田中康弘のレビュー一覧
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ネタバレオチのない怖い話、起承転結や因果のはっきりしない怪異譚が大好物なので、楽しくモリモリ読みました。
脳の異常とかで説明できそうな話もあって、そういうのを考えながら読むのも楽しい。
あと現地の語り部たちの雑な解釈がたまらない。「狐の仕業」で一括りにするのも良いし、考えた結果「ヤマドリに夜光虫がついたのが火の玉」となっているのも味がある。
「狐火?ああ、あれは俺なんだよ」というパワーのある発言に出会えたのも最高です。
いいわあ。
再読追記
このシリーズ、「別にオバケを信じていない人にしつこく聞いたら出てきたオチっぽいオチもない不思議な話」感があってすごくすごく大好き。
漁師とかサラリーマンとか警備員とかのバージョンもあったらなあ。
やっぱり山だから良いのかな。
再読追記
やはり良い…狐火の正体がどぶろくの密造に行く人だった話とか特に良い。こういうのが混ざることで全体のリアリティが上がる。
「狐火の噂は知っていたが密造は違法なので言い出せなかった」っていう話。デスヨネー。 -
Posted by ブクログ
ついに「山怪」シリーズも大団円、これで終わりか。
ちょっとした短編ホラーの題材にでもなりそうなシリアスな恐怖から、思わずくすりと笑みがこぼれてしまうような小ネタまで、5巻に渡り様々なヴァリエーションを楽しませていただいた。
ほんの数十年前、私の祖父母あたりの時代までは少なくとも、里山と異界は背中合わせであった。
人が生活の中で山を使わなくなった今、その境界は曖昧を極め、熊が住宅街に頻出して闊歩するようでは、"山怪"の出る幕はもはやあるわけがない。
まったく寂しいことだ。
今度、夜の山に登ってみようと思う、もちろん独りじゃなく誰かを誘って…。
それにしても、「京都府豊岡市」は酷いな、しっかりしてくれい…。
「山怪は文化と認識されず、誰かが守るような存在でもない。成り行き任せで消えていくのが山怪なのだ。」 -
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マタギに興味がある人には必読の書といっていいと思う。
直接阿仁マタギの末裔たちに話を聞き、直接阿仁マタギの猟に同行し、マタギとともに飲み、喰らったノンフィクションライターの記録。
いまもまだ伺うことのできる、阿仁合の西根打刃物製作所の先代、松橋旅館の先代たちと山に入った記録。
マタギたちに聞いた話、動物の生態、猟のやり方、そして山や川の恵み 正にマタギ完本といえる。
フクロナガサを格好いいからと持つだけでなく、なぜフクロナガサが今の形になっているか?などマタギから受け継がれている知恵など、民俗学の本では得られない知見を知ることができると思う。
また、秋田内陸縦貫鉄道の旅に出かけたくなってしまった。 -
Posted by ブクログ
なんとなく、「日本で肉食が始まったのは明治時代になってから」といういめーじがありましたが、それが大きな誤解だったことが分かりました。
たしかに、言われてみれば旧石器時代から狩猟は行われていたわけですし、牛や馬、豚を食べていなかっただけで、いわゆる「ジビエ」と言われるような鹿肉や猪肉は食べていたわけですね。
本書では日本で様々な動物が食べられてきた歴史を振り返りながら、現代の食卓にのる肉について、「畜産肉」と「狩猟肉」に分けて紹介されています。
また、かつては商店街にあった(わたしも薄っすらと記憶にありますが)枝肉を吊るした肉屋も紹介されています。笑い話で、「スーパーに並んでいる切り身の魚しか知らない子どもが、水族館で生きている魚を見て『魚じゃない者が泳いでいる』と驚いた」というものがありますが、肉についてはよりそれが顕著な気がします。
「生きている動物」が、どのようにして「食肉」となったのか、かつての被差別部落問題と合わせて触れているところも、分かりやすい解説で印象的でした。
特定の思想宗教ではない限り、日常生活の中で何かしらの肉は日々口にしています。その肉がどのようにして食卓にやってきたのか、日本の食肉を安定的に確保するためにはどのようなことが必要なのか、考えるきっかけになりそうです。
今夏に食べた鹿肉のカタと猪肉のジャーキーなどのジビエ料理は下処理が丁寧だったこともあって臭みもなくて柔らかく、とても美味だったことを思い出しながら読みました。 -
Posted by ブクログ
山にまつわる不思議な話を、全国各地の山人から聞き書きしたシリーズ第五作。
作者の田中康弘いわく「大団円」とのこと。
時代の移り変わりを思えば、よくぞここまで取材を続けてくださったなあと感動します。
怪談や怪異もありますが、本作を読んでいて一番感じたことは「無知は最強」でしょうか。
土葬した仏様を掘り起こし荼毘に付してお骨にするのに使っていた鉄板とは露知らず、東京から来た観光客がそれでバーベキューをしていた…なんて話には仰天しました。きっとその人たちは今も知らないんでしょうし、知らないから何ともない。まさに最強です(笑)
また何かの折に復活して欲しいなと思うシリーズでした。
まずは田中先生、お疲れ様でした!