田中康弘のレビュー一覧
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僕は「山怪」のような本に惹きつけられる。幼少の頃より「不思議」なものに目がいっていた?
今、思い出しても不思議な光景。川の辺りに黒い洋装の男性が立っていて、その人は時間を管理していた。数人の友達と一緒に見た記憶。昭和30年初めの頃のこと。今でも不思議。
それと、「山の中で急に毛が逆立つ」、これは数回、経験している。いずれも日没前後の時間帯。当時、山の中も走り回っていて、「ゾワッ!」という感覚が! 何かいる! 見えてないけれど! なんとも恐ろしい感覚だった。これも今でも不思議な体験。もしかしたら、熊だったのかも???
〈本から〉
「うちのおかあちゃんは見えるし感じるんだよな」
(略)
「誰かが家のほうに来るのが見えて何か変だなと思うとその人が亡くなるのさ。畑仕事をしていても線香の臭いがしてきて、あの人だべなと思ったらやっぱり亡くなっているんだ」
*鈴木牧之の『北越雪譜』には薪集めに山に入った男が雪の斜面を滑落して遭難する話が載っている。男は何とか脱出しようと試みるが叶わず諦めかけるがが、偶然熊穴に入って助かる。だがそこには先客として熊が入っていた。結局その熊のおかげで男は生き延びるのだが(略)
「山の中で急に毛が逆立つことは時々ありますね。そんな時は獣がいているんですよ (略)
「あれは単独で姫路の夢前の山に入った時です。森の中で迷っていたら鹿が自分の周りを囲んでいるんです」 (略)
「(略)“なんやこいつ、何しとんねん?“って感じでね、笑うんですよ」 「笑う?」
「にやっとしてね、それからケラケラ声出して笑うんです」
「山に入るでしょう、そうすっと急に髪の毛が立ち上がることがようあっとです。ぞーっとする言うんですかね」
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怖いような怖くないような、ちょっと不思議な話からちょっとゾクッとする話まで、色々な山で起きた不思議な出来事についてまとめた漫画です。
高尾山とか時々遊びに行くので、あまり怖い怪異がなさそうで良かったと思いましたが、奥利根なんかは広さもあるせいか、ちょっと遭遇したくないなぁという出来事が多そうでした… -
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北は礼文島のトド猟から、南は西表島のカマイ(リュウキュウイノシシ)猟まで、日本全国の狩猟人たちは狩った獲物をどのように食してきたのか。
へぇ~西表島にイノシシがいるのか、知らんかった。
日本全国、北から南へ。
地域と獲物によって狩猟の仕方が全然違う。
西表島だたとボートで川を移動してジャングルの奥に向かう。
礼文島のトド猟は小型船から銃でトドを狙う。
(鳥獣保護法でクルマから撃つのは禁止されているが、船はどうなんだろうと調べてみたら5ノット以上の航行中のモーターボートから撃つのはダメなのね)
そしてやたら全国どこでも生肉を食べたがる。
イノシシに、鹿にと解体したその場で「刺身が美味い!」と食べているが、取材先の一つのある村では翌日に筆者含め半数が食当たりしているので、生肉はダメでしょ、やっぱり。
とりあえず、狩猟肉はなんでもすき焼きにすれば美味い、と書かれていたので、参考に昨日はイノシシ肉をすき焼きにして食べました。
取材先のひとつ、丹沢の寄(やどりき)地区のハナシで、内臓も全部洗ってモツ鍋で食べるというので、今度小さいイノシシが獲れたら試してみようと思う。
ちなみにこの寄地区には次の週末にトレイルランナーIと一緒に、まつだハンター塾に参加するので行ってきます。 -
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阿仁マタギとの長い付き合いをベースに、狩猟と自然をテーマに写真を撮り、文章を綴る筆者による「日本人と食肉文化」について書かれた本です。熊、猪、鹿、狸、ハクビシン、穴熊、鴨、トド…。バラエティ豊かです。
僕は筆者である田中康弘氏の『マタギ 矛盾なき労働と食文化』(エイ出版社)を読んで以来、ずっと追い続けてきたものですが、本書で田中氏が掲げたテーマは「日本人と食肉文化」であり、北は北海道の礼文島から南は西表島に至るまで全国各地を回って写真を撮りながらそれぞれの地域に根付いた食文化と人々を描いたルポルタージュです。
僕も筆者が主張されるように
「日本は元々仏教国で、肉食文化が無かったかのような勘違いをされる方も多い」
といわれる中の一人で、食肉文化が世に広く根付いたのは明治時代以降のことだろうと思っていたのですが、それはあくまでも「表向き話」であって、「殺生禁止」とは裏腹に、肉食は少なからず日本国中で行われ、現在にも日本全国各地に残る食文化や昔話でも明らかであると主張し、写真と文章で綴っていくのです。
本書の中には人によっては目を背けたくなるような捕獲した野生動物に止めをさす、あるいは解体現場の写真が多数掲載されているのですが、本来肉を得る事は自らの手で動物を屠殺し、血と脂にまみれて解体し、食肉に形成して初めておいしく食べることが出来るのだという「当たり前」のことを改めて教えてくれるのです。
出てくる動物もこれまたバラエティー豊かなものでありまして、熊、猪、鹿、狸、ハクビシン、穴熊、鴨、トド…。彼らの命をおいしく「いただく」ためにそれぞれの地域に生きる人々が工夫を凝らして解体、調理し、仲間や家族を囲んで味わう姿はまだまだ自分には知らない世界もあるのだということを再認識してくれるものでした。
