グレッグ・イーガンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
- 孤児惑星(Hot Rock)
この話はこの著者の十八番である惑星において一つの生物圏をそっくり創ってそこで繰り広げられる生物の話なのですが、相変わらずマクロからミクロな視点まで裏付けをしっかり整えている点が凄すぎます。
核心にはオーバーテクノロジーなど存在するのですが、科学的整合性のあるまま想像力をここまで広げられるものかと毎度驚かされます。。
- 鰐乗り(Riding the Crocodile)
他者・別文化圏・意思疎通すら取れない生物とも認識できないものに対して communicate を中心におき、ホモ・ソーシャルとも言えるものの生き方について記載した短編。(タイトルもそういうこ -
Posted by ブクログ
『1984年』は2+2=5であることを証明するSFである
と他の誰でもないこの作者が言うのだからそうに違いない
それはともかく
この作者の作品を久しぶりに読んだけれど
SFとして最先端であるというより小説としての幅の広さが良くわからない感じ
『ルミナス』のように小説らしいSF小説が書かれている一方で
表題作のようにむりやり小説にしているようなお話もあり
SFにおけるカガクテキな着想をお話にする手段に
質の高低でなく種類の幅が迷走しているかのように見えて落ち着かない
数理論文でないものを書きたいのだろうし
SF作家として名声を獲得しているのに何かをいうこともないけれども
小説としては合わないと合 -
Posted by ブクログ
読んでみたかったグレッグ・イーガンを初めて読んだ。ハードSFの大家の短編集。日本向けに選ばれたらしい。
かなり難しいSFでよくわからないのが多いが、なぜか癖になりそう。
以下は読書メモ:
貸金庫
宿主を転々と移る人。目がさめると意識が違う人に移っている。その間の記憶を書きとめて貸金庫にしまう。そして、名前が死ぬまで変わらないことを夢見る。
キューティ
キューティキット(の安物のコピー商品)で妊娠して、キューティを産む男性。
ちょっと狂ってて気持ち悪い。
ぼくになることを
「宝石」を埋め込んで脳を学習させ、「スイッチ」して永遠の頭脳を得る。自分とは何か。
繭
ゲイ、レズビアン。その発生 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大変な大作。作者はもちろんのこと、読む方にも根気と体力が強いられる。
好きな場面はヤチマが自身の精神を統合し、「ヤチマ=自分」と理解する場面。というか、それまでの分裂した自我と子宮プログラムの中での精神の産出の描写。嵐の中の船のような気分になるけれど、いつ、どうやって私たちが、自己という世界とのリンク媒体を手に入れたのかが想起される。
グレッグ・イーガンの小説では、緻密なSF描写・設定に加えて、人間の心理を暴くような哲学的命題が魅力の一つになっている。今回は哲学的・心理的描写は二の次に置かれ、高次元宇宙への限りない飛躍を主題にしている。(ただし、それが出来るのはポリス生まれのヤチマのみで、肉 -
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3D感覚で実際に自分がその場にいるかのようにゲームをプレイできる、オンラインゲームの高度進化版(ハンターハンターのGIを思い浮かべるとイメージしやすい)を軸にしたSFものだが、親子の絆などの要素も込められた物語。
グレッグ・イーガンというと、現在SF作家の最高峰だったり、ハードSFの旗手と呼ばれたりで、とっつき難い印象があった。
いずれ読まねばと思うが、これより前の「ディアスポラ」などは非常に理解が難しく、「白熱光」に至っては筆者のウェブサイトにて図付きの解説が載っているという事実が二の足を踏ませる。
それらよりは遥かに読みやすい(理解力に乏しい我々にイーガンが歩み寄った)作品ではあるよう -
Posted by ブクログ
2016/09/07-2016/09/10
星4.5
「グレッグ・イーガンのSFがおもしろい」というのを風の噂で聞いたので読んだ。ハヤカワ文庫SFの中ではこれが最初の単行本だが、日本語訳されているイーガンの長編の中では2番目らしい。創元SF文庫から出ている『宇宙消失』が最初。Wikipediaによると更にそれより前に "An Unusual Angle" というのがあるらしい。
物語の背景として主軸にあるのは、物理・情報科学・生物の知識。物理に偏ることも情報科学に偏ることもなく、基礎原理から生物的性質まで幅広く設定され考察されているのには、想像力の広さを感じた。
今ま -
Posted by ブクログ
ネタバレ1994年発表、グレッグ・イーガン著。ソフトウェア化された意識〈コピー〉が一般化された世界。富豪のコピー達に、宇宙が消失しようとも永遠に生きられる方法を提示する男。N次元オートマトンを駆使した、膨張し続けるTVC宇宙(エリュシオン)内に、コピー達と彼らの住む街〈順列都市〉を作り、さらに簡略化された物理法則を持つオートヴァ―ス宇宙を作る。やがてオートヴァ―ス宇宙側(そこに住む知的生命体、ランバート人)から、TVC宇宙への浸食(より高次の万物理論の暗示)が起こり始める。
久しぶりのイーガンだったが、やはり一筋縄には理解できない。依然読んだ『ディアスポラ』以上に難しいと感じた。おそらく難解な部分 -
Posted by ブクログ
初めてグレッグ・イーガンの作品を読んだ。想像以上にハードSFだった。最初から難しい。脳のシナプスを活性化させ、目から入ってくる文章から画像を生成し、脳みそに汗をかきながら読んだ。涙ぐましい努力(自分的には)の結果、最初の部分はかなり楽しめた。
この最初の部分は、非常によくできていて、生命の誕生(コンピューターの中の世界だが)のプロセスを臨場感と共に思い切り楽しめる。その部分があるからこそ物語に引き込まれ、最後までドキドキしながら読むことができた。
後は大宇宙を移動しながら、時には次元を越え、時には別宇宙に飛び、自分のクローンを作りながら永遠の旅をする。
数学やら物理やら、やたら難しい単語