ノーム・チョムスキーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読みたかった本の一つだったが今回の文庫化でたった1000円で読めるようになった。必読。
日本で生活しているとシンプルにアメリカのプロパガンダにやられるのでほぼ無条件にアメリカに対して親しみを覚えると思うが、そういう人こそ読むべきだろう。
世界の構造が分かると身近な問題の解像度も上がる。たとえばクルド人問題もこの本から読み解けばアメリカのせいであるし、日本人がクルド人にヘイトを向けるのはサダム・フセイン支持の親米イデオロギーと地続きなのがわかる。
地球温暖化問題への取り組みの極端な忌避も世界の構造がわかれば簡単に見えてくる。電気自動車はまだ早いなんて言ってる知り合いは多いだろうが、そういう人は何も気づかないうちに極右に取り込まれているということです。本書を読めばアメリカより日本の方が病巣が深いと感じる。 -
Posted by ブクログ
ノーム・チョムスキー、レイ・カーツワイル、マーティン・ウルフ、ビャルケ・インゲルス、フリーマン・ダイソンといった政治学教授、発明家、経済ジャーナリスト、建築家、数学者といった知の先端をいく人たちへのインタビュー集。
AIが指数間的に成長していく未来を描くレイ・カーツワイルの話が一番面白かったし再読したい。
どの人たちも専門分野以外にも深い知識を持っているのが参考になる。
インタビュアーの吉成さんの質問が全部的確で勉強量も含めて頭の良さがにじみ出ていると思う。あとがきの見解の「不確実社会では感情に訴えるようなシンプルストーリーはプロパガンダだと思ってファクトチェックを重ねて熱狂を避ける」というところに同意。
各著者におすすめの本を聞いているのがありがたい。 -
Posted by ブクログ
学生時代に生成文法を学んだ身でありながら、誠に恥ずかしいことに、チョムスキーのこの記念碑的著作を読んだことがなかった。文庫が出たのを好機として読んでみた。
文法の形式的側面の自律性、構造依存性、変形部門の必要性など、言語学の入門書に必ず書いてあるような議論はこの著作で示されたものだったということを知った。
チョムスキーが1975年に書いた文章と、訳者による解説が付されており、生成文法が誕生した時代背景やその後の発展過程をリアルに感じ取ることができる。訳者の福井氏も解説で述べているように、生成文法は当初から、チョムスキーがたった一人で理論を構築したのではない。むしろチョムスキーの学問的貢献は、互いに直接は関連をもたなかった研究関心を統合し、一つの体系としてまとめ上げたところにあったのだった。
現代においては、本編よりもむしろ、付録のほうが読む価値があると思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本書について
本書は1987年に上智大学で行われたチョムスキー三回の講義録の全訳で、秀英書房から2004年に刊行、2023年に第二版として復刊された。薄い一冊だが、生成文法の核心を一般向けに圧縮した濃密なテクストで、講義は「メンタリズムと行動」「言語研究の概念的基礎」「言語の性質・使用・獲得」の三本から成る。
講義1 能力と行使、二つの難問
知識を変えずに行使だけが向上し、逆に知識を失わずに行使だけが損なわれる事実から、チョムスキーは言語を行動ではなく心に実在する「認知システム」と扱うメンタリズムに立つ。行動科学は「能力」概念を持たず、言語の創造性も貧困な刺激からの獲得も説明できない。ここで二つの難問が浮かぶ。「プラトンの問題」は乏しい経験からなぜこれほど多くを知りうるかという獲得の謎、「デカルトの問題」は刺激から自由で無限かつ適切な言語使用の創造性という謎である。デカルト、ケニー、ライプニッツの合理主義の系脈をたどり、ローティらの反合理主義と対峙させて、自説が行き詰まりの打開ではなく合理主義の復活であることを示す。
講義2 I言語という再定義
「英語」のような外側の公共言語(E言語)や抽象対象としての言語(P言語=プラトン的構想)を退け、個人の心/脳に実在する計算システム(I言語)こそが言語学の対象だと説く。これを可能にするのが普遍文法(UG)であり、初期の生成文法から原理とパラメタ、認知革命へと至る概念転回が語られる。中核と周辺、袋小路文、主語・目的語の非対称性、使役構文が、文法と解析器の適合という制約の下で論じられる。クワイン、ルイス、カッツ、ソームスは経験論・外在的真理条件意味論・プラトン論の代表として批判的に引用され、ヤーコブソンは普遍性と弁別素性の先駆として評価される。
講義3 獲得は学習ではなく成長
経験主義の「無成長」な学習観に対し、チョムスキーは言語は学習されるより「成長」すると論じ、心的表象理論の上に生成文法を据える。空主語(pro-drop)パラメータと部分集合原理、そして「逆転」の問題をめぐり、ハイアムズ、リッツィ、クレイン、スロービン、ボレア、ウェクスラーらの獲得研究が、形式学習理論(オシャーソン、ワインスタイン、ポーターズ、リッチー)の制約と交差して展開する。ヒュームは経験論の象徴、カドワースとフンボルトは合理主義の先駆、ピアジェは構成主義の論敵として配置される。
