【感想・ネタバレ】ヤマケイ文庫 完本 マタギ 矛盾なき労働と食文化のレビュー

あらすじ

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秋田県北秋田市阿仁地区のマタギたちの猟や生活風景を15年以上にわたり撮影・記録した『マタギ 矛盾なき労働と食文化』と、
クマやノウサギなどの獣肉や山菜・キノコ、渓流魚など実際にマタギたちが利用する四季折々の阿仁の伝統食を紹介している『マタギとは山の恵みをいただく者なり』を合本して一冊に。
猟の様子から食生活まで豊富な写真をまじえてマタギの世界を伝えます。

【目次】
・マタギ 矛盾なき労働と食文化
マタギとの邂逅
熊のけぼかい、熊の味
雪山のウサギ狩り
冬の川で漁をするマタギ
マタギと渓流とイワナ釣り
マタギの山のキノコ
山奥に天然マイタケを追う
西根師匠の遺したもの
マタギとともに熊狩りへ
マタギとは何者か
マタギが伝えてきたもの

・マタギとは山の恵みをいただく者なり
マタギ食堂へようこそ
雲に隠れた熊がもたらす恵み
マタギのメシから生まれた郷土料理
忍びで獲ったウサギを食す
マタギと犬とキノコ採り
食卓を彩る旬の山菜
マタギの家の豊かな食卓
マタギが行商で生み出した食
川とマタギと魚
マタギの里にやってくるハタハタ
消えたカヤキと囲炉裏
マタギの過去、現在、そして未来

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Posted by ブクログ

本書は秋田・阿仁地区に住む現役マタギたちの猟や生活風景を撮影したカメラマンの16年の記録を写真と文章でつづったフォトエッセイです。時代が変化し、消えつつある彼らの存在を収めた貴重な記録です。




これは、本書の姉妹編とも呼べる田中康弘氏の「女猟師」(エイ出版社)を読んで、こっちもできれば読んでみたいなぁと思い、手にとって読んでみようと思いました。内容は秋田・阿仁地区に住む現役マタギたちの猟や生活風景を撮影したカメラマンの16年の記録であり、あらゆる意味でも貴重な記録であると思います。

彼らのアイデンティティーともいる、山と調和した生活、その厳しさと熊やウサギ、川魚に山菜やきのこなどの豊穣な恵みがもたらす世界と、時代の移り変わりから、マタギという生き方そのものが、過去のものになりつつあるというある種の「哀しさ」をにじませたフォトエッセイであると思いながら、本書を読み終えました。

冒頭からツキノワグマを「けぼかい」という言い方でナガサ(マタギの使う山刀の一種)一本で解体し、食肉にする技術は、長年の修行の思わせるもので、一連のプロセスを残酷だという方もおりますが、僕は決して目をそむけてはいけないものだと確信を持ってここに記させていただきます。

さらには、冬の山にウサギを追い、皮をはいだウサギがほぼすべて筋肉でできていることを写真で確認し、あの動きの俊敏さはここからくるものであったのかと改めてそう思いました。

そのほかにもシンプルな仕掛けだけで岩魚を釣っていくマタギや、天然ものの舞茸を鳥に山の中へと奥深く入っていく話。そして、筆者をこの世界にいざなうきっかけとなったマタギであり、ナガサを作る鍛冶職人であった西根正剛氏との出会いと別れなど、本当に盛りだくさんの一冊でした。

作中で子供が熊の骨付き肉をかじっている写真がありますが、こういうのを見て自分も熊肉の鍋(マタギの世界では獲物はたいてい鍋にするという)を食してみたいなと思うのでした。

※追記
本書は2021年4月17日、山と渓谷社から『ヤマケイ文庫 完本 マタギ 矛盾なき労働と食文化』として文庫化されました。

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2024年11月26日

Posted by ブクログ

田中康弘『完本 マタギ 矛盾なき労働と食文化』ヤマケイ文庫。

『マタギ 矛盾なき労働と食文化』と『マタギとは山の恵みをいただく者なり』を合本、文庫化した贅沢な作品。著者の田中康弘は15年以上にわたり、秋田県北秋田市阿仁地区のマタギたちの猟や生活風景を取材し、記録している。

日本の山里の元風景を残す阿仁地区。人間の知恵を駆使し、常に自然に畏怖、感謝を忘れずに自然の恵を受けながら暮らすマタギたちが羨ましい。秋田にはまだまだ自然が残っているのだ。

福島県や岩手県も、熊やウサギ、岩魚に山菜、キノコ。昔はそこそこ簡単に手に入ったのだが、近年は環境破壊や福島第一原発事故による放射能汚染などで、滅多に食べることが出来ない。

定価1,045円
★★★★★

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2021年04月30日

Posted by ブクログ

 タヌキの脂が美味いという記載には疑義アリ。
 美味い派、不味い派が入り混じるタヌキ肉の審議はいかに。
(不味くはないけど、積極的に食べる気は起きないよ派の俺氏)

 マタギの文化が残る秋田県阿仁。
 その集落に通い詰める著者が見ているのは、誰も継ぐ人がなく失われていくマタギの文化、技術だった。

 スコップ一本で行う漁、ジャガグ。
 獲れた熊の解体作業、けぼかい。

 マタギにだけ受け継がれてきた文化が文字に残る。
 自然からの頂き物だけで生きてきた時代があった。

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2025年11月26日

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