グレッグ・イーガンのレビュー一覧

  • ディアスポラ

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    難解さで知られるイーガン作品のなかでも、比較的とっつきやすいと思います。
    人間の、というより知性のアイデンティティを極限まで突き詰めた小説です。

    ちなみにとある漫画で「イーガンを理解している人はいないけど、理解したふりをするのが通の読み方」みたいなことを、さもSFあるあるっぽく言ってました。
    そういう斜に構えた読み方はせず、純粋に楽しみましょう。

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    2019年07月07日
  • 順列都市〔下〕

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    宇宙や生物を取り扱いつつ、話の軸はあくまで電脳であり、その大風呂敷の上で命を説くような文句なしのSF超大作だった。

    物語の終盤は夢中になって一気読みできた。
    マリアが長い眠りから目覚めてからの没入感がすごかった。エシュリオン vs ランバートの構図はさながらアクションサスペンス映画のようだった。
    人間である自分にとって、ランバート人の理解できないほどの合理性はかなりエイリアン感があって良かった。

    でも、やっぱりすごく難解だった…。
    塵理論って結局なんだったんだろう。ハードSFを読むと数学や物理学をきちんと勉強したくなるw
    トマスやビーとケイトのパートはよく分からないままさらりと読んでしまっ

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    2019年05月26日
  • ビット・プレイヤー

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    イーガンの『ビットプレイヤー』を読んでるんだけど、宇宙に飛び立つとイーガンの語る話は時間的にも空間的にもスケールが大きすぎて、最高に最高。「我々には一万年ほどしか残されていない」とか強すぎる。しかも銀河半周してまだまだ終わらない。

    読み終えて、やはりイーガンは未来を見通すための力がある作家だなと感じた。というか、フェムトマシンすごい…。

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    2019年05月10日
  • ビット・プレイヤー

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    これまた読み応えズッシリな短編集だった。でもブレずにハードに”グレッグ・イーガン”な味だったので落ち着いて読み進める事が出来た。

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    2019年04月14日
  • 順列都市〔上〕

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    うーん、とても難解だった!w それでも総体として面白かったという印象を残すのだから、やっぱりグレッグ・イーガンはすごい。

    オートヴァース内の化学的な描写は、正直なところ難しくて飛ばし読みしてしまった。あと、コピーのポールが真相?に至るまでの考察も。

    だけど、そんな初心者をも楽しませてくれるのだから、イーガンはすごい。上級者向けの細部を披露しつつも、初心者を振り落とさない。しっかりとストーリーの道案内をしてくれる。
    だから読んでいる方も必死になってしがみつくことができて、タフな読書体験を獲得できる。

    話の核となるのは、人間のコピーを作成してコンピュータ上で走らせるというもの。
    単なるSF的

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    2019年02月20日
  • アロウズ・オブ・タイム

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    科学としての話はいつもの通りエキサイティングな内容で、もちろん大満足でした。著者の、生命と科学的思考力、数学的美しさへの愛情・畏敬が感じられる作品でした。
    ですが本作では小集団が発展した帰結として発生する政治的な話が多く、その点がむしろ根気がいる部分でしたね。。

    私達の世界から考えうる別の定理を出発点に話が展開し、ここまで話を膨らませて小説としても完結させるという、恐ろしいほどの才能の著者。
    感謝に堪えないですし、今後も楽しみにしています。

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    2019年01月12日
  • 順列都市〔下〕

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    1994年に書かれた作品
    この作者の作品は多くがそうなのだけれど
    なかでもまっすぐに題材が大掛かりなものであるだけに
    既に古典殿堂の趣き
    あるいはクラシックという日本語であらわされるようなそれは
    サイエンスでファンタジーなフィクション
    カガクで想像豊かな物語として奥深い

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    2018年10月25日
  • ディアスポラ

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    グレッグ・イーガンの作品は、それを読む前と後で読者の考え方を大きく変える程の力を持っているが、この本も例外ではない。

    ストーリーを支える設定としての科学的考察があまりにも専門的すぎる(しかもあらゆる科学ジャンルを横断する)ため、1ページめくる毎にWikipediaを開くなんてことがしょっちゅう起こる。

