瀧本哲史のレビュー一覧
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インプットだけで終わらせず、アウトプットすることが大切とよく聞くが、具体的な方法が分からず、読書法について書かれた本を探している中で出会った一冊。いきなり骨太な本を選んでしまったと読み始めてすぐに気づいた。
多読により自分で考える力を失っていくとするショウペンハウエルの読書批判に対し、読書を格闘技とすることで自分の考えを作る知的プロセスにしようという。
格闘技というスタイルをより分かりやすくするためか、各トピックに対し2冊の本を取り上げ、対比させる。結論が一緒でもアプローチが異なる本だったり、想定読者層が異なる本だったり、対戦カードもさまざま。ジャンルや年代も広がりがあって、薄い本ではあるものの、著者の読書量を十分窺い知ることができる。
自分の読書がどれほど受動的なものであったか気付かされた。内容が時代遅れだと切り捨てるのではなく、どこが古く、どこが新しいかを考えるための素材として格闘すべきという態度には、骨までしゃぶり尽くす勢いで読書していただろうかと反省。
そもそも目的を持った読書をしてきていなかったので、まずは筆者のようにその本を読んで何を明らかにしたいかを事前に意識することから始め、自分の考えを深めていきたい。
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ネタバレ「書いてあることを鵜呑みにするのではなく、本当か?と疑いながら読んだほうがいい」と、今から25年くらい前に職場の後輩に言われましたが、「読書は格闘技」ということは、つまりそういうことです。
私は著者と対話するように読むので、格闘はしないかな。
「へえ~、そうなんだ」「マジで?」「それはちょっと違うんじゃ?」
そしてこの作品は著者と読者の闘いだけではなく、同テーマで視点の異なる作品を闘わせます。
例えばRound 8のテーマ『未来』。
フランシス・ベーコンの『ニュー・アトランティス』とジョージ・オーウェルの『一九八四年』
ユートピア小説とディストピア小説。
これらの作品に影響されて新たな作品が生まれることもある。
対戦する2冊以外にもテーマに沿った本が紹介されていて、読みたい本が増える一方。
しかし、待て。
私にそれらの本を読む力があるのか?
体力があるのか?
だって『韓非子』とか『君主論』とか、すごく気になるじゃない?
でも、読める気しないのよ…。
しかしいつかはリングに登りたいと思うちょります。 -
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この本は、著者が14歳の若者に向けてメッセージを伝えるように綴った本で、「君たちはまだ、いろんな『なぜ?』に気付ける年代だから、それを純粋に追い求めて未来を切り開け」とエールを送っています。
残念ながら私はとっくの昔に14歳を通り越しましたが、14歳となるべく同じよう気持ちで読みました。
とても勇気をもらえた一冊でした。
① いつも時代にも「未来をつくる人」がいた。サビだらけの古い鉄扉をこじ開け、新しい道の先頭を歩み、時代を少しだけ前に進めてくれた。
② 彼らは、他の人では絶対にできないこと、自分にしかできないことに取り組んで、古い世界を一心させてきた。誰かが舗装した道路を歩むのではなく自分で道を切り開き、未来を切り開いてきた。
③ 勉強はレンガ積みと同じ。
何を積み上げているのかわからないよりも、「レンガを積み上げて、立派な家をつくろう。完成したらみんなで暮らそう」と言われた方がやる気が出る。
④ コペルニクスが1543年に唱えた「地動説」は、1992年にようやくローマ教皇庁とカトリック教会が認めた。
なぜ認めたかと言うと、彼らが説得に応じたのではなく、古い考えの人間がいなくなったから。
⑤ 冒険とは、「自分だけの仮説を証明するたび」である。 -
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ネタバレトランプ氏の元政治顧問ということもあり、どのような考え方を持つ人物か知りたいと思い、読んだ。結論から言うと、著者の個別の考えについては同意できない部分も多いが(というよりも、著者の考えは一場面においては有効かもしれないが、その考えが有効ではない場合も多々あると感じた。)、著者の考え方、ひいては今のいわゆるテクノリバタリアン的な考え方、アメリカ政権の行動の背景にあると思われる考え方については一定の理解が得られたので、有益だった。
