瀧本哲史のレビュー一覧
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ネタバレ2019年に逝去された瀧本氏の読書論。
そのエッセンスを一言で述べるならば、「批判的に、そして、背景を理解して読書せよ」ということでしょうか。
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批判的にという観点では、テーマがあるとして、一つの見方を提示する書籍のほかに、正反対の意見・相反する意見の書籍も読んでみることを勧めています。そしてそれらについてあら捜しというか、論理のほつれ等に留意しながら読むように仰っています。
一例としましては、『読書とは他人に考えてもらうことだ』と主張するショーペンハウエルの「読書について」、バーサス、『能動的に読み、著者と対峙して、それまでの自分のものの見方と比較することで、考え方を進化させろ』と説く本書「読書は格闘技」。
まあ後者に軍配が上がってしまうのはやや手前味噌的な展開ですが、反対意見に耳を傾けることが苦手な私としては耳が痛い話でした。読書というのは単独作業で自己完結的ですので、このような反論読書ができればより幅広いものの見方ができるよなあと感じました。
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背景を理解して、という点については、換言すれば、本の成立背景や歴史的背景までをも読み込んで読書せよ、ということと理解しました。
この点ではマキャベリの君主論の例が取り上げられています。曰く当作品は「マキャベリによる再就活エントリーシート」とのこと。クーデターにあい、上司に逃げられ、冤罪で収監され、晩年も失意のうちに亡くなったマキャベリ。そのような境遇の彼が再就職を狙い、過去の経験からルサンチマンと性悪論に依拠して「君主論」を書いたとするのならば、力強い独裁的君主の待望という極論として以上に「君主論」もよく理解できるだろう、というのです。
こういう話を聞くと、今更ながらに世界史の勉強は非常に大事だなあと感じてしまいます。定期的に歴史に目を通しておかないとこのような話題にリアクションが取れませんね。
もちろんそんな歴史の勉強なぞ気軽にできるものでもありませんが、それでも一冊の読書にとどまらず、ググって歴史背景確認する等の検証を行うなどすれば、より深い理解と読書体験が得られるのだろうと思いました。
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このような調子で、瀧本氏の視点で古典から児童作品までをも深読み・深堀りしつつ紹介し、読書指南を行う作品でした。
テーマを改めて列記すると、読書、人心掌握、組織について、グローバリゼーション、時間管理、どこに住むか、才能、マーケティング、未来、正義、教養、国語教育、児童文学が語られます。テーマに沿って対照的な2作品を瀧本視点で読み込み、加えて参考文献がさらに各章6冊挙げられます。
読書好きの人はこの本を読んだら「私も本を読みたい」となること請け合いです。ただ、ここまで批判的な読書ができるようになるまでには相当な訓練・時間・読書量が必要かと思います。要は相当真剣に取り組まないとたどり着けない境地にも見えます。
それでもなお、やはり本書は読書のすばらしさを伝える良書だと思います。最近読書してないなあ、何か本が読みたいなあ、という方は是非読んでみてほしいと思います。新たな読書の地平が開けるのではないでしょうか。 -
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多様性を意識したチーム作りの大切さがわかった一冊。
本書では投資家やコンサルとして様々な企業を見てきた著者が考える理想の組織のあり方について、7人の侍など幅広い例をあげて詳しく記述されており、気づきが多くメモ必須です。
以下、印象的だった点
●多様性のあるチームが強い
著者の経験が語られます。この人は未知数という人や未経験の人が大きな成果をあげた例があげられます。逆に鳴り物入りで即戦力として入社した人が全然期待はずれだったという例も語られています。わたしの職場は多様性を意識した組織だろうか、その中での自分の役割は?と考えさせられました。
●ビジョンをもって仲間集めしているか?
