グレッグ・イーガンのレビュー一覧

  • ゼンデギ
    はるか彼方の未来の壮大な話ではない。近未来の、仮想現実の技術をめぐる、骨格だけを言ったら他のだれかでも書いていそうなワンアイディアストーリーのよう。でも、かの国を舞台にしてのディテールの書込みの説得力はこの著者ならではのものか(その妥当性の判断はわたしにはできないのだけれど)。そして、「情」の部分で...続きを読む
  • 順列都市〔上〕
    イーガン凄い!コピーの権利の問題やフェッセンデンの宇宙をガチに理論化した様な世界のシュミレーションや塵から生まれる意識やらそれらが量子論や哲学等多方面から検討される。ダラムやマリア、登場人物たちの議論や悩み、問題が来るべき世界を先取りしてる様で知的に刺激されます!
  • クロックワーク・ロケット
    映画『インターステラー』が好きならきっと好きになるSF小説。ただし難解と言われているインターステラーよりさらにはるかに難解な設定なので、読むのにはそれなりの気合が必要だと思います。

    21世紀最重要SF作家と言われるグレッグ・イーガンの”直交3部作”の1作目。3作目の「アロウズ・オブ・タイム」まで発...続きを読む
  • ゼンデギ
    ちょっと苦手なイーガン。比較的読みやすいということで懲りずに挑戦。

    舞台はイラン。2012年の政権交代と第一部とし2027年以降の近未来を第2部とする構成。相変わらず、イーガンの言い回しとか表現とか理解しにくい感じがつきまとう。よっぽど僕には合わない作家なんだな。でも、テーマはまさにタイムリーなA...続きを読む
  • 祈りの海
    2017/08/07-2017/08/09
    星5

    2017年10月18日にこの感想を書いている。サボっていたので随分遅くなってしまった。帰省する際の暇つぶしに途中の本屋で買ったこの本は、とてもおもしろかったことだけ覚えている。この文庫本は短編・中編集だ。1つとして面白くない話はなかった。多くの話を...続きを読む
  • ディアスポラ
    30世紀を舞台に、ソフトウェアによって生み出された
    主人公ヤチマの冒険譚。

    ヤチマの誕生を描いた第1章では、
    ソフトウェア上での知性・人格・自我の生成プロセスが丁寧に記述されており、
    難解ながらも読み応えあり。

    その後、章ごとに、情報科学、数学、遺伝子工学、天文学、と、
    多岐にわたる科学分野を横...続きを読む
  • ディアスポラ
    まさに、ハード・SF。圧倒的な時間とスケールの世界が描かれる。章立てが変わるたびに次元が変わってその世界観にクラクラした。

    原子やワームホールの理論的に難しい話はさておき(しかも話の核ではなかったし、よく出てくるコヅチ理論の位置付けも謎だった)、肉体を離れた後の人類が、ソフトとして「生み出され」、...続きを読む
  • しあわせの理由
    短編集。イーガンはハードSF作家として有名でなかなか手に取り難い。
    本書は表題作「しあわせの理由」の設定(感情が脳の化学物質によって左右されてしまう)に興味を抱いて読んだ。
    期待に違わず表題作はとてもおもしろかった。廃人のような時期と多幸感に溢れた時期が躁鬱病患者のようであるが、冷静な分析がそれに骨...続きを読む
  • アロウズ・オブ・タイム
    「直交」三部作完結篇。もっとひねった終わり方かと思っていたが、意外と素直に大団円を迎えた感じだ。今回は、私にはチンプンカンプンのサイエンス部分が少なく、三部作随一の読みやすさだった。これまで辛抱して読んできて良かったー。

    ま、理屈がわからないのは前作と同じなんだけど、今度は「未来からのメッセージ」...続きを読む
  • 順列都市〔下〕
    途中内容を理解するのに諦めるシーンも多い難解な内容だったが、奥深く壮大なスケールで描かれる宇宙創世の話はさすがイーガンといったところ。
    エピローグで描かれた現実世界のマリアの姿の物悲しさが後を引いた……
  • エターナル・フレイム
     『直交』三部作の第2。われわれの宇宙とは物理法則が符号がちょっとばかり違う宇宙。そのような宇宙を設定すると、われわれの相対論的宇宙と違って、時空をかなり簡単に図示できるのがメリットなのだが、この数学と物理学、私は十分わからないまま読んでいる。それでも物語は面白いと思えるからまあいい。それで挫けてし...続きを読む
  • ディアスポラ
    これでもかとSFが詰め込まれつつどんどんとスケールが大きくなっていく物語が、よくわからない部分がありつつもとにかく良い。
  • エターナル・フレイム
    読んだぞ、とにかく。おもしろかったよ、そう言っていいのかどうかわからないけど。だって、サイエンス部分が前作「クロックワークロケット」をしのぐ難しさで、ほとんどチンプンカンプン。科学的な議論が始まると、そのくだりは無念無想の境地で字面だけ追い、人間ドラマ的部分(「人間」じゃないけど)にさしかかると我に...続きを読む
  • エターナル・フレイム
    青木薫訳『量子革命』を連想。これの架空世界版みたいな。プラス、過激なフェミ論争のネタ満載。その観点でも読書会したら面白そうだが、いやちょい怖いかも。
  • クロックワーク・ロケット
     『白熱光』に似て非人類の女性科学者の物語である。『直交』三部作の第1。
     舞台は、ある惑星だが、こことは違う宇宙。われわれの宇宙とは物理法則がちょっとばかり違うのだ。数式にするとプラスとマイナスの違い。しかしそれが大きな差異を生む。われわれの宇宙では光速は一定である。どこで観測しても一定である。こ...続きを読む
  • 白熱光
     遙か未来。人間もその他の知的生命もソフトウェア知性も、すべてがオンラインのプログラム形態で暮らしたり、物理的肉体にダウンロードしたりして過ごしている、融合世界。おおむね銀河の隅々にまでこの世界が広がっている。光速は越えられないから、旅といえば、個体はデータの形で送られ、目的地でプログラム形態なり、...続きを読む
  • クロックワーク・ロケット
    回転物理学の中身はほとんど分からなかったが、物語としてとても面白かった。科学者同士の会話を読んでいるだけでワクワクできた。
    早く続きが読みたい。
  • ディアスポラ
     この頃、星空を見上げると、ある感慨にうたれる。この宇宙にはいろんな世界がある。他の星の生命もいるかも知れない。宇宙人もいるかも知れない。
     もしかして自分もそこに到達できるかも知れない。と思ったのは子どもの頃。
     星々の世界があると思っても、もはや自分にはあの星々に到達することはあり得ないと今は思...続きを読む
  • しあわせの理由
    文系にも読みやすい珠玉のSF短編集。「宇宙消失」よりだいぶ楽しめた。

    不気味な「未来の愛」を描いた『適切な愛』、ホラーな『愛撫』、サイコな『道徳的ウィルス学者』など。
    SFっぽさとサスペンスが見事にマッチした『血を分けた姉妹』、我々が物質であり化学反応の帰結であることを否応無く意識させる表題作『し...続きを読む
  • ゼンデギ
    子供が出てくるのはイーガン作品には珍しい?
    論理の骨と皮だけでできてるような今までの作品とは少し違った印象を受けた。
    そして結末は苦く鮮やか。
    前半の流れも素晴らしい。
    さすが。