【感想・ネタバレ】イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る 雇用400万人、GDP8パーセント成長への提言のレビュー

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Posted by ブクログ 2021年01月02日

日本の一人当たりのGDPについて調べてみると、この本が出版されて6年も経っているのに、世界における順位は3位も下がっており、数字としては6000ドルほどしか上がっていない。周りの国も上がっているからしょうがない、と思うかもしれないが、そこで、他の国も上がっているから自分達も上げるべきだ、という姿勢で...続きを読む好成績を出している国から積極的に学ぶ姿勢が重要であると考えられる。

日本はご都合主義である、ということに大いに納得した。みんなすぐに隠蔽を試みる...サイエンス誌でも世界で一番データの改ざんが多い国ランキングで、日本は不名誉にも1位を獲得した。科学従事者としても、これらが与える印象は大きく、自分達の論文の正当性が疑われる結果につながるのではないか、と危惧してしまった。これらの根底にあるものが日本人の気質だとしたら恥ずかしいばかりである。

観光業についてはまさにその通りという、気づいているけれど面倒くさいから、一人ではどうにもできないし、という思いで放置していることに気づかされた。英語が公用語でない国でも、英語ツアーを簡単に見つけることができる。それらは主にボランティアではなく、商業的に行われている。そして、内容もかなり充実したもので、5時間ずっと歴史について語ってもらうものだったりすることもある。また、イタリアやスペインでも英語だけではなく、アジア諸語やヨーロッパ諸語のガイドを見つけることができた。こういうところはどんどん見習って、内向的な国ではなく外交的な国になっていく必要があるな、と考えさせられた。

文化財保護について、デービットさんは本当に日本人以上日本文化を愛してくれて、守ろうと必死になってくれている。私も家族で、職人を守る試みとして、華道道具、書道道具、茶道道具、まな板や食器は職人から購入するようにしている。つい先日も近所の神社に一人1マ年ずつ修復寄付をしたばかりである。こういう個人個人の興味が日本文化を救うことに繋がれば良いな、と思う。

個人的には、こういう批判的な本を読むのは日本を客観的に見ることができて面白かった。こういう本を読んで、「いや日本は...」や「外国人に何が分かる」と思ってしまう人は、愛国心が強すぎるあまり、盲目的になってしまっているのかな...?

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Posted by ブクログ 2018年05月27日

p.144 みながわかりきっている問題を積極的に解決していくという姿勢やプロセスは、「変わらない」と絶望している国民にとってはその問題解決の効果以上に希望が持てるという心理的なプラス効果がある。
→ 「変わりたいけど、変えられない」と皆が半ば諦めている課題を解決してみせることで、根強いファンができる...続きを読む

p.147 この教えから見えるのは、「客の都合」を無視するような「傲慢な主人」ではありません。「客」のために万全を期してあらゆる準備をし、心地よい体験を演出するという、自らの頭で極上のサービスを考える「心遣いの主人」ではないでしょうか。
→ ありとあらゆる状況を想定して準備ができる人こそ、お客様に感動を与えることができる。

p.148 一部の評価を、全ての評価にこじつけてしまうと、見直さなくてはいけない問題が見えなくなる。
→ 良い評価を得ても、全てが満点だったと勘違いしてはならない。必ず改善すべきポイントがあるものである。

p.186 一人当たりの落とす金額が少ないと言うのは、日本人の観光客であっても、海外の観光客であっても、素直に文化財のサービス度合いに見合った対価が払われているからと考えるべきではないでしょうか。
→ 感動を与えるほどのサービスであれば、みんなそれ相応の対価を払ってくれる。価格が安いということは、安くなる相応の理由がある。

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Posted by ブクログ 2015年01月09日

日本人の「おもてなし」に関する誤解や、日本人がそれを勘違いして使っているという点が非常に興味深かった。
特に、日本人ではなく、日本という国家として考えた場合は、必ずしも高評価の「おもてなし」になっていないという指摘にはドキっとさせられた。するどい分析だと思う。

