グレッグ・イーガンのレビュー一覧

  • しあわせの理由
    愛とは、幸せとは。人間として当たり前の本能や感情を、科学の面から考えさせられるよう(といっても全然寓話的ではない)だった。やはり表題作が印象に残った。
    世界観というよりは小さな設定ばかりだけれど、これらを元にした長編も作れそうな作り込みの良さだった。
  • ゼンデギ
    3D感覚で実際に自分がその場にいるかのようにゲームをプレイできる、オンラインゲームの高度進化版(ハンターハンターのGIを思い浮かべるとイメージしやすい)を軸にしたSFものだが、親子の絆などの要素も込められた物語。
    グレッグ・イーガンというと、現在SF作家の最高峰だったり、ハードSFの旗手と呼ばれたり...続きを読む
  • 順列都市〔上〕
    2016/09/07-2016/09/10
    星4.5

    「グレッグ・イーガンのSFがおもしろい」というのを風の噂で聞いたので読んだ。ハヤカワ文庫SFの中ではこれが最初の単行本だが、日本語訳されているイーガンの長編の中では2番目らしい。創元SF文庫から出ている『宇宙消失』が最初。Wikipediaによ...続きを読む
  • 順列都市〔下〕
     1994年発表、グレッグ・イーガン著。ソフトウェア化された意識〈コピー〉が一般化された世界。富豪のコピー達に、宇宙が消失しようとも永遠に生きられる方法を提示する男。N次元オートマトンを駆使した、膨張し続けるTVC宇宙(エリュシオン)内に、コピー達と彼らの住む街〈順列都市〉を作り、さらに簡略化された...続きを読む
  • しあわせの理由
    何て多才な人が存在するんだと唸らせられた短編集。生物学やら物理学など様々な理系分野に焦点を当てた作品だけでなく、ユーモア路線を突っ走った話も含めたりと、作者の懐の深さを感じられる。表題の「しあわせの理由」はどこか「アルジャーノンに花束を」を想起させる、自分自身の嗜好とは??思考とは何か??を考えさせ...続きを読む
  • しあわせの理由
    どちらかと言うと後味は悪い。だが、読んで良かったと強く思える作品でもある。
    SFとも哲学とも言える文章で、知識が無くても楽しめるがあったはほうが良い。

    感想はと言うと、不思議だとか複雑なような感じが率直に思い浮かぶ。
    考える機会を与えてくれる作品は多いが、
    単にこういうのはどうだとテーマを投げるだ...続きを読む
  • ディアスポラ
    初めてグレッグ・イーガンの作品を読んだ。想像以上にハードSFだった。最初から難しい。脳のシナプスを活性化させ、目から入ってくる文章から画像を生成し、脳みそに汗をかきながら読んだ。涙ぐましい努力(自分的には)の結果、最初の部分はかなり楽しめた。

    この最初の部分は、非常によくできていて、生命の誕生(コ...続きを読む
  • ひとりっ子
    ここに、ひとの感情を固定させることのできるインプラントがあるとしよう。インプラントは鼻孔に挿入された後、脳まで一直線に掘りすすみ、そこから放出されたウイルス大のロボットが適切な処置を施してくれるのだ。もちろん痛みはない。
    さて、ここで質問。あなたは夫婦間、あるいは恋人への愛情を例えば倦怠期による磨耗...続きを読む
  • しあわせの理由
    9編の物語から構成される短編集、医学、脳科学、量子力学、コンピュータなどの未来を見据えたシュツュエーションで展開するストーリーはとてもワクワク(ひとつだけ最後まで意味が良く分からないのもあった^^;)させられた。表題作「しあわせの理由」は脳外科手術により喜びや感動を失った男がそれを再び取り戻す話なの...続きを読む
  • ゼンデギ
    いやあこれは意外。前作の「白熱光」がガチガチのハードさだったので、おそらくまたわからんだろうけど頑張って読むもんね!と鼻息荒く読み出したら、おっとっと、なんだか雰囲気が違う。若干途惑いつつ、そうだよ、ここのところ文系読者にはキビシイのが続いてたけど、人の心に繊細に分け入るドラマ性の豊かさもまたイーガ...続きを読む
  • 祈りの海
    小学校の理科の時間に、口の粘膜を綿棒ですくって顕微鏡にかける実験があった。接眼レンズを覗くと、本当に教科書で見たような細胞があった。
    「祈りの海」の主人公が覚えた衝撃は、そのときの記憶に似ているかもしれない。