大きすぎるビジョンをもち、それに賛同する仲間を集め行動できているか?会社員だからそんなのできないよと言っていてはもったいない!いつでも仲間集めはできるそうですよ。特に会社外の趣味のグループなど志は同じグループなどはいざというときに意外な力を発揮してくれるそう。古文書研究会のつてからバスを調達できた話はとても興味深かったです。
●母親のみの役割しかないのは危険
自分を評価する指標が「子供のパフォーマンス」になってしまうからです。これが意味するのは・・。ある目的をもった集団に複数所属することで「快適な」生活が実現できると主張されています。わたしはそれを「自分らしい」人生の過ごし方のヒントではないかと感じました。
なお、著者の総論は「2020年6月30日に~」を読めばさくっとわかります。こちらもとても気づきの多い一冊です。 -
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ショウペンハウエルの『読書について』と主張は似ているのだろうかと思いながら読んで、ある意味では重なっていて、異なる点を上げれば「考えながらたくさん読め。そしてさらに考えろ」ということだろうか。
本を読んで考えるのは難しい。読書したらその内容を頭の中にインストールしてしまうからだ。その時点で、「その内容は妥当か?」と批判的に立ち返るには独力では難しい。本について語り合う誰かが必要とされる所以だろう。
しかし瀧本氏は良き方法を提示してくれる。それは、対立している主張内容の本をそれぞれ読む、という方法である。当り前に聞こえるが、中々実行しようと思わない方法だけに、そうだよなぁ、としみじみ感じる。
これはリテラシーに繋がる意識にも思われる。鵜呑みにしない、批判的に見るというのはただ単に読んだり見たりしているだけでは身につかない。リテラシーの意識は、リテラシーを引き出す方法からもたらされるのではないだろうか。 -
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読書とは単に知識を仕入れることだけではなく、自分なりに解釈して常に批判的な視点を持ち続けること。瀧本さんはそのような読書との向き合い方を「読書は格闘技」と表現した。
読書への姿勢とは別に驚いた点が2点。一つに瀧本さんの読書量が半端ない。学者としての側面もあるから当然と言えば当然なのかもしれないが、学術書だけでなく、小説、ビジネス書などいろんなカテゴリをカバーしている。
もう一つは、読書のアウトプット。1冊の本から得られるものを無駄なく吸収して自分のものにしている。だからこそ的確な批判的思考ができるんだろう。
quote:
必ずしも読書で得た経験が明日からすぐに役立つ必要はないとも私は考えている。といのも、読書が「世界という書物を直接読破」する旅で、最も役立つ瞬間というのは、何らか課題にぶつかったときに、「そういえば、大分昔に読んだ本にこんなことが書いてあったな」という、偶然に、一見無関係なことが頭の中で繋がったときだったりするからだ。 -
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ネタバレ
【1. 競争と独占】
・ティールのある種の逆張り的な主張は、究極のクリティカルシンキングだと思った。
・変化する時代を前提にすれば、独占は必ずしも悪ではない。
(IBM → Microsoft → Appleの流れ)
独占はイノベーションの源泉になりうる。
・モバイル決済端末の話の中で、
「競争は、存在しないケースがあるかのように妄想させる」。
・競争は価値の証しではなく、破壊的な力。
【2. 長期的な企業価値と市場戦略】
・短期=成長/長期=存続
- 短期:キャッシュフローが近い未来のみ
- 長期:十数年先のCFが企業価値になっている
⇒ ★存続には投資が必要で、言うだけなら誰でもできる。
・Appleはブランド、広告、デザインなどに目が行きがちだが、
それらの下には確かなプロプライエタリ・テクノロジーがある。
・少数の特定ユーザーがいながら、
ライバルがほとんど、あるいはまったくいない市場を狙う。
・まず小さなニッチを支配し、
そこから徐々に長期的な規模の拡大を図る方がよい。
【3. 未来観と投資の考え方】
・ティールは未来観を
「あいまい/明確」×「楽観/悲観」
の四象限で分類している。
→★2026年現在、「明確な未来」など存在するのか?
・すべての人は投資家。
自分の時間・キャリアを何に投じるかも、
投資として考えられる。
→★仕事を選ぶとしたら、
それが数十年後に大きな価値を生むか?
・「べき乗則」≒「エッセンシャル思考」に似ている
- 成果・価値は均等には生まれない。
- ごく少数のものが、大半の価値を生み出す。
【4. 社会トレンド】
・2014年時点でティールが指摘する4つの社会トレンド
① 漸進主義
② リスク回避
③ 現状への満足
④ フラット化
【5. 成功する事業の7つの質問(テスラの事例)】
① 技術:ライバルが採用するテクノロジー
② タイミング:2008年におよそ5億ドルの融資を取りつけた
③ 独占:ハイエンドの電気スポーツカー市場
④ 販売:自社の販売網を当初から構築
⑤ 人材:軍隊で言えば特殊部隊
⑥ 永続性
⑦ 隠れた真実:クリーンテクノロジーは
必要なものではなく、社会現象だ。
【6. 社会的価値と事業の独自性】
・「社会のため」×「利益」は、
たいしてうまくいかない。
・本当に社会のためになるのは、
