あらすじ
単行本刊行時「もっと早く読んでいたら私も離婚にならなかった」「バスの中で涙で読めなくなり、恥ずかしくなるくらいでした」「もう人生の終わりに近づきこの本を読んだのは残念」などの温度の高い感想が、特に女性から多数寄せられた、直球の人生小説集。
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Posted by ブクログ
やや複雑な家庭の人間関係や心の絆を、ことば巧みに表現し、最後は人間って捨てたもんじゃないな、家族はやはりいいもんだ、と思わせてくれた。涙腺が緩みっぱなしになってしまった。
ホタルの熱
乾いた声でも
星空への寄り道
カレーの匂い
柿の代わり
おかあちゃんの口紅
イブのクレヨン
粉雪のキャッチボール
の全部で8つの短編。
幼い子どもと一緒に、人生の最後となる旅に出かける母親。
しかし思いがけず、民宿に泊まることになり、そこで優しい女将と出会い、過去の悪い想い出を涙と共に洗い流してくれるという、ホタルの熱。
悪いことが重なり、どうしようかと悩んでいる主人公。たまたま乗ったタクシーの運転手さんの話しのなかで、妻と娘が星になったと信じていることを聞き、東京から星の見える八ヶ岳の麓まで行ってもらうという、星空への寄り道。
「妻が言っていたように、人は亡くなって星になるのなら、それは空へ昇るということですものね。空には天国しかありません、それに⋯⋯過ちをしたとはいえ、娘が地獄に堕ちたと思うのは、親として忍びないです。たとえどんな小さな
星だとしても、すべてを許され、光っていると信じたいですから⋯⋯」
親とはそう言うものなんだよな。
この小説は、ある程度の大人が読んで共感するものかな。
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八編の小説集。家族を題材にして書かれているのですが、最初の「ホタルの熱」を読んで思わず目が潤んできてしまいました。「おかあちゃんの口紅」、「粉雪のキャッチボール」も。読むと情景が直ぐに広がる描写も良かったです。
Posted by ブクログ
森浩美の『家族の言い訳』は、8編それぞれに異なる主人公が登場する短編集ながら、どの物語にも“家族”という逃れられない関係が静かに息づいています。
どの主人公も、日々の中で抱え込んだ事情ややるせなさを胸にしまい込み、どこかで自分自身に言い訳を重ねて生きている。
そのひたむきさや弱さがとても人間らしく、読みながら何度も胸をつかまれました。
森浩美らしい細やかな筆致によって、登場人物たちが長いあいだ「気づかないふり」をしてきた感情が、ふとした瞬間にじわりと輪郭を帯びていく過程が丁寧に描かれています。
読者であるこちらも、自分の中の“見て見ぬふり”をしてきた思いに触れさせられるような感覚があります。
全編を通して強く印象に残るのは、どんなにこじれた関係や複雑な思いを抱えていても、人は小さなきっかけで再び前を向く力を持っている、ということです。
主人公たちが自分の内側の言い訳と向き合い、新たな一歩を踏み出す瞬間は、決して派手ではないのに深い余韻を残します。
家族という最も身近であやうい存在を描きながら、読後にはどこか静かな温度が残る。
そんな、やさしくも痛みをともなう短編集でした。
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家族だから言わなくともわかってもらえるでしょう、というのは幻想に近い。私たち日本人は気遣う人種だからそれは美徳とも言えるけど、やはり言葉にしなくては通じないことも多々ある。失って初めて気づくのではなく、その前に気づいて修正できるならいいな。「おかあちゃんの口紅」は同じような親を持つので共感マックス。
Posted by ブクログ
どれも家族にまつわる温かくて、いい話でした。特にホタルの熱の中の、妻は一緒に戦ってくれなくてもいい、戦いは僕がしますから、だからその代わりに、せめて味方でいてほしい、それも絶対的な味方に、というのはグッときました!
Posted by ブクログ
すごくいい本。家族を大切にしようと思えます。特に心に残ったのは、かあちゃんの口紅、イブのクレヨンです。
かあちゃんの口紅は自分が何気なくした行動で誰かの人生が変わって、自分が支えられていたらいいなと思えました。イブのクレヨンは血のつかながっていない娘の接し方がまだあまり掴めていない父親を描いていてついつい応援したくなりました。
このお正月、家族と過ごしてみてはどうでしょう?
