橋本長道のレビュー一覧
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「サラの柔らかな香車」の続編。
将棋ソフトとの戦いが物語の一つの筋となっている。本書は、2014年の発行であり、まだ、将棋ソフトとプロ棋士は、プロ棋士側が比較的健闘していた時期だったと思う。また、この物語も、そういった力関係が、ある意味で前提となっている。
将棋ソフトとプロ棋士が公の場で戦う棋戦、叡王戦は2017年以降開催されていない。将棋ファン的には、そこの勝負は既についたものと考えるのが一般的な理解だと思う。従って、小説を成立させていた前提は既に存在しないわけで、今となっては、小説自体が成立しない状況となってしまったわけである。
物語としては、かなり面白いものではあるが、全面的には没頭出来なかったのは、そういう理由による。 -
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筆者の橋本長道は、元奨励会員。将棋の奨励会は、プロ棋士を目指す人間の集まり。多くの人間は小学生の頃に入会し、同じ奨励会員との将棋の勝負を繰り返していく。好成績をあげるとルールに沿って昇級・昇段をしていく。好成績をあげる者がいるということは、そうではない者もいるということで、昇級・昇段できない者、更には降級していく者もいるということだ。
プロ棋士とは、4段以上の者のことを言う。4段になるためには、奨励会での3段リーグを勝ち抜く必要がある。奨励会の3段リーグは、年に2回の開催であり、各回の上位2名、従って年に4名のみがプロ棋士になれる。前期の3段リーグ参加者は36名、その内の上位2名に入ることは、大変なことなのである。3段になっている者は、それまでの奨励会の中の戦いの勝者であり、勝者のみ36名が集まったリーグ戦を勝ち抜くことが如何に大変なことか。
これまで、中学生の内にプロ棋士になったのは、5人しかいない。多くの者は、中学を卒業しても、棋士になる夢を追い続ける。一方で、奨励会には年齢制限がある。26歳時点でプロになれなかった者は、戦いの場から去らなければならない。
筆者の橋本は、そういった過酷な奨励会の経験者。プロ棋士にはなれず、途中で退会している。そういった過酷な経験が、作品の中に織り込まれている。それは、他者の才能に対する嫉妬であったり、自らの才能に対する絶望であったり、そもそも、才能とは何かという問いであったり。作品中、将棋ライターの、「橋元」という人物が登場する。自らの名前、「橋本」を「橋元」に替えて、将棋の世界に登場させるということは、筆者は、まだまだ将棋というものに対して、良かれ悪しかれ、相当の思い入れを持っているということなのだろう。
題名に含まれる、香車は、将棋の駒の一種類。将棋の駒は、駒ごとに動き方が決まっている。香車は、縦にしか進めない。
将棋を指したことのある人間であれば、香車に対して、「柔らかな」という表現を使うことに違和感を感じるだろう。どちらかと言えば、融通の効かない、柔軟さのない駒というイメージを持つはずだ。
筆者は、敢えて「柔らかな香車」という表現を使うことで、主人公のサラが、これまでの将棋の常識を壊す可能性のある存在であることを示したかったということなのだろう。 -
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奨励会と聞いて将棋を思い浮かべる人は、結構な将棋好きの人だろう。
将棋のプロ棋士とは、四段以上の者をいう。奨励会とは、プロ棋士養成所、6級から三段のプロ棋士を目指す者たちが、戦い続ける場である。21歳までに初段、26歳までに四段、すなわちプロ棋士になれない場合には退会という厳しい規定がある。
筆者は、一時期、奨励会に属していたが、プロ棋士にはなれずに退会したという経験を持つ。
自らの奨励会での経験などをベースに、奨励会ばかりではなく、広い意味での将棋界について語った書。
奨励会経験者でないと語れないことも書かれており、読み物として面白い。 -
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ネタバレ夏場になると出版各社が行うフェアが本屋を賑わす
なかなか読書の進まぬ日々にあっても結構気になるんですよね
で、今回手に取ったのがタイトルに惹かれた本作品です
第24回小説すばる新人賞作品とのこと
さて、感想は
面白い!
将棋に懸ける幾多の才能、勝負の世界に生きる者の努力と感性が描かれた青春小説でした
才能に焦がれ、夢に届かず足掻くものも、また美しいと感じさせます
孤高の女流名人・萩原塔子、感性の申し子・護池サラ、二人の才を追う者たち...
