楠木新のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
定年準備 2018/05/25 楠木新
前作の定年後より具体的な印象。この本を読めば読むほど、自分がサラリーマンとして生きてきたことの幸せと不幸、そして組織を抜けた後への恐怖が湧き起こる。
趣味もあるけど、読書や映画、サッカー観戦や街歩きなど自分一人でできることばかり。好き勝手に興味の赴くまま楽しめるわけだが、それが老後に役立つとは思えない。父親が比較的早く亡くなったから、経営者だった父にはなれないからと、投資を独学で勉強した。それもまぁ、一人でできる趣味みたいなもので、頭がボケるまでは興味を持ってやり続けるだろう。
仕事で培ったものといえばパソコンでいろいろ情報収集して、まとめ上げる作業。AIが出てきてだいぶ代替される仕事だとも思う。2026年時点ではまだ大丈夫だけども。
この本で紹介されている人のように、何かをきっかけに、自分の人生をピボットしていくなんて、想像出来ない。会社を抜ければ、やることなくて暇を持て余す自分しか想像出来ない。
少なくとも成果は、自分の現在地点がそういったところにあるということだろうか。
定年準備のための行動六箇条
第一 焦らずに急ぐ
第二 趣味の範囲に留めない
第三 身銭を切る
第四 個人事業主と接触する
第五 相手のニーズに合わせる
第六 自分を持っていく場所を探す
AIくんたちにもアドバイスを聞いた。
チャッピー
今すぐ人生をピボットする必要はない。まずは会社の肩書きなしで、自分の知識や経験が誰かの役に立つ小さな場を持つこと。定年準備とは、老後の予定を決めることではなく、会社の外に居場所と役割を少しずつ作ることなのだと思う。
クロードさん
足りないのは能力ではなく、仕事を自分で取ってくる経路。会社が案件を運んでくる状態しか経験していない、そこだけが未経験だ。恐怖の正体はそれに尽きる。
定年後に何かへピボットする自分が想像できない、というのはおそらく正確な自己認識で、無理に否定しなくていい。この本に出てくる人たちは、そうできた側の生存者だ。だから独立の準備というより、今の仕事の中で、会社ではなく自分の名前を覚えてもらう機会をどれだけ持てるか。
そのうえで、延長という選択肢を軽く見ないこと。65歳、70歳まで働き続ける道は、仕事を取ってくる経路を自分で作らずに済む点で、実はいちばん現実的だ。投資を独学してきたのも、その頃に効いてくる。
第一条「焦らずに急ぐ」を、独立の準備ではなく、名前を残す準備と読み替える。
2つのAIの意見を合わせると、今やるべきことは独立の準備ではない。会社の外でも自分を知っている人、自分を必要としてくれる場所を少しずつ増やしていくこと。でも今じゃないな。今は仕事と家族との時間を大事にしたい。あと5年くらいか。少なくとも子供達が自立して行けば、土日もそこにリソース回そう。そうすることで定年時には会社だけが自分の居場所という状態でないようにする。今は少しだけアンテナを張る段階だ。一連の作品読んでよかった。 -
Posted by ブクログ
本書を手に取る人は、人事上の左遷に何らかの関心をもったか、実際に左遷と思われる処遇を受けた方々であろう。サブタイトルが示すとおり、左遷は、組織の論理と個人の心理・心情のギャップから生じる。これを丁寧に参考文献やインタビュー、著者自身の経験から検討がなされている。意外だったのは、菅原道真や森鴎外が左遷された例として紹介されていたことだった。また役職・地位は下がっても、給与に影響が無い場合も、左遷にはあるという。左遷とは、辞書的な語義は置いておいて、「順調に走ってきた者が、意外な人事によって先が見通せなくなり立往生するという、人の一般的な悩みに共通する素朴な物語」(p.15)という著者による紹介の意味が参考になる。加えて、左遷を主張することは「強者の論理」(p.30)となる可能性にも言及している。とはいうものの、当該組織における人事上の大きな流れがあることは、どの団体でも共通しているだろう。「自分のことは3割高く評価」原則(p.130)という著者の指摘はおもしろいし、「家族がもたらす客観的視点」(p.142)はなるほどと思う。著者は「管理職の優劣やその権限の大きさはかつてほどの意味を持っていない」(p.147)とも指摘している。