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作詞家、放送作家を兼ねている作家なので、短編小説はまるでドラマを見ているように中に引き込まれる。オーディブルで耳読したのだが、とても集中しやすい良い作品でした。
Posted by ブクログ
家族を題材にした短編小説ですが、どの話も短いながら家族を切り取った話となっていて楽しめます。好みもあるでしょうが、数編は短編なりではありますが心に響くものがありました。
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家族だからってなんでも許されるわけじゃない
家族だからってやり直せるわけじゃない
家族だからって仲がいいわけじゃない
いろんな家族の物語。
ほっこりはしなかったけどなんかこう。。。しんみりした。
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様々な家族の形を描いた短編集。
どの家族にも、いろいろな物語があり、理想とは違うことにも言い訳をしながら生きている。
そんな家族の様子をいきいきと表現している。
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それぞれの家族との関係がリアルに書かれていた。自分自身の家族を思い返したり、主人公の心情と重ねて読んでみた。関係性はそれぞれ違うけど、家族の支えがあって今があるんだなと感じた。
Posted by ブクログ
家族の話。
それぞれが助け合い、支え合い、共に喜び合う。
また、悩むこともある。
そんな物語が8篇の本。
中でも、「星空への寄り道」「おかあちゃんの口紅」が好きだ。
どれも、心に染みる話だった。
Posted by ブクログ
それぞれの家族に固有の苦悩や愛情、幸せの形がある。
リアルな描写に感情移入しやすく、自分の言動や家族関係を振り返らずにはいられなくなった。
特に「おかあちゃんの口紅」は、我が母を重ねてしまい涙腺が緩んだ。
親の心、子知らず…とはよく言ったもので、遠く離れて暮らす今も母の愛を感じることがあり、早く親孝行せねばと焦りが募る。
優しい気持ちになりたい時に読み返そうと思う。
Posted by ブクログ
無理やりのハッピーエンドではなくて良かった。現実もそんなもんだよなと共感したり、家族ほど難しい関係はないしどうにかしたくてもどうにも出来ない中でもなんとか前に進もうとする話しは良かった。
Posted by ブクログ
それぞれ短編小説となっていて、読みやすく、各家族の抱えている悩みが解決されて言う様子に、ほっこりしました。
親だろうが、子供だろうが、悩みは抱えるもんだよなと再認識しました。
Posted by ブクログ
「言い訳したいこと」って誰にでもあるのかもしれない。
私にとっては、切ない話が多かった。
でも、通り過ぎてしまうと特に心に残らない。
結局はヒトゴトなのかもしれない。
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8つの短編集。"おかあちゃんの口紅"が一番好きだったかも。いろいろな事情が、家族の数だけ存在するんだろう。ほっこりしたり、目頭にくるものがあったり、続きが気になる結末もあるが、どれも心地良かった。
Posted by ブクログ
家族に視点を置いた短編集。
主人公の設定(職業や置かれている環境)が様々で、そこは意表を突かれておもしろく感じた。
「カレーの匂い」では、最後の文章でドキッとさせられたが、他の話にはそういうところはなく、家族の良さを再確認できる話の数々。
「ホタルの熱」がいちばん好きかな。
Posted by ブクログ
王道でしんみり沁みる、家族についてのあれやこれの短編集。著者のお名前で、女性と勘違いしていたため、登場する女性たちの言動や行動に「ん?」と思うことがあったがあとがきで判明。
「ホタルの熱」
子どもと一緒に死のうとする親と、それを察する子ども。そこに差し伸べられる他人の手。母ではないから母の気持ちはきちんと理解出来ないが、子供側の気持ちはよく分かる。純度100%の愛情を持っているのは子供だけ。
「おかあちゃんの口紅」
これはもう…
おかあちゃんの心がそのままどストレートに刺さる。
この2つが心に残りました。
Posted by ブクログ
