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「読書は格闘技」という考え方に立つと、「良書」の定義も変わってくる。普通、良書というと、書いてあることが正しいものであり、正しい考え方であると思われる。しかしながら、書いてあることに賛成できなくても、それが批判するに値するほど、一つの立場として主張、根拠が伴っていれば、それは良書と言える。私は筋金入りの資本主義者であるが、そうした立場からしてもマルクスは読むに値する「良書」と言えるのだ──心をつかむ、組織論、グローバリゼーション、時間管理術、どこに住むか、才能、マーケティング、未来、正義、国語教育の文学等々、今を生き抜くために知っておくべきテーマについて、立場の異なる「良書」を能動的に読み、自らの考えを新たに形成していく。格闘技としての読書体験を通じた、実践的な力が身に付く読書術とは何か。各テーマにおける必読の推奨ブックリストも収録。
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Posted by ブクログ
ショウペンハウエルの『読書について』と主張は似ているのだろうかと思いながら読んで、ある意味では重なっていて、異なる点を上げれば「考えながらたくさん読め。そしてさらに考えろ」ということだろうか。
本を読んで考えるのは難しい。読書したらその内容を頭の中にインストールしてしまうからだ。その時点で、「その内容は妥当か?」と批判的に立ち返るには独力では難しい。本について語り合う誰かが必要とされる所以だろう。
しかし瀧本氏は良き方法を提示してくれる。それは、対立している主張内容の本をそれぞれ読む、という方法である。当り前に聞こえるが、中々実行しようと思わない方法だけに、そうだよなぁ、としみじみ感じる。
これはリテラシーに繋がる意識にも思われる。鵜呑みにしない、批判的に見るというのはただ単に読んだり見たりしているだけでは身につかない。リテラシーの意識は、リテラシーを引き出す方法からもたらされるのではないだろうか。
Posted by ブクログ
読書とは単に知識を仕入れることだけではなく、自分なりに解釈して常に批判的な視点を持ち続けること。瀧本さんはそのような読書との向き合い方を「読書は格闘技」と表現した。
読書への姿勢とは別に驚いた点が2点。一つに瀧本さんの読書量が半端ない。学者としての側面もあるから当然と言えば当然なのかもしれないが、学術書だけでなく、小説、ビジネス書などいろんなカテゴリをカバーしている。
もう一つは、読書のアウトプット。1冊の本から得られるものを無駄なく吸収して自分のものにしている。だからこそ的確な批判的思考ができるんだろう。
quote:
必ずしも読書で得た経験が明日からすぐに役立つ必要はないとも私は考えている。といのも、読書が「世界という書物を直接読破」する旅で、最も役立つ瞬間というのは、何らか課題にぶつかったときに、「そういえば、大分昔に読んだ本にこんなことが書いてあったな」という、偶然に、一見無関係なことが頭の中で繋がったときだったりするからだ。
Posted by ブクログ
滝本先生の本は何個か読んだことある気がしてるが、この本も面白かった。特に響いたのはRound6の才能と環境の話と、Round11の良書は旧友って話。
読書は格闘技って聞いて、批判的にバチバチになって本を読めってことなんでしょう?って思うかもしれない。し、実際そうせよって言ってるようなもんやけど、ただタイトルを見た時の予想や今まで聞いたことがある読書論と違っていたのは、好意的に解釈はしてあげようぜっていうのは良かった。そうじゃないとただの揚げ足取りやでって話。「まあそらそうやろうなあ」と思いはしたけど批判的に読もうとするとそうなることが多いと思う。
別にこれはこの本の本質じゃないからネタバレにならないよね。滝本先生はちょいちょい現れる主張から芯がありそうな人ってのが伝わってくる。
おれは自分の中に曲げられないことはあんまり無いな。この人が生きてる間に大学にいたのにもったいないなと思う。同級生は滝本先生の講義を受けたことあるらしい。誘ってよ〜。
Posted by ブクログ
読書についてのあれこれ。超のつく読書家である瀧本さんの読書術は、タイトル通り格闘技だという。ショウペンハウエルの「読書とは、他人にものを考えてもらうことであり、読書家は自分で考えないバカものである」的な考え方を理解しつつ、物申す一冊。その本が書かれた時代や社会背景、著者の置かれた立場を理解し、書いてあることを疑い、批評すること、これを格闘技に例えている。これはよく理解できる。流行りの小説ならば楽しく読めば良いのだが、ノウハウ本や啓発本などはちょっと待てよと警戒しながら読むのがちょうど良い。しかし、こうやって慎重に読むことが新たな解釈を生み出し、読書の満足度を向上させるのは間違いないだろう。例えば、野球漫画の名作「タッチ」は単なるスポーツラブコメではなく、主人公の成長の物語、特に、兄弟の死をきっかけに持って生まれた才能を開花させていく英雄の物語であると。こんなめんどくさいことしなくても十分タッチは楽しめるが、こういう視点で読み解くとヒットの秘密がわかったりするのかもしれない。
Posted by ブクログ
雑多な世界に立ち向かうために、インプットも雑多に!
