あらすじ
猫も杓子も生産性、でもほとんどの議論は間違いだ!
『新・観光立国論』(山本七平賞)で日本の観光政策に多大な影響を与えた筆者が、
今度は34年間の集大成として「日本経済改革の本丸=生産性」に切り込みます。
読めば納得、目からウロコ、歯に衣着せぬ「アトキンソン節」、全開!
【本書の内容】
・「良いものをより安く」が国を滅ぼす
・日本企業の数は「いまの半分」でいい
・最低賃金を上げて「経営者」を追い込むべし
・かつて「人口が半減した国」に学べ
・「女性優遇」では生産性は上がらない
・生産性を高めないのは「親を見殺しにする国」になる道 他
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日本人は「生産性」と「効率性」を混同しています。
たとえば、誰も求めていない商品を「効率よく」つくることは可能です。
しかし、売れない以上、「生産性」はゼロです。
生産性のないもののことを、無駄と呼ぶのです。
――デービッド・アトキンソン
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感情タグBEST3
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今の日本の1番の問題は人口減少問題。
GDPを下げる1番の要因も人口減少。
その中でGDPを上げるためには、人口増加ではなく
生産性を上げること。
生産性と効率性は違う。どれだけ作業が早く終わっても
その売り上げが0だと意味がない。
どれだけ付加価値をつけることができるか。
企業の生産性を上げるためには。
最低賃金の大幅アップ。また企業の数の縮小。
付加価値の低い企業がすごく多い。
絞りに絞り、その中で生産性を上げていく。
Posted by ブクログ
感想
生産性上げてGDP増やさないと、社会保障制度維持できない、国の借金を返せない。
よ
手段
生産性の向上
・同じ人数でより多くの付加価値
・少ない人数で今までと同じ付加価値
→2つ両方必要
そのために、
人材の適材適所、適量労働
→女性の就労とその補助
→いらない企業廃止
→最低賃金up
1章
生産性が同じだとGDP縮小する理由→2060年には労働人口が今と比べて40%
縮小してはいけない理由→医療費負担ができなくなる、国の借金を返せない
2章
生産性→購買力調整済みの一人あたりGDP
世界GDPランキング 3位
しかし、
一人あたりGDP 28位
就労者あたりGDP 29位
→一人当たりの生産性の低さが尋常ではない
GDPを増やす=付加価値を増やす≠利益を増やす
GDP=付加価値の総和=金利、配当、企業の利益、税金、給料
内訳の比率をどうにかするのではなく、生産性を上げてパイをおおきくする
生産性≠効率生
4章
日本の女性の生産性は男性の半分。
日本の社会保障はアメリカではなく欧米のものを参考にした。
欧米も男尊女卑はあったが、少ない人口でGDPを上げるために、男女の生産性を上げるための施策や制度が生まれた。
イギリスでは1991年までは、妻は夫の性行為を断ってはいけないという法律があった、
5章
他の国は労働者の質と生産性の相関がある。日本は質は世界4位だが生産性は先進国でビリ。これは経営者の問題。適材適所ができていない。
1958年は会社に対して新卒の数は3.2、2015年は0.28
→生産性の最大化のために人材の適材適所が必要
6章
中小企業減らすべき
理由 中小企業の中には低生産性低賃金なものが多く、GDPに貢献しない、従業員の消費が抑制される。貴重な人口の一部を非生産的な中小企業に留まらせるより、より生産性が高く給与が高い企業に送り、国の生産性を上げることが重要。
移民
移民が来ると、上記の中小企業を生き残らせることになる
Posted by ブクログ
「効率性」と「生産性」を混同してはいけない。「高品質・低価格」という妄想が日本を滅ぼす。必要なのは「高品質・相応価格」。「女性」をどうにかしなければ生産性は上がらない。世界も認める日本の経営者の無能さ。中小企業の淘汰を助けるな。
という点が、印象的。
Posted by ブクログ
著者には批判も多そうだけど書いてあることには概ね同調出来るので頑張って欲しい。この本を読むことでは世間で起きている事象と生産性に関する相関を見出しやすくなるというメリットがあると感じる。個人的に人口減は周りにまわってあまり憂いてはいなかったが、やはり多少考えを改める必要はあるかな。
Posted by ブクログ
白石貢さんがすすめていたデービッド・アトキンソンの本。
日本の人口減少をどうやって対策していくべきかを提案している。
移民を受け入れる、老人を働かせる、女性を働かせる…
様々な意見が取りざたされているが、
イギリス生まれ、イギリス育ち、ゴールドマン・サックスに入社して…経済のプロとしての視点で、日本の問題点を暴き、解決の糸口を提案している。
なるほど、そうかもしれないと思いました。
日本の「高品質・低価格」は、本当か?
