デービッド・アトキンソンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトルから妄想
「元ゴールドマン・サックスの凄腕の人が日本の国宝に魅せられて…はたまた日本の美術品か寺社仏閣の修復する会社の跡取り娘と恋愛して苦労しながらも会社を継いでいく苦労話ストーリー」なのかな~と思っていたら…
あ~た!
もう全然違う内容に読みながらびっくり!
(いや…勝手に内容を妄想した私が悪いんだが…)
日本の経済界のバカバカしいところやらからくりやらを説明しつつ「観光大国になるには根本考え直さなきゃムリ~」っていうのを解説している内容だった!
でも、ある意味これがおもしろかった。
日本の経済界の大物たちはデータではなくカンで仕事してる話やら、(だから占い師とか頼っちゃって詐欺とかの事件が起こりがちなんだな~)アベノミクスなんて本当は効いてるかそうかなんて今は全くわからないってな話をイギリスのサッチャーさんの話も交えてしてくれてるんだけど、めちゃくちゃ説得力ある。たしかに経済なんて落ちるのは早いけど、1年とかで回復するとか結果出すなんて難しいよね。
あと海外の人が求める「おもてなし」ポイントと日本人が考える「おもてなし」ポイントがずれてるとかの話も納得。
そうか・・・日本の国宝を守っているのはきっと全く別の目で見ているデービッドさんみたいな人たちなんだろな…。
とは言いつつ…日本人としてはなかなか耳が痛い話&胸が痛い話も多く…。文化財の大切さなんてわからないイマドキの日本人も多いんだろな…。 -
Posted by ブクログ
全体的に、経済アナリストという視点での個人的見解と主観を書き連ねました、という印象。
要点はわかるけど、具体的な主張の根拠が乏しいから細かい部分で説得力に欠ける。
観光立国の大きな方針として、インバウンドに力を入れていくという点については賛成。観光地として宿やサービスの質を高めていくというのも必要だと思う。
観光PRとして「おもてなしの精神」だったりを押し出していくのは的外れだということも納得できる。その他、展示やガイドの必要性などはもっともな指摘。
しかし、期待してたほど面白くはなかったしさほど目新しさもなかった。初版が2015年で、用いられてるデータも古いから仕方ないかも。
国ごとの比較だったり、観光の現状についてはデータが示されてるし表も見やすいけど、具体的な話になると個人的な経験を基に決めつけているところが多くて気になってしまった。
例えばP.117のHow is/was everything?のくだり。著者が言うには海外では食事の後やホテルのチェックアウトでほぼ必ず確認されるらしいけど、海外旅行してこれを聞かれた経験はない。もっと高級なとこの話なのかな…。
レストランに関しての記述もそうだけど、主語が指す対象が広いことが多くて、決めつけで言っている印象が拭えない。
それに、P.268で「カジノというと依存症が心配されますが、富裕層をターゲットにすることによって、その問題は解決できます。」という記述、これも説明を省き過ぎてて、どう解決に繋がるのかわからない。あと一般的に心配される依存症って、観光客側の話じゃなくて日本人側の話じゃないのかな…?インバウンドの富裕層の話をしているのなら、中途半端に依存症に言及する必要はなかったと思う。
P.270、「観光立国を推進していくと、日本を訪れる外国人たちがみな、日本のルールを守るとはかぎらないという負の側面があります。日本で暮らす日本人が負荷を背負う、迷惑を被るという場面が出てくるのは、容易に想像できます。そのとき、それを緩和させられるのは、経済効果です。お金を落とす「お客様」を迎えるための負荷であれば、住民も納得できます」という記述。『住民』が観光収入で暮らしてるっていう前提なのかな?そうじゃないなら、当然納得できないよね…。少なくともこの本で挙げられてる観光地には、観光業に関わりのない住民もいるんじゃないのかな。
インバウンドの大まかな方針は納得できるけど、詳細な話になると客観性に欠けてて粗が目立ちます。 -