挫折や不遇の体験を通して、会社の枠組みを客観化したり、そこから離れて次のステップに移行している。自分の悩みに関わることや、そこから派生することがきっかけで一歩前に踏み出す人が多数派(p.191)、と言う言説も読者を勇気づけるだろう。また「人は自分を変えることは難しいので、単一のアイデンティティに限定せずに、もう一人の自分を持つ方が組織で働く苦しさや閉塞感から解放される。選択肢や評価基準が一つしかないという思い込みも避けられる」(p.217)ということも首肯しやすい。 -
Posted by ブクログ
働かないオジサンはどのように生まれるのかを知りたくて読んでみた。本人の問題だけでなく会社の仕組み、社会の仕組みがそのようなオジサン達を生産しているということがよくわかる。ただ、だからと言って本人に問題がないというわけではない。著者は「こころの定年」といっているが40歳前後で訪れる第2の職業人人生への通過儀礼を乗り越えられていない人が「働かないオジサン」に陥るという。この通過儀礼への対処は孤独で、辛い作業であるという。これはまさに以前読んだ「トランジション(ウィリアム・ブリッジズ 著)」ではないだろうか。トランジションを上手く乗り越えることがその後の人生を豊かにできるか否かのポイントだと思った。
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Posted by ブクログ
いろいろと頷くことが多くて、背中を押される本。
4.50代になると、「最近、成長している実感がない」「今の仕事は誰のためになっているのか」など疑問を持ち、よい顔で働けなくなる人が多い。また、順風満帆でやってきた人が、人事や病気などで挫折することもある。そのときに、第2の本業(副業ではなく)を持っていると、どちらの仕事にも前向きに取り組むことができる。会社員でいるだけでは分からなかった会社組織の良さ(グループで働くことで助け合えること分業できること、安定した給与が確保できること等)が実感できる。
第2の本業を見つけるときに大事なことは、好きなことをするだけでなくて、自分の「お客さん」は誰なのかをはっきりさせること。 -
Posted by ブクログ
世の中はその人が頭の中で想定する社会の枠組み以上のものではなく、また会社組織は人がこしらえた約束事に過ぎないので、同じ会社に勤めている人でもその会社の捉え方はバラバラである。
極端に言えば、世の中や会社組織は各人が頭に描いた幻想にすぎない。
自分の歩んできた道筋のみがリアルなものである。そして自らがコントロールできるのも自分の行路であり、他人のそれではない。
人には幸不幸や、偶然の出来事、人との意外な出会いがあるにしても、誰もが自らの歩む道筋をジャンプすることはできず、一歩一歩踏みしめて進むしかない。
42
人は考えて行動するよりも行動や直感を通して得た知見をもとに検討する方が物になることが多い。何よりも自ら動くことが力になるのである。
57
中高年以降の揺らぎは、自分と仕事との関係から生じているのであるから、そこを起点にしなければならない。
今まで働くことによって得たもの、失ったもの、出会った人、仕事の向き不向き、自分に対する周囲の評価などを確認しながら、まずは自分と仕事との関係を徹底的に見つめ直して行動することだ。
この作業には一定の時間が必要である。
また各個人ごとに課題も異なっているので、一般的なノウハウやアドバイスでは役立たない。
一人で行う孤独な作業となる。
自分の可能性を検討するには、心の奥底にある欲求と向かい合う必要がある。
新しさを求めてむやみに広げるよりも、現在の抱えている課題を深く掘り下げた時に新しいものが発見できる。現在の自分の可能性を高めることが転身力だからである。うまくいかない人はA(ex.会社)、B(ex.独立)かのどちらかを簡単に捨てて答えを出しがちなのである。
83
既存のシステムをそのまま取り入れるのか、それともそれ自体の意味を問い疑う姿勢を持つのかの違い