「これまでと違う」もの。
似たりよったりや、模倣ではない。
→★ニッチを独占した後に、
より大きい市場を取るためには何が必要か? -
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ネタバレ13歳の姪が学校の読書の時間に読んだらしい。「おもしろいよ」と言ったので、どんなものを読んでいるのだろうと興味を持ち読んでみた。
〝なぜ勉強をするのか?〟中学生はそう思う年頃。
遠い昔にその時期を過ごした私は、姪を見て、テストに向けての勉強は大変だなぁと思ったりする。
しかし、この本をおもしろいと言った姪は、少し未来に目を向けて将来に希望をもっているのかもしれないと思った。
私も、将来はこんな仕事がしたい、と先の目標をもって頑張っていたなぁと懐かしく思い出した。
この本は若い子に希望や意欲を与える本なのかもしれない。
「課題発見」「魔法」そう思えたら楽しいかも。
世界の偉人の知られざるエピソードも〝そうだったんだ〟と知ることができて興味深かった。
一方で、今、私がこの本を読むと、未来を変えるためにそんなに頑張らないといけないのかなとも感じる。
これは大人になりすぎたからなのかもしれない。
いろいろと思うことはあるけれど、「知は力なり」や「人間を惑わす四つの思い込み」について書かれている内容には納得できた。
だから、何かを始めたばかりの人や、これから将来を考える人、特にこれからいろいろ経験していく若い人たちがこの本を読んでおくことには、大きな意味があると思えた。
姪もこの本から、未来について何かを感じ取ったのかもしれない。
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滝本先生の本は何個か読んだことある気がしてるが、この本も面白かった。特に響いたのはRound6の才能と環境の話と、Round11の良書は旧友って話。
読書は格闘技って聞いて、批判的にバチバチになって本を読めってことなんでしょう?って思うかもしれない。し、実際そうせよって言ってるようなもんやけど、ただタイトルを見た時の予想や今まで聞いたことがある読書論と違っていたのは、好意的に解釈はしてあげようぜっていうのは良かった。そうじゃないとただの揚げ足取りやでって話。「まあそらそうやろうなあ」と思いはしたけど批判的に読もうとするとそうなることが多いと思う。
別にこれはこの本の本質じゃないからネタバレにならないよね。滝本先生はちょいちょい現れる主張から芯がありそうな人ってのが伝わってくる。
おれは自分の中に曲げられないことはあんまり無いな。この人が生きてる間に大学にいたのにもったいないなと思う。同級生は滝本先生の講義を受けたことあるらしい。誘ってよ〜。 -
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ネタバレ相当前に購入した積読のひとつ。
もう初版から10年が経ってしまった。
14歳へ向けた内容となってはいるが、
「かつて14歳だった」すべての人に向けて語られるものであり、いつ読んでもいい。
過去の偉人たちの足跡を追いながら、
未来を切り拓いてきた史実を元に
これからを歩んでいくヒントを拾い上げていこうという感じの本。
今のこどもたちにどれくらい響くのか、ということを考えながら読んでいたが、今のこどもたちは割とクールだ。この内容がそのまま著者の意図する熱量で伝わるかと言ったら、おそらく無理だろうと思う。
前例のないことや、偉人たちの打ち立てた栄光などは、
遠すぎて、当事者生も薄く、他人事に感じてしまうような気はする。そこまでの志を持って生きることを真剣に考えているこどもたちは、そうそういないだろう(特に14歳なんて何も考えてないことの方が多い)
私には刺激的で熱量は感じたが、
こどもたちに向けては「うーん」と言わざるを得ないかな。
一番爽快だったのは、
古い世代の人たちに世界を変える力はない。変えられるのは新人だけだ
と説いていて、そのターニングポイントを「世代交代」と書いていたところだ。気持ちよかった。
要は、年配の先人が牛耳っている常識や慣習などが変わるのは、その人たちが死なないと終わらないってこと。
年配者(老害)は聞く耳を持たず、その姿勢は、死ななきゃ治らんってことだ。この結論は肚に落ちたなぁ……
じゃあ、高齢者を延命させて高齢化している日本は、
そりゃ衰退の一途を辿るわな。ジジババは生に固執してないで早く死ね。 -
Posted by ブクログ
読書についてのあれこれ。超のつく読書家である瀧本さんの読書術は、タイトル通り格闘技だという。ショウペンハウエルの「読書とは、他人にものを考えてもらうことであり、読書家は自分で考えないバカものである」的な考え方を理解しつつ、物申す一冊。その本が書かれた時代や社会背景、著者の置かれた立場を理解し、書いてあることを疑い、批評すること、これを格闘技に例えている。これはよく理解できる。流行りの小説ならば楽しく読めば良いのだが、ノウハウ本や啓発本などはちょっと待てよと警戒しながら読むのがちょうど良い。しかし、こうやって慎重に読むことが新たな解釈を生み出し、読書の満足度を向上させるのは間違いないだろう。例えば、野球漫画の名作「タッチ」は単なるスポーツラブコメではなく、主人公の成長の物語、特に、兄弟の死をきっかけに持って生まれた才能を開花させていく英雄の物語であると。こんなめんどくさいことしなくても十分タッチは楽しめるが、こういう視点で読み解くとヒットの秘密がわかったりするのかもしれない。