・求められてもいない不必要なことまでもやって、高品質をうたっても、高い価格で売れないの出れば、それは生産性が低い。なるほど。
・「高品質・低価格」は、労働者にサービス残業や低賃金で働くことを強要することで成り立っている悪しき慣習。これをやめなければ、日本の未来なない。なるほど。
日本の戦後の経済発展は、人口爆発によっておこっただけ。勤勉で手先が器用だから(だけ)ではない。→これは、他の本でも読んだな。
経済大国、アメリカや中国は、今も人口が増え続けている。
人口減少は、ヨーロッパで以前から起きている。その対策として、女性を活用する方向にシフトした。日本人の女性の働く意欲のなさには驚く。ヨーロッパで数十年前までは、男尊女卑が横行していたが、それでは経済が成り立たないので、女性が活躍できる環境に整えてきた経緯がある。
Posted by ブクログ
強い衝撃を受けた。数値的な根拠を提示しながら、生産性を上げるしかないという強いメッセージを送っている。
日本が社会保障制度を維持し続けるためには、生産性の向上が必要。
高度経済成長の主因は爆発的な人口増加であって、日本的経営や文化的背景が効いたわけではない。
日本人は客観事実よりも感覚的に物事を捉える傾向が強い。FACTや一次情報を軽視し、抽象的なフレーズを多用する。これは大手企業や役人でさえ多くみかけられる。
生産性向上5つのメリット
1.労働者の生活水準の向上と労働条件の改善
2.年金基金と一般株主の配当利益の増加
3.消費者が受け取る付加価値の向上
4.環境への配慮の向上
5.政府が格差社会緩和のために使う税収の増加
ーアクションー
・一度では消化不良があるので再読する
・経済本をお絵描きしながら読む
・対案や施策を提示する
ーおまけー
著者の書き方は非常にわかりやすい論理構成をしている。節の頭にメッセージを提示し、それを支持する内容を本文に書く。マッキンゼーのプレゼン本などで見かける構成をしている。
Posted by ブクログ
おもしろくて夢中で読みました。
この提言通りやって、生産性が上がったら幸せな人が増えるのではないかと思って明るい気持ちになったので、ぜひ読んでほしいなあと思います。
Posted by ブクログ
日本の無能な経営者、感情論でしか政治をしない政治家官僚に読んでいただきたい。
基本的にに今までの著作と言っていることは同じ。
今までなぜ日本はヨーロッパのように論理的で数字に基づいた原因の追求と導き出された結果をそのまま政治に反映できないのか、ほとほと疑問に思っていた。もちろん政治は妥協の産物であるが欧米でできていることがなぜできないのか。
そういった点にも触れられている。
外資の金融出身と言うだけあって論理的でストレートに問題点と解決策を提示している。この点がおそらく日本人にとっては痛いところ突かれ批判的な反論を生むのだと思う。
著者の出身を考えればおそらく詳細な数字やデータを提示してもっと分厚い本にすることもできるだろうがわかりやすくするために省いているのだと思われる。
ですので非常にわかりやすく簡潔に書かれている。
こういう提言があって日本が変われば良いのだが、おそらく無理だろう、正直絶望的な気持ちになる。
Posted by ブクログ
全日本人必読。世界最高レベルの労働者を有しながら先進国では類を見ないほど生産性が低い今の日本。
バブル期以降の凋落ぶりとその要因を豊富なデータを引用しながら暴き、これから進むべき道筋を明快に示してくれる。
人口の減少曲線と需給バランスが自然調和するまでデフレが進行し、大きな方向転換を強いられたペスト流行期の欧州に倣い、新陳代謝を止めぬ正しい政策を打ち出し、各企業で付加価値への投資、賃金の引き上げ、生産性改革が進行するかどうか。ここにこの国の未来がかかっている。