    しかし、文章の向こう側で何が起こっているのか、用語を調べながら必死に内容を咀嚼するのは、それでとても楽しい作業だった。
    どうしても理解できないと、ものすごく悔しいし、もっと理解したいと思う。それで関連する本を買って読み漁ったこともある。

    もちろん詳しい考察は適当に読み飛ばして、想像力でスト

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    2018年10月14日
  • ゼンデギ

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    ネタバレ

    はるか彼方の未来の壮大な話ではない。近未来の、仮想現実の技術をめぐる、骨格だけを言ったら他のだれかでも書いていそうなワンアイディアストーリーのよう。でも、かの国を舞台にしてのディテールの書込みの説得力はこの著者ならではのものか(その妥当性の判断はわたしにはできないのだけれど)。そして、「情」の部分で、わたしはこの話が大好きになった。主人公が聴いてきた音楽の趣味のあれこれにも、ちょっと共感♪

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    2018年03月20日
  • 順列都市〔上〕

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    イーガン凄い!コピーの権利の問題やフェッセンデンの宇宙をガチに理論化した様な世界のシュミレーションや塵から生まれる意識やらそれらが量子論や哲学等多方面から検討される。ダラムやマリア、登場人物たちの議論や悩み、問題が来るべき世界を先取りしてる様で知的に刺激されます!

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    2018年03月20日
  • クロックワーク・ロケット

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    映画『インターステラー』が好きならきっと好きになるSF小説。ただし難解と言われているインターステラーよりさらにはるかに難解な設定なので、読むのにはそれなりの気合が必要だと思います。

    21世紀最重要SF作家と言われるグレッグ・イーガンの”直交3部作”の1作目。3作目の「アロウズ・オブ・タイム」まで発売されているので、引き続き読み続けたいシリーズです。
    (ただ、ちょっと前に「これは!」と思ったヒュー・ハウイー著のサイロ三部作も2作目「シフト」の途中で飽きちゃったし、SFの傑作「星を継ぐもの」も続編の結構早い段階で飽きちゃったので、今回も完走できるか怪しいけど…。)

    本作の最大の特徴は、地球(と

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    2018年02月03日
  • ゼンデギ

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    ちょっと苦手なイーガン。比較的読みやすいということで懲りずに挑戦。

    舞台はイラン。2012年の政権交代と第一部とし2027年以降の近未来を第2部とする構成。相変わらず、イーガンの言い回しとか表現とか理解しにくい感じがつきまとう。よっぽど僕には合わない作家なんだな。でも、テーマはまさにタイムリーなAIのななめ上を行っている。人格そのものもを仮装空間にアップロード(本文中ではサイドロードという表現)できるか、できたとしたらどんな問題が引きおこされるのか?

    自分という人間の「プロキシ」と表現されているのが上手いなぁと思う。脳スキャンによって不完全なマッピングを前提にした部分的人格(?)は人間なの

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    2017年10月21日
  • 祈りの海

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    2017/08/07-2017/08/09
    星5

    2017年10月18日にこの感想を書いている。サボっていたので随分遅くなってしまった。帰省する際の暇つぶしに途中の本屋で買ったこの本は、とてもおもしろかったことだけ覚えている。この文庫本は短編・中編集だ。1つとして面白くない話はなかった。多くの話を読み終えた後、僕は不安になった。自分とは何か、自己同一性とはどのようなことか、考えていたのだと思う。良いSFだった。

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    2017年10月18日
  • ディアスポラ

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    30世紀を舞台に、ソフトウェアによって生み出された
    主人公ヤチマの冒険譚。

    ヤチマの誕生を描いた第1章では、
    ソフトウェア上での知性・人格・自我の生成プロセスが丁寧に記述されており、
    難解ながらも読み応えあり。

    その後、章ごとに、情報科学、数学、遺伝子工学、天文学、と、
    多岐にわたる科学分野を横断しながら、
    人格をアップロードしなかった肉体人とのコンタクト、
    宇宙へのディアスポラ、ワープ航法の技術開発、といった旅が展開。