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Posted by ブクログ 2014年12月24日

日本に魅せられたイギリス人の元外資系アナリストによる一冊。
さすがアナリストだけあって、随所にデータに基づいた現状分析とそれに対する処方箋が明示されていますのでいちいち「ごもっとでございます」と思う内容が多いですね。
著者のような第三者的な視点でデータに基づいたりして話を進めるというのは、私は比較的...続きを読む好みですのでここ数日の生活での待ち時間の長い場面を利用してあっと言う間に読むことが出来ました。
日本文化のことだけではなく、観光に関することだけではなく、経済のことだけではなく。
上記の内容はもちろんですが、それらの周辺部分にまで及ぶ幅広い内容がこの一冊に凝縮されています。
年末年始のお休みに、サラリと読まれてみてはいかがでしょうか?
付箋は21枚付きました。

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Posted by ブクログ 2014年12月11日

アナリストと文化財補修者という二つの立場から語られる日本に、日本人ながら圧倒されてしまいました。日本人の見えていなかった日本、世界における客観的な日本の立ち位置というものが如実に語られています。自分にとって将来の指針となる一冊になると感じています。この本に出会えて良かった。

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Posted by ブクログ 2014年11月07日

著者は、ゴールドマンサックスでパートナーを務めた後、文化財の修
繕・補修を行なう小西美術工藝社の社長に就任するという、異色のキ
ャリアを積んだ方。ゴールドマン時代は、金融機関の不良債権の実態
を暴き話題になったそうです(驚くべきことに、銀行からは猛烈なク
レームや脅しを受けたそうです)。また、小西美...続きを読む術工藝社の社長にな
ってからは、旧態依然とした会社の体質改善に成功。まだ40代。こう
いう方を真のエリートというのでしょう。

本書は、金融と文化財という、二つの世界から日本を眺めてきた著者
による、日本論・日本人論であり、文化財保護や観光活性化に対する
具体的な戦略提言の書です。凄腕アナリストだっただけに、データに
基づくわかりやすい分析はお見事。あまりマスコミで語られることの
ない、日本経済の実相がよくわかります。そして、実際のデータを確
認することなく、感情論や精神論で物事を判断してしまう日本人のヤ
バさも。本書を読むと、いかに自分達の視野が狭く、偏ったものの見
方をしているかを思い知らされます。

後半部では、日本の文化財保護の実態と観光の問題点が語られます。
オリンピック・パラリンピックの招致に成功し、「お・も・て・な・
し」で盛り上がる日本ですが、それがいかに実体のないものなのかも、
指摘されます。そして、英国の政策などを参照しながら、文化財保護
を通じた雇用創出、観光活性化、地方創生戦略が提言されます。非常
に納得感のある提言です。観光立国に向けた具体的な処方箋と言える
ので、観光や地域経済に関心のある方、必読です。

外国人が見た「ここが変だよ、日本人」的な本はあまたありますが、
本書は、それらとは一線を画します。著者に、高い知性と教養、そし
て日本文化に対する深い敬意があるが故だと思います。

私達自身のことをよく理解できるようになる好著です。是非、読んで
みて下さい。

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▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)

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三百年続いた日本企業の改革に成功して感じたのは、
「やるべきことをやれば日本の組織は劇的に改善する」
ということです。

イギリスのマーガレット・サッチャー首相だろうが、アメリカのロ
ナルド・レーガン大統領だろうが、先進国の経済を上向きにさせる
までは5?7年はかかっています。まず徹底的にマイナス面を出し
切って、改善して、そこからようやく経済が上向いていくという非
常に長いスパンの話なのです。

これに手をつけたら、すぐに結果がでてバラ色の未来が待っている、
というような「シンプルアンサー」を求めている人があまりにも多
いような気がしています。

「すぐに良くなる」「すぐに悪くなる」という単純明快な「シンプ
ルアンサー」を求めている限りは経済改革というものがうまくいく
わけがないのです。

数字に基づいた分析をおこない、細かい改善をひとつずつすすめて
いけば、成果というものは必ず現れます。

日本人ならではの良いところも、もちろんあります。日本人は恐ろ
しいほど前向き。いや、もはや「忘れっぽい」と言ってもいいかも
しれません。日本のサラリーマン文化も然りです。