簡易な文章と、具体例な事例の紹介により、読み進めることは容易。しかし、元々は講義だったものを書籍化したためか、特定のテーマについて著者の考えが論理的に示されているというよりも、(起業・ビジネスという大きな枠組みは存在するものの)異なるテーマについて、散発的に著者の哲学・考え方が示されるため、全体として著者がこの本で何を言いたいのかという点はわかりづらい(中には、著者の政治的見解と思われるものも含まれる)。ただ、著者の考えが刺さる人にとっては、かなりバイブル的な存在になることは理解できる。
この本で最も著者が強調したい点は、競争を避け、独占可能な分野を発見し、そこで成功をつかめという点だろう。しかし、この考え方自体は、特に新規性があるものではない上、多様な側面を有するビジネスの一側面をとらえたものにすぎないだろう。著者は、競争にまみれた、著者から見ればいわば「劣った」事業として、航空事業やレストラン事業等を挙げるが、そのような事業も社会にとっては必要な事業である。あくまでこの書籍はエリート大学生に向けられた講義をベースにした、これから起業家や投資家を志す者に向けられたものであるから、このような内容になることも理解できなくはないが、やや一方的な見解であるように思えた。
おそらく著者がこのような見解に至ったのは、著者が実際に果たした社会的成功とその方法論によるものだと考えられるが、それだけでないように思われる。本書では、著者が、極めて優秀な米国ロースクールを卒業し、法曹として最高のキャリアを志したにもかかわらず、残念ながらそれには失敗し(とはいえ、それでもなお相当高いレベルのキャリアを築いていたものと思われるが)、今のビジネスの道に進んだことが語られている。つまり、著者の競争への強い嫌悪感は、競争社会での挫折による、おそらくはコンプレックスの感情がベースになっていることが推測される。また、著書では、著者が立ち上げた企業が、その後、同業のイーロンマスクの企業と競争状態になったものの、結局は熾烈な競争を避けあえて合併の道を選び、これが今のペイパルとなったことが語られる。競争の回避という考えは、当時の著者の判断の事後的な正当化ではないかとも考えられる(内情はわからないが)。
他にも、計画を立てることの重要性や、ベンチャー企業への投資における方法論、営業の重要性等が散発的に語られ、様々な文献の引用による著者の主張の補強を試みられるが、多くは、著者のこれまでの人生の正当化ないし著者のビジネスにおけるN=1の成功体験による記述ではないかと感じた。ただ、一部の記述はかなり具体性が高く、おそらく著者の実体験によるものなのだろう、興味深く読める部分も多かった。
重要なのは、彼ないし彼と思想を同じくする者の政治への影響だろう。この本を通じて各テーマに対する著者の考えに通底するものとして、強い目的・計画志向(本では、執筆当時のアメリカの現状を「あいまいな楽観主義」と批判する)、新しいテクノロジーないし思想による事態の打開(彼はこれを「隠れた真実」と呼ぶ)を感じた。すごくSF小説的だ(この本でも頻繁にSF小説が言及される)。今のアメリカ政権が、これまで予想もしなかった新しい試みを次々と打ち出していっているのも頷ける。アメリカのダイナミズムを感じるとともに、おそらくはこの強い目的・計画志向の下、破壊・毀損される従来の価値が今後多く現出するであろうことへの恐れも同時に感じる。彼らは、ここ数年ではなく、数百年・数千年の人類(若しくはアメリカ国民)の行く末を感じているのかもしれない。やはりSF小説だ。 -
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スタートアップの哲学本という理解で読みました。
下記ポイントでまとめました。
1. スタートアップは「独占」を目指すべきである
本に記載している「積極的に世界を変えるスタートアップであるべき」という点は、ティールが説く「0から1(垂直的進歩)」の概念そのものと感じた