    地球とは別の海の星で、主人公の「ぼく」は暮らしている。幼いころにある体験をして、それ以来...続きを読む
  • ひとりっ子
    しあわせの理由に引き続き読んだ。

    ザ・SFな内容が味わえて不思議な気分になるが、大事なことは精神的な問題や社会的な問題でそこに正面から向き合った話が根本にあった。

    例えば自分の意思が可視化されたらその先には何が見えるのか。
    例えば人間の脳が宝石になり、まったく同じ考えを持つ人が隣にいるとどうなる...続きを読む
  • 順列都市〔上〕
    どうやって人間をサイバー空間に送り込むか? という問題については、つまりこの順列都市の「スキャン」って方法で解決できちゃうのかも。身体構造をまるごと写しとって、仮想世界に用意した真っ白いインテリアの部屋にぶちこめばいい。魂というものがない限り、人間はそれで問題なく動くかも。

    この小説で面白いのは、...続きを読む
  • 順列都市〔上〕
    最初は退屈するけど,仕組みをわかってくるうちにじわじわ面白くなってくる小説。登場人物がたくさん出てくるので整理しながら読むと面白いと思う。
  • ディアスポラ
    最近(一部で)超話題のウルトラハードSF『ディアスポラ』を読破!!「近年のSFでは最高」だとか、「イーガンの頂点の一つ」だとかの評価があったので、ずっと読みたかったんですよ。
    グレッグ・イーガンって人はすごい作品を書くのはわかってました。『万物理論』は難解ながらもとんでもない方向に行っちゃうところ...続きを読む
  • ディアスポラ
     1997年発表、グレッグ・イーガン著。仮想現実都市ポリスに住む、ソフトウェア化した人類。ソフトウェア化を拒み、肉体を保ったまま地球で生きる肉体人。地球を襲う天文学的危機をきっかけに多次元空間へと逃れた人類は、遠くの星へクローンを飛ばす「ディアスポラ」を開始する。その果てに未知の生命体と接触する。
    ...続きを読む
  • ディアスポラ
    グレッグ・イーガンのソフトな人々が描かれたハードなSF作品です。
    人類の多くが肉体を捨て、意識をシミュレートできるコンピュータ上に生活環境を移した世界で、問題に直面した人類の外宇宙への進出が描かれます。
    そして、ハードなSFだけに、その辿り着く果てである結末も、ハードボイルド(煮詰り過ぎ)です。

    ...続きを読む
  • 順列都市〔下〕
    上下巻あるうちの「下巻」。こちらに入ると俄然話が進んで一気に面白くなる・・・のだが、最後の半分は「順列都市」内の話になって、いきなり数千年ほど時間がたったりしてしまい、そこにいくともうSFと言うよりはファンタジーになってしまう。

    最初読んだ時にはエリュシオンと塵理論の話がさっぱりわからず(というか...続きを読む
  • 順列都市〔上〕
    タイトルからは全く内容を想像することが出来ないSF。上下巻に分かれており、上巻だけでは全く話をつかむことが出来ないし、どこに着地するのかを想像することもできない・・・・。

    あらすじはこんな感じ。
    近未来、人類は神経系を全てスキャンすることで、肉体がなくなった後もコンピューター上に「データ」として生...続きを読む
  • 白熱光
    知っているけど何を意味するか解らない単語、短いからテンポよく読めるのだけどなんだかビジュアルが浮かばない文章、最後まで構造の理解出来なかった奇数章と偶数章のふたつの物語、だけど、なんか心の動く読書体験でした。初めて聞いた曲の外国語の歌詞が全然、理解できなくてもジーンとしてしまった感じみたい…登場人物...続きを読む