ダグラス・アダムスのレビュー一覧
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面白かったな〜!
まずあらすじが良い。宇宙でヒッチハイクしながら旅するなんてワクワクする。ただ、ヒッチハイクする場面は最初だけで、ヒッチハイクしながら次々と…といった感じではなかった。
でもシュールでブラックで途方もなくバカバカしい、との触れ込みより全然良いちゃんとしたSF冒険譚な気がした。
銀河バイパスを通すために突然知らない宇宙人から地球を消滅させられるなんて何か現実世界でもいずれありそうな予感がしちゃう。地球で起こることは宇宙規模でも同じようなこと起きちゃうんじゃない?みたいな。
フォード君めっちゃいいヤツ。アーサーも地球人代表としてなんか愛おしい。キャラクターがとても良い。
言い回しも好きだなぁ、私も「ここをどいて欲しいなら条件があって、私の代わりに通せんぼしておいて欲しい」みたいなこと言って混乱させてみたい。
過去にあった哲学者2人の掛け合いもコントみたいで好き。 -
Posted by ブクログ
なんとなく面白そうで選んだが、探していたのはこれだ!と確信した。複数の視点の切り替えにより物語を構成する手法はありふれていると思うが、こんなに上手いのは他に思い付かない。寸断された各エピソードの再接続も見事だ。全体は一本の映画的で、最初の方は『マグノリア』という映画を思い出した。とにかく洗練された毒のある軽妙な文章そのものが面白いので、何が描かれていてもずっと面白い。完璧、文句なし。2026本屋行かない人大賞。
翻訳も古さを感じずつい最近の発表かと思うほど自然で良かった。
ナンセンスでふざけていても下品ではなく、一見不可解なタイトルの通り、どことなくジェントルな雰囲気が漂っている。別にコメディーに傾倒しているわけでもなく、鍵はPKD的な奇怪なSFエッセンスであり、更にミステリーやオカルトの不穏さもある。それらのコンセプトが狙い通りに紡がれていく完成度の高いプロットが素晴らしい。これならば忙しくて本が読めない人も大丈夫だろう。
捻くれて辛辣なユーモアセンスはいかにもイギリスっぽい。正面から世の中を見ていない感じというか。そういう感覚に接したい需要に日本の作品はあまり答えてくれない。無理矢理例えるなら全盛期の藤子・F・不二夫と水木しげると糸井重里を足した感じ。突如なにかが間違って笑いに目覚めた森博嗣っぽくもある。自由意志を信じ運命論的なものを否定しているところが両者に共通している。
むしろ最近の(昔から?)日本の小説はシャツを裏返しに着て、「この精巧な縫い目のほつれには真実性が宿っている」みたいなことばかりやっているが、それにぐったりしてしまう者からすると、「寝ぼけてシャツ裏返しに着てる阿呆がいるぞ」と言ってしまうこのような作品は、ある種の清涼剤になり得てしまう。
作品の感想から外れるが、例えば「お年寄りを大切にしましょう」とか「この老人の不幸に着目せよ」というのは一種の信仰だが、「ボケた老人がいる」というのはただの説明である。日本の作品にはこの説明が不足、または過剰のように思う。その一因には“信仰が足りない者=性格が悪い”としてしまう国民性が影響しているのではないかと考える。つまり信仰を否定すると売れないのだ。そしてこのような文化の差が最終的に創作物の違いになる。
感心したのは、“この世に存在しない音楽”の描写だ。並の作家なら色や自然現象で例えたりするだろうが、それでは曖昧な感覚だけ残り納得感があまり無い。言ってしまえばそれは、どんなに美しい比喩を重ねていたとしても、はっきり想像できない時点でつまらない文章なのだ。感受性や教養の高い人は作者の美学に共鳴出来て感銘を受けるかもしれないが。
しかしこの作品の場合、その音楽がどのように鳴っているかの具体的な説明を丁寧に重ねていて、詳細ではないがなるほどと想像できる。その想像できることが説得力になる。表現力とはこういうことではないだろうか。
冒頭、馬のところは完全に同意。馬の気分まで語るセンスや電動修道士のアイデアも天才的だ。主要キャラも存在感を確立しており、シリーズでもっと読みたかった。早逝が惜しまれる希有な才能の傑作。 -
Posted by ブクログ
前作より素晴らしかった。SF小説や幻想小説は、この鮮烈なビジョン、アイディアさえ文章にできればもうそれで絶対に勝てる、という大ネタさえあれば最高なのですが、本作の宇宙と時間の果てで宇宙終焉を繰り返す奇妙な料理店、というアイディアはまさにその極みだったと思います。
またユーモアの質も相変わらずナンセンスな緩さを維持しながら「支配をしたがる人は支配に向いていない」というような、一般人でも意味がスッと通りやすい皮肉も多いこともより入りやすさが増していました。