自分には出来そうもないだけに、余計に惹かれてしまいます。
※追記
本書は2023年5月17日、山と渓谷社より『ヤマケイ文庫 完全版 日本人は、どんな肉を喰ってきたのか?』として文庫化されました。 -
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本書は秋田・阿仁地区に住む現役マタギたちの猟や生活風景を撮影したカメラマンの16年の記録を写真と文章でつづったフォトエッセイです。時代が変化し、消えつつある彼らの存在を収めた貴重な記録です。
これは、本書の姉妹編とも呼べる田中康弘氏の「女猟師」(エイ出版社)を読んで、こっちもできれば読んでみたいなぁと思い、手にとって読んでみようと思いました。内容は秋田・阿仁地区に住む現役マタギたちの猟や生活風景を撮影したカメラマンの16年の記録であり、あらゆる意味でも貴重な記録であると思います。
彼らのアイデンティティーともいる、山と調和した生活、その厳しさと熊やウサギ、川魚に山菜やきのこなどの豊穣な恵みがもたらす世界と、時代の移り変わりから、マタギという生き方そのものが、過去のものになりつつあるというある種の「哀しさ」をにじませたフォトエッセイであると思いながら、本書を読み終えました。
冒頭からツキノワグマを「けぼかい」という言い方でナガサ(マタギの使う山刀の一種)一本で解体し、食肉にする技術は、長年の修行の思わせるもので、一連のプロセスを残酷だという方もおりますが、僕は決して目をそむけてはいけないものだと確信を持ってここに記させていただきます。
さらには、冬の山にウサギを追い、皮をはいだウサギがほぼすべて筋肉でできていることを写真で確認し、あの動きの俊敏さはここからくるものであったのかと改めてそう思いました。
そのほかにもシンプルな仕掛けだけで岩魚を釣っていくマタギや、天然ものの舞茸を鳥に山の中へと奥深く入っていく話。そして、筆者をこの世界にいざなうきっかけとなったマタギであり、ナガサを作る鍛冶職人であった西根正剛氏との出会いと別れなど、本当に盛りだくさんの一冊でした。
作中で子供が熊の骨付き肉をかじっている写真がありますが、こういうのを見て自分も熊肉の鍋(マタギの世界では獲物はたいてい鍋にするという)を食してみたいなと思うのでした。
※追記
本書は2021年4月17日、山と渓谷社から『ヤマケイ文庫 完本 マタギ 矛盾なき労働と食文化』として文庫化されました。 -
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山に暮らす現代の人たちの不思議な体験談を聴き集めた物語集だ。帯にある通りまさに現代版遠野物語。起きた不思議をそのまま語る。理屈をつけたり、下手に怖がらせようとしないから話の真実味が増している。さらに訛りが入ってて盛り上がる。
猟師や木こりが山で出会うもの、山男を惑わすもの、土地の老人が教えてくれること、山の学校で起きること。
こういう話はいいよねえ。夕飯の後に、田舎の爺ちゃん婆ちゃんやおじさんたちの話を聞くようだ。死霊とか悪魔とかそんな野暮な相手ではない。相手は山の神、狐、狸、蛇…狐火、小豆研ぎ、ベトベトさん…。そして何より何が起きたかわからないような体験談。ほとんどが21世紀の話なのだ。 -
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現代の肉食について。
狩猟の実際の現場を見てきた著者ならではの興味深い話。
シカの刺身は美味しくて、毎年猟期のはじめに、シカの刺身にあたってのたうち回る猟師が大勢いるとか、ウサギをフンごと鍋に入れる集落もあれば、フンを入れない集落もあるとか、タヌキの肉は臭いけど、アナグマやハクビシンの肉は臭くないとか、1990年代頃にまだイヌを食べいてた集落があったとか、本州ではイノシシの皮を刃物で剥がし捨ててしまうが、九州と沖縄ではバーナーで毛を焼いてこそぎ落とすのが普通、とか、面白い。
その方面の専門書には及ばないが、畜産肉に関しても書かれている。食肉処理施設の様子と肉屋さんの仕事。
肉屋さんの哲学
「ブタの命に対する責任感、従業員に対する責任感、そして生産者、消費者に対する責任感。実に多くの責任感を持ちつつ日々肉を提供するのが肉屋さんの仕事なのです。」
文献記録や宗教との関係、肉食の歴史的変遷などは、記述は少なめ。
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これで4冊目ですが、やはり面白いです。飽きません。
墨絵も、漫画というか挿絵というか、内容とマッチしていて見事です。
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田中康弘『完本 マタギ 矛盾なき労働と食文化』ヤマケイ文庫。
『マタギ 矛盾なき労働と食文化』と『マタギとは山の恵みをいただく者なり』を合本、文庫化した贅沢な作品。著者の田中康弘は15年以上にわたり、秋田県北秋田市阿仁地区のマタギたちの猟や生活風景を取材し、記録している。
日本の山里の元風景を残す阿仁地区。人間の知恵を駆使し、常に自然に畏怖、感謝を忘れずに自然の恵を受けながら暮らすマタギたちが羨ましい。秋田にはまだまだ自然が残っているのだ。
福島県や岩手県も、熊やウサギ、岩魚に山菜、キノコ。昔はそこそこ簡単に手に入ったのだが、近年は環境破壊や福島第一原発事故による放射能汚染などで、滅多に食べることが出来ない。
定価1,045円
★★★★★