楠木新のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ定年後 - 50歳からの生き方、終わり方 (中公新書) 新書 – 2017/4/19
過去の自分、未来の自分と対話せよ
2019年5月14日記述
楠木新氏による著作。
2017年4月25日初版。
1954年神戸市生まれ。京都大学法学部卒業後、
日本生命相互保険会社に入社。
人事・労務関係をはじめ総合企画、営業などを経験。
50歳から勤務と並行して、「働く意味」「個
人と組織の関係」をテーマに取材を続け、執筆、
大学の非常勤講師、講演などに取り組む。
勤務と並行して、大阪府立大学大学院でMBAを取得。
関西大学商学部非常勤講師を務める。
2015年3月に定年退職。
現在、楠木ライフ&キャリア研究所代表、
神戸松蔭女子学院大学非常勤講師。
著者の本を読むのは2冊目。
会社を定年退職した後にどうするか。
どうそれまでに準備(助走)するべきかを説いている。
もちろん我々の世代(1984年生まれ)前後は
定年そのものがもう少し伸びそうなので
そのまま参考には出来ないかもしれないが・・
定年は隠居と違い、強制的である点が異なる。
目の前の仕事に追われるだけだと、普段何をしたら良いのかわからなくなる危険性がある。
(この辺りは昔から語られている普遍的なテーマではあるが)
定年後に病院でしか名前を呼ばれない事や
若い人と接する機会が会社くらいしか実はないというのはリアル。
映画 アバウト・シュミット(米国2002)生きる(黒澤明)
本 定年ゴジラ(重松清)孤舟(渡辺淳一)終わった人(内館牧子)
部長の大晩年(城山三郎)
会社を離れても家庭内管理職になってはいけない。
食事もつくらずTVばかりみない。
妻の至らない点を文句ばかりいわない
印象に残った点を列挙してみる
研修では50歳以降の仕事生活を見直すのに、小さい頃に好きだったことや、こだわっていたことを再び取り込むように進めている。
子供の頃の自分と今の自分がつながると、
それが一つの物語になるからだ。
この物語を持っている人は新たな働き方を見出しやすい。
誰もが子供の頃を経て今に至っている。
それなのに多くの人がそのことを忘れている。
日本のビジネスパーソンは、
未来にも過去にもつながらず、現在だけを生きているのが特徴だ。
しかし間違いなく定年後はやってくる。
大会社の役員であっても、会社を辞めれば、ただの人である。
隠居は自由意志に基づいた主体的な選択であるのに対して、定年は本人の意思にかかわらず引退する意味合いが強い。
喜劇王チャールズ・チャップリンは、人生において必要なものは
「勇気と想像力、そして少しのお金だ」と言っている。
1957年(昭和32年)6月の就業者に占める雇用者数は2017万人、就業者に占める割合は47.5%で半分にも満たなかった。
ところが30年後の1987年(昭和62年)6月で4426万人、74.9%である。
それが2016年(平成28年)11月では5733万人、88.9%で、ほぼ90%が雇用者なのである。
女性は現役時代から、仕事だけでなく、家事も、子育ても、食べ歩きやショッピングなど好きなことも手放さないで、調整しながら何とかやってきたからだ。
仕事だけだった、
という人が多い男性とそこが違う(エッセイスト岸本裕紀子)
70歳くらいになると、外見からだけでは会社勤めが長いかどうかを推測するのが難しくなる。
10年もすれば会社員らしさは消失するのである。
彼の話から元気な人の共通項を探ってみると、教育関係に取り組んでいる、若い人に何か役立つことを持っている、若い頃の自分をもう一度呼び戻している、などを挙げることができそうだ。
また会社の仕事だけではなくて、それ以外の何かに
取り組んでいる人という条件も重要ではないかと感じた次第である。
日本人男性は、会社を中心とする組織内での上司や同僚、部下との関係を含めて考えれば、むしろ濃密な人間関係を築いていると言えなくもない。
しかし、会社以外の場での人間関係は薄いのである。