元がラジオドラマなこともあり破局的なイベントを連打して読者を休ませない密度で景気よく命や星々が壊れていくのもテンションが高くて素晴らしいですね。 -
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高校生の時ヴィレッジヴァンガードで購入してから十数年、読み進められなくて断念していたのに3日で読み切った。
読めなかった理由もはっきりわかる。
意味のない言葉が多すぎる。
そして意味がないことが素晴らしいと今の自分だからこそよくわかる。
誰よりも芸術の力を信じている宇宙物理学者と、皮肉屋でバカバカしいことしかしない小学生がお互いの言い分を通そうとする漫才のような、奇跡のバランス。
何か困難が生じた時、人は「何か理由があるのではないか」と自問する。
原因を自分や社会に求める。
でもそもそも宇宙全体が大いなる意味のない偶然に支配されているのだから、その偶然の意味なさをつぶさに観察してみよう。
そして意味のない偶然に意味のない悪態をついて偶然生き延びたやつらの珍道中について行ってみよう。
なんて皮肉っぽくも真摯な人間讃歌。
「自分の生活は無意味だ」と考えている人にオススメ。本当に無意味です。 -
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サンリオSF文庫のような表紙に心惹かれて手に取ってみたが、果たして本書はSFであった。しかも世界中探しても同類の作品は見当たらないであろう珍品だった。
大森望が「バカSFの歴史に燦然と光り輝く超弩級の大傑作」と評価した本作だが、紛れもなくバカSFである。ただ、薬漬けかそもそも底抜けのアホな奴が吹っ切れて自由奔放に書いたような荒唐無稽さはなく、『空飛ぶモンティパイソン』のような知的なアホさが随所に散りばめられていて、読み進めていくごとに深みが増してくるのである。気づけばこう呟いているだろう、「これを書いた男は只者じゃないな...」と。
パイパス建設のために主人公の家が潰されたと思ったら、更に大きな勢力によって地球ごとバイパス建設によって消されるというシンプルなギャグから始まり、「事実上」不可能ということは限りがあるのだ、と如何に不可能かを確率に当てはめることで実質起こりうることにしてしまうというトンデモジレンマを利用してトンデモ装置を作り出すなんて数学的なシュールギャグまで披露してみせる。愚鈍で人生に楽しみも見出さずただ言われたことだけを行ったり怒鳴ったりすることを快感とする種族を出して現実の官僚を最大限皮肉って見せたりするのはお手のもので、本当にあげればきりがない程に珠玉のギャグが巧妙に配置されているのだ。
中でも面白いなと思ったのが、無限分の1ほどの確率で宇宙空間に飛ばされてきた鯨についてのギャグだ。クジラは海の中から宇宙空間に放り出されたことでそれまでの生き方を変えなければならなくなり、アイデンティティを喪失する。自己の存在のあり方を失った彼は自分を再定義するために、自らの体に改めて名前をつけ始めるのだ。けれどもそこは宇宙空間で、程なくして鯨は爆烈して死ぬことになる。この間たった10秒ほどだ。自己の喪失と再定義という哲学的な題材をユーモラスに消化し、ほんっとくだらねえなと思わせるレベルまで落としていながらエスプリを効かせることは忘れない。こんな高等テクニックをやってのけるとは恐れ入る。惚れ惚れするような文章力である。
「生物はなぜ生まれ、死んでいくのか」といった究極の疑問を解決するために、超高性能コンピューターを作って計算させようとしたら、「俺たちの仕事がなくなるだろ!」と哲学者が猛抗議してくるといった微笑ましいネタも仕込まれていたりと、本当にページをめくるたびに笑ってしまう。本当にここでは紹介しきれないし、結末に至る展開は直接目で追わないと最大限楽しめないと思う。是非手に取って読んでみてほしい。 -
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ネタバレ最近まで未読で知っていたのは「答は42」という事ぐらいだったのだが、どっかのAIが「答は42」という回答を出してこの本が売れているというニュースを聞いてちゃんと読んでみようという気になった。
ちょうど家の近所でなんだか分からない工事をやっていて、しかもその業者の誠意を欠く対応に激怒していたから冒頭で家をぶっ壊される主人公にいたく同情した。
まぁ作中では家どころか地球そのものまでぶっ壊されるのだが、そんなとんでもない事態でさえ作中においては微震に過ぎない。
ところで「答は42」の件だが、答え云々よりも質問の仕方がそもそも悪いと思う。
生命の、宇宙の、その他あらゆる事象に対する究極的回答…だったかな?