家族の問題やすれ違いなどなど、、、
おかぁちゃんの口紅良かったなぁ〜私の母親も祖母も使うのがもったいないたちで、私が初任給で買ったハンカチをお守りってカバンに入れてます。家を出て30年たいした親孝行も出来てないから、今になって誕生日や母の日など何か理由つけては贈り物送ってますが、埋め合わせにはなってると思えなくてね、、、そろそろ感謝の気持ちを行動でしめさないとはおもってます。そんなこと思わせてくれた短編小説でした。
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良い意味で普通にありそうな話。なので、読みながら物足りなさを感じはしたが、巻末の結城さとみさんの解説読んだ後は、なるほどなと…こういう見方で読んだらまた違う楽しみ方が出来そうだ。
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心温まる家族物。
作者も書いているとおりストレートな作品で、捻った面白さはないかもしれない。
少し物足りなさを感じるが、穏やかになりたい時などにおすすめ。
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心に残った言葉
あなたは、全部勝とうとするから、棘が、でちゃうの。
人生なんて結局、51勝49敗程度で、いいの。
でもね、その二つの勝ちが、最後には、物を言うんだから。…本当に賢い女は、負けてあげられる余裕をもってるの。それはね、小さくても、幸せに繋がる急所の掴み方を、心得てるってことなのよ。
心に、響いたなあ~。
Posted by ブクログ
3.6
家族とは・・
とひたすら問いかける短編集
◯ホタルの熱
商売の失敗から追い詰められた夫が蒸発し生きて行くことに疲れた女。
死への旅立ちに幼い息子を伴い訪れた温泉地で、発熱する我が子に狼狽え、回復を祈る。
そこで巡り合った民宿の女将は・・
◯乾いた声でも
クモ膜下出血で急逝した夫の供養に訪れた上司・武井とのやり取りがキッカケで、すれ違っていった自分達夫婦の姿を振り返ることに。
絶対的な味方を、
たったひとり持てたなら、世の中全部を敵に回しても闘えます!
◯星空への寄り道
友人と始めたウェブ製作会社が破綻し、後始末を済ませた男が乗り込んだタクシーの運転手は、慇懃すぎる初老の男だった。話好きの運転手の語る過去とは・・
◯カレーの匂い
バリバリのキャリアウーマンで、独身女性の生き方をテーマにした雑誌の副編集長・舞子。友人との食事を終え不倫相手との逢瀬に向かう途中雨宿りに寄ったショップでバッタリ会ったのは・・
勝ち続ける女の末路は?・・
◯柿の代わり
女子高の教師である吉村は、ある日、元教え子で12歳年下の妻・文香に離婚を切り出される。
そんな中、やはり元教え子の健司に呼び出され酒を飲むが、文香との不倫を告白される。
◯お母ちゃんの口紅
長きにわたり無沙汰をしている実家の妹から、母親の精密検査の結果を聞きに行く様強くせがまれ貴志は妻・靖子と共に帰郷する。
田舎育ちで野暮ったい母を疎ましく思っていた貴志だったが、母のガンの告知を受け、戻った病室の外で漏れ聴く幼き日の思い出、そして真実。
妻・靖子の優しさが暖かい
◯今で言うカスハラによって職を失った正洋は、妻・理香子の勧めでイラストレーターを目指す。連れ子のエリカを心から愛し可愛がるが、自身は自らを捨てた母親への複雑な想いに向き合えないでいる。あるクリスマスイブ、理香子のプレゼントを開けると・・
◯粉雪のキャッチボール
幼い頃、あまり濃い関わりを持つ事が無かった父から届いた手紙は、頼み事があるので会いに来るようにとの要請だった。
北軽井沢のホテル支配人の職を退職する父と再会し、従業員達と父の絆を目の当たりにし、自分の知らない一面を知る。
Posted by ブクログ
悲しく、残念な状況に陥った家族の状況を切り取った短編集。
家族と言うのがキーワードだな、40過ぎてしみじみ分かる悲しさもあり。親が子を思う気持ち等。
Posted by ブクログ
前評判を聞いて期待しすぎたか、
正直、そんなに心に響かなかった…。
自分は心が荒んでいるようです。
それぞれ涙が止まらなくなる展開を想像していた。
長編だったらもっと感情移入できたかな。。
その中でも一番目に留まったのは 「乾いた声でも」。
恐ろしさで目が覚めたのは 「カレーの匂い」。。