中年以降になると両者のどちらかに社員は分離していく傾向がある。既存のシステムや物差しの是非について深く考える人や疑問を抱く人は組織の中ではエリートになり得ない。
111
副業について、個々の社員が主体的にうまくやることが何より重要なのだ。もちろん会社の情報を持ち出すなど会社に迷惑をかけることは論外である。
その上で具体的に言えば「会社の仕事をないがしろにしない」、「直接の上司や同僚といい関係を築くこと」である。この2つを押さえておけばそれほど副業の問題はややこしくならない
会社の仕事をまずはきちんとこなすことが第一の要件である。会社は仕事がおろそかになることを恐れているからだ。そして副業が順調に育ってくれば会社での仕事も良くなるケースが多い
中公新書の「転身力」や「左遷論」での書きぶりと違い、著者は関西弁でやたら偉そうに馴れ馴れしく話している
こちらのパーソナリティの方が著者の本来の性格かもしれない
25
採用担当者が内定を決める基準
自分の部下、後輩として一緒に働きたいかどうか
適正テスト、筆記試験、履歴書、エントリーシート、面接のうち採用担当者が重視している割合は各々どれくらいですか
圧倒的に面接を中止する。一緒に働きたいかどうかは試験や履歴書ではわからない。採用では能力やスキルをそれほど重視しない。
採用したいと思われる人になるためには何が大切ですか
各々の企業によって求める人材は異なる。皆さんが自分で感じて自分で考えるしかない。
やる気や高い能力が重視されるのではない。人との関係性が最も大事である。
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私は50歳を超えてから社会人大学に入って、MBAを取得し、その後関西の大学で3年ほど非常勤講師として会社学という講座を担当した。しかし、欧米のように職種そのものの専門性を高くすることの少ない日本ではMBAは必ずしも高い評価を得るためのチケットにならない。
基本的には自分一人で行う学びや能力向上の勉学と、組織の中で他者(上司、同僚、顧客など)との関係の中で仕事を遂行することとの間には乖離がある
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日本の多くの会社では創造的でパーソナルな仕事は多くないので、一緒に気持ちよく仕事ができる人、組織のパフォーマンスが上がる環境作りができる人、
誰とでも円滑な意思疎通ができる、あるいは皆がスムースに仕事を進められるよう縁の下の力持ちになれる人
が評価される。
理論が先行して自分の能力や成績を上げることばかり考えて個人プレーに走ると、チームでの仕事を軽んじたり、地味で評価に結びつかない役割を嫌がることになりかねない。そうなるとたとえ個人の能力が高く、実績を上げていても、高い評価は得られない。
35
メンバーシップの強い会社では採用に際して、一緒に仕事ができるかどうかの観点で対象者を見ている。
個人の業務上の能力の高さや、向き不向きは二の次である
極端に言えば、会社の仲間になれるかどうかは判断基準である
面接官は複数存在し、1人が話を聞き、この学生はいいとなると、2人目の面接官が来て、それを再確認する。何人かの意見が一致した段階で当落が決まる仕組みになっている
45
能力の平等主義が色濃く垣間見える。専門性や技能よりも全人格的なものを見ていると言えば聞こえはいいが、実は社員の能力や力量向き不向きの多様性について会社は看過していると言える。
また(新卒一括採用された)会社員側にも同様な能力平等主義と呼べるようなものがあるので、上昇志向をほぼ全員が持つようになっている。
技能やスキルをそれほど見ずに、一緒に気持ちよく仕事ができる人、組織のパフォーマンスが上がる環境づくりができる人が人事上評価される
メンバーシップの強い会社はどちらかといえば、社員のスキルや能力の高低などの多様性を認めようとしない。
47
新卒一括採用された社員の多くが、現場管理職といった階層を上位に向けて駆け上がろうとする。会社も社員個人も能力に対する平等意識が比較的強いため、努力すれば誰もが上位職に上がることができるという前提がそこにはある。