全体を振り返って
言語学が単なる文法の記述ではなく「人間の心とは何か」という認識論に直結する一事業である、という主張が強く残る。プラトンの問題とデカルトの問題という古典的な問いを現代の認知科学の語彙で再起動し、経験論と合理論の立証負担を逆転させる論理の見事さ。三百年前のカドワースの「自然という書物は知的な目にしか読めない」という一節が、貧困な刺激からの獲得という現代の難問と同じ構造を持つことに気づかされた。専門用語は多いが、講義という形式が論理の流れを追いやすくしており、初心者から専門家まで必携という出版社の謳い文句に偽りはなかった。 -
Posted by ブクログ
2025/10/6(水)
まだ読み始めて20ページ。チョムスキー氏のような高名な知識人をして、アメリカ自体の知的衰退を相当に気にしている様子が伺える。まずそこが興味深い。
50ページ辺りまで。米国の"正義"による"暴挙"にはいとまが無いのか?どれとも、いくつかの事例を異なる視点から何度も書き出していることなのか?、整理しないと米国の近現代史に詳しくない小生には理解が追いつかない。2度目以降で読むときに整理しながら読まないと、と思う(この事象・事件は、前に書いていたことの焼き直しだな?など)。自らの蛮行は、それが正義だと思っているので、調べもしないし、法に掛けられるまでもない、と、みずから牽強附会、独善的、我田引水、自画自賛してしまう、いまでも西部劇のような米国の思考と遂行に呆れる(本当なのだろうか?こんなことが??と目を疑い、アタマがクラクラしてくる。それも、何度も。いくつも。)
いつまで許しておいてよいのだろうか?
そりゃ、米国やイスラエルの蛮行は(ロシアもそうですね)、そもそも暴力で解決しようとする思考と姿勢が許せないが、いまのこの本のここでの記載にある「世界」の秩序を形づくってもいるのでしょうが、その裏で、どれだけのひとたちが、"意図していない"殺人で殺されていることでしょうか??泣いているでしょうか??…
イデオロギーや宗教って、それを建前に、「自分(だけ)が安全で幸せであれば良い」という隠れ蓑に使ってよいものなのでしょうかね??…
そもそも、何かが間違っている、と私は思い始めています。
米国などの、"正義の組織"に狙われてしまうのでしょうか?…
くわばらくわばら
100ページ辺りまで
読めば読むほど気が滅入る… "米国中心の社会秩序"、まあ他の大国によって構築されていた場合と比べてどうだっただろうか?と思えば、日本は良い立ち位置にはいたのだろう、とは思うが… 知らされていない(メディアも、米国のいう資本主義・民主主義のお抱え、ということだろうから、致し方ないのかも、とも思うが…)ことが多すぎて、暗然としてしまいます…
チョムスキーさんの書かれていることをすべて鵜呑みにしてよいか?とも思うのですが、反証する知識も気力も今の私には到底無い…
チョムスキーさん、よく米国内でこれだけの気力と精神を保って、研究や出版の活動も続けることが出来てますね!?ほんと、もう尊敬を通り越しています。やはり呆れています(こちらは凄すぎて笑)。
"自分たちの世界"の秩序の維持には熱心だが、その"世界の外"のことは知ったこっちゃない。むしろ、"邪魔するな!"の姿勢。特権階級の知識層。 -
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知識人の責任
著:ノーム・チョムスキー
訳:清水 知子
訳:浅見 克彦
合衆国が、既得権益保護のために世界規模の反革命運動の指導者になったことを本書は嘆いている。
ベトナム戦争のみならず、南米においても、第2のベトナム戦争を展開しようとしていることもだ
気になったのは以下です。
■知識人と学校についての考察
権力と権力を合理的に行使しようとするために忠義を尽くそうとしている、アメリカの知識人について、率先して、その政策の実行を支援していることについて恐ろしいと語っている。
アメリアのそれら知識人を批判するとともに、啓蒙と自らを導いていくための指針をもとめてさまようことになるだろうとしている。
■知識人の責任
・戦争への加担、擁護の責任
・真実を語り、嘘を暴く責任
・事態を歴史的観点からとらえず、偽善的道徳の文脈のなかに位置づけない場合
・懐疑の欠如
・苦しみや悲惨を完全に無視する態度
・責任ある批判
・専門家に対する崇拝は、自己利益になるとともに、同時に詐欺的なものである
・知識人の責任は、基本的な関心にむけられなければならない
・民主主義の制度を築き上げることによって新しい社会に成長しうるのかどうか
・まとまった軍隊の使用はそれ自体としては非合法なものである
■抵抗について
・徴兵拒否、税金の不払い
・反対から、抵抗へ
・アメリカ人であることを恥じる
・直接行動 デモへの参加、演説
・反対運動と、抵抗運動は二者択一ではなく、相互に補強し合っていくべき運動だ
・効果的な政治運動 破壊行為は、中産階級を動かし得ない