ハッキリとは覚えていないのだがそんな漠然として抽象的でどうとでも答えられそうな質問に対して「42」という深いんだか浅いんだか考えれば考えるほど分からない答を用意した作者のセンスも流石だと思う。 -
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「銀河ヒッチハイクガイド」のダグラスアダムスによる、絶滅危惧種を訪ねる本。
ダグラスアダムスなので、期待して読んだ。そして期待通りだった。さすがダグラスアダムス、ユーモアが素晴らしすぎる。生息地に行くまでのドタバタとか、熱心すぎる研究者の先生たちとのやりとりとか。何度読んでいてクスッとしたことか。このユーモアのおかげで、「絶滅危惧種を守ろう」というメッセージがお説教くさくならずに、人々の心にスッと響く。
でもこの本を読んでて強く感じたのは、「人間って愚かだ」ということ。自慢したい、暇つぶししたい、邪魔だ…そんな理由で動物を絶滅に追いやってきたんだな。野生のコーヒーノキっていう植物は、絶滅しそうだから柵で覆ってたのに、「ちょっとぐらいいいだろう」っていう人々に少しずつ取られていって絶滅しそうなんだという。なんだそれって思うけど、自分も絶対やらないとちゃんと自制しなきゃいけないと思う。自分のやってるちょっとしたことが他の種を絶滅させるかもしれない。この本に出てくる動物の最新情報もしっかり載ってて、切なくなったり安心したり。絶滅危惧種を心の片隅に置いて生きていきたい。 -
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ネタバレ「銀河ヒッチハイクガイド」シリーズ二作目
英国ジョークてんこ盛り
■シリーズの並びはこうらしい
正篇
『銀河ヒッチハイク・ガイド』
『宇宙の果てのレストラン』【これです】
『宇宙クリケット大戦争』
続篇
『さようなら、いままで魚をありがとう』
『ほとんど無害』
●名台詞
“はじめに宇宙が創造された。これには多くの人がたいへん立腹したし、よけいなことをしてくれたというのがおおかたの意見だった。
“説明しよう。宇宙のありとあらゆる物質は、宇宙のありとあらゆる物質から何らかの影響を受けている
“トリン・トラギュラ(というのがその男の名前だった)は夢想家だった。思索家にして思弁哲学者だった。あるいは、妻に言わせればただの馬鹿だった。
“若い構造言語学者がこれをテーマに研究しようとすると、老いた構造言語学者は怒り狂う。若い構造言語学者は大いに発奮し、とてつもなく重要な発見も間近だと信じて夜も寝ないで研究し、結局なにもわからないまま老いた構造言語学者になって、若い構造言語学者に怒り狂うようになる。
“人生の意味を知りたいと思う人々にとって、『銀河ヒッチハイク・ガイド』はなくてはならない伴侶である。どんな問題についても役に立つとか、ためになるとは言わないが、少なくともこう請け合って安心させてはくれる。ー不正確な部分があっても、少なくともそのせいで改訂版が出ることはないと。重大な食い違いがある場合、まちがっているのは常に現実のほうなのだ。