中野円佳のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ぼんやりと感じていたことが明確に言葉になり確信に至った感覚。
いまだに強く根付く専業主婦前提社会によってみんな疲弊している。
働く母親…長時間残業前提の企業戦士並みの働きをしないと一人前と認められず悶々とし、十全な育児ができてないのではと思い悩む
専業主婦…閉鎖的な空間で家事・育児のすべてをひとりで担わなければならない、専業主婦がしなくてはいけない事柄が膨れ上がり脱せなくなる
また専業も働く母親も選んだ選択肢に自信がなくどことなく後ろめたさを覚える
男性…男女の賃金格差が大きいので、家計を支えるという任務から抜け出せない
では専業主婦前提社会を変えればいいのでは?といっても、この社会は社会全体のシステムが複合的に絡み合って成立してるのでそう簡単には変えられない。
(女性に不利な雇用制度、社会保険制度、家族同伴の転勤、ケアを外注できない風土など)
その時々のライフステージによって様々な役割をこなしそれが社会的に意義があると見なされきちんとキャリアに繋げる。なにより幸せなキャリア人生を送り、子どもに「働くって楽しい」と思ってもらう。そのために何をすべきなのか、なにからてをつけるべきなのか、。 -
Posted by ブクログ
制度が整ってきたのに、どうして総合職正社員の女性が出産後退職するのか。
どのようにして「ぶら下がり」になっていくのか。
筆者が大学院の修士論文に加筆したもの。
学術的で様々な視点から分析されており、説得力のある良書。
ワーママを部下に持つ世代、ワーママ世代、これから結婚出産をするであろう若い世代の男女に是非目を通してもらいたい良書。
論文なので、気軽に読めるというわけではないが、斜め読みでもいいので、色々な人に読んでもらいたいと感じた。
メモ。
仕事の量は調整してもらいながらも、内容(質)は変わっていない例が継続の見通しがある。
預けるだけの収入を得られることに加え、やりがいがあることが、保育園に預けることの罪悪感を減らす。
雑感。
サンプルの方々、筆者の分析が自分と重なることがありすぎて、興味深く読めた。
サンプルが15人と少なく感じたが、筆者が過去の論文等で計量分析では一人ひとりの経路が見えなくなるため、敢えての15人とのこと。
学生時代に女性と認識していないマッチョ系(就活も女性が働きやすい会社とかではなく、やりがいや、男性社会の中で頑張ることを選んだ人)が辞めていく。男性同等に働き、意欲を持っていた人が、自分や会社が求めている働き方ができなくなり、諦めて辞める。(サンプルではマスコミや建築関係)また、マッチョ系の人は男性の育児参加や、子育て理解にも保守的。(バリバリ働いている男性を見ているからか?)
自分が女子校出身等で、女性であることを受け入れて過ごしてきた人は、女性が活躍できそうな会社を選び(やりがいと引き換えか?)、出産後も会社の制度を利用してマミートラックにも多少耐えながら継続している傾向がある。
会社は、育休明けの人の仕事の質を落とさずに、量を調整することで、離職を避けることができる。心理学的に仕事にやりがいが無いと、長時間子どもを預けてまで自分がやる必要のある仕事か?と思ってしまい、辞めることを考える。特に、新卒総合職で就職した女性の伴侶は同じくある程度の給料をもらっているため、共働きでないと生きていけない経済状況ではない。
母親側は、職場に諦めるのではなく、できるだけ交渉することで、仕事を継続することを検討する。次世代のためにも。
女性同士で戦わない。(これは非常に難しい…) -
Posted by ブクログ
高学歴、高収入の総合職女性が、現場でどういったプレッシャーを与えられ、結果として職場を去る決断やキャリア実現に対するモチベーションを一部下げる(諦める)ようになってしまうのかを、様々な論点に渡り議論している良書。
現在の15人の女性を調査する形式で、彼女たちの育った環境(家庭、教育面)、現在の環境(職場、夫、両親)等に光を当て、幅広く分析している。