それにしても、著者の語気が新観光立国論の時以上に強くなっていて、読みながらにして申し訳のない気持ちになってしまいました…。日本人以上に高い危機意識と客観的な洞察を持って警鐘を鳴らしてくれている。こういう人がいてくれるうちが華だなと思いつつ、いよいよこの国がまずい状況であることの示唆でもあることが皮肉…
現実を直視せず、楽観に逃げてしまう。「日本的資本主義」など実態のないものを拠り所としてしまう性質は、「失敗の本質」で指摘されるような大戦中の日本軍に蔓延る空気感とどこか通じてしまうところが、底のない問題のように思えてまた恐ろしい。この国は戦争だけでなく、経済でも大敗してしまうのだろうか。
Posted by ブクログ
論理的に、数字をベースに、現状の日本の状況を説明している。GDPの状況などをかっくこと比較し、生産性=一人あたりのGDP を上げる必要性を説いている。
私も日本の異常な高品質と低価格は懸念をいただいているため、非常に興味深く読めた。
さまざまな統計情報もあるため何かの説明の際にもベースになる数字知識として活用できそう。
また、日本は根拠の検証をしない国、というにも非常に納得がいく。
22 日本は世界第3位のGDP。
人口数は11位で1億以上は13カ国しかない。
先進国の中で1億以上なのは米国と日本だけ。
25 生産性向上率は126位
56 生産性=1人あたりのGDP★
60 1人あたりのGDPは28位。
日本のGDPが高いのは人口が多いから。
144 日本は本当に根拠の検証をしない国
225 IMD World Digital Competitiveness Ranking 2017
によると、日本のデジタルインフラ競争力は6位と高い。すじゃす、」企業の機敏性は57位で、データを使う能力は59位。
Posted by ブクログ
「変わらなければ生き残れない」――デービッド・アトキンソンは『新・生産性立国』で日本の根本課題に迫る。人口減少が加速する中旧態依然の働き方や組織では未来はない。転機は外からではなく内なる意識改革にあると彼は説く。中小企業の底力、現場の知恵、そして人への投資こそが成長の鍵となる。かつての成功体験にすがるのではなく時代に応じて変わる勇気を持てるか。生き残る国とは変わり続ける国なのだ。
Posted by ブクログ
観光立国への根本的改善には王道を改善し極める。その大切さを改めて伝えてもらったと思います。電化製品の衰退も、余計な機能にこだわったせい。全てに共通する日本の課題ですね。
Posted by ブクログ
アナリストとして働いていたころから、つくづく「日本は本当に根拠の検証をしない国だ」と思っていました。1990年代から日本政府のさまざまな委員会にかかわり始め、その思いは一層強くなりました。委員会の会議では、物事が感覚的に話されていて、その根拠を検証することも当然ありませんでした。
1990年代に入ってからの日本経済は、4つの要因によって需要が減っています。
(1)労働人口の減少による需要減(マクロ要因)
(2)世代構造の変化による需要の変化(ミクロ要因)
(3)平均給与の減少による需要減
(4)福祉制度を充実させるための、政府の設備投資削減による需要減
日本経済は主にこの4つの要因によってデフレに陥りました。デフレが起こったメカニズムをトレースすると、経営者の罪深さがわかります。デフレは次のようなメカニズムで起きました。
(1)人口が減っているので、需要が不足
(2)需要を喚起するために価格を下げる
(3)人口が減っているので、需要は喚起されない
(4)価格を下げた分だけ平均給与を下げる
(5)所得が減るから需要がさらに減る
(6)所得が減るから税収が減る
(7)税収が減るのに高齢化によって社会保障費が増える
(8)社会保障費を払うために、政府は公共工事などの設備投資を大幅に減らす
(9)企業も需要が戻らないから設備投資を減らす
(10)需要を喚起するために、経営者は価格をさらに下げる
