田倉トヲルのレビュー一覧
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“「全部最初からやり直す。……お前を見ていたら、そうしなきゃいけないと思った」
「へ」
「今のお前は"王族"だ。俺と違って、本当の意味で自分の考えを持って答えを出してる。きっと誰にも流されたりしないんだろう。……昔はどうあれ、今のお前は"セシル・エルマー"じゃない。……王族らしさの定義を見失ってる奴が言っても説得力はないと思うが」
「…………」
ぽかんとして目の前に座る兄を凝視する。そのうちにいたたまれなくなってきたのか、彼は帝王学の本を手に席を立ち、「作業の邪魔をした」と短い挨拶を述べて退室していった。扉が閉まり、足音が遠ざかる。
その頃になってようやく我に返り、目の前に立つアルベルト・ホースマンの顔を見上げる。
「ねえ。あれってつまり、励ましてたの?」
「あるいは誉めてたか、懺悔か、でなきゃ愚痴か。俺にはわからん。この一族は何で常に遠回しな言い方になるんだ?解読が面倒くさい」
「悪かったわね、面倒な一族で」
ひとまず悪意ある言葉ではないようだ。確実なのはそれくらいで、後は励ましとも賛辞とも懺悔とも愚痴ともとれる。
——今の私は王族。そんな風に言われる日が来るとは思わなかった。それもクローヴィスに。”[P.73]
4巻目。
今回も面白かったー。
ロッティが首なし騎士の行動に戸惑ってるあたりとか。
モーリスの雰囲気が結構好きかも。
ガイとカルラのやり取りがもっと見たい。すっげ楽しい。
クローヴィスの行動にどきどき。
“(ガイ。それは違う。私が握っているのは手綱じゃない)
きっと、私の手はそのまま彼の首にかかっている。中途半端な"主"の私と、奔放であると同時に忠実過ぎる"彼"の関係は、それくらい危うい均衡で成り立っている。
黙ったきりの私を訝しげに見下ろしていた彼は、おもむろに顔を近づけて表情を覗き込んできた。いつもとは違う様子に気づいたのか、彼は漆黒の瞳を細める。
「あの男に何か言われたのか」
「大丈夫、何でもない。……それより、貴方の準備は全部済んだの?アルベルト・ホースマン。随分早々と戻ってきたようだけれど」
あからさまに逸らされた話題に、彼は訝しげな顔のまま「……全部終わってる」と答えた。旅慣れしていると、やはり身支度が早いらしい。一つ一つにもたつく私とは違う。ため息をついて身支度を再開する。
と。不意に彼が口を開いた。
「アルベルト」
「は?……急にどうしたの。自分の名前の確認?ガイじゃあるまいし」
「…………」
何かけったいなものを見る目で凝視された。”[P.224] -
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久しぶり、なお兄さん再登場、の巻。
話もがっすんがっすん進んでおりますが…関係は微々たる進み。
どうなるのでしょうか? というより、どうするんでしょうか?
確実に何だかスルーしてる感じなのですが!?w
自分だけで突入していくのと、守りながら突入していくのでは
当然動きが違います。
方向転換してきた竜は、その辺りどうするつもりなのでしょうか?
第二の被害者は、どう手綱を操って行くつもりなのでしょうか?
むしろ再登場はあるのか!?w
何でしょう…こう、新密度というか、スキンシップが
微妙に増えている気がします。
それはそれで面白いですけど、ヒーロー、ばったり。
完璧ではない、というか、動揺理由が理由なだけに何とも言えませんが
一応人だったのか、と違う意味での関心が。
しかし王国全土に根がはびこっていると、それはとてもではないが
一斉排除は難しい…。
再登場お兄さんは、罠に飛び込んでそこからどうにかするつもりでしょうが
駆除できるものなのでしょうか? -
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“「先導は俺がする。落ちる前に拾ってやるから、大人しくこっちに乗っておけ」
「…………。何かもうちょっと他に言いようは無いの、貴方は」
誰かが堪えきれないと言わんばかりに吹き出した。振り返ると、ハーヴェイ小父様が押し殺した笑い声をあげていた。リオンとレイフォードの顔にも生暖かい微笑が滲んでいる。
やがて小父様は、先程まで笑い転げていたのが嘘のように紳士的な笑みを浮かべた。
「いやはや。これだから女性を口説いたことのない男は。"私以外の男に貴女を守る役目を譲らねばならないなど、考えただけでも胸が張り裂けそうだ"くらい言えないものかな」
「…………。小父様。今一押しの恋愛小説を一つあげてください」
「最近人気の『愛の騎士イシュメル』はお薦めですね。王妃ポーリーナとの切なくも美しい悲恋に胸打たれます」