「過去にとらわれない」「変化に対して前向きに対応できる」
これは非常に良いことだと思います。可能性に制限がないからです。

社長さんたちの多くは「信長に学ぶ」とか「坂本龍馬を目指す」み
たいな話が大好きで、よく勉強会もされていました。(…)しかし、
経営者がまずやるべきことは「生き様」を真似るなどではなく、
「数字」を見ることではないでしょうか。

「おもてなし」について重要なポイントは二つあります。ひとつは、
海外では「おもてなし」を受けたかどうか、評価をするのは客であ
って、供給者側が決めるものではないということ。そして、もうひ
とつが、日本人が自画自賛する「おもてなし」と、外国人観光客が
評価をする「おもてなし」は違う場合があるということです。

残念ながら、日本は「技術大国」「おもてなし」など自画自賛ばか
りをしているご都合主義がゆえ、社会のなかに蔓延するこのような
「効率の悪さ」に気づいていません。

(英国では)文化財保護を産業政策のひとつに位置づけて、文化財
の保護予算を増やしてきたのです。予算が増えたことで、英国文化
を守ることができたのはもちろん、文化財保護にまつわる様々な仕
事が生まれたことで雇用促進につながりました。特に地方経済が活
性化して、治安まで改善したのです。

海外のさまざまな国のデータでは、文化財などに興味のある観光客
は一日10万円を消費するというデータがでています。では京都を
訪れる外国人観光客一人当たりの消費額はいくらなのかというと、
1万3000円弱なのです。

(「ゆるキャラ」は)文化財にカネを多く落とす外国人観光客から
すれば逆に興ざめしてしまうような「子どもだまし」の観光PRと
いう印象を異だいてしまうかもしれません。

海外において文化財保護の基本はPreservationとPresentationの
両方といわれます。つまり、保存しながら、それをどう人にアピー
ルするかということです。

忘れてならないのは「自然保護」です。日本は一平方キロメートル
あたりの植物と動物の密集度が世界一だと言われています。
これは間違いなく日本の財産です。この自然を見たくてやってくる
何千万という外国人観光客に楽しんでもらいつつ、それを維持して
いく整備も今後は求められていくのではないでしょうか。

地方は歴史と文化と自然の宝庫ですから、文化財を中心とした観光
戦略というのは真の地方創生戦略になるのではないでしょうか。

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欧州各国にとって、観光は極めて重要な産業です。先日訪れたオー
ストリアでは、観光が第一の産業と位置づけられていました。

オーストリアに行って感心したのは、どこの町も綺麗だったことです。文化財の
維持修繕にお金をかけているということもあるのでしょうが、観光と関係のない
仕事についている普通の市民が、「綺麗にしておかないと、観光客が来てくれ
ない」と言っていたところを見ると、市民一人一人の力が大きいのではないかと
思いました。

どの地方都市に行っても文化財がある状況を見て、一緒にいた日本人の一人
が、「過去の遺産で食っている国だ」と嫌味を言っていましたが、その過去の遺
産をきちんと守り、綺麗に保つ努力をしていることについては、思い至らなかった
ようです。

オーストリアの次に行ったドイツの農村の美しさも印象的でした。農業がちゃん
と生きていて、その日々の営みが美しい風景を生み出している。そして、家や
道も、とても綺麗に手入れされていて、それが独特の美しさを生み出している。
暮しと結びついた美しさというのは、本当に特別ですね。

日本では失われつつある美しさが、ドイツにはまだきちんと息づいている。その
ことにショックを受けると同時に、農村もここまで美しくなれるんだ、という希望
というか目標をもらった出張でした。

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Posted by ブクログ 2014年11月01日

快刀乱麻。「肯定も否定もせず、ただおかしいと思うところは指摘する」と念を押した上で、圧倒的な客観性とデータによって日本の経済を分析します。辛辣に事実を突きつけられますが、日本の良い所、悪い所を発見し、新たな歩みを始めるための希望も授けられます。オススメです。