この一連の流れの中で、経営者たちが起こしたもっとも大きなミスは、平均給与を下げたことです。これが、日本経済がデフレになった最大の原因です。給与を決めるのは他の誰でもなく経営者なので、経営のミスだと断言します。
たしかに、経済学の教科書には、価格を下げれば需要が増えると書いてあります。ただし、その論には「経済は正常な状態にある」「人口増加によって潜在的な需要が増えている」という前提が隠れています。価格を下げると需要が増えるという理屈の裏には、消費する人口が減らないという隠れた前提があるのです。
日本の経営のミスの大本はここです。人口が減っていっている中では、価格を下げてはいけないし、給与も下げてはいけないのです。
OECDの生産性に関する報告書(The Best versus the Rest: The Global Productivity Slowdown, Divergence Across Firms and the Role of Public Policy)では、以下のような指摘がなされています。
先進国で最近、生産性成長率が低下している理由は、生産性の悪い企業に対する各国政府の支援と低金利政策により、企業の新陳代謝が低下し、生産性の低い企業が生き延び、経済に占める生産性の低い企業の比率が上がっていることにある。生産性の低いままの企業は低い給料しか支払えないので、継続的に付加価値を高めている企業との差が開くことにより貧富の差が拡大している。
きわめて示唆に富んだ深い指摘です。1990年代からの日本政府の政策ミスを如実に語っているように思います。
日本の場合、ミスの本質は単純ではありません。歴代政府の期待に企業が応えてこなかったことがミスの本質で、一方、企業の動きを予想できなかったことが、政府のミスでした。
私はこの3年間、ずっと日本の生産性問題を研究してきました。さまざまな仮説を検証しては潰して、また仮説を立て検証する、その繰り返しをずっと続けてきました。そして、理屈をそぎ落としていった結果、ついに究極の結論が見えてきた気がします。それはこの鉄則です。
これからの日本人は、世界中でもっともお金にうるさくならなくてはいけません。それが、これから迎える超高齢化社会で社会保障制度を維持していくための最低条件です。
これからのリーダーたるものは、とにかく付加価値を求めて、日本人労働者に適正な給料を払えるだけ稼げる商品とサービスを開発することが使命として課されます。今までは、リーダとして果たすべき社会への貢献は、人口の増加に応じて雇用を増やすことでしたが、これからの時代は雇用を増やすことではなく、給料を上げることが社会貢献となります。
極端な言い方をすれば、日本は世界一お金を稼ぐことにうるさい国になるくらいの覚悟が必要です。それができなければ、途上国に戻るか、社会保障制度をやめるかのいずれかの選択を迫られるようになります。
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デービッド・アトキンソンさんが書いた日本をどのように再生するのかについて書いた本。とてもロジカルで論の要旨としては「最低賃金を上げる」「女性の賃金を上げる」「生産性の低い中小企業を減らす」という感じですが、どれも実現すれば日本の生産性向上に大きく寄与すると感じました。
一方で、この方は様々なところで反発を受けていますが、その理由が「ロジカルすぎる」ところに有ることもよく分かりました。
現在の国策的にも「最低賃金は上げている」「男女の年収平均を開示する」という方向性にあるため、あとは「生産性の低い中小企業を減らす」という事が出来れば、日本も良い感じで経済成長していくのでは、と感じました。
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人材は良いのに高品質・低賃金という現状。
接客業で見たら他国では真似が出来ない行き届いたサービスとおもてなし、観光業で見たら素晴らしい伝統と文化財の数々がある。
じゃあ何が欠けているか?