Posted by ブクログ
日本の生産性の低さについて、データを用いて客観的に指摘し、その原因は日本企業の経営者に生産性を向上させるインセンティブが無い事を上げている。それに対する唯一の解決策は、GPIFに対する運用成績のプレッシャーを与え、結果的に時価総額を上げるプレッシャーが経営者に向くという事である。その通りだと思う。
GDPが議論の切り口になるが、日本のGRPは95年に500兆円を超えて以来横這いである。対米比較において日本経済のピークであった1995年に日本のGDPは約7割だったのが、2014年には26%にまで縮小してしまっている。
業界別の生産性についても、よく言われているようにサービスの生産性の低さについては特に顕著で、G7の平均が1人あたり38000ドルに対して、26000ドルとなっており、7割にも満たない(68%)。
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Posted by ブクログ
本書の発刊は2014年6月であるが、その1年後の2015年6月発刊の『新・観光立国論』を先に読んでいたため、内容の重複も多かった。
日本のGDP全体に占める観光産業は2%であるが、世界平均は9%である。
したがって観光産業はまだまだ伸びしろがあり、そのためにはきちんと日本文化を伝えるサービスを提供するべきである。
京都には約200万人の外国人観光客が来るが、大英博物館は年間420万人が訪れる。京都でさえまだまだ伸びしろがあるのだ。
日本の文化財保護は単に保護することを目的としてきた。
客を楽しませる観光資源であるという発想がなかったのだ。
しかも、観光産業は女性の比率が高いため、観光産業が元気になれば、女性の雇用が生まれる。また、シルバーガイドなどを活用して、高齢者にも雇用を生む可能性がある。
日本優先のプロダクトアウトのおもてなしはダメだ。客人に合わせ、客人に仕える気持ちで、外国人観光客に楽しんでもらうための仕掛けを埋め込む必要がある。 -
Posted by ブクログ
2015年 購買力調整後一人当たりGDP 世界27位、シンガポールの半分以下でアジアでは香港、台湾に次ぐ第四位ながらすぐ下に韓国が迫る。労働者一人当たりのGDPは先進国17位でついでにアメリカの州別ランキングと比べると50位に相当する。一人当たり輸出額は4914$で44位、ただこれはアメリカもそれほど変わらないが。
技術立国なのかというとデータはそれも否定する。一人当たりでは研究開発費はシンガポール、韓国、台湾に次ぎアジア4位で世界では10位。研究開発費の対GDP比率は3.58%と世界3位つまり研究開発が経済の成長に貢献できていないということだ。最近増えた印象のノーベル賞授賞者は1000万人あたり2人で世界39位、科学・経済分野に絞っても1.7人で29位。ついでに夏季オリンピックのメダル数も一人当たりでは50位に落ちる。
業種別では製造業の一人当たり生産額では約1万$で先進国の中では11位ものづくり大国というよりは平均やや下、農業では12位そしてサービス業が14位。一人当たりGDPで日本は先進国の平均より1万$ほど低いがそのほとんどがサービス業の差だ。1995年以降先進国ではIT技術によってサービス業の生産性を改善してきた。一方で高スキル労働者の割合は50%に近く先進国で最高だ。潜在力を生かせていないというのがこの本の骨格になる。
ではどうするか。遅れてるんだから進んだところをまねるんでしょうね。例えば農業の場合、国民一人当たり生産額ではデンマーク2729$、オーストラリア2415$、オランダ1423$に対し日本は437$。農産物の輸出額のGDP対比の世界平均は1.6%で日本に当てはめると8兆円。オランダは日本より狭い耕地面積で8.5兆円を輸出しておりGDP対比では11%になる。ユーロ圏が有利に働くという事もあるにせよ花きなど高いものばかり作ってるかというとそうでもない。調べたところ生産量の77%はジャガイモ、トマト、ニンジン、タマネギで生産地や生産施設を集約し、ロジスティックを効率化し、巨大な温室はITで環境が一定になるように制御されている。農林省のHPにはオランダが小さな経営面積でも高い収益をあげるできることのできる農業を振興し、と書かれている。減反などで既存の枠組みを守ろうとしても高齢化と人口減で続けられないのは目の前だ。
