田中康弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレオチのない怖い話、起承転結や因果のはっきりしない怪異譚が大好物なので、楽しくモリモリ読みました。
脳の異常とかで説明できそうな話もあって、そういうのを考えながら読むのも楽しい。
あと現地の語り部たちの雑な解釈がたまらない。「狐の仕業」で一括りにするのも良いし、考えた結果「ヤマドリに夜光虫がついたのが火の玉」となっているのも味がある。
「狐火?ああ、あれは俺なんだよ」というパワーのある発言に出会えたのも最高です。
いいわあ。
再読追記
このシリーズ、「別にオバケを信じていない人にしつこく聞いたら出てきたオチっぽいオチもない不思議な話」感があってすごくすごく大好き。
漁師とかサラリーマンとか警備 -
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なんとなく、「日本で肉食が始まったのは明治時代になってから」といういめーじがありましたが、それが大きな誤解だったことが分かりました。
たしかに、言われてみれば旧石器時代から狩猟は行われていたわけですし、牛や馬、豚を食べていなかっただけで、いわゆる「ジビエ」と言われるような鹿肉や猪肉は食べていたわけですね。
本書では日本で様々な動物が食べられてきた歴史を振り返りながら、現代の食卓にのる肉について、「畜産肉」と「狩猟肉」に分けて紹介されています。
また、かつては商店街にあった(わたしも薄っすらと記憶にありますが)枝肉を吊るした肉屋も紹介されています。笑い話で、「スーパーに並んでいる切り身の魚しか -
Posted by ブクログ
山にまつわる不思議な話を、全国各地の山人から聞き書きしたシリーズ第五作。
作者の田中康弘いわく「大団円」とのこと。
時代の移り変わりを思えば、よくぞここまで取材を続けてくださったなあと感動します。
怪談や怪異もありますが、本作を読んでいて一番感じたことは「無知は最強」でしょうか。
土葬した仏様を掘り起こし荼毘に付してお骨にするのに使っていた鉄板とは露知らず、東京から来た観光客がそれでバーベキューをしていた…なんて話には仰天しました。きっとその人たちは今も知らないんでしょうし、知らないから何ともない。まさに最強です(笑)
また何かの折に復活して欲しいなと思うシリーズでした。
まずは田中先生、 -
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Posted by ブクログ
ネタバレマタギを取材するフリーランスカメラマンが採録した山の怪異。
最近流行りの所謂実話怪談などのように派手な話はほとんどなく、人魂の話、野焼きされる遺体の話、山に呼ばれて行方不明になった話などが飾らない筆致で語られる。怪談というよりは民俗学でいうところの世間話の方が近く、取材先が実名で登場するなど資料として貴重である。読者を怖がらせてやろうというケレン味がないだけにリアリティも高い。
山で見た人魂を、あれはきっと蛍の塊なんだよと説明する話者を前に筆者は考える。山が生活の場になっている人間にとってそこは日常である。そこで起きたことは説明がつくことでなければ生活の足元が崩れてしまうと。
本文中にもそう -
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Posted by ブクログ
田中康弘『完全版 日本人は、どんな肉を喰ってきたのか?』ヤマケイ文庫。
日本列島を南から北に移動し、各地の狩猟現場を巡りながら、実際に狩猟で得た肉を食べながら、日本人が何を食べてきたかを明らかにするノンフィクション。
肉でも野菜でも米でも、何かを食べるということは命を頂くという行為だ。それを念頭に、それぞれの土地に根付いて来た特色のある食肉文化は将来に残すべき大切なものであろう。
元々、マタギ文化に興味を持っていたので、なかなか面白い内容だった。
沖縄県西表島島に生息するカマイと呼ばれるリュウキュウイノシシ。本州のイノシシと比べると小型のようだ。イノシシが生息する北限が秋田県の栗駒山系 -