付加価値、女性の社会進出、最低賃金の上昇など様々な課題が浮かび上がる。
そして、生産性を高めるために増えすぎた企業を淘汰する時期に入ってきた。ただ利益を増やすだけの目標を掲げるのではなく、付加価値の創出や持続性のある生産性向上、品質管理も含めた事業を残していくべきだ。
Posted by ブクログ
日本がいかに生産性が低いかがよくわかった。少子高齢化はとてもやばい状態であり、このまま生産性の低い働き方を続けていれば、日本の社会保障は崩れる。
生産性に関係のない無駄なサービスをやめるって大事だ。
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「新・所得倍増論」の続編。
日本の生産性が低いという話を前提に、日本が陥っている勘違いから脱却し、これから何をしていくべきかという議論が展開されている。
主張の軸は、前編に引き続き
・企業数を減らす(生産性の低い企業が淘汰されるようにする)
・最低賃金を上げる(欧州で失業率は増加しなかった)
・女性の活躍できる環境を整える(女性を全く生かせていない、子どもが一人以下の夫婦で専業主婦は福祉社会におけるフリーライダー)
というようなもの。
どれも合理的で納得がいくけれど、少なくとも中年以上の日本人には受け入れられないだろうと感じた。
最近若い世代を中心に人気を集めているひろゆき氏と同様、「賃金の高さが重要」という話を当たり前のように話している。
この辺はデフレが当たり前になり、経済失策を正当化(or単に無知であることを正当化)するために、「お金が全てではない」というきれいごとにしがみつく日本人にとっては受け入れがたい事実かもしれない。
筆者の言う通り、「福祉社会の維持にはお金がかかる」。それに尽きる。福祉社会を維持したいのなら、生産性を上げて経済成長するしかない。それに反発しておきながら、自分は福祉社会の恩恵にあやかろうとする人も、フリーライダー同様、社会にとってはマイナスということになってしまう。
本論とは全然関係ないけれど、「家を買って仕事のモチベーションを上げる」という話は面白かった。確かに、人間追い込まれないと頑張れないですからね。
Posted by ブクログ
中小企業再編論者の著者が、日本の生産性の低さとその処方箋を列挙する。
序盤で「生産性」と「効率性」は別物と言っていたのはそのとおりだと思った。また「GDPの増加より幸福感の増加」といったカネが全てじゃない論に対しても、少子高齢化で社会保障費が増え続けながら労働人口が減ってる今そんな腑抜けたことを言ってる場合じゃないと一蹴していたのも同意。
低価格を当たり前にしている企業と国民、最低賃金の低さとろくに収益を上げない中小企業と退場を拒む政府と経済界が少しでも現状を改めていって欲しい。
満足には給料も払えないブラック企業なんてとっとと消えて欲しいと思ってるから著者の主張には全面的に同意。
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外資系金融機関出身で日本の伝統文化保護の企業を経営し、大学でも日本を学んできた、英国人でありながら日本人以上に日本を知り、日本を愛してくれている著者による、数ある著書の中でも際立って強いワードによって綴られた提言書。
日本政府や経営者にかなり辛辣な意見を述べているが、彼だからこその複眼的な視点による提言は、愛する日本の行末を本気で案じているからこそのものであるのであろう。
世界を比較してのデータから見る、日本の生産性の低さは恐るべきものである。
そして歴史的に見ても、外部要因によって改革を強いられたことが多く、自ら改革をすることが苦手であるとの著者の言葉は、我々日本人の特性を鋭く指摘している。
Posted by ブクログ
日本の生産性について
日本は経済大国なのは人口大国だったから。
・日本の人口が減少していく今、生産性を上げなくては、日本経済が経ち行かなくなる。日本の抱える借金や今の社会保障制度を維持するためにはGDPの維持は必須。
生産性はGDPを国民の数で除したもの。
そのためには生産性を上げる必要がある。
では、どのように上げるのか。日本は何がいけないのか。
・移民を増やすと言う考察。2060年ごろまでに3400万人の労働人口が減少する。これを移民で補うと実に5人に2人が移民になると言う。(数字はうろ覚え)
