グレッグ・イーガンのレビュー一覧

  • ディアスポラ
    色々な作品、映画をみても、これ以上の切なさを感じさせるラストは出会えないかもしれない。イメージの極致。
  • ひとりっ子
    SF短編集。量子力学、多層世界、人工知能などを題材にしている。理論的な部分は難しい話が多くて、数学的素養のないわたしにはついてゆけないところも多かったのだが、理屈のところはなんとなく流して読んでも人間ドラマが面白いのがイーガンなので無問題。先に邦訳された「しあわせの理由」とリンクしているところもある...続きを読む
  • 祈りの海
    長編に挫折して以来、手付かずだったのですが。
    これはこれは!
    しょっぱなの「貸金庫」、読んで終わったところであまりの切なさに鼻の奥がツーン。うそー。自分でびっくり。でもホント。えかったー。

    確かに物理弱いとツラいところもあるけどその辺乗り越えてでも読みたいと思わせるところがあり。そういうのナシのも...続きを読む
  • 白熱光
    年明けからこれ一冊にかかりきり。荒っぽい速読派の自分にはまったくの例外だが、いやあ、それだけのことはあった。やっぱりイーガンはすごい!想像力というものの深さと広さを思い知らされる。いや、もちろん、作者のビジョンを共有できたわけでは(全然)ないけれど、その一端を垣間見ただけで、スケールが桁外れであるこ...続きを読む
  • 順列都市〔下〕
    面白かったが内容が難解すぎておそらく3分の1ほどしか理解できていなかったと思う。しかしなかなか丁寧に説明してくれているため曖昧で大雑把だがストーリーの本質や流れは把握できた。またあとで2、3回ほど読み直したい。
  • 順列都市〔上〕
    普通に面白い。難しいというよりも、専門用語が多いだけでそれを知らなくても内容は理解できるくらい作中で丁寧というかしつこく説明きてくれている。下巻を読まないと内容に関する感想はかけないけれども、これは期待できる。
  • ひとりっ子
    久しぶり再読。数学SF「ルミナス」。衝撃。まだSFにはこんなセンス・オブ・ワンダーの未開の分野が残っていると、強く感じさせてくれる傑作。初読の時ピンとこなかったのは、その難解さで、まだ自分の頭が、その独創性に気付けなかったからかな。
  • ディアスポラ
    圧倒的スケールにして緻密。読者を選ぶ物語ではあるけれど、量子力学と認知科学のある程度の知識があれば、何とかついていける。ただし、これは宇宙オタクを満足させるためだけの衒学的な語りなのではなく、こういった舞台の中でしか語り得なかった物語なのではないか。知性とは何かということを読みながらたくさん考えた。...続きを読む
  • 祈りの海
    もうイーガンの短編集はぜんぶ★5でいい気がする。
    アイディアといい、そこから展開される物語といい、圧倒される。

    本作でとりわけ好みなのは、「ぼくになることを」、「繭」、「祈りの海」
  • ディアスポラ
    すごく難解で世界観が理解できるのかあやふやなまま読み進めましたが、ハマリました。
    とてもスケールが大き目の前に広がる宇宙が頭の中に浮かんできます。さすがに多次元の空間は想像しがたいですが・・・
    人が肉体を捨てて生きていく世界、孤児として創出されたヤチマが宇宙の果てまでも追求する真理。
    何度読んでもあ...続きを読む
  • 祈りの海
    ハードSFの大家グレッグ・イーガンの11の短編を収録した本書は、文中の言葉を借りるならば、「きみがきみであること」「自分が何者であるか」、すなわちアイデンティティを共通したテーマに据えている。

    SFの手法でアイデンティティを語る作品としては、個人的にはロボットを題材にした作品が多い印象を受けるのだ...続きを読む
  • ディアスポラ
    とにかくスケールが圧倒的。
    それぞれのパートで用いられる個々のアイデアが非常に独創的でよく練られており、それだけでも楽しめたが、特に最後の1節、結末の感動は他の小説では絶対に味わえないものだったと思う。
  • ひとりっ子
     この短編の中ではちょっと重めの話。別世界、人造人間、人間の定義などのテーマが深く書かれていた。オラクルと併せて読むのがオススメ。
     人造人間じゃなくても、子どもが何を基準に好き嫌いやら良し悪しを判断してるのかは興味深かったりする。
     先天的な要因が殆どという気もするので、もしその初期設定を自分で行...続きを読む
  • ディアスポラ
    理論が……理論が……わたしゃ、アホや。

    「ワンの絨毯」あたりまでは何とかイメージできたけど、そこから先は読みながら、WEBでいろいろと調べる(翻訳の山岸氏もそういう読み方もありと訳者後書きに書いている)。

    ラストが好きです。孤児が帰っていくところが。
  • 祈りの海
    進みすぎたテクノロジーと、それに置いていかれた人の精神を取り扱う、イーガンならではのセンスが光る短編集。

    あらすじを語ること自体がネタバレになってしまうので、実にもどかしいのですが…。
    短編集の一話一話の密度が濃く、どれも考えさせられます。
    「ぼくになることを」を読んだショックは相当なものでしたし...続きを読む
  • 順列都市〔上〕
    とにかく好き。理屈じゃないんだ、理屈あっての小説だけどでも理屈じゃないんだ。「創造主が創造物に否定される」ってのはシビアながら笑いどころのような気もする。で、私の考え方は90年代生まれのママンに似ている…年上だから当たり前。
  • ディアスポラ
    悶絶すほど難しい、が要所要所に見られる、人々の生き方に大きな感動がある。

    また、スケールが大きすぎるがゆえに、一人の人としての生き方が非常に良く描かれた作品だと思った。すべてを読み終え、最初のくだりを読み直した時、読んで良かったと強く感じた。一度目は理解に精一杯だったからだ。二度目は風景を感じた。...続きを読む
  • 祈りの海
    イーガンさんの短編です。
    キューティを読むたび、
    肉体は弱いもので魂だげ不滅だ
    っていう某映画の台詞が頭に浮かぶ。
    しかしながら、人間というやつは魂だけでは触れ合えなくてイレモノも必要なんです。
    だから貸し金庫の主人公は自分自身について彷徨い続ける。
    この人の物語からはプラトニック過ぎるというか、バ...続きを読む
  • 順列都市〔上〕
    え、そんな展開!?そんな理屈!?

    という、意外性の連続な展開が非常に面白い。
    SFって世界設定の理屈付けがどれだけしっかりしていて、なおかつ驚愕を誘うものかがひとつの面白さの基準だと思うのだが、見事にそれを満たしている一冊。
  • 祈りの海
    初イーガン。難しいけど面白かった。表題作「祈りの海」がすごい。科学と宗教の折り合いはいつの時代もつきにくいんでしょうね…。「貸金庫」「キューティ」も印象深かったです。