それぞれの葛藤、苦悩が紡ぐ物語の結末に人間の強さとしなやかさを、明日を期待せずにはいられません
もっと、より良く描けたのでは?とも感じさせられる処もあるけど、若い著者であれば、それも又未来があって宜しいね
星は★★★☆(3.5点)
将来期待で、もう半個☆をつけても良いけど、小説の世界も厳しく!と言うことで
しかし、タイトルの「柔らかな香車」は秀逸だな
非凡なセンスを感じる
著者自身の案か編集者の意見か知らぬが羨ましい感性です -
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ネタバレ前作『サラの柔らかな香車』が面白かったので購入
さて感想
あれ?主役は七海なのだろうか、鍵谷なのだろうか
天才棋士のサラは何処でお出ましになるのだろうかとヤキモキしつつ読み進めました
意外な展開と「ヒカルの碁」や今話題の棋界スマホ不正問題なんかも想起して楽しめたね
何より、やっぱり私が好きな 己を削りながらも高見を目指し、挑む者を描いてるし...
しかし、結末は切ない
鍵谷はあれで本当に幸せなんだろうか
せめて、サラには探しに行った銀の涙を見つけてもらいたい
星は★★★★(4点です)
若者向けの作品として前作ともにお奨めかな
向こう側に行ってしまうことは幸せなのか、一緒に居ることの方が...と思いつつ決めるのは自身なのだろうと納得するしかないですね。でも、見つかると良いな、銀の涙 -
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奨励会員のリアルな日常が分かる。棋士になるためにはどんな努力が必要なのか、どの程度の才能を基盤に頑張っているのか。才能とは何か?将棋の勉強法はどうあるべきか?
「井上門下の兄弟弟子の中には、奨励会退会後、まだ一度も井上先生に顔を合わせることができていない者もいる。彼は井上先生に強い恩義を感じているのだが、なんとなく合わせる顔がない。会うことを先送り、先送りして、師匠に顔を見せることが人生の宿題になりつつある。井上先生も彼には愛着を持っており、なんとかしてやりたいと思っているようだが強く踏み込めずにいる。両思いなのにお互いの距離感が分からず、なかなかくっつかないカップルを見ているようでやきもきする。」
勉強法 1日10時間の勉強を3年間続けると1万時間になる。何事も1万時間集中して取り組むと一流になる(マルコム・グラッドウェル)。
将棋の勉強法は、詰将棋、棋譜並べ、実戦、次の一手、将棋ソフトとほぼ確立されて来ている。この勉強法を1万時間すれば一流になる。いろんな部門に当てはまるのでは。
また「天才の一言は凡人の一冊よりも重い」という言葉もまた真実かと思う。だから藤井聡太の活躍はワクワクする。 -
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ネタバレ将棋は全く興味はないが好きな作者さんが多数いたので読んでみた。
将棋が分かればもっと面白かったのだろうけど、分からないなりにも面白かった。
・授かり物 ★★★★★
大好きな青山さんの作品。
離婚して1人で子供を育てたお母さんの話。ほっこりとするし、泣きましないが感動する。
・マルチンゲールの罠 ★★★★
1人語りの話。初めて読む作家さんの話。
オチは読めたが、話に引き込まれ結構面白かった。
・誰も読めない ★★★
将棋は全く分からないので、具体的な話はちんぷんかんだったがザ、ミステリーって感じでまあまあ良かった。
・なれなかった人 ★★★★
読後がかなり良い!!
将棋はちんぷんかんなので将棋については分からない事が多かったが、段の生き方が泥臭く良い!!
最後は泣きかけた。
・王手馬取り ★★
うーん、イマイチ。
貴志さんの作品なんで期待してたが、ガッカリ。
・おまえレベルの話はしてない(大島) ★★
イヤミスかと思ったら、ちょっとしたミステリー?的な話だった。
・女の戰い ★★★★
初めて読む作家さんの話で読後感が良い作品。
夢に向かって頑張ってる人って素敵だなと思いながら読んだ。
・桂跳ね ★★
歴史もの?はあまり好きでなく、文章も昔風で読みにくかった。
最後の諒四郎の将棋の指し方と彼の死に方が似てるというのが良かった。