中野円佳のレビュー一覧
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たまたま、東大生の親はどんな家庭教育をしていたかという文脈でこの本の一部が紹介されていたが(地方は共働きの親が多くお金のかからない読み聞かせなどを重視しているという偏った内容)、本の内容自体は、そんな物見胡散ではなく、学内に内在する地域格差や経済格差を紐解き、それが日本の官僚や大企業の人材を排出する機関だとすれば内から検証すべきではと警鐘を鳴らすもの。
地方から都内の大学に進学したものとして「あるある」と当時の思い出を抉られる内容。
一つ目は地域格差。地方は公立進学校(中学受験していない)出身者が多い中、首都圏は私立中高一貫校の出身が多い。それはすなわち、親の学歴や職業の違いのみならず、当 -
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2018年に読んだ上野千鶴子の『情報生産者になる 』のアンサー新書です。上野ゼミの卒業生たちがいかにゼミでインプットし、いかにアウトプットしていったか?という記録です。いや、インプット、アウトプットというより、どんな「問い」を自らに立て、どんな動機で、どんな行動で、上野千鶴子に鍛えられていったか、を自ら振り返る「学び」のデコン集です。『情報生産者になる 』は出版されてすぐ読んで大きく刺激を受けましたが、『情報生産者になってみた』の存在は知らず、本屋さんの店頭で発見しました。前著にも影響受けましたが、この本もじわじわ効いてきそうです。この本棚にも入れている『「育休世代」のジレンマ』の著者の中野円
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今の日本の停滞の原因のひとつが「偏差値エリート」にある、と私は見ている。
この新書は、「学歴エリート」ということばで、東大卒についてデータで掘り下げ、
私の「仮説」を検証してくれている。
序章、第一章、第二章で今の東大生の多くが首都圏の私立中高一貫校の男性であることを明らかにしてくれている。
36校の有力校だけで東大生の半分を占めるという。36校の中には灘、ラサール、東大寺、久留米、旭丘、甲陽など
首都圏以外が10校あるにはあるが、大半が首都圏。男子校が17校。女子高は3校。
地方、女性、大学第一世代はマイノリティ。
つまり、首都圏で両親が大卒で年収が一千万以上の男子が恵まれた環境から東大 -
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ネタバレ現代日本おいて、ジェンダーについてステレオタイプの刷り込みがどのようにされてるのかを、年代毎に分けて論じている。幼少期、小学生、中高生、大学生に順を追って解説されている。
とにかくわかりやすい。
著者も子育て経験者ということで、ご自身のお子様の例もあったり、大学の授業での学生さん達のコメントも沢山あったりして、面白かった。
実写版『リトルマーメイド』の件と、『女子枠』の件について、個人的にも以前からどう解釈すれば良いのか疑問もあったので、こういった見方ができるのか!という発見もあり、とても良かった。
最後の週刊誌の件、あの手の雑誌は今はさらに卑劣になってきていて、今までとは逆転現象も -
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ネタバレ筑摩書房の新書やし、難しいかな?と思いながらページを開いたけど、面白くてあっという間に読んでしまった。
第1章 赤ちゃん・保育園・幼稚園の年頃に刷り込まれるシェンダー。→無意識に大人が女の子らしいもの、男の子らしいものを与えてしまう。洋服の色やおもちゃなど。
第2章 小学生時代、意外と子どもって大人の様子を伺っていて、大人が気に入るようなものを選んだり、行動したりする。また、ディズニーのアニメに登場するお姫様が白人か、黒人か、アジア系か、によって、子どもって、「私は黒人だからシンデレラにはなれない」など思い込んでしまっている。特にアメリカとか欧米だと。
あと、ランドセル何色問題。親がいる前 -
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■どんな本か
東大卒で自身もママである著者が、大学院修士論文を本としてまとめたもの。なぜバリキャリの彼女が、そっち側(子ども重視する伝統的な女性立ち位置に見えるもの)にいってしまうのか??その裏側にある様々な葛藤や悩みを15人のインタビューを通して分析していくもの。
■印象に残った内容(を解釈したもの)
偏差値の高い大学を卒業し、大手企業への就職を果たし、ハイスペックな夫と結ばれ、20代で妊娠。世間でいう勝ち組の女性たち。
でもその一部の女性は男並を目指すゆえに、0か100になってしまう。100出せない自分が許せなくて、でも50は納得いかなくて(競争には勝てないから)、0を選んでしまう事実 -
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「情報生産者になる」が思いの外良かったので、続けてこの本も読む。
坂爪さんの研究には流石に引くが、この本を完成させてくれたことには感謝。
最後の座談会がすごくいい。
正直な物言いに、驚いた。
「女性学ってやっぱり運動だったのよ。」
アカデミズムの場で、「運動」を行うことを意識的にやっていたのだなと、その姿勢に感動。アカデミズムが後進を育てることができなかったこと、一人も上野ゼミに希望者がいなかった年がショックだったこと、そこから指導法を変えたこと。お茶の水の原ひろ子先生を尊敬していること。立命館で原さんがやったことを自分もやろうと思い実践したこと。自分の一生を賭けて一作書く人たちをサポート -
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ワーキングマザーが子育てをしながら、仕事にどう向き合っていくか、インタビューを基に分析。
「育休世代」という筆者の世代は、やりがい、自己実現重視。
なので、仕事をしっかりやりたいという気持ちで入りながら、大学までにはほぼ感じなかった、様々な”女性的な”扱いを経験する中で、人それぞれの対応をしていく。
仕事に意欲があった人ほど早く見切りをつけて辞める。
色々と条件面を考慮して残っていた方が良いと冷静に判断した人間が残るのと、いわゆる女を捨てて、男勝りに戦っていく人が残るというのは、確かにそうかもと思える部分があった。
1984年生まれの筆者自体が東大卒の総合職、早めの結婚出産ということで、 -
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一緒にプロジェクトをやったことのあるママの社員と雑談している時に「ぜひ!」と勧められた本です。結果的にこの夏の「はたらく」ことについて考える課題図書第四弾になりました。「女性活用はなぜ失敗するのか?」という副題の構造を調査によってかなり明確に顕在化した本だと思います。「なんとなく感じていた…」ことと「なるほどそうなのか…」ということがないまぜになった複雑な読後感です。ハッキリしたけどスッキリしないような…。そのモヤモヤ感が会社と社会が抱えるこの問題の難しいところなのでしょう。国も会社の制度として施策を打っているのだと思いますが、教育と会社の接続のところでジレンマが起こっているがよくわかりました