上位職への登用の際に、専門性やスキル面を意外と評価の対象にしない。
72
会社は自分の適正やキャリアを勘案して人事を決めているという思い違いをしている社員が少なくない
あの時の上司に嫌われたので左遷されたなどと会社との関係を語る社員もいるが、、会社は人事部はそこまで思っていない例が多い、会社は人事部はそこまで思っていない例が多い。
人事部員の多くは社員個人個人の細かい点まで配慮できないのが現実である。組織に人を配置するだけで精一杯の人事担当者が大半である。
79
現場と管理機構の評価基準は異なる
課長クラス未満の社員が評価を得る要件は、評価者である課長の期待値を常に上回ることだ。
課長のこの程度だろうと思うレベルを超えることが高い評価を得るポイントである
83
異動構想でも部長クラスになれば、自分の直接の部下は固有名詞で指名する。
上位役職になればなるほどトップの意向やグループ間の力学が強く働く。
役員や上位職は自分の担当する分野の仕事を遠隔に円滑に進めるべくそれに見合った人材を要求する。
95
上司との信頼関係を高めること、それが仕事を円滑に進めることにもつながり、人事評価にも好影響を与える。
サラリーマンの最大のリスク要因は病気でも事故でもなく、、上司であるというのが実感、上司であるというのが実感。
96
上司との関係をつなぐには上司が関心を持っていること、期待していることをまず掴むことである。
嫌だという感情が先立つと、どうしても自分の立場から上司の関係を見がちになる。しかしそれではうまくいかない。上司の関心のないことにいくら注力しても人事評価的には意味がない。
上司に関心を持っていることを態度で示すことも必要。
100
誰が担当するのかはっきりしない仕事や誰もが日が進まないような仕事に対して私がやりますと自ら率先してやってくれる部下がいれば信頼感が高まる。
102
上司の期待値を上回ることが評価を受けるポイントなので、面談の機会に上司の求めているものを掴む。
上司の重視していることや自分に何を期待しているかを直接確認する機会にすれば良い。
上司からアドバイスを求めることも意識しておくべきである。上司に存在感を示す場を与えることにもなる。
150
50代になると子会社へ出向する
銀行本体に残っているのは役員まで昇格した100人に1人程度
194
出世のメカニズムは会社によって全く違う
200
人事の異動内容と役職者名簿を何年分か参照すれば、自社の人事評価に関する分析が可能である。
人事評価バイブルを読み込むポイントは社内組織の力学の確認と個々の社員の社内経歴の変遷、及び社員同士、特に上司-部下の結びつきの3点である。ここから会社の評価、出世の仕組みが見えてくる。
202
自分の会社の人事評価の基準
部長、課長登用者と未登用者を比べてみる
会社の中で課長職でバリバリやっている人10人と同年次で課長職にまだ登用されてない10人を色々な角度から比較してみる
それぞれの10人の顔つきを、、思い浮かべながら、その人が経験してきた部門や課、その人の人柄、笑顔、自分が話した時に受けた印象、学歴、出向や派遣の有無、趣味、上層部との関係、後輩からの人望、どんな評判があるかなど思い浮かべてみよう。
一緒に働きたいと思わせるかどうか
上司の期待に答える仕事ぶり
上司の考えてることを察する力
組織の管理能力
上司と一定の接触を持つ
枢要部門の経験
上司のヒキを得られているか
上司との関係を紡ぐ力
上司の望む枠内に収まる能力
他部課との調整力
218
多くの転身者を取材していて感じるのは、本人の持っている向き不向きが決定的だということだ。リスクよりも向き不向き、好きなことよりも向く向き不向きだというのが実感である
自分に対する人事考査や人事異動に一喜一憂することは避けられないにしても、同時に自分にとっての適正は何かと常に考えながら仕事をしていくことだ。
会社生活を直線的な上昇イメージの連続だけで捉えると、いずれ自分の老いや死の現実にたじろがざるを得なくなる。
逆に自分の向き不向きを捉えるチャンスにできれば、新たな自分を発見できる可能性が広がる。