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Posted by ブクログ 2014年10月28日

日本人は技術力があると言われているのは、本当なのかをサイエンスする必要がある。著者のデビッドは、例えば日本のGDPを見るとこう分析している。世界には242か国あり、人口が一億人以上の国は11あると言う。日本はその10番目。人口で考えれば、中国に抜かれのは当然となる。など、日本人には、分析する習慣がな...続きを読むいので、感情論になる傾向が強い。なるほど。また、東京オリンピックのおもてなしの考え方は、上から下を見る見方だと喝破している。しかしながら、分析を深めれば、日本にはまだ伸びしろがあるとデビッドさんはまとめている。

がんばろ!

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Posted by ブクログ 2020年04月04日

アナリストの脳みそがわかって面白い。日本経済が主題で、アベノミクス1つとっても頭ごなしに全否定するわけではなく、良いところは良い、悪いところは悪いとズバズバ切っていきます。いかに日本のニュースに踊らされていたかを痛感した、そんな本です。後半、著者の本業である文化財関連にテーマが移ってしまったのが、少...続きを読むし残念でした。

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Posted by ブクログ 2019年12月22日

過去の成功体験にしがみついている場合ではない。
現状を客観的に分析して、変えるべき所は変える。
―というようなお話。
そう、その通りなのだけれど、それが難しい。

一部の美談を国民全般に拡大する、シンプルアンサーに飛びつく、といった点は、もしかしたら日本人だけではなくありそうな気がするけれど、まあ、...続きを読むそうならないようにしたほうがいいことだよね、と思う。

日本人が誇りにしている「おもてなし」。
それが供給者の都合が優先され、本当の顧客本位ではないという指摘に驚く。
自分があまりおもてなしを受けたことがないので、どうかわからない。

日光東照宮の補修も手掛ける美術修復を専門とする会社の経営者となった著者。
実は、補修に関するあれこれの話があるのかと思って読み始めて、期待が外れてしまったのだが、まあ、それでよしとしよう。

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Posted by ブクログ 2019年01月06日

2015.5記。

日本の文化に魅せられた金融プロフェッショナルが世を儚んで茶道に没頭し、京都の古民家に隠遁していたところ、請われて文化財修復会社の社長に。その奮闘記。

えーと、本のタイトルから受けるイメージと実際の内容にかなりのギャップあり。僕としては門外漢ならではの鮮烈な日本文化へのまなざし、...続きを読むみたいなものを想定していたが、中身はあくまで日本経済論、すなわち過去の本業(銀行アナリスト)の思い出話、及びそれをベースとした日本企業の体質論。

国宝、はどこに出てくるんだという感じだが、「日本経済はここが問題、とくにこのままでは『観光業』は立ち行かない、文化行政にもっと予算を」というのが主たるメッセージ。

こうなると往々にして「結局は金目当てか」と怒り出す人が出てくるが、「日本の文化財行政はなってない。うちの会社にカネを落とせばずっとかっこよくしてやるぜ」という主張は分かる(英国の文化財保護との比較部分はやや虫がよいが)。本書は、「理屈でなく情緒で」非効率を温存してきた日本に警鐘を鳴らし、しかしだからこそポテンシャルも莫大であることを訴える本、ということができそうだ。

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Posted by ブクログ 2017年10月12日

そういう視点があったのか、と刺激になった。GDPが高いのは、人口が多いから、って、目からウロコくらいの納得感。観光というのは、正直うといし、この人の現職の宣伝でもあるのかな、なんて思っていたけど、イギリスの状況を聞くに、たしかに検討すべき分野だ。日本にはまだまだ伸びしろがある。べつに俺が日本のことを...続きを読む考えなくても、なんて思うところもあるけど、でもなんか気持ちの明るくなる本だった。もっと数字とか、分析ということを意識していかないとね。

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Posted by ブクログ 2016年12月10日

日本人は自分たちを客観視するのが苦手であり、フェアな批評批判が不得意な傾向があると思います。感情とか、空気とか、そういうことにとらわれてしまい思考が停止してしまうことが多い。
必ずしもそのことが悪いわけではないけれど、政治とかビジネスのある局面などでは、冷静にフェアにものごとを判断し、受け入れる姿勢...続きを読むをみにつけていくことが大切だと思います。
難しいけれど、、、(笑)。

