森浩美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『家族の言い訳』に続き、森浩美さんの家族シリーズ2作目。
こちらも家族をテーマにした短編集なのですが、
『こちらの事情』は『家族の言い訳』よりも
少しばかり主人公の年齢層が上がっています。
さくさく読める文章なのですが、
1つ1つの話が心にぐっと来るので
読み終えるのが惜しくなってしまいます。
素直になること、人(この作品で言う家族)を大切にすること、
普段それらを否定した生活を送っているわけではありませんが、
この作品を読むと「はっ」とさせられます。
どれも劇的な展開はないのですが、どんな状況下でも
前向きになれるような光があるので、読んでいて優しい気持ちになれます。
ちなみに、作品 -
Posted by ブクログ
一人一人の登場人物の微妙な感情を繊細に表現していて、物語のなかに吸い込まれるように一気に読めた。また臨場感溢れる描写も素晴らしかった。
団地に住んでいたり、引っ越しを経験したり、中学受験をした私自身の小学生時代を考えると、恨みなく話せる友情、近隣の人たちとの距離の近さ、絆の強さを、羨ましいと思うほど、感動した。また、少年の時代と私の親世代が近いことから、親のことを見直したり、尊敬の心も感じ、話を聞いてみたいと思った。
ちょっと本の内容から逸脱するが、羨ましい美しい人間の絆を描いている当時を今の時代と比較してどうか、と考えた。今は、昔と同じような人間関係を保つのは難しいと思うし、人間関係が希薄 -
Posted by ブクログ
森浩美の『家族の言い訳』は、8編それぞれに異なる主人公が登場する短編集ながら、どの物語にも“家族”という逃れられない関係が静かに息づいています。
どの主人公も、日々の中で抱え込んだ事情ややるせなさを胸にしまい込み、どこかで自分自身に言い訳を重ねて生きている。
そのひたむきさや弱さがとても人間らしく、読みながら何度も胸をつかまれました。
森浩美らしい細やかな筆致によって、登場人物たちが長いあいだ「気づかないふり」をしてきた感情が、ふとした瞬間にじわりと輪郭を帯びていく過程が丁寧に描かれています。
読者であるこちらも、自分の中の“見て見ぬふり”をしてきた思いに触れさせられるような感覚があります。 -
Posted by ブクログ
著者あとがきにある通り森浩美版「スタンド・バイ・ミー」
だが、これは息子に聞かせる為の父の「スタンド・バイ・ミー」物語であり自分を励ます物語。
塾とゲームに明け暮れる小学生らしさの無い息子にあるべき少年の過ごし方を語りながらも反面味気ない今の生活に弱りかけた自分にカツを入れる。
語られる物語は幼馴染の小学5年生3人が都会からの転校生と一緒に過ごす昭和46年の夏の出来事。
4人それぞれ違った性格と家庭環境にあってお互いを認め合って思い合って、ある時は敵と闘いある時は家族に反抗する。
そんな彼らが戦時中に村に落ちた不発弾探しを計画、実行に移す。
安孫子素雄さん原作の映画「少年時代」を彷彿とさせる。 -
Posted by ブクログ
森浩美さんの作品を読んだのは、本書が初めてです。
いつものように本屋さんで物色していると、
家族だからこそ、伝わらないこともある。
という帯の文面が目に入りました。
なるほど、一理あるなと思って手に取り、更に読んでみると、
「家族」シリーズ、待望のベスト版!!
全64作ある家族をテーマに描いた感涙作から7作を厳選。
と書いてあり、これはちょっと読んでみようと、そのままレジに向かいました。
収録されている7作品を読むと、いろいろな家族(夫婦、母と息子、父と娘、姉妹など)の関係が描かれており、どの作品からもほろりとさせられましたが、母と息子(子供から大人まで)の関係が最も多く、私が好き