・高齢者に働いてもらうと?そもそも身体的能力が衰えてくるので、現役世代と同等に考えることはできない。
・高品質、低価格
価格を下げても、人口減少により、そもそも買う人が減るから、売上は伸びない。
求められてもいない、企業の独りよがりな高品質で、売上は伸びないし、社員には無駄に高い負荷。(マーケティングで市場の求めるものをきっちり把握)
それに高品質・低価格は伝統的な価値観じゃない。
・女性の活躍
今は、昔に比べ、家事労働がかなり楽になっている。だから、子供の手がかからないときは、女性も働くべき。そうすれば、外食や贅沢、ハウスキーパーなど、様々なことにお金を使うようになる。これは経済成長にとって好循環。沢山稼いで沢山使う。
・経営者が無能。
労働者の質は世界的に見ても、日本は高い。
生産性の低い企業は淘汰される。そういう国に不利益になる企業をわざわざ国は守らなくても良い。悠長に守っている場合じゃない。もう悠長ではいてはいけない。
・その他
企業が上げるのは利益ではなく生産性。同じ売り上げの中で、社員の給与を減らして相対的に利益を上げるのではなく、付加価値を高めて、売り上げを上げて、社員の給与も利益も上げる。
効率を上げるのではなく、生産性を上げる。いかに効率よく仕事をしていても、無駄な仕事があったりする。そんなのを効率良くしても意味がない。無くした方が良い。
Posted by ブクログ
日本の人口減少に伴って、どれほど生産性向上が重要かよく理解できた。生産性の定義をキチンと理解できた点も大きな収穫。
ファクトフルネスを読んだ後だったので、「そんなことないんじゃないか」とツッコみたくなる部分や極端すぎないか?と疑問に思う点もあったが総合して勉強になった。
中小企業支援に対する厳しい指摘(生産性の低い中小企業は淘汰されるべき、事業継承支援は無駄など)が印象的。考えさせられた。
Posted by ブクログ
日本経済の生産性に絞って議論を進めた本。
とはいえ、杉田女史の件もそうですが、この言葉(生産性:Productivity)は非常にセンシティブですね。
生産能力とか生産手段とかいった左の言説の臭いもすれば、「生めよ増やせよ」の戦時統制の時代の空気の臭いもするという・・・。
そのあたりの空気感を察知したわけではないのでしょうが、この本では生産性の定義を一人あたりのGDPとしていて、イデオロギーなあれこれを遮断している。
著者いわく、経済学では「生産性=一人あたりのGDP」なのは常識なのだそうだ。
そうなのかもしれない。
もうね、カタカナでプロダクティビティとでも書いたほうが我々も混乱しないかもしれないです。
ともあれ、経済学の議論だからということで、純粋な数字での論考となるのですが、ちょっと無理めなシミュレーションが続きます。
GDPを維持するために必要な移民の数は約3420万人。つまり日本の人口の四割が移民である社会を受け入れますか?
とか、17時間労働しますか?
あ、でも女性の社会進出を加味しないなら21時間労働となります。とか。
いやー、無理ですよね。だから生産性を向上させないと、というお話です。
先日レビューした高橋洋一先生の『未来年表 人口減少危機論のウソ』では人口減少に伴うGDPへの寄与率は最大で年▲0.7%としていたが、この本では年率▲2.2%としている。
それもあってこういった数字の列記になっているのでしょうが、▲2.2%が正しかったら、ちょっとやそっとの生産性の向上くらいじゃ無理でしょう。
それでも向上させないと日本に未来は無いのです、というのはわかるが、日本の労働者は優秀なんです、という前提で議論を組み立てているので、生産性を向上させる鍵を経営層とか政府の施策に持っていっている。
日本の経営者は無能だ、優秀な経営者が必要だ、アメリカ企業で労働者は不真面目なのに生産性が高いのは経営者が優秀だからだ。
といった主張には、確かにね、シャープとか東芝とかの事例を見せられると頷くけど、そういう形の議論にすることで、今の労働者諸君自身が、自分のような社畜にはどうすることもできない話だし、関係もない、的な感じで、かえって問題意識から遠ざけ、現状への愚痴の根拠付にしかならなくなることを危惧。
極論言うと、労働者は日本人、経営層はアングロサクソンにすれば、万事うまくいく。
(だから日本は完全にアメリカの属国になれ。)的なこと、思ってません?