    物語が進むにつれ、身体的、時間的、空間的な制約が次々と外され、
    人類はどこまで行きつけるのか?、想像力をかきたてられた。

    本作にテーマや世界観が近い作品を、関連順に。

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    2017年08月20日
  • ディアスポラ

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    まさに、ハード・SF。圧倒的な時間とスケールの世界が描かれる。章立てが変わるたびに次元が変わってその世界観にクラクラした。

    原子やワームホールの理論的に難しい話はさておき(しかも話の核ではなかったし、よく出てくるコヅチ理論の位置付けも謎だった)、肉体を離れた後の人類が、ソフトとして「生み出され」、人の「意識」や「思考」を持ち「交流する」。肉体を持つ人々は肉体、遺伝子、神経に手を加え進化を遂げている。
    そんな世界の話だけでも充分夢中になれるのに、次々に高次の宇宙が現れて、その宇宙の真理を知っているのは、真理は何なのか…私たちの想像を超えた思考と宇宙の話。ひたすら圧倒される。

    でも物理空間をせ

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    2017年07月20日
  • しあわせの理由

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    短編集。イーガンはハードSF作家として有名でなかなか手に取り難い。
    本書は表題作「しあわせの理由」の設定(感情が脳の化学物質によって左右されてしまう)に興味を抱いて読んだ。
    期待に違わず表題作はとてもおもしろかった。廃人のような時期と多幸感に溢れた時期が躁鬱病患者のようであるが、冷静な分析がそれに骨格を与えていて、ただの情緒不安定な人ではなく、ちゃんと希望が0の人と4千人の幸福を持った人として説得力がある。ただし、ストーリー最後はあまりにも「まとめ」的な形で、安っぽく思えてしまう。それほど直接的に語る必要はあっただろうか。
    しかしこの直接的な、ある種の説教臭さは他の短編にもかなりある。とくに血

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    2017年05月18日
  • アロウズ・オブ・タイム

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    「直交」三部作完結篇。もっとひねった終わり方かと思っていたが、意外と素直に大団円を迎えた感じだ。今回は、私にはチンプンカンプンのサイエンス部分が少なく、三部作随一の読みやすさだった。これまで辛抱して読んできて良かったー。

    ま、理屈がわからないのは前作と同じなんだけど、今度は「未来からのメッセージ」というワクワクする要素が中心なので、難解さが気にならなかった。もし現実にそういうことが可能な技術が開発されたとしたら、一体どうなるんだろう。ここの「孤絶」社会は、きわめて規模が小さく、外界とほぼ隔絶した特殊な状況にあるわけだが、その中で繰り広げられる議論や策動、各人の葛藤が身に迫って考えさせられる。

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    2017年03月14日
  • 順列都市〔下〕

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    ネタバレ

    途中内容を理解するのに諦めるシーンも多い難解な内容だったが、奥深く壮大なスケールで描かれる宇宙創世の話はさすがイーガンといったところ。
    エピローグで描かれた現実世界のマリアの姿の物悲しさが後を引いた……

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    2017年01月28日
  • エターナル・フレイム

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     『直交』三部作の第2。われわれの宇宙とは物理法則が符号がちょっとばかり違う宇宙。そのような宇宙を設定すると、われわれの相対論的宇宙と違って、時空をかなり簡単に図示できるのがメリットなのだが、この数学と物理学、私は十分わからないまま読んでいる。それでも物語は面白いと思えるからまあいい。それで挫けてしまう人にはお勧めできない。そして登場「人物」もまた人間ではない知的生物なのだが、彼らの惑星の未来への進行方向と直交方向から星団が飛んでくることがわかり、いずれ衝突して彼らの惑星は滅びてしまう。そこで山ひとつを世代間宇宙船〈孤絶〉にして、直交座標の横方向に高速で飛んでいくことにする。この宇宙の物理法則

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    2017年01月01日
  • ディアスポラ

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    これでもかとSFが詰め込まれつつどんどんとスケールが大きくなっていく物語が、よくわからない部分がありつつもとにかく良い。

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    2016年10月29日