私の年齢層よりは若干上の方々が、どういったことに悩み、そうなってしまったのかを知る上で非常に参考となった。
女性に限らず、男性にも、あらゆる年齢層の人にも読んでほしい。そして、思うだけでなく小さなことからでも行動していってほしい。
以下、雑感。
・女性には現在、制度があるがゆえの「産め、働け、育てろ」プレッシャーがある。聞いただけで辛い。
・夫の家事参加が非常に低い。今の社会の現状を変えていくには、女だけが訴えるのではなく、働く女性と同じ目線に立った男性たちにも声をあげてほしい。
・女性は諦めて職場を去ってしまう。それでは今の世の中は変わらないと思う。高学歴、高収入の仕事についている恵まれている層の女性にこそ、社会の変革に立ち向かい、声を上げる義務があるのでは?諦めたり逃げても何も変わらないと思う。絶対辛いことが予想されるけれど、私も逃げずに立ち向かう人でありたい。世の中を少しでも変えるための努力をしたいと思った。
・高学歴な女性ほど、家事育児に協力できない男性と結婚してしまうという現実には非常に納得。男性のみなさんには、働き続けたいと考える女性からすると、育児家事をやらない男性は非常に魅力が下がるという事実を男性にも気づいてほしい。一方で、そういったプレッシャーが男性たちにもかかっていることは過剰であるとも思う。
・結論として、日本人は働きすぎだから、短時間で効率良く成果を出し、男も女も家庭のことを普通にできる未来にしていかなければならないと思う。この意味では、日本はすごく遅れてる。今住んでいるイギリスではあり得ないことだ。
・アカデミックな見方をすると、研究としてよくまとまっていると思う。reserach questionのまとめ方。reserach methodの選択、limitation、考察、過去の研究事例などを踏まえたliterature reviewなどなど。社会科学分野の学生には良い研究手法の手本になる本だと思う。文庫本にしては内容が非常に充実しているし、限定的ではあるものの、深い部分まで洞察していると思う。 -
Posted by ブクログ
産んで育てて男性と同じ位働けっていうゲームには参加したくない。って社会人2年目位で思って、そこから抜け出していないし葛藤続きの私には、とりあえずやってみている人たちは、まずそのことがすごいなと思う。
選択の自由がある道にいて、こんな社会で大変だけど子どもを持つことが大切な人や産んでから気づいた人は調査対象のようになり、先に気づき矛盾に苦しみ戦うほど子どもを持つことの優先度が高くないと(他にも理由はあるが)私のようになる。
違う選択をしているけれど、私もこの人達と表裏一体。
もともと知ってはいたけど、自分の中の矛盾した希望や価値観のせめぎ合いが明示されていて分かるなぁと思うこと満載。
個々人の一度しかない人生は、社会の影響を多大に受けるんだよなぁと、しみじみ。
サンプル数が少ないということを著者が言及していましたが、私が13年働いている子育てをする女性が沢山いる会社で周りの先輩や同期の状況、葛藤、周囲の反応をみていて感じ考えていたこととの乖離感じなかった。
男並みに働いていた先輩は子どもの成績悪化であっさり退職、子育て中は葛藤しつつ全部60点で良しとするのと話してくれた先輩は働き続けている。
私にできることは‥、立場の違う女性同士の誤解に行きあったら表裏一体なだけだということ、共感の視点を伝えて女性間の分断の解消に微力だけど貢献できるかも。管理職や意思決定に関われる立場の女性と接点があり、私が子どものいない女性だから相手に聞いてもらいやすい気がする。(つい先週も女性マネージャーが、ぶら下がり女性社員と評する子どものいる社員への厳しい見方をしていた) あと、そういう人にはこの本勧めよう。
#Bookoff -
Posted by ブクログ
ネタバレ・仕事と家事・育児の両立にいっぱいいっぱいの共働き家庭
・家事・育児の責任を一手に背負い、逃げ場のない専業主婦