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Posted by ブクログ 2016年12月07日

イギリス人から見た日本人の良いところ、また、日本人の技術は素晴らしいと言いながらも客観的な数字で見ると決してそうではないといった現実。これから見えてくるのはもっと数値化することで精神論や曖昧さを無くし色々なことが効率化できるのではと。

実際に会議では結構長時間使いながらも中身が有るように思えないの...続きを読むは事実であり、数値を用いることで結果が見えて少しずつでも改善されていくように思う。

一方著者が文化財の保護と観光に力を入れることで日本経済の成長率や雇用機会が増えると述べている。確かにそうだと思うが、この方が文化財の会社を経営しているからかもしれないが、何か自分寄りの解釈が強すぎるようにも感じた。

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Posted by ブクログ 2016年01月19日

日本への愛が伝わってきた。
海外出張から帰って来る旅に日本賛美のテレビ番組に違和感を感じていた気持ちを代弁してくれた。知り合いの宮司から人となりは伺っていた。
「ステレオタイプの身方をする国民」とは島国根性丸出しの我々のズバリ痛いところをついてきた。

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Posted by ブクログ 2015年11月03日

日本の高度経済成長は、爆発的な人口増加があったから。松下幸之助や本田総一郎のようなすばらしい経営者が居て、メイドインジャパンの自動車や家電が世界を石鹸した、日本人の職人手金あものづくりが大きな原動力になって日本を牽引したというのは、妄想に過ぎない。 
GDPで技術大国ドイツを抜いたから、日本の技術の...続きを読む方が優れているというような考え方が当たり前のように語られているが、一人当たりのGDPでは、日本が1881ドルに対して、ドイツは2989ドルと、明らかにドイツの方が高い。日本の技術がドイツに勝ったというのは、数字として証明できない。
OECDのドル基準実質GDPの購買力平価換算で、日本は1939年、戦前すでに世界第6位だった。 終戦を迎えた時点でおよそ7200万人の人口だった日本は、そこから爆発的に人口が増えていく。戦前すでに先進国としての経済基盤を確立していたうえ、戦後復興に向けて建築やインフラ整備が急がれ、山ほど仕事があった。人口も増えて仕事もある。これでGDPが急成長しないほうがおかしい。
14億の中国のGDPがアメリカを追い抜いて世界一になるのは時間の問題。日本の高度経済成長が、技術立国の「日本でしか起きなかった奇跡」と語る人が多いが、妄想に過ぎない。
効率の悪さ。IMFにより一人当たりの購買力平価(PPP)でみた国民一人当たりの生産性では、日本は25位。ドイツは17位、アメリカ10位である。
日本の男性就業率が80%なのに対して、女性の就業率は62%。ウーマノミクスを実行して女性の就業率が男性並みになれば、日本は最大12%GDPを増やせる。しかし、女性就業率が70%を超えている国は無い。実際のウーマノミクスの効果は、それほどではない。

輸出入に機会がある。日本の輸出はGDPで15%。輸入は12%である。そのうえ、輸出は自動車産業に偏っている。これで貿易大国というには無理がある。輸出を増やした場合、可能な限り輸出入均衡を保つというのが国際社会の暗黙のルール。日本はこれまで守ってこなかった。輸出入によっていろいろな交流が生まれ、国内の刺激になる。

観光業に機会。観光業は世界的に9%であるのに、日本は2%。観光業は国内を消費してもらうという考え方で、輸出にカウントされる。

スケーラビリティ。 農業というが、GDPの1%しかない産業で経済成長が果たせるとは到底思えない。500兆円のGDPを成長させるというのは容易ではない。世界を見渡してもこのような経済規模の国は少ない。ものすごく巨大な船。シンガポールに学べというが、シンガポールは東京23区ほどの面積に人口も日本4%、500万人で、GDPが30兆。シンガポールでカジノがで効果があったからといって、日本がまねをしてカジノをやっても効果は小さい。 1億円企業がやれば利益が倍増するのを真似て1兆円企業が期待できることはない。日本がシンガポールから学べるものは少ない。

