グレッグ・イーガンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
12歳の誕生日をすぎてまもなく、ぼくはいつもしあわせな気分でいるようになった…脳内の化学物質によって感情を左右されてしまうことの意味を探る表題作をはじめ、仮想ボールを使って量子サッカーに興ずる人々と未来社会を描く、ローカス賞受賞作「ボーダー・ガード」、事故に遭遇して脳だけが助かった夫を復活させようと妻が必死で努力する「適切な愛」など、全九篇を収録した日本版オリジナル短篇集。
あらすじを書こうとして難しすぎてそのまま引用してしまった……。
SFではあるけれど、世界観がその形をとっているだけで、読んだ後に心に残ったのは自分の持っている価値観のゆさぶられだった。
なにが面白かったかを説明しようと -
Posted by ブクログ
イーガン二冊目、引き続き読みやすいと評判の短編集を手に取りました。読めば読むほど、イーガン好きだなあと思いました笑。とりあえず次は『宇宙消失』を読もう。
イーガンを調べている中で、最近「文藝」で特集が組まれたとのことで、その刊読みたいな~と思っていたところ、あれこの表紙は…と家にあることが判明笑。特集の一つにアニメ平家物語があって、それで買っていたんですね。今年一年ハマった平家物語から、イーガンにバトンが渡されたような、そんな気がしました。2023年はイーガンイヤーになるのかな?
イーガンは日本で謎に人気が高いということで、え~こんなに面白いのに、、と思いつつ、英語でおすすめSF記事を探すと -
Posted by ブクログ
ネタバレ表題作『しあわせの理由』
脳の幸福を感じる部分が、脳内の腫瘍により過剰になりすぎた男の話。
手術で腫瘍を摘出しなければ命の危機という絶望的な状況にも関わらず主観的には幸福感と万能感で満たされた日々を送る。しかし手術が成功し命の危険が無くなり不自由のない生活が訪れた後、自身の生活において一切の幸せを感じることができなくなってしまう。
後の手術で、何に対して幸福を感じるかを自分自身で選択できるという状況になるが、幸福や興味の対象を自分でボリュームつまみを回すかのように選択することで得た幸福は本当の幸福なのか…
人間にとっての幸福とは極めて主観的なものであるということをストーリーを通して再認識した -
Posted by ブクログ
◯難しいSFのお話もあれば、普通の物語として面白いものなど、お菓子の袋詰めみたいな短編集。
◯個人的にはチェルノブイリの聖母がSF感がなくて面白い。ハードボイルド探偵小説的な良さがある。
◯一番気になっていたボーダーガード。出だしの量子サッカーでだいぶ痛めつけられたものの、後半は人類に普遍的なテーマである死と、それを乗り越えた人類の苦悩を描いていて興味深い。想像もつかない未来だから、登場人物の考え方に納得できないように書いているのか、あまり共感はできない。
◯しあわせの理由は感情ですらコントロールできる場合、それはもはや人間の感情といえるのか、というテーマを読み取れる。ボーダーガード共々興味深 -
Posted by ブクログ
初イーガン。オチまで読んでもわからなくて「?」となったりもしたけど、総じて面白かったし、予想よりずっと読みやすかった(なのにわからないという、ね)。
どうせ忘れてしまうから、1編ごとに簡単に感想を書いたけど、こうしてみるとやはり、人間の生の意味とか自由意志とか、思考(あるいは感情)とはなにかという、SFらしい壮大なテーマが流れているのを感じます。
「適切な愛」事故に遭って危篤の夫を救うため、摘出した脳を胎内で(!)保存することを選ぶ女性。その決断に至るのは、保険が下りるかいなか、経済的に見あうかどうか。それもリアルだし、保存に至る過程もリアルだし。新井素子の「あたしの中の」を思い出しつつも、 -
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ハヤカワ文庫
グレッグイーガン
祈りの海
科学とアイデンティティの対立を描くハードSF短編傑作集。共通テーマは「科学の時代に自分のアイデンティティを確立できるか」
各短編 SFでしか描けない状況のアイデンティティを描いている
*霊のアイデンティティ
*DNA操作により生まれた赤ちゃんのアイデンティティ
*自身のバックアップがいる人間のアイデンティティ
*母胎システム管理により消滅させられる同性愛者のアイデンティティ
*決められた未来を生きる人間のアイデンティティ
*医師不要の時代における医師のアイデンティティなど
感動したのは 同性愛者のアイデンティティ「生まれつきのものであり、それを -
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イーガンについて私などが何を申すことがありましょう…まあ、何をいってもイイガン!と私の米子弁魂が主張しますので展開しますと、まんず文系女子には科学・天文・IT的設定説明はいっさい意味をなさず、ただ流れ行くものを立派じゃのうとうっとり眺めているにすぎない。でもその中で描かれる人間性が、感情が、とてもリアルで胸を打つので、その世界に私も属するもののように感じるのです。
未知の世界に足を踏み入れるとき、愛する人にかたわらにいてほしい。まるで相容れない世界で助けてくれた誰かのために隠れて泣く。
データとなって深宇宙を渡ろうが、ゲーム世界の登場人物として目覚めようが、生きよう、謎を解こうとする人間の魂