・「稼ぎ主プレッシャー」と滅私奉公的働き方を課された男性
こうした「共働きも専業もしんどい」状況は、じつは日本社会の「主婦がいないと回らない構造」が生み出していた。
長時間労働や無制限な転勤など、終身雇用・年功序列という制度で回してきた「日本のサラリーマンの働き方」。
これらの制度は、主婦の妻が夫を支える前提で作られている。
専業主婦前提の制度は、会社だけではない。
丁寧すぎる家事、保育を含む教育への予算の低さ、学校の仕組み……問題は社会の様々なところに偏在し、それぞれが絡み合って循環構造を作っている。
「女性が輝く社会」というスローガンがむなしく聞こえるのは、この構造が放置されたまま、女性に「働け、輝け」と要請しているから。(紹介文より)
ーーーーー
子どもを育てながらフルタイムで働いている私には、とても響いた1冊。
現状はよくわかった。
社会的背景も納得のいくものだった。
じゃあ、今どうするの?の答えはない。
少しずつ社会は変わっているけれど、今私を楽にしてくれるものではない。
社会が変わるには、時間がかかるのだ。と諦めを強くする1冊。
第一部なぜ共働きも専業もしんどいのか
・1955年から半世紀以上主婦論争が続いている
・①好きで専業主婦をやっているわけじゃない
②好きで専業もをやってるから、ほっといて欲しい
・制度や仕組みを疑うことなく自己責任論に帰してしまっていいのか。本当は改善された方がいい既存の課題含みのシステムは放置され、時に強化されてしまう
・人は相対的な不満を抱える生き物。もしかしたら自分も選べたかもしれない選択肢を羨ましく思う
・「仕事も子育ても」は、ワガママなのか。
・教育問題や社蓄を生んだ戦後日本型循環モデル
第二部主婦がいないと回らない構造
・しんどさのカギは「自己決定できること」「自分で時間や状況をコントロールできること」
・共働きが増えたといっても「夫は仕事、妻は仕事家事育児」
・共働きとはいえ女性は約6割が非正規。正社員は専業より少ない。
・日本の家事は高度化している
・子どもは完璧な献立より、楽しいお母さん、楽しい食卓がいい
第三部変わる社会の兆し -
Posted by ブクログ
東大分析✖︎本田由紀先生。
教育、経験格差、再分配のされなさ、に、最近大変興味(と言うとなんか面白半分ぽくて良くないが、“問題視“というには行動が伴わなくて申し訳ない。)があり、また、仕事で東大生たちと関わる中で、そのエリート同質性(あまりに家庭環境が良い人たち、有名校出身者ばかり)に危機感を覚える中で、新聞で紹介された本。
本田由紀先生だし、きっと面白い。と思ったら面白かった。
何より私の中で新しかった、第一世代(非大卒の親を持つ大学生)と大卒の親を持つ学生との分断。
東大の中に、ジェンダーだけじゃない、複合的な分断や差別があること、なんとなくわかってたけど、はっきりと可視化された。
「第一世代の学生は、課外活動や大学外の人脈形成の取り組みに差がある。その結果、就職にも差が出てくる。」
また、衝撃的で落胆、失望したのは、
「すなわち、日本社会の中枢を担う可能性の高い東大卒業生たちの集団が、格差や不平等の是正に積極的でないという問題を抱えていることが示唆されています。」という結果。。。
日本の最エリートが、寛容性のない、ノンブレスオブリージュの精神を持ってないって。。。や、人による。人によるんでしょうけどね。そして、時代性もはらんでいる。が。。。
それぞれの課題に対して、対策も書かれていて、私も何かできないものか、と思った。
・第一世代への支援
・異なるもの同士が関わり深く理解し合う場の提供
できないものか。 -
Posted by ブクログ
従来の「男女平等」は、女性が男性並みに働くことを前提とした制度と期待のもとに進められてきた。本書を通じて、平等の名のもとに男性の価値観が標準化されてきた事実に気づかされた。「女性を男性と同じとみなす」のではなく、「女性と男性を同じとみなす」ことこそが、本質的な平等である。
