ヘミングウェイのレビュー一覧
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1920年代から30年代にかけて活躍したアメリカの作家たちを指す「失われた世代」という言葉の響きが、若い頃の私にはやたらと格好良く思え、それらの中心的存在だったヘミングウェイの小説に俄然夢中になった。当然、代表作の「老人と海」にも目を通したのだが、現在となってはあまり記憶に残っておらず、ほとんどが忘却の彼方へと消し去られてしまった。此度、新たな解釈による訳本が出版されたのを機に、およそ40年ぶりに本作と向き合った
90日近く獲物に恵まれずにいる老漁師と巨大なマカジキ、サメらとの攻防を描いたストーリーには、神話にも似た荘厳さが漂い、その研ぎ澄まされた描写はまさにシンプル・イズ・ベストの極みと表 -
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ヘミングウェイの集大成ともいえる作品。2冊目にこの本を選んだのは順序的におかしいかもなと思ったけど、多分これから著書を読むにあたって理解の補助になるだろうと思い、むしろプラスになるのではないかと思ってみたりする。
やはりヘミングウェイの書く文章は明快で生き生きとしていて、さも自分自身がその世界に入り込んでいるかのように感じられて好きだ。もしかしたらリラでのエヴァン・シップマンのトルストイのくだりにあるように、翻訳者の手腕も一因としてあるのかもしれないが...。
この本を通じてエズラ・パウンドやスコット・フィッツジェラルドなどの著書も読んでみたいなと思ったし、リラにも行ってみたいと思った。私のや -
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「もし幸運にも、若者の頃、パリで暮らす事ができたなら、その後の人生をどこですごそうと、パリはついてくる。パリは移動祝祭日だからだ」
という冒頭のエピグラフで有名なヘミングウェイの遺作。以前から気になる本であったのだが、品切れ状態となっていた。新訳で、文庫で出たので早速、読んでみる。
20年代のパリという伝説的な都市と伝説的な芸術家たち。そして、貧しくも、芸術を志す青年と新婚の夫婦の美しい愛。カフェ、レストラン、リゾートなどなどの風俗の記述。様々な芸術家達の姿の辛口の描写。
もう、絵に描いたような「修業時代の芸術家の貧しいけど、幸せな日々」の話である。そして、その美しい日々は、作家と -
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アーネスト・ヘミングウェイ22歳。新妻ハドリーを伴い、文学修業のためパリに渡ってからの思い出の日々を綴った青春回想エッセイです。ヘミングウェイの死後、発表されたものとのことです。
「もし幸運にも、若者の頃、パリで暮らすことができたなら、その後の人生をどこですごそうとも、パリはついてくる。パリはどこへでもついてくる魂の饗宴=移動祝祭日だからだ。」
1920年代パリ。第一次世界大戦が終わった後のパリは、次世代の新しい芸術を志す者が集まり、様々な才能が競い合う芸術の都であった!パブロ・ピカソ、ジャン・コクトー、ガートルート・スタイン、ジェイムズ・ジョイス、エズラ・パウンド、フォード・マドックス・ -
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ネタバレ誰もが知る語り継がれている作品を教養としても読んでおきたいと思う今日この頃。
やっと読めた。
老人とカジキをはじめとする大きくくくると海との戦い。海は、老人にとって大きな存在であり、敵なのか仲間なのかわからないが思い入れのあるものというのもとても伝わってくる。
タイトルの通りで、とてもシンプルで展開のわからなさはないし、ミステリー好きとしては、その要素との違いにソワソワするところがあるが、なんかワクワクする。釣れるの釣れないのか、どこまで持って帰れるのか帰ってこれないのか、それぐらいの択数のストーリーしかないのだが、退屈しないのが不思議だった。
解説を読んで、なるほどとなるところもまぁまぁ -
Posted by ブクログ
ネタバレ短編ながらも読み応えがある一冊
周りに見向きもされない老人が運がいい日だと言って遠い沖まで漁をする。
巨大なカジキを獲るチャンスを得て数日間、今までの人生を振り返りながらカジキとの戦いを行う。
必死の格闘の末、カジキを得るが、サメの群れにカジキを食われてしまう。
最後、悲しみのあまり泣いてしまった。
順風に行ってるとは思えない老人が、
やっと希望が見えると思えたカジキを獲るチャンスだったが、獲たあとサメに喰われてしまうのがとても悲しい。
違う状況であるだろうがこのような場面を経験する人はいるだろうと思った。
こうゆうときに負けずにサメと格闘しているのがカッコよく見えた。
しかし、老人がカジ -
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聞いたことはあっても読んだことは無かった。
表紙のデザインに惹かれて購入。
題名通り、衰えと知識経験を兼ね備えた運の無い老人が、海の様々な命と向き合う姿。大魚との戦い。海と次の世代に触れ合う物語。
初めて海外の小説を読んでみて、正直最初は困惑気味で内容が上手く入って来なかった。
あれー、あんまりかなーと自分の読書センスの無さと一緒に気分を下げていった。
読み進めていくうちにだんだんと理解した。
他の作品、日本の作家さんのものと違う所は(そもそもあまり読んでいないため知識不足な所はある)自分の外側を強く丁寧に描いているところ。もちろん内面的な心の動きや記憶の描写もあるが、手にとった綱の感触 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大きく4つの段階で物語が展開していく。
最初は老人と少年の会話から始まる。老人は漁師だが、84日間も魚が釣れず、周囲の漁師からは「運に見放された」と嘲られている。そんな中でも少年だけは変わらず老人を慕い、その温かさが物語の基調となっている。
次に、老人が海へ漕ぎ出し、これまでに見たこともないほど巨大なカジキとの闘いが描かれる。この場面は老人の「独り言」を中心に進む。魚や自分自身に語りかけ、少年がここにいてくれたらと弱音を漏らしつつも、自らを奮い立たせる。孤独とどう向き合うかが印象づけられる。
やがて老人はついに魚を仕留める。すでに漁に出てから3日も経ち、老人は極度に疲れ切っている。魚を船