→定年退職後、仕事も今までの人間関係も消失する可能性が高い。
会社は天国? 著者の同窓会にて冗談半分で
とにかく会社に行けば人に会える。
昼食を一緒に食べながら色々な情報交換ができる。
若い人とも話ができる。
出張は小旅行、接待は遊び。
歓迎会、送別会でみんなと語り合える。
遊び仲間、飲み友達もできる。
時には会社のお金でゴルフもできる。
規則正しい生活になる。
上司が叱ってくれる。
暇にならないように仕事を与えてくれる。
おまけに給料やボーナスまでもらえる。
スーツを着ればシャキッとする。
会社は家以外の居場所になる。
身も心も会社組織に埋め込んでしまうからいけないのであって、一定の距離を置いて接すれば会社ほど有意義で面白い場所はない
主人在宅ストレス症候群というものが妻にでることも・・
現役で社会とつながっていれば、わずかならがらも収入を得ることができて生活にも張りが出る。
そうすれば生活リズムも健康もついてくる。
ずっと家にいて妻に嫌がられることもない。
無理に趣味を探す必要もなくなる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ働かないオジサンの給料はなぜ高いのか: 人事評価の真実 (新潮新書) 単行本 – 2014/4/17
常に評価者である上司の期待を上回れ
2016年11月13日に日本でレビュー済み
楠木新氏による著作。
1954年神戸市生まれ。
京都大学法学部卒業後、日本生命相互保険会社に入社。人事・労務関係をはじめ総合企画、営業などを経験。50歳から勤務と並行して、「働く意味」「個
人と組織の関係」をテーマに取材を続け、執筆、大学の非常勤講師、講演などに取り組む
2015年3月に定年退職。朝日新聞be(土曜版)に、会社から独立した中高年の生きざま
を紹介した「こころの定年」を1年余り連載。
著書に『人事部は見ている。』『知らないと危
ない、会社の裏ルール』『サラリーマンは二度会社を辞める。』(以上、日本経済新聞出版社)『働かないオジサンの給与はなぜ高いのか』(新潮社)、『働かないオジサンになる人、ならない人』(東洋経済新報社)、「就活の勘違い」(朝日新聞出版社)など、多数。
以上のような経歴を持っている著者。
巨大企業の出身で、人事部がかなり強い権限を持つ金融系出身なので他の業界の人だと若干違和感もあるかもしれない。
ただ低パフォーマーのおじさんが生まれる原因、分析は納得感があった。
長期雇用、終身雇用を守る大企業・・しかしポストは限られておりそのポストにあぶれた層が多く滞留しているのが原因。
城繁幸氏も指摘しているような問題だ。
賃下げも出来ず、かといってポストがない。
これが低パフォーマーが生まれる理由。
ただ今後は定年延長などの影響もありますます若手社員の昇給が抑えられる時代になる。
そうなると低パフォーマーだけど高賃金はなくなっていくものと思われる。
本書で貴重なのは題名の働かないおじさんの件以外の出世する要件やメンバーシップ社会についての洞察だと個人的には思う。
印象に残った分を列挙してみたい。
大切なのは誰が評価者であるかとつかむ(会社によって異なる)
課長クラス未満の社員が評価を得る要件は、評価者である課長、支店長の期待値を常に上回ることだ。
課長のこの程度だろうと思うレベルを超えることが、
高い評価を得るポイントである。
信頼される人になるための行動基準(土光敏夫氏 新訂経営の行動指針)
相手の立場にもなって物を考える
約束をきちんと守る
いうことと行うことを一致させる
結果をこまめに連絡する
相手のミスを積極的にカバーする
上司を説得したり、自らの意見を通すためには、どちらが正しいか、間違っているかではなくて、自分と上司との信頼関係が作れるかがポイントである。
注意を要するのはこの信頼関係は相手に好かれているかどうかとは直接には関係しないことだ。
異なる概念ということである。
サラリーマンの最大のリスク要因は病気でも怪我でもなく、上司であるというのが実感。