自分で振った質問だが、予想を超えて貴婦人御用達の恋愛小説の題名が出てきて、思わずむせた。引きつった笑みを浮かべて小父様から目を逸らす。と、アルベルト・ホースマンと視線が合い、その思いの外真摯な眼差しにぶわっと全身が熱くなった。凄まじい速さで目の前の男の口を両手で塞ぐ。
「い、言わないでよ!?いや言わないだろうけど!言わないだろうけれどその目は止めて恐い!大人しく乗るからっ!小父様ちょっと何吹き込もうとしてるんですか貴方は!」
「あはははは。姫様も負けず劣らずですねえ」
今度こそ、隠しもせずにハーヴェイ小父様は笑い転げた。”[P.101]
3巻目。
前巻と違ってリオンの好感度が。
"人喰い竜"の立場が怖い。行動が読めなさそうだなぁ。
最後のウェルズとのやり取り辺りで良かった良かったと思ったり。
ロッティの思考駄々漏れは一体何処からなのか考えるのが楽しい。
“言って、ガイは腰元の剣に触れた。自分が持つものと同じ形の剣だ。
「こいつを使う機会も滅多にない、楽な仕事だよ。儲けもいいし。……強いて難点をあげるなら、四六時中あの陰気なおっさんの顔を見てなきゃならんっつーことだけだが。その点お前はいいな、お姫様が相手で」
「剣を使う機会は多いがな」
「おお。流石王族。物騒かつ面白そうで何よりだ。……あのお姫様、名前何だっけ?」
「ロッティ」
教えてやった瞬間、ガイの笑顔が引きつった。妙な反応に眉を顰める。ややあって目の前の男は、短く切り揃えた頭を掻いて長いため息をついた。
「……とんでもなく可愛い名前だなあ、おい。お前が言うと更に。ちなみに本名?愛称か?」
「愛称だ」
「愛称か。そうかそうか。もう俺笑っていいかな?ここ笑いどころでいいんだよな?」
「……どう呼ぼうと俺の勝手だろう」
耳にこびりついた愛称は、改める間もなく口から出ていく。最早自分ではどうしようもない。”[P.168] -
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面白かったのだが、いかんせんとにかく、読みづらい。わかんなくて前の部分を読み返したところが多々あった。そこまで駄々漏れって、逆にすごいな。
しかし、悪口は言いたくないんだが、いい加減ロッティに苛々する部分も多少あり。そんな簡単に国とか領地とか背負えないだろうってのはわかるつもりだが、自分一人で何もかもを片付けろと言ってるわけでなし、自信がないのかあまりに固辞し続ける姿を見てると、責任負うの嫌なだけなんじゃと意地悪な穿った気持ちも湧いてきてしまった。まあロッティが簡単に決断してしまったら話終わっちゃうし仕方ないんだが。
ロッティの性格と、前述の読みにくさのせいで、いまいち気持ちよく読み進めることが出来なかった。ロッティ、馬が合わないんだろうか・・・
本当に純粋な意味でネガティブなヒロインだと思う。ここまで後ろ向きな子も珍しい気がする。私は正直好きではない。 -
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“「……ねえ。彼、"王にとって国民は自分の所有する物でしかない“って言ってなかった?あれ、どういうこと?」
「ああ……。そういえば、お前は他国に行ったことも、他の王に会ったこともなかったな」
「他国の政治の仕組みをまとめた本は読んだわよ?」
「本が全てを語っているとは限らない。それに、当たり前過ぎることは、書かれないものだよ」
部屋の本棚に並ぶ、政治に関する本の数々を見やるレイフォード。つられて私もそちらに視線を向ける。
「この国は特殊な成り立ちから生まれた。でもそれだけじゃない。政治から思想から、あらゆる点で他国とは違っている。第三者的に言うなら、間違いなく異色だよ」
「異色、って……そこまで?」”[P.119]
2巻目。
続きが出て嬉しい。そして願わくは長く続いてほしい。
しかし表紙が物騒すぎる。
ミステリ要素があるのが堪らん。
ロッティの頭の切れが読んでて楽しい。
エルマー家辺りの波乱が怖い。
P.21、P.155あたりがうまいと思った。
“「貴方——……、恐いの?」
頭が言葉を選び取るより先に、心が"答え”を吐き出した。
戦場で生きた男は、誰よりも命の儚さを知っている。目を離した次の瞬間、失われているかもしれないことを、知っている。
(ああ、だから)
だから、徹底して守ってきたのか。
……まるでその言葉が合図だったかのように、彼は剣を手に取った。反射的に団長が抜いた剣を薙ぎ払い、その勢いのまま、私の首を目がけて——
ぎいん。高い金属音が、耳を劈いた。
音の余韻が、まだ耳の側で響いている。が、手で押さえることは出来ない。首のすぐ真横に鋭い銀の光を放つ刃があった。衝撃で削れた石壁の破片が、ぱらぱらと床に散った。……もし城が木で造られたものだったら、壁ごと首を持って行かれていただろう。