あ、そういえば、著者も今や日本企業のガイジン経営者だった・・・。
Posted by ブクログ
初めてデービッド・アトキンソン氏の本を読んだ。生産性という言葉の定義をちゃんと認識出来ていなかった事を反省。「生産性の定義は一人当たりのGDPで、GDPとは一定期間に国内で生み出された付加価値の総額、より細かくいうと、労働者の給料、企業の利益、政府などが受け取る税金、お金を貸した人が受け取る利息などの総額」
共感できたのは、仕事で、取引先から「高品質・低価格」をしつこく言われていた所で、相手先の言い分は「おたくから仕入れる額が上がると、競合と価格競争で負けちゃう」といわれていて、付加価値ないのを前面に出されて困惑してたから。こちらから付加価値を提案して上げないと行けないなぁと良い気付きが得られた。
本では、人口減少を前面に出されているが、それを抜きにしても、儲かるにはどうしたらいいか?給料を上げるにはどうすべきか?を皆んながもっとシンプルにアピールする世の中になってもいいんじゃないかなと思った。 給料を上げてくれというアピールには、責任も伴うわけだが、この責任に対する感覚が弱いのが日本のサラリーマンなんだろうと思う。ちなみに自分は外資系企業に勤めているが、営業組織は若いうちから数字について厳しく教育されている。営業以外はあまり厳しく問われない感じ。
この本の今の日本の現状を数字で他国と比較して、警鐘を鳴らすスタイルは、嫌いじゃない。最低賃金を上げて、対応出来ない企業には市場から退出してもらうと言う考え方もいいと思う。自然にそうなって行くと思うし。国が言わないと動かない風土もあると思うので、国会議員には、検討をお願いしたい。
自分でできることは、付加価値を上げていく努力を継続して行くことだと頭で分かっても、そこそこ給料貰っていてやる気ないんだよっていう人向けに、デービッドさんの父ちゃんのアドバイスがおもろい。「刺激を求めて転職するか、できる限りの借金して家を買え」w
Posted by ブクログ
ひとつの行動論のまとめである。すでによく知られた本書について、あらためて感想を書くこともないところではあるが、第4章で述べられていることで、子どもをつくることを優遇すべきというは、自分自身を振り返ってみてあらためてその通りである。ただ、もう少し細かい部分を気にすると、子どもを「育てる」ことを優遇すべきなのだろう。いろいろな事情で子どもを授からない人もいる。超高齢化社会になる社会の構えである。子どもが絶対的に少ないことによって、この先は現実問題として暗く厳しい。
まとめの第7章にすべてがある。時々ここを読み返して振り返ってみるとよいだろう。何をやめて生産性を高めるのか、そして生産性が評価基準というのは、核心部分として納得がいくことであり、自分自身の行動の中に、また自分がかかわる事象に対して、その視点を常に意識したい。
Posted by ブクログ
2018051
人口が減少する日本でやれること。生産性を向上して、付加価値を高めることが必要だと著者は言う。年金制度を維持するには、人口の減少に合わせて、1日17時間労働の必要がある。女性が働かなければ、21時間とか。
供給側の問題よりも、需要の問題が何よりも大きい。供給はAIや効率で何とかなる部分もあるけど、需要は増やせない。低価格高品質をキーワードに、これが何よりも付加価値を下げている。
日本人の潜在的な能力は世界4位とか。これを活かすことのできない経営者が情けないという。
政治に期待しようと思うと、高齢者が幅を利かせることになり、思いきった改革はできない。高齢者の、意識改革が先じゃないかと思ってしまいました。
匿名
やや愚痴が多い。
内容としてはお説ごもっともなのだが、これまでの著者でのアンチ意見に対する反論が多く、愚痴っぽいと感じた。
著者の本はこれで3冊目、どれも納得できる(アンチが出ることも含め)が、著者の本を初めて読むのに、この本はお勧めしない。
ただ、内容は適切としか言いようがない。
そもそも「労働生産性を上げろ」ということがどういうことかわかっていなかったことがわかった。
Posted by ブクログ
主張はデービッド・アトキンソン氏の別著と変わらず、一貫しているために学びは少ない。反復や確認、理解の深化には役立つ。日本のGDPを成長させたのは、日本人の器用さや真面目さ、秀でた技術力が本質的な要因ではない。主因は人口ボーナスによるものだ。人口減少に転じる時、我々がやるべき事とは。生産性向上の阻害要因は、規模が小さく生産性が低い会社の淘汰が進んでいない事や女性活躍が進んでいない事。どうやら日本の精神論的思い込みや文化的背景が理由にありそうだ。