安定的な大企業では部下から人望があり業界の中でも影響力を持つ人物は必ずしも次のトップには収まらない。
そういうケースでは現在のトップの
望んでいる能力の範囲に収まらない仕事をしてしまっていることが少なくない。
⇒上司の望む枠内に収まる能力。
波風を起こさない人の方がいいじゃん。
自分の立場を覆す可能性のある人物は
後継者に選べないという発言・・・人間の心理ではあるだろうがそういった企業から革新や新しいものが生まれる予感はしない。
個人的には織田信長的な人物を意図的に選ぶくらいでないと国際競争の激しい分野では生き残れないと思う(G型のメーカーなど特に)
まあ、インフラ系の企業ならこれでもいいのかもしれないが・・・
公私混同と思えるような経費の使い方をしないこと。
文字通リ品性を疑われる。
逆に言えば業務上かどうか不明瞭な場合に
ポケットマネーから払ったり、身銭を切るとその効果は大きい。
業務上の打ち合わせと言えるよな状況でもいつも自分のポケットマネーから支払う上司のことを部下は決して悪く言わないものである。
偉くなる人と長く一緒にやっていく能力
=上司と接触を持つ ヒキが大事 上司との関係を紡ぐ力
上司の望む枠内に収まる能力 他部課との調整力
自分の働く会社の出世のメカニズムをつかむ
社内報と職員名簿は人事評価を知るバイブル
バイブルを読み込むポイントは社内組織の力学の確認と個々の社員の社内経歴の変遷、および社員同士、特に上司ー部下の結びつきの3点である。
ここから会社の評価、出世の仕組みが見えてくる。
部長、課長登用者と未登用者を比べてみる -
Posted by ブクログ
私は定年後や定年が近い立場ではありません。が、常日頃から日本の社会に漠然と蔓延している「会社至上主義」なる空気に辟易としていました。この本は、自らも会社人間だった過去を持ちかつ定年後それが無くなった時どうなるか経験した筆者だからこそ書くことのできた、「会社至上主義から目を覚ます本」と言えるかもしれません。
私が特に素晴らしいと感じたのは、「定年後どう過ごすか」という目先の穴を埋めるための本なのではなく、なぜそんなことになってしまうのか、原因を実体験のヒアリングと論理的な考察から追求している点です。原因が分からなければ対策のたてようもありません。
ですから、定年後というタイトルではあるもののこの本を真剣に読めば「自分は今のままだと定年後こうなってしまう」と危機感を抱いた人は働き方および生き方について考え直す必要を感じるはずです。なぜなら、どういう働き方をしてきたかという蓄積や考え方の型が結局のところ定年後の自分を決めるからです。見直しは在職中からやるべきだと筆者も述べています。
そしてこうした人間の本質を考える本を読むと、やはり日本の社会は人間らしさとは乖離したいびつな構造なのだと思わざるを得ません。まずはそれに気付くところからです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ楠木新さんの「定年後」シリーズで、ついに切り込んだ定年後のマネー。「ついに」でもないかな。
定年後のマネーの本は、退職金や年金の増やし方、守り方、残し方という3つの観点が多いように思いますが、本書はお金が自由に使えるのは70代前半までという前提で説いています。
プロローグ お金と幸せを一緒にするな
第1章 老後不安の正体―原因はお金ではない
第2章 財産増減一括表―まず自分の財産を知る
第3章 固定費を見直す―使わなければ金は貯まる
第4章 老後不安と投資を切り離せ―投資はそれほど重要ではない
第5章 老後資金は収支で管理―資産寿命をどう延ばすか
第6章 お金を有効に使う―人間関係に投じる
その上で、定年後のお金というのは定年後どう生きたいかという本人の希望と不可分であることを説いています。
私は75歳までは仕事をしたい、だからお金もそう使いたいと考えていました。
しかしコロナウィルスのパンデミックはこれから世界を大きく変えます。
どう生きて行こうか?どうお金を使って行こうか?