ジェイムズ・P・ホーガンのレビュー一覧
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時は2028年。コンピュータと人間の未来を探るべく、宇宙ステーションにて壮大なシミュレーションが開始する。
1979年発表、日本では1983年に翻訳された、ホーガンの代表作のひとつ。2022年の今、これを読んでまず思ったのは、当時作者が未来予測的に描いたコンピュータにまつわるデバイスやインフラなどが、かなりの打率で実用化されているなぁということ。スマホやタブレットっぽい情報端末などは言うに及ばず、ほとんどの書類が電子化されていたり、対戦型ネットゲームがあったり、ドローンが現在のイメージまんまで出てきたり。そんな中で、本作が掲げる人工知能の進化と人間との共存というようなテーマは古典的ではあるけれど、今だからこそ間近に迫っている問題としてリアリティを感じながら読んだ。展開はベタだが、その経過を彩るハードSFとしてのディテールと、ホーガンらしい発想の着地点がありふれたものではなく、本作には40年を超えて今もって古びない感動と示唆がある。シンギュラリティと人間の未来や如何に。 -
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本作の原題:Thrice Upon A Time は『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の英題に引用された。
過去にメッセージを送ることができるマシンが完成した……という、それ何てシュタゲ?と今の若い人なら言いたくなるようなオープニング。2010年を舞台に1980年に出版されたホーガン節の時間移動SF。ホーガンといえば真っ先に思い浮かぶのが『星を継ぐもの』。これぞSF、というセンス・オブ・ワンダーとミステリー的な謎解き要素を併せ持った面白さは本作でも健在だ。
こういった、過去に干渉して歴史を改変するという物語は、改変前の世界と改変後の世界が分岐してそれぞれが継続していくというパターンと、改変前の世界は消滅して完全に書き換わってしまう、というパターンがある。本作は後者であり、「世界線の書き換え」によって生じる様々な問題が、思考実験のように展開されて非常に面白い。たまたま人類の絶滅につながる2つのまったく別々の重大事件が発生し、過去にメッセージを送れるマシンによって救われるか?というのはちょっとわざとらしい展開にも感じるが、必然的に生じるタイムパラドックスも含め、このテーマに関する普遍的な問題を提示していて最後まで興味深く読める。
美しいラブロマンスでしめる、読後感の良さはさすがのホーガン。あちらこちらで使い古されてしまった時間移動もののネタは新鮮味にかけるかもしれないが、今もって一読する価値のある名作なのは確かだと思う。
新エヴァについては、なるほど……と今さら気づいた(英題は気にしてなかったニワカ)。 -
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ハードSFの巨匠ホーガンが90年代に書いたVRものSF。原題「REALTIME INTERRUPT」よりも邦題「仮想空間計画」のほうが内容をイメージしやすくてわかりやすい。
閉じ込められた仮想現実(VR)から脱出するという、今やありふれた話ではあるが、、ホーガンらしく科学的な検証や企業政治のゴタゴタ、丁寧な人間心理の描写などが緻密に書かれているためか、今読んでも古さを感じない。
舞台は2010~2022年となっており、記憶を思い出すように過去と現在の主人公が交互に描かれて進行し、失った記憶の謎でつながっていく流れが面白い。VR内と現実に時間の速度差があるあたり、マトリックスというよりはインセプションの感覚に近かった(いずれも本書より後の映画だが)。
人物が多くて把握するのが大変なので、リストを作りながら読むのをオススメ。巻頭2ページの登場人物リストでは足らんのです……(苦笑)。 -
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ネタバレシュタインズ・ゲートの元ネタというかシュタゲがリスペクトしているであろう内容。タイムトラベル物でまさかのラブストーリー…!「忘れてなんかいないわ」にちょっと泣いてしまった。
新しいなと思ったのは(1980年の作品なのに!)タイムトラベルの実現について国家をまたいで共有し、地球の未来を守るために首脳陣が知恵を絞っていく過程。もちろん打算や独り占めしたい各国の思惑も混ざるが、それでも歴史改変の危険性回避のために最善を尽くそうという強い意志がありそこも泣けた。
長編なのでずいぶん長いこと欲しいものリストに入れたまま放置していたが、読んで良かった。 -
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量子物理学ではないK物理という概念のもと、粒子のスピンが止まると、物質は見えなくなり消滅し、また動き始めると見えるようになる。有から無が生じ、逆に無から有が生じるという理論を作り上げたクリフォード。しかしACREという、国の軍事に関わる研究機関であったため、理論/基礎研究の意味合いが理解されず、実用性がないと一蹴される。しかし、その理論が正しいことが解ってき始めると、政府の役人はコロッと態度を改めるが、クリフォードは不満しか無く、ACREを辞職してしまう。時を同じくして、応用物理分野のオーブと合流し…。