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Posted by ブクログ 2015年05月21日

固い内容かな?と心配していたのですが非常に読みやすい
日本の文化財も経済の切り口から守れる事。日本の観光業が文化財を上手に活用していない事 等々が非常に分かりやすく書いてある。読み進んでいて楽しささえ感じる。
また日本人のそれなりのポジションに就いてしまった人たちに共通している 数字を分析をしない ...続きを読む面倒くさくてやらない 机上論 事なかれ主義 etc...
外国人から&アナリストの視点を通して面白いほど端的に書かれていて逆に小気味良い感じすらした。 
本当に成長したければ 分析と実践 事なかれ主義ではダメという事! 良い本☆

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Posted by ブクログ 2015年04月03日

文化財の修復等を手がける小西美術工藝の社長であり、かつてはゴールドマン・サックスのアナリストだった英国人による日本への提言。
「ごもっとも」とうなずく事多し。

日本が自らの抱える問題点から目をそらしている現実を冷静かつわかりやすく指摘。
「おもてなし」「技術立国」などの、自己陶酔Wordに対して「...続きを読む本当にそうなのか」と分析しているところとか、けっこう面白いです。

苦言って大事。

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Posted by ブクログ 2015年02月09日

外国人から見た日本のおもてなしにまつわる誤解や、日本の高度成長の秘密の真実など、興味深いものであった。

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Posted by ブクログ 2014年12月09日

数字に基づいた痛烈な日本の企業風土批判などは耳が痛いながらも痛快。しかし本当に読みたかった文化財に関する内容が最後の1/4だけだったのが残念。

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Posted by ブクログ 2022年11月05日

日本経済に対する厳しい見方と、現在関わっている文化事業の在り方と
二つのテーマが重なる部分がある様でも有り、ストーリーを難しくしている

日本経済については、戦後「高度成長」を皆で頑張ろうというムードでできた
問題はその後、「サイエンス」を習得することが出来なかった
年功序列の仕組みが、実力主義も革...続きを読む新も否定する
著者は戦後日本の成功の大部分は生産年齢の人口増によるものとする
いわゆる「人口ボーナス」である
これから逆回転をしようとする日本の前途は悲観と言うこと
アベノミクスの経済政策も2−3年で出来るわけはなく、
サッチャーイズムと同じなら、10年かかる
問題は金融が持続可能ではないと言うこと

文化事業の発展はそのとおり ハードからソフトに変えていかなければならない

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Posted by ブクログ 2020年01月30日

タイトルから妄想
「元ゴールドマン・サックスの凄腕の人が日本の国宝に魅せられて…はたまた日本の美術品か寺社仏閣の修復する会社の跡取り娘と恋愛して苦労しながらも会社を継いでいく苦労話ストーリー」なのかな~と思っていたら…
あ~た!
もう全然違う内容に読みながらびっくり!
(いや…勝手に内容を妄想した私...続きを読むが悪いんだが…)

日本の経済界のバカバカしいところやらからくりやらを説明しつつ「観光大国になるには根本考え直さなきゃムリ~」っていうのを解説している内容だった!

でも、ある意味これがおもしろかった。
日本の経済界の大物たちはデータではなくカンで仕事してる話やら、(だから占い師とか頼っちゃって詐欺とかの事件が起こりがちなんだな~)アベノミクスなんて本当は効いてるかそうかなんて今は全くわからないってな話をイギリスのサッチャーさんの話も交えてしてくれてるんだけど、めちゃくちゃ説得力ある。たしかに経済なんて落ちるのは早いけど、1年とかで回復するとか結果出すなんて難しいよね。

