3.6
家族とは・・
とひたすら問いかける短編集
◯ホタルの熱
商売の失敗から追い詰められた夫が蒸発し生きて行くことに疲れた女。
死への旅立ちに幼い息子を伴い訪れた温泉地で、発熱する我が子に狼狽え、回復を祈る。
そこで巡り合った民宿の女将は・・
◯乾いた声でも
クモ膜下出血で急逝した夫の供養に訪れた上司・武井とのやり取りがキッカケで、すれ違っていった自分達夫婦の姿を振り返ることに。
絶対的な味方を、
たったひとり持てたなら、世の中全部を敵に回しても闘えます!
◯星空への寄り道
友人と始めたウェブ製作会社が破綻し、後始末を済ませた男が乗り込んだタクシーの運転手は、慇懃すぎる初老の男だった。話好きの運転手の語る過去とは・・
◯カレーの匂い
バリバリのキャリアウーマンで、独身女性の生き方をテーマにした雑誌の副編集長・舞子。友人との食事を終え不倫相手との逢瀬に向かう途中雨宿りに寄ったショップでバッタリ会ったのは・・
勝ち続ける女の末路は?・・
◯柿の代わり
女子高の教師である吉村は、ある日、元教え子で12歳年下の妻・文香に離婚を切り出される。
そんな中、やはり元教え子の健司に呼び出され酒を飲むが、文香との不倫を告白される。
◯お母ちゃんの口紅
長きにわたり無沙汰をしている実家の妹から、母親の精密検査の結果を聞きに行く様強くせがまれ貴志は妻・靖子と共に帰郷する。
田舎育ちで野暮ったい母を疎ましく思っていた貴志だったが、母のガンの告知を受け、戻った病室の外で漏れ聴く幼き日の思い出、そして真実。
妻・靖子の優しさが暖かい
◯今で言うカスハラによって職を失った正洋は、妻・理香子の勧めでイラストレーターを目指す。連れ子のエリカを心から愛し可愛がるが、自身は自らを捨てた母親への複雑な想いに向き合えないでいる。あるクリスマスイブ、理香子のプレゼントを開けると・・
◯粉雪のキャッチボール
幼い頃、あまり濃い関わりを持つ事が無かった父から届いた手紙は、頼み事があるので会いに来るようにとの要請だった。
北軽井沢のホテル支配人の職を退職する父と再会し、従業員達と父の絆を目の当たりにし、自分の知らない一面を知る。