「読書」そのものに関する本は、タイトルで興味が湧きさえすればまず買うようにしています。そんな私なのでこのタイトルにはしてやられたといったところで、「読書」と「格闘技」という一見ミスマッチな組み合わせに一目惚れ。イノベーションを感じずにはいられないタイトルでした。読書そのものにあらたな価値を見出せるかもという期待を抱かせるいいタイトルだと思います。
次にどんな人が書いてるかカバー袖の略歴を眺めてみる。1972年生まれ、東大卒の投資家で経営コンサルタント、そしてびっくりしたのが略歴のしめに2019年に逝去とあったことです。この文庫版は2021年の初版。すでに亡くなった人の著作を読むことは、過去の記録という本の性質上なんら珍しくないわけですが、なぜか今回は著者が亡くなっている可能性なんて1ミリも頭をよぎらなかったので驚きました。しかも数年前に47歳の若さで逝去されている。
まずは前書きで、『紹介される本↔この本の著者である瀧本さん↔この本を読んでいる読者』の関係について述べられます。「組織論」「時間管理術」「正義」など、その時々のテーマについて別々のアプローチで書かれた2冊の本を著者が選んで対決させるのですが、著者は本同士の対決をさばくレフェリーでありつつ、書評でもってそのバトルに参加するという三すくみの構図になると言うのです。
そして読者にこう告げます。「読者は観客で終わることを許されない」。この煽りで読者の気分をエキサイティングに盛り上げてくれます。読者は本だけでなく、著者の考えや視点にも睨みをきかせて戦いの輪に加わり、一対一対一対一のバトルロイヤルになるというわけです。書籍が持つメッセージを「著者が繰り出す攻撃」と著者が表したのには思わずニンマリしてしまいました。
ただ本編を読み進めてみるとこれが格闘というほどでもなく、2冊を丁寧に比較しつつどちらも評価しています。単にブックレビューなんだけれどこれがすいすい読める上質な書評で、これはこれでアリでした。理路整然とした文章だけど、理屈に埋没して読みにくいなんてこともなく、軽やかで独特な魅力を感じられる文体です。
投資家、経営コンサルタントといった著者の職業柄か、この本の中で取り上げるものはやはりビジネス書が多いですが、ジョージ・オーウェル『1984』などの小説、国語の教科書に載っていた『山月記』、『ハリー・ポッター』『しろいうさぎとくろいうさぎ』などの児童文学、はたまた超名作コミック・あだち充『タッチ』と守備範囲はかなり広いです。ビジネス書ばかりだと飽きそうだという懸念があったので、このラインナップには配慮を感じました。フタを開けてみればビジネス書のレビューについてもとても興味深く読めましたので、要らぬ心配だったんですが。
いろんな種類の本を読むことが内面的に豊かになれる方法だと思います。森は多様です。一種類の植物しか生えていない、一種類の動物しか存在しない森なんてありません。読書によって思考の枝葉をひろげ、ツタを這わせ、時には枯らしながら、土を何層も何層も重ね、自分の頭の中の森を雑多に、豊かにするべき。ビジネスを通じて自分を成長させたい、世の中の新しい価値観を学びたい、できれば無駄なく知識を得たいという気持ちが強いあまり、そういった実用書ばかりを読んでしまうのはもったいないことだと私は思います。一見なにも実用的でない小説などが、漢方薬のように後々じんわりと効いてくることもあると私は思っています。逆もまたしかり、小説ばかりでも豊かにはならないでしょう。
著者が前書きで引用した言葉でもある ”世界という書物を読破” するには、森以上に雑多である世界に立ち向かう準備が必要なのですから、これからも雑多に本を乱読(というほどでもないですが)していこうかなと思います。
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