呼吸も、瞬きも止まった。耳鳴りがする程の静寂の中、聞こえるのは心臓の音だけ。目の前の悪魔は、奥底に火種を燃やす闇色の双眸で、私を見据える。
「このまま剣を滑らせれば、あんたの頭は呆気なく体を離れる」
「……」
「あんたは戦う術を持たない。こうして剣を向けられても、逃げることすら出来ない。……俺が城下に行かないのは、そういう理由だよ、お嬢さん。オーガを恐がってるからじゃない」
「……驚いた。貴方、先程の言葉をそんな風に受け取ったの?」
「ふうん。違うのか。なら、どういう意味で言ったんだ?考える頭のない俺にもわかるように、説明してみろよ」
「お断りするわ。“答え”は奪い取るものなのでしょう?」
自由奔放で我が道を行く男が、どうしてそんなに自分の感情に関しては鈍いんだ。殺意には一も二もなく反応するくせに、その殺意が何故生まれたのか、前提にある”感情”の正体がわかっていない。ああ滑稽だ、またしても彼の歪んだ愛情表現に振り回されるとは!”[P.155] -
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ネタバレ大学生×大学生
双子の兄への想いに終止符を打った主人公。
けれど、家族として過ごす二人の仲睦まじい姿をわらって見ていられるほど図太くもない。
そうして、風変わりな友達のところに入り浸っては、二人でねんどをコネたり、話をしたり…。
ちゃんと自分の居場所を確保してくれる友達に感謝をしていたが・・・。
…主人公と相手、こたつで黙々と美少女フィギュアを作るの巻。
いや、けっこうな冊数BL本読んでますけど、登場人物二人してもくもくとオタ趣味に没頭するとか初めて読んだ(笑)
しかも主人公はともかく、相手は人気原型師というじゃないですか。
ちょっと作者はどこまで下調べしたんだろうと(笑)
挿し絵でもちゃんと「ファンド」が机の上に置かれているあたりさすがです。
「兄弟恋愛」で恋に破れたほうのものがたりで、いちおうそちらもよみましたが、こっちの方が私好みでした。
でもこちらだけでも全く問題なし。
ただ一言いいたい。
こんなオタクは夢物語だ!!(笑) -
Posted by ブクログ
ネタバレ弟×兄(ただし二人に血のつながりなし)
母を亡くし、父の暴力から逃げて施設に入っていた峻也。妹と一緒に山で遊んでいたとき、誘拐された男の子を助ける。
それが縁となりその過程に兄妹は引き取られることになる。
年月はたち、妹に惚れていると豪語する弟(誘拐された子)は、峻也の気持ちを振り回して…。
手元にあるのは初版本なのですが…
表紙カバーに堂々と「峻也」の名前が「俊也」と誤植(笑)しっかりせぇや(笑)
2版から直っていることを願います。
さて、私はこの関連作品となる「親友恋愛」から読んだのですが、こっちはあまりもえませんでした。
設定が詰め込まれすぎてるんですよね。
切りの兄弟で、妹はちょっと特殊な力持ってて、裏稼業があって…って。
もうひとつの方を読んで気に入ったら読めばいいと思うけど、こっちは無理にすすめないかも…。 -
Posted by ブクログ
“「まあな、だが、あくまで期限付きだ。俺は見定めたいだけだ」
「......見定める?」
国王様が眉を顰める。私も同じく、彼の言葉の意味がちっとも理解出来なかった。城から出ない第四子、しかも王子ではなく“姫”の護衛役を申し出ただけでも不可解なのに、それが期限付きでしかも何かを見定めるため?一介の騎士が、何を見定めると言うんだ?
アルベルト・ホースマンは例の笑みを絶やさず、歌うように、言った。
「我が主、亡きジョセフ・フォルモントから遺言を賜った。俺が従うに値する“王”がいる。主亡き後、俺の目で“王”の資質がある者を見定め、ジョセフ・フォルモントに誓った忠誠を再びその者に誓ってもいいと思ったその時は、“クラウン”と共に“王”の隣に並べ、と」”
絵で敬遠してたけど評判がいいっぽいので読んでみたら結構良かった。
推理要素がちょっとあって恋愛は二の次。
キャラがどれも立ってて良いなぁ。
五章最後の意味合いがちょっと捉えにくいけど。
エピローグ良かった。
“「アルベルト・ホースマンが諦めたか。意外だな。シャーロットに関しては、随分と気にかけていたようだったのに」
言ったのはレイフォードだ。忙しい合間をぬって、用事もないのに私の所へ顔を出し、タローと並んでのんびりと横になっている。
「本当、往生際悪く付きまとっていたわよね。最後の一人、って思いがあったんだろうけれど」
「そうじゃなくて。......そうだな、気にかけるというよりは、気遣っていた、かな」
「は?」
「他人など意に介さない男が、姫君を町に連れ出す如きの事でいちいち変装するかな?大事な愛剣を置いて、ナイフ一つ隠し持つだけの心許ない装備で?......気を遣った、とは思わない?人の目を厭うシャーロットのために、悪名高い“首なし騎士とわからないように」”