あと海外の人が求める「おもてなし」ポイントと日本人が考える「おもてなし」ポイントがずれてるとかの話も納得。

そうか・・・日本の国宝を守っているのはきっと全く別の目で見ているデービッドさんみたいな人たちなんだろな…。

とは言いつつ…日本人としてはなかなか耳が痛い話&胸が痛い話も多く…。文化財の大切さなんてわからないイマドキの日本人も多いんだろな…。

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Posted by ブクログ 2019年06月27日

なんと言うか、違和感があるのは否めない。ちゃんとした人なのだろうが。日本人に対して媚びへつらうことなく物を言う姿勢はよいと思う。

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Posted by ブクログ 2018年07月11日

本書の発刊は2014年6月であるが、その1年後の2015年6月発刊の『新・観光立国論』を先に読んでいたため、内容の重複も多かった。
日本のGDP全体に占める観光産業は2%であるが、世界平均は9%である。
したがって観光産業はまだまだ伸びしろがあり、そのためにはきちんと日本文化を伝えるサービスを提供す...続きを読むるべきである。
京都には約200万人の外国人観光客が来るが、大英博物館は年間420万人が訪れる。京都でさえまだまだ伸びしろがあるのだ。
日本の文化財保護は単に保護することを目的としてきた。
客を楽しませる観光資源であるという発想がなかったのだ。
しかも、観光産業は女性の比率が高いため、観光産業が元気になれば、女性の雇用が生まれる。また、シルバーガイドなどを活用して、高齢者にも雇用を生む可能性がある。
日本優先のプロダクトアウトのおもてなしはダメだ。客人に合わせ、客人に仕える気持ちで、外国人観光客に楽しんでもらうための仕掛けを埋め込む必要がある。

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Posted by ブクログ 2016年01月26日

著者が書かれた別の本「新観光立国論」があまりに面白かったので、読んだ本です。結論を言うと、主張している内容は「新観光立国論」とさして変わらず、著者の意見を詳述し、論旨の構成も整えられているという意味で「新観光立国論」の方が面白く、特に本書を読む必要はなかったと思いました。
、、と言っても、私が本書に...続きを読む期待していたことにあまりページを割かれていないというだけで、「新観光立国論」と比較しなければ充分に興味深い本です。
本書を読む前に期待していたのは、超一流の投資銀行で成功した著者が、全く異質の文化財補修の会社で経営者になり会社を再建するまでのプロセスの詳細ですが、そこが本書のメインではなかったです。。

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Posted by ブクログ 2015年10月25日

耳が痛いし、カチンと来る所も無いではないが傾聴すべき点は多い。大企業であるほど、偉くなるほど無能になる(というか、無能な人間が多くはびこっている)、根っからのフォロワー気質でリーダー資質の無い日本人像。まるでWGIPのようだが、多くの優れたリーダーの必要な現代に国としてリーダーを育てられない仕組みは...続きを読む亡国的とさえ言えるだろう。
観光立国ありき、のような後半には疑問も残るが、観光立国とかオ・モ・テ・ナ・シを題目にすると金儲け根性が出てしまうので、若者の雇用の受け皿としての「職人」の市場を拡大するという見方にすると俄然期待感が増す。

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Posted by ブクログ 2015年09月24日

著者は本書と、あと2冊を立て続けに書いているのだが、最初の一冊としてこれは妥当だろう。
なぜ外国人が日本文化を語るのか、なぜ日本を豊かにしたいのか、なぜ一般的に言われていない結論が導き出されているのか。
2015年6月に出版された“新・観光立国論”には彼の言いたいことが詰まっている。そちらにも著者に...続きを読むついて書かれてはいるが僅かである。
彼を知るためには、先ずこれから読むべきである。
なお、同じく講談社α新書から出ている“イギリス人アナリストだから〜”は“新・観光立国論”の内容薄いバージョンなので、あえて買う必要は無いと思われる。

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Posted by ブクログ 2015年03月30日

著者の主張は「おわりに」に集約されている。

観光資源を他国並みに活用すれば、GDPで7%上乗せできるという主張はデータと経験に裏付けられており、説得力がある。

企業経営が感覚的、情緒的で合理的でない、サービスが受益者目線でなく、供給者の都合を優先しているなど、極めて正しい指摘と思う。

それにし...続きを読むても文化財保護の国家予算が80億ちょっとというのは、余りにも少なくないか。

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