最初の数十ページかは、「ハードな物理学は苦手だわ…」と思ってしまうのだが、訳もいい加減というか、書かれているとおりに単語を訳しているだけということに気づくと、さほど重要でないということがわかり安心する。
そこからは、ブラッド(クリフォード)、オーブとの交互の快進撃が始まるし、始まってしまえば物理学は他所に置かれてしまうので、かなりわかりやすい作品ということになろう。
ラストの盛り上がり部分は、あれだけ盛り上げておいた物理学は影も形もなくなり、見事にエンターテインメント作品として昇華されている。まあでも、この作品の一番成功しているところは、K理論という仮想の物理学をぶちあげ、それをあたかも見たかのように書き上げているところにあり、こういうスタイル(仮想理論系?)というのを見たのが新鮮であった。
奇しくも「ドリーム(Hidden Figures)」の映画を見たところで、能力の有るものが、政府の建前なり州法の建前の元で全く活かされず、影に生きるところからの快進撃、という見方ができたので、非常に面白かった。
こちとら科学者の端くれなもんで、「科学というのは、建築物と違う。立てた計画通りに結果が出るわけではない」みたいな話の部分は身にしみる。
オチは小松左京の「明日泥棒」を思い出したんで、読んでない方はそちらもどうぞ。 -
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ネタバレああ、3部作は読めないんだよね。
地球という故郷を失い、
失意の底にあった少年ロビンが
きっと最後は活躍するだろうと信じていました。
でも、そうなるであろう未来はもうやっては来ないのです。
達成感、承認要求というものは
ある種の人の原動力です。
誰しもが求めるものですが
行き過ぎたそれは時に制御不可能な事態を
招きかねません。
今回のプラグマティストたちの一連の事件は
その最たるもの。
クロニア人はそのような事態を「知らなかった」がゆえに
やすやすと彼らの暗躍を
許してしまったのです。
ですが、キーンたちの機転を利かせた作戦
そして、地球からやってきたラッキたちが
幻滅したことにより
プラグマティストたちの野望は壊れるのです…
ああ、続きが読みたかったなぁ。 -
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人工知能は人間に対して安全なのか、最近でもホーキング博士を始めとして危険と唱える識者の方も少なくない。この問題に対して地球とは隔絶された宇宙ステーションの中で実験を試みるのがこの小説です。人間側の執拗な攻撃に対して人工知能が次第に凶暴さを増してきて熾烈な人間vs人工知能の戦いになるところがハラハラドキドキでとても面白い。最終的には和解して人間の良いパートナーになるといったハッピーエンドで終わるところもまた良し。この戦いの最中、人工知能は一億年に相当する進化を遂げたとある。ヒト亜科として区分される動物が現れたのは、600万年前から500万年前とされていますが、人間はまだ進化が足りないのでしょうか?ちなみに人工知能が自己の修理や攻撃に使う様々なドローンが登場し、日本で研究開発されたとあるのが面映いのですが、この小説が発表されたのは1979年、日本の全盛期なのだな。。。
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ーーーアメリカ西海岸で技術コンサルタント事務所を開いているマードック・ロスは、スコットランドの古城に住む引退した物理学者の祖父に招かれ、友人のリーとともにイギリスへ向かった。 祖父が政府の助けもなく、独力でタイム・マシンを完成させたというのだ。
『星を継ぐもの』シリーズ以来のJ•P•ホーガン
よく言えば外さない、悪く言えばありきたりのタイムマシンとそれに伴うパラドックスにまつわる物語
他の書評を見る限り、「シュタインズゲート」はこの小説にインスパイアされて生まれた作品みたいやね。
前に読んだシリーズでもそうやったけど、破綻の無い理論構成はグイグイ引き込まれる。
ただ、ひとつの欠点として、取っつきにくいというか理解するまでに時間がかかる。
ただ、絶妙なところで図解が用意されていくので置いていかれることは無いと思う。
この物語の面白さは指数関数的に上がっていき、素晴らしい余韻を残したエンディングへ収束するので、今まで踏み込んだことのない領域までイメージを広げて楽しんでもらいたい。
「人類の全歴史を通じて、きょうの子供たちはきのう魔法だったものをふしぎとも思わず、あくびをしながら眺めているーーそういうことがつづいてきたのです」 -
Posted by ブクログ
ーーー百万年の昔、故障を起こした異星の自動工場宇宙船が土星の衛星タイタンに着陸し、自動工場を建設し始めた。
だが衛星の資源を使って作った製品を母星に送り出すはずのロボットたちは
故障のため独自の進化の道をたどり始めたのだ。
いまタイタンを訪れた地球人を見て彼ら機会生物は……?
ホーガンSF5作目
私たち人間とは、「生きもの」と「機械」の概念が正反対の、緻密な機械生物の世界。
まずプロローグが凄い。生物の進化と全く違う様に見えて、似通った部分も見受けられる。
独自の進化をとげた機械生物たちとの対比を通して、私たちの見ている「世界」とは電波や可視光、空気の振動といった一次的な刺激を受けて
私たちの脳が構築しているものにすぎないことが理解できる( ̄▽ ̄)
こういうクオリア論みたいなものは大好物です
さらに綿密に練られたプロットで最後まで飽きることなくエンタメとして楽しめる。実に満足のいくSF作品でした