高度経済成長期型の「男性稼ぎ手モデル」は、人口構造や家族形態の変化の中で制度疲労を起こしている。共働きが一般化した今、長時間労働と企業への無限のコミットメントを前提とする働き方は、現実にそぐわない。
子育て中の女性が「ぶら下がり(=企業への貢献意欲が低い)」と見なされがちな背景には、労働時間や職場での可視性に偏った評価基準がある。だが、家庭というもう一つの組織を支えるケア労働も、社会的価値を持つべきである。
真のジェンダー平等は、女性の男性化ではなく、男性もまたケア責任と時間的制約を担う存在として社会に組み込まれることにある。「女性を男性と同じとみなす」のではなく、「女性と男性を同じとみなす」という視点が求められる。
今後は、部下や同僚に対する評価・期待の前提を見直し、表に見えない労働や役割への理解を深めることを意識したい。また、制度設計や働き方の議論においても、「誰のための合理性か」を問い続け、多様な生き方が排除されない組織運営に関与していく姿勢を持ちたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ教育大国シンガポール
教育に思いっきり突っ込んでいったシンガポール。煽られ、疲弊する、競争社会。日本も同じく、サピックスに入るために塾に行く。これを、あまりにも悲しい、詰め込み教育の行く末と案じても、子供をもつ親なら子供の将来を憂い、準備してあげたい、そのためにベストな方法が今はサピックスなんだからしょうがないというふうに整理されてしまう。シンガポールも、小さな国だからこそ、その生き抜くためのエナジーとしての教育に力を入れてきた。アプリケーショだけで1000ドルもとる教育とは、選別とはなんだろうね、と思う。差別がかなり行きすぎていて、バングラデッシュの人はシンガポール人と何人友達できた?と聞かれて、言葉に詰まる。シンガポールはダイバーシティを意識しているにもかかわらず、区別しているのではないか。
両親が共働きを前提にしているから、子供が家にいるということがありえない。コロナ禍のシンガポール政府の学校は行かせようとしている動き方、受験前の年代を先に戻すというやり方には、独裁的な主導的な国家体系がそうさせている分強い。シンガポールは移民というか外国人労働者で4割を賄う。そのうちの上位は高度人材、日本人もそこに入っているという。しかし、働いている同僚を見て、高度人材なの?と思うことがよくある。
女性が子供の教育の責任をもつ、と答えたアンケートが多数にのぼる。これは、シンガポールがもつ建前と本音のような、自然と流れ来るもののようだ。口コミ、ママ友ネットワークが極めて強く大事なシンガポールでの、生き抜く術のようなものが数値化されているのかもしれない。本来はそうであるべきではない、男性がきちんと教育や社会への子供の関わり方に関心を持ってしっかり入っていくことは大切だ。一方で、マルチタスクを苦手とする集中型の男性がテキパキと多方面に気を配って動くというのもかなりハードルが高いように見える。現実、アドミン的な動きであればできるが、子供が今日何をやっていて、どこでどんなスケジュールで動いていくか、どこの子供と遊んでランチはどうするか、これを男性がうまくやっていけるのかというところも本当にある。これはやるべきとかではなくて、どちらがやった方がより適切に動けるか、というチョイスでもある。それを押し付けては行けないのは自明であり、やってみると言い出すことが大事なのなら男性もそうしようではないか。
シンガポールも数十年前、建国後はホーカーを押す、家族総出で家を守り、子供を育てた。しかし、今の世代は違う。祖母が預かり、母親は働きっぱなし、父親もいない、そんな環境は嫌だという意思を筆者はキャッチしている。メリトクラシーを軸に、経済発展と統治を主軸とした国家運営を行なってきた。水の受給率を上げて、560万人を養う。小さいからこそできるイノベーションもあろう。子供の世代のために親ができること、それを一生懸命考えていくことがそろそろ世代の役割になってきているんだろうか。