いいものを安く、たくさん作れば、今は利益が出なくても、そのうち出る。人口が増えていればその成長に貢献しているという考え方ができた。私益よりも公益、本当にそうであればいいのだが利益を上げないことの言い訳になってないか。実は個人の利益に対し過保護になってないか。「中小企業かわいそう」と補助で延命させた結果、業界全体としては非効率な状態を続けてしまってるのではと耳の痛い話が続く。一時的な痛みはあってももっと儲けられるようになるはずだということなのだが。
決済サービスだけを見ても中国ではほんの3年前には見なかった携帯のQRコード決済が一気に普及した。ここだけは中国の方が進んでいる。現金が使えないレジができているのだ。わずか7分で新幹線の掃除が終わるのはTESSEIという会社のレベルの高さだけでなく、秩序を重んじる日本社会の奇跡と言える。そこでむやみと日本はすごいと煽るのではなく、現状をちゃんと見ましょうよということです。 -
Posted by ブクログ
元ゴールドマンサックスのアナリスト。現在は、重要文化財や国宝修復を行う、超伝統企業の社長。そんな著者が伝統文化に対して警鐘を鳴らす。この本を読みながら、昔読んだ、「美しき日本の残像/アレックス・カー」を思い出した。
日本人は日本の良さに気がついてない!とは言わないが、インバウンドブームで「日本の良さを海外に!」という前に、まずは自分たちが知らなければいけないことがたくさんある気がする。。。(個人的には、「クールジャパン」と海外に発信するのも大事だけど、自分が日本文化に関われば関わるほど、日本人自身も知りたいけど知る機会やきっかけがないだけなんだと。。。)
日本のことをもっと日本人に!笑
そんな危機感を伝えてくれる一冊。(相変わらず、外の圧力からじゃないと気がつかないというのは残念。。。でも、とてもいいきっかけを作ってくださっているので、この流れを途切らせないよう) -
Posted by ブクログ
観光大国になる4条件は「自然・気候・文化・食]と筆者は指摘。
そして、日本は文化観光に頼りすぎて、より客層が広い国立公園などの自然観光を十分に整備しておらず、観光客向けの情報発信も不十分。
世界の人が日本に求めてるのは豊かな自然でそれこそ大事にすべきだと主張する。
日本では、自然はお金にならないと言われることがありますが、それは世界の常識に反しています。自然こそ、「稼げる観光資源」なのですと。
とくに日本では、スキーを除いて、自然を使うアクティビティが十分に育っていない。
たとえば釣りや狩猟。日本ではとくに害獣で問題になっているけど世界には金をはらっても狩猟したいひとがたくさんいる。
そういうことがわかってないし、国立公園の整備もマス志向でラグジュアリーのほうにいかない。
とくに「自然体験」も、文化体験よりも長い時間を必要とするので、必然的にそこで落としてもらえる対価が高くなる傾向があるのです。
所用時間はコストに比例する。たとえば15分で食べるファストフードよりは、3時間以上かかる懐石料理のほうが高価格です。
また日本の国立公園というのは、そこへたどり着く交通費と比べて、宿泊施設のバランスがかなり悪い、価格帯の多様性がないという問題があるとも。
たとえば10時間かけて旅行するときに泊まりたいホテルと1時間でとまりたいホテルは価格がぜんぜん違うと。
日本はとにかく昭和時代の大量にひとにきてもらって画一的サービスで処理するという世界からぬけだせてない。
だから日本の観光業者の多くは、「爆買」の中国人観光客を「上客」だととらえていますが、それは「昭和の観光業」の思想を引きずっているがゆえの誤解です。
日本が観光立国化するための補助線としては良書であった