに衝撃を覚える。広く文字が普及している現代において、反比例するように意味が通じなくなり、文字が増えていくこととの豊かさの比較へと考えを巡らせた。

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    2024年08月13日
  • 日本語とはどういう言語か

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    言葉は乱れるものである。
    本書P31

    日本語が、漢語と和語の二重複線の歴史をたどってきた。「おはよう」「おなかよう」「おそよう」というような訓語的整合性も、また「今朝は」「今日は」「今晩は
    という音語を軸に据えた統一性にも欠く。
    これらの日本語の挨拶語「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」は、現在の言語学の通念を相対化する手がかりを与えてくれる。

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    2018年03月14日
  • 高校生と考える世界とつながる生き方 桐光学園大学訪問授業

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    「私は この小説を書くときに、読んでくださる人が小学六年生までの漢字を読む力があれば読んでもらえるものと思ってこの作品を書き始めました」
    と「氷点」を書いた三浦綾子さんがいってらっしゃいました。

    この本の中で出張授業をされる先生たちは
    もちろん、その道のプロフェッショナルの方たちです
    そして、聴いている対象者たちは 中学生、高校生たち
    その語り口が そのまま 一冊の本にまとめられました

    その「語り口」を読んでいて
    冒頭の三浦綾子さんの言葉を思い起こしたのです

    本当の専門家は
    ただ感心させるだけでなく
    それなら 僕も(私も) 何かやってみよう
    そんな気にさせてくれる方なのです

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    2016年07月05日
  • 書とはどういう芸術か 増補版 筆蝕の美学

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    ものごっつう難しかった

    8割くらい何言ってるか分からんかった
    もうずっとこのおっさん何言ってんの?状態だった

    ある程度自分でも書けないと、こう立体的に浮かび上がってこないというか…
    「トン・スー・トン」はなんとなく分かったけど

    はい、「書」ですよ「書」!
    まぁ、日本人たるもの「書」を目にする機会ってまぁまぁあると思うんですね
    でね、前々から疑問に思ってたことがあって、それが本書の前書きにも書いてあったんです
    おお!わいに答えをくれるのはこの本かも!と勢い込んで読み始めたわけですな

    で、その疑問とは?
    本書から引きます

    「実際には、いつまでながめていても飽きない書があり、逆に、しばらく

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    2025年10月26日
  • ひらがなの世界 文字が生む美意識

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    ひらがなの文字の美しさを実例を見せながら解説してくれる一冊。

    書道や古文書、昔の日本文学などが好きな方にはマッチすると思う。

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    2024年08月08日
  • 日本語とはどういう言語か

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     講義形式でつづられているため、実際に大学で授業を受けている気分になりました。日本語学の授業になるでしょうか。英語学とはまた違った内容で、新鮮でした。

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    2024年08月04日
  • ひらがなの世界 文字が生む美意識

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    書道はまったくの素人です。
    入門書のつもりで読んだから余計につらかったんだろうと思いますが、感性あるいは観点が独自すぎるせいか、そもそも私には合わない文体だからか、あんまり言いたいことが分からなかったです。
    でも、ある程度書を学んだ方なら、また面白さを味わえるような本であるという気がします。

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    2024年06月06日
  • 縦に書け! 横書きが日本人を壊す

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    ジャケ買いならぬタイトル買いしたが、確かに面白かった。のちに書家で芸術家だと知る。アーティストらしく自己心酔が適度にあって自由な発想と深い考察で、文章作品としてアートを感じる。

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    2017年12月15日
  • 日本語とはどういう言語か

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    ・直ちに三浦つとむを思ひ起こさせる書名の石川九楊「日本語とはどういう言語か」(講談社学術文庫)を、 現在読みかけてゐる。正確にはまだ読み始めである。しかし、その最初のあたりだけでもいろいろと感じるところがある。後に書いてあるかもしれないが、そこまで読むことなく、とりあへず自分の感じたことを書いてしまはうといふことで、ここに書くことにした。的外れかもしれない。ご寛恕を乞ふ次第である。
    ・序章「日本語の輪郭」もおもしろいのだが、書名になつてゐる第一章「日本語とはどういう言語か」は章題通りの内容でやはりおもしろい。その小節題は、例 へば「言葉は乱れるものである」「すべての言(はなしことば、tetu注

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    2015年04月12日
  • 縦に書け! 横書きが日本人を壊す

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    懐古主義的本かな、と高をくくって読み始めたが、いきなり殺人の話からである。縦か横か、という話だけではない。「殺す」と「書く」には、相当なエネルギーが求められる。しかし僕も今その文字を「打った」。しかも横書きで。
    昔から言われていることだけど、縦書の時のペンの運びと、横書き丸文字のペンの運びなどを見れば、なるほど日本語は縦書用だと少し納得もするけれど、僕は左利きだ。そもそも縦書に対しても、まっとうではない書き方なのだ。さてどうしたものなのか。
    縦書には天と地がある、とか、美的な部分では面白いところが多数ある。言葉を綴るときに美意識をもっておけ、ということは心に留めて、今日もパソコンで横書きしよう

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    2013年06月16日