森浩美のレビュー一覧
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森浩美さんの家族シリーズ3作目。
どの作品も家族をテーマにした物語になっていますが
本作品は父がメインとなったお話が詰まっていました。
この家族シリーズは「日常」が綴られているのですが、
読んでいて飽きが来ないのは
物語のどこかで「そうだよねぇ」と共感してしまう部分があるから。
このシリーズを読むと、
何で小さいときにあんなことしちゃったんだろう」と
自分の家族への態度に後悔??したり、
「これからはこうしよう」と今後の自分と家族のことを考えたりしてしまう。
読んでいて暖かくなり、切なくなり、そしてちょっと心がきゅっとなる。
私がいいなぁ、と思ったのは
「いちばん新しい思い出」と「黒 -
Posted by ブクログ
家族シリーズ 第三弾
*いちばん新しい思い出...離婚後15年振りの娘との再会間もなく結婚する娘との会話
*夜の鯉のぼり...離婚決定後母方の実家で暮らす息子。今後しばらく会えなくなるであろう実家への訪問
*皿を洗う父...無口な父が黙々と皿洗いをする訳。
*手のひらが覚えてる...突然田舎から出て来た母。そんな母をつい疎ましく思う自分...
*黒たまご...夫に先立たれアップアップの毎日でつい息子に言 ってしまった一言。
*玄関先の犬
*渡り廊下の向こう...コンサートに行っても良いかとねだる娘 に高校の自分が重なる。
*桜散らず...老夫婦の病室にて -
Posted by ブクログ
*晴天の万国旗...リレーの選手に選ばれた息子だが...
*葡萄の木...ぶどう狩りの前夜に起った小さな事件
*甘噛み...母との旅行はペットの子連れ
*短い通知表...家族で付けあっていた通知表
*福は内...疎ましい田舎の親の深い温情
*靴ひもの結び方...キャッチボールを余所の子と楽しむ夫
*妻のパジャマ...買い物のついでに妻が貰って来たのは離婚届
*荷物の順番...老いた母を老人ホームへ届ける役目
「家族の言い訳」の続編。前作より登場人物の年齢が上がった分、
等身大の家族像が浮かび上がる。
何処にでもある家族の皆が心の奥に持っている思い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ*シングルマザーに育てられた奈々は、結婚を翌年に控えた12月、実の父親が軽井沢で働いていると聞き、ひとり訪ねていく。ランタンが灯る教会で聞かされたのは意外な真実だった(「ひかりのひみつ」)。愛犬を亡くし哀しみに暮れる男、ダンナの浮気を疑う妻、義母の介護を献身的に続ける主婦…毎日を懸命に生きながら少しずつ歩みを進める人たち。大切な人との絆を丁寧に描いた、心にじんわりとしみわたる8つの家族の物語*
ありふれた日常の中の、でも本人にとっては感情が波打つような出来事を丁寧に掬い取って綴られた短編集。
全てが解決するわけではないけど、小さな一歩が踏み出せるような終わり方が優しい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレあとがきにあるとおり、『問題を抱えていても、それでも歩みを進め、解決には至らなくても、すっきりとしたハッピーエンドではないにせよ、ラストには小さな光』を残されておられる作品でした。
個人的には、スカッとする、または、ハッピーエンドやバッドエンドでもいいのではっきりとした結末となる作品が好きです。
なので、本作品を読み始めたときは、正直すっきりしない結末だなと思いました。
ただ、森浩美さんの作品は、我が身に降りかかってきそうなこと、それらを丁寧に優しく、たしかなハッピーエンドとはいえないけれども、リアルに書かれておられました。そこがこの作家さんの魅力だと思います。