私個人の体験。本著にも通じて、思わず納得した事。数年前、あるホテルに宿泊した。ホテルからホテルへ、旅を続けるため荷物は多く、移動の疲れもピーク。フロントに辿り着き、荷物を置いてチェックインの手続き。ようやく人心地。笑顔で出迎えるフロントの女性、少し離れた自動チェックイン機をお使い下さいと。その笑顔は逆効果。ため息をつき、タッチパネルと向き合った。
一事が万事とは言わぬが、デービッド・アトキンソン氏が繰り返し呈する「日本のおもてなしの勘違い」に非常に共感する。個人の意識にも問題があるが、やはり労働力も商品も適正価格に見直し意欲を向上すべきだし、それにより管理の質とインセンティブの原資を上げる事で、改善の声をその意識向上と共に反映していくべきだ。付加価値向上のポジティブな循環を起こさねば。
Posted by ブクログ
意外に「熱さ」を感じる本でした
今の日本は「保身第一」現状維持で改革・変化を忌避している
⇒シンプルな目標を立ててチャレンジを
人口減少は改革を強いる 経営者・行政・政治
日本人は長期的に取り組むのが苦手 ずるずると悪化する
Posted by ブクログ
生産性と効率性を混同しない
誰も求めていない商品を効率よく作ることは可能、しかし売れない以上生産性はゼロ。生産性のないものを無駄と呼ぶ。効率性を上げることが生産性の向上に繋がるわけではない。
日本人は有能で仕事の質に問題はない。
国連他各種国際機関も日本人労働者の有能さは絶賛に値すると非常に高く評価されている。
World Economic Forumによると日本の人材の質の高さは世界4位。トップテンの国の中で唯一の人口大国。
高品質・低価格は労働者の地獄を生む
先進国として胸を張れる世界最高水準のモノづくりが求められ、それに応えているにも関わらず、先進国の最低水準の所得しかもらえない。これが日本という国。
自殺率が高く、人生に満足出来ない人が大勢いる。労働者にこんな負担をかける経営者は犯罪者だと言っても過言ではない。それを黙認している日本政府も同罪。
日本のように、消費者の数が減っている国内で、以前と同じ商品を同じように作っているにも関わらず、イノベーションもせずに価格だけを下げさせ、その結果として自国民同士で所得の下げ合いをしている国は他にない。日本独特の文化であり、現象。
通常、価格を上げるにはイノベーションなどにより付加価値を高め、その対価として価格上昇を正当化するのが一般的。
ホテルの例
客が価値を認めないところに勝手に価値を見出す自己満足的なところ。
時差ボケで夜中に目が覚めたお客さんが希望しても、時間外だからと対応しないルームサービス。朝イチで到着したのに15時以降しかチェックイン出来ない。ルール通りにしか対応出来ないコンシェルジュ。
ベッドの下の真ん中まできれいにする行き届いた掃除と、ピーンと張られたシーツ、ネット予約も出来ず、カードやモバイルでの決済も出来ない。
丁寧なお辞儀など、お客様は神様とおもてなしの素晴らしさを自慢しているが、そこにおもてなしの心はあるのか?
お客が本当に求めていることが実は低品質で、総合的に見ると高品質とは言えない。高い技術を使って作った不細工な工芸品と同じ。こんなとんちんかんなことが起こるのは、お客が本当に何を求めているかを、きちんと分析してないから。
女性の活躍は理想論ではない。さもなくば3400万人の移民を受け入れるか、長生きを諦めるか。
男性主体の日本的経営を変える。
日本の生産性を考慮すると、専業主婦は贅沢。社会が便利になった分、日本人男性にとって結婚するメリットが大幅に減ったのは事実。日本で未婚の男性に結婚しない理由を聞くと「出会いがない・いい人がいない」と並んで「結婚をする理由が分からない」
米国の経営者が有能なのは労働者が無能だから?
レストランのネット化が進み、生産性が上がった。理由は電話で予約を受けた店員が日にちや時間、人数を間違える、予約を受けたこと自体忘れ、クレームが絶えなかったから、機械で予約を受け付けるようにした。日本人は真面目で、予約の際に同様のミスは滅多にしないので、問題が顕在化せず、解決のための技術もアイデアも必要ない。店員も一生懸命仕事をしているので、経営者にはその人から仕事を取り上げたくないという感情も芽生える。
優秀な人材をこんなに無駄に使うとは、奇跡的に無能な経営戦略としか言いようがない。ある意味で天才的。
「何をやめるか」が最優先課題
本当に全員に必要なものか?少数派の人には個別対応する、機械化するなど検討の余地あり。
物事の本質はシンプルなことが多い。