・批判活動への代償の過小評価、政府を過小評価している
■普遍的知識人
・真実の暴露による倫理的批判が、しばしば人々によって受け流されて空回りに終わる
・知っている者の言説が、知らない者を動かすという関係が機能不全に陥っている
・過度に道徳を追求する、ひとりよがりのエリート主義
・エリートは同じ穴のむじな
・おのおの知識人が引き受けるべき専門的領域ではなく、市民共同体をめぐる言動にむけられるかが問題である
・サルトルのいう、権力者の知識人観
・虚偽をふりまく政府の宣伝と、それを後押しするマスコミによって、誤った事実認識と判断が人々に浸透してしまう
・知らされていない大衆、わかっていない大衆
・情報操作によって現実認識を誘導され、政府の政策に受容するように仕向けられる
・真実をしらされても、それだけでは、批判の意識と行動への傾かない受け手という理解を対置する
・問題なのは、さまざまな個別分野にたずさわる知識階層が、相互に他の分野との関係と統一を考慮し、知的営為全体の総合的な一体性を確保することができなくなっていることだ
・知識のエリートですら、互いの専門的の知のシステムの統一的な理解を持ちえない現状で、大衆に理解を求めることが可能であるのあるのか。
・大衆からは、専門的な知識と判断は、素人の良心や倫理によって足蹴にできるようなものではないはずだ。
■知識人の十字路
・政治論や、イデオロギー批判のような専門的知識や技術はかならずしも必要ない
・バーチャル知識人 正義と数理がかみ合っているシステム論的な思想として持ち上げらえれることの特異さ
・伝統的知識人から、有機的知識人へ
・すべての人が、知識人、情報労働者であるようなメディア社会やポスト産業社会では、有名性によって言説を行使する知識人とは別のモデルが登場してくる
・特定領域の知識人とは、もはや真理や正義の所有者ではない
・正義の知識人
■不服従
・現場の映画撮影
・時間と空間を共有する作品、記述
・爆撃を模した音声
・ネット配信へ
・市民的不服従
・ハト派知識人への厳しい批判
目次
第1部 知識人の責任 ノーム・チョムスキー
第1章 知識人と学校についての考察 清水知子 訳
第2章 知識人の責任 浅見克彦 訳
第3章 抵抗について 野々村文宏 訳
第4章 「抵抗について」の補遺 野々村文宏 訳
第2部 「知識人」という文体
第1章 普遍的知識人の現在 浅見克彦
第2章 チョムスキー、知識人の十字路 上野俊哉
第3章 音の不服従、映像の不服従 野々村文宏
訳者あとがき 浅見克彦
ISBN:9784787210371
出版社:青弓社
判型:4-6
ページ数:240ページ
定価:2600円(本体)
2006年01月21日 -
Posted by ブクログ
テーマは利己性と利他性、社会性。集団によってどのように暴力性は生まれるかといった考察は興味深い。
エドワード・O.ウィルソン
高度な社会性を形成する真社会性は、生物進化の歴史上、少なくとも17回実現している。テッポウエビで3回、スズメバチで2回、キクイムシで2回、ハダカデバネズミで2回など。人類では、300~100万年前にグループ間の競争があった。競争を好む性質は、群選択によってもたらされた。社会的生物では、グループの中では利己的な個体が有利になるが、グループ全体として行動する場合は利他的なグループが有利になるという法則がある。宗教信仰は部族主義から生まれてきた。哺乳類のバイオマスのうち、人間が36%、家畜が60%を占め、野生動物は4%にしかならない(PNAS, 2018/6/19)。
ティモシー・スナイダー
ポピュリズムによって出てきた人物が、自分は人々の声の体現者であると言いつのることによって、法や体制が意味を失っていき、障害物として払拭されることが危険であり、こうしてポピュリズムはある種のファシズムに変化していく。インターネットでは、嘘は真実より70%も多くリツイートされ、6倍速く広く深く伝わる(Science, 2018/3/8)。ナチのヘルマン・ゲーリングは、「人々を戦争に同意させるのは簡単だ。我々は攻撃されたと言いふらし、平和主義者を国に危機をもたらす愛国心を欠いた卑怯者と言って貶めればいいだけだ」と言っている。
ダニエル・デネット
哲学者は、繰り返し問いかけ批判することで思考を深め、より適切な問題設定をすることに長けている。意識はひとつではなく、非常にたくさんの事柄が一緒になったもの。ありとあらゆる能力とは別に、意識というものが特別に存在すると考えるのは誤り。宗教への信仰をもたない人たちの数は急速に増えている。イスラム過激派の台頭などは、宗教の最後のあがきを見ている。安定した持続力のあるコミュニティには、入口と出口の非常に厳しいルールがある。内部ではかなり透明だが、外部を嫌い、コミュニティからの離脱を厳しく罰する。
ノーム・チョムスキー
アメリカで生まれた多国籍企業は、世界の富の約半分を占めている(ショーン・スターズ2014)
最大の暴力は考えることをせずに素直に指示に従ってしまう善良な一般人によって行われる(ハンナ・アーレント)。