「競争は負け犬がすることだ」というティールの過激な言葉にある通り、
世間一般では「競争が成長を促す」とされますが、本書は「競争のない独占市場を築いてこそ、真に世界を変える余裕と利益が生まれる」と説きます。
いかにして競争を回避し、圧倒的な存在になるかという戦略の裏付けがある点に共鳴しました。
2. 7つの成功指標を深掘りする
印象に残った「7つの指標(質問)」が書かれているが、印書に残った部分として
エンジニアリング: 「少し良い」ではなく「10倍優れている」必要がある。多くの感想で「自分のプロダクトは本当に10倍か?」と自問自答するきっかけを与えてくれたと感じます。
隠れた真実: これは本書で最も哲学的な部分です。「他人は賛成しないが、自分だけが知っている真実」は何か? ということは個人的に哲学が好きな部分があったため、すっと頭に入ってきた。
販売(セールス): エンジニアリングを重視する人ほど、この「販売」の重要性にハッとさせられます。「優れた製品を作れば勝手に売れる」という幻想を打ち砕く内容は、営業をやっている人間としてはとても灌漑深かったです。
3. 哲学的な部分があるため、もっと詳細を知りたい」部分の欲求が出てくる
個人的に「もう少し詳細を知りたい」と感じた部分はありましたが
「答え」を教える本ではなく、「どう考えるべきか」という思考の型を提示する本だと感じた。
4. 個人的な共鳴と社会的意義
日頃感じている「エンジニアリング、人材、永続性などの必要性」が本書と一致したというのは、「確定的楽観主義者(未来は計算して作り出せるものだと信じる人)」の視点を持っている部分があると感じました。いざその場所になったときに冷静に本書の要素を入れて整理できるかは怪しい部分であるが、そのタイミングで改めて見返すと本となると思っている
全体としてこの本は単なるビジネス書ではなく、「思考の解像度を上げるための筋トレ」のような本です。「7つの指標」のうち、自分や自分の組織がどこで欠けているのか、あるいはどこで「隠れた真実」を見落としているのか。読後感として、「明日から何を作るか」よりも「明日から世界をどう見るか」が変わる一冊だと感じました。
本書を深堀したい場合の本について
「リー・カシン(Li Ka-shing)やイーロン・マスクの事例」:本書の理論がどう体現されているか。
『リーン・スタートアップ』との比較:ティールは「少しずつ試す」リーン手法に対して批判的な立場を取ることがあり、その対比で読むと「独占」の意味がより明確になります。
「マフィアのネットワーク」:人材の項目に関連して、ペイパル・マフィアがなぜこれほど成功したのかという組織論。 -
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ネタバレ【コモディティ化とは】
市場に出回っている商品が個性を失い、消費者にとってはどの商品でも大差がなくなる状態。個人も他人と交換可能な労働力になれば「個人のコモディティ化」が起きている。
【限界利益とは】
商品が1単位売れるごとに生まれる利益のこと。販売価格から実質的な生産コストを差し引いた、売り手の手元に残る利益を指す。
【コモディティ化を避けるには】
今の仕事を他の誰かに代替されても違いがない状態から抜け出すこと。他の人に替えが効かない唯一無二の存在になることが生き抜く鍵。
【スキルと市場の掛け算】
自分のスキルや知識は、それ自体の価値ではなく「どの市場でどう売るか」で報酬が決まる。売り方と市場の選択が重要。
【女子会のマーケティング戦略】
若い女性の可処分所得を狙い、リクルートが「女子会」という文化を自社メディアL25で仕掛けた。市場創出の成功例。
【本当のマネジメントとは】
優秀な人よりも、優秀ではない人をうまく動かす力が本物のマネジメント。高い給料を払わずともモチベーションを引き出す工夫が必要。
【リーダーシップとは結果で示すこと】
「メンバーのやる気が足りない」という問いへの答えは、「あなたが結果を出していないからだ」。まずはリーダーが結果を出すことが信頼を得る第一歩。
【リスクとサラリーマンの関係】
サラリーマンは他人にリスクを預けて管理されている存在。自分で操縦するセスナ機のように、自ら意思